監査基準報告書 510
初年度監査の期首残高
監基報 510
2 0 1 1 年 1 2 月 2 2 日
改正 2 0 1 4 年 4 月 4 日
改正 2 0 1 5 年 5 月 2 9 日
改正 2 0 1 9 年 2 月 2 7 日
改正 2 0 2 0 年 4 月 9 日
改正 2 0 2 1 年 1 月 1 4 日
改正 2 0 2 1 年 8 月 1 9 日
改正 2 0 2 2 年 1 0 月 1 3 日
最終改正 2 0 2 3 年 1 月 1 2 日
日 本 公 認 会 計 士 協 会
監査・保証基準委員会
(報告書:第 21 号)
項番号
Ⅰ 本報告書の範囲及び目的
1.本報告書の範囲 ...................................................................1
2.本報告書の目的 ...................................................................2
3.定義 .............................................................................3
Ⅱ 要求事項
1.監査手続
(1) 期首残高 .......................................................................4
(2) 会計方針の継続性 ...............................................................7
(3) 前任監査人の監査報告書 .........................................................8
2.監査の結論と報告
(1) 期首残高 .......................................................................9
(2) 会計方針の継続性 ..............................................................11
(3) 前任監査人の監査報告書において監査意見が除外事項付意見である場合 ..............12
Ⅲ 適用指針
1.監査手続
期首残高 ......................................................................A1
2.監査の結論と報告
(1) 期首残高 ......................................................................A6
(2) 前任監査人の監査報告書において監査意見が除外事項付意見である場合 ..............A7
2023/8
i
Ⅳ 適用
付録 除外事項付意見の監査報告書の文例
監基報 510
ii
監基報 510
《Ⅰ 本報告書の範囲及び目的》
《1.本報告書の範囲》
1.本報告書は、初年度監査における期首残高に関する実務上の指針を提供するものである。
期首残高には、財務諸表に計上されている金額に加えて、期首に存在する偶発債務等の注記が
必要な事項も含まれる。
財務諸表に比較情報が含まれる場合には、監査基準報告書710「過年度の比較情報―対応数値と
比較財務諸表」における要求事項と適用指針も併せて適用する。監査基準報告書300「監査計画」
には、初年度監査の開始前に実施する事項に関する追加的な要求事項と指針、監査基準報告書900
「監査人の交代」には、監査人の交代に際して倫理規則R320.4項、R320.5 A1項、R320.6項及び
R320.7項に基づいて実施する監査業務の引継に関する指針が記載されている。
《2.本報告書の目的》
2.本報告書における監査人の目的は、初年度監査の実施において、期首残高に関する以下の事項に
ついての十分かつ適切な監査証拠を入手することである。
(1) 期首残高に当年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす虚偽表示が含まれているかどうか。
(2) 期首残高に適用した適切な会計方針が当年度の財務諸表に継続して適用されているかどうか、
又は会計方針の変更が適用される財務報告の枠組みに準拠して適切に処理され、その表示及び
注記事項が妥当かどうか。
《3.定義》
3.本報告書における用語の定義は、以下のとおりとする。
(1) 「初年度監査」-監査人が初めて締結する監査契約であり、以下のいずれかの場合がある。
① 前年度の財務諸表が監査されていない場合
② 前年度の財務諸表が前任監査人によって監査されている場合
(2) 「期首残高」-会計期間の開始時点に存在する勘定残高をいう。
期首残高は、前年度の期末残高に基づいており、過年度の取引及び事象の影響と前年度に採
用した会計方針を適用している。期首残高には、期首に存在する偶発債務等の注記が必要な事
項も含まれる。
(3) 「前任監査人」-前年度の財務諸表の監査報告書を提出したか、又は当年度の財務諸表の監
査に着手したものの監査報告書を提出していない、別の監査事務所に属する退任した者(会社
から監査人交代の通知を受けた者を含む。)のことをいう。なお、前任監査人は、複数存在する
場合がある。
《Ⅱ 要求事項》
《1.監査手続》
《(1) 期首残高》
4.監査人は、注記事項を含む期首残高に関連する情報を入手するために、直近の財務諸表及び前任
監査人の監査報告書が存在する場合はそれを通読しなければならない。
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監基報 510
5.監査人は、以下の事項を通じて、期首残高に当年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす虚偽表示が
含まれているかどうかについて十分かつ適切な監査証拠を入手しなければならない。
(1) 前年度の期末残高(訂正報告書が提出されている場合には、訂正後の残高)が当年度に正し
く繰り越されているかどうか、又は修正再表示が行われている場合は、当該修正再表示後の残
高が当年度に正しく繰り越されているかどうかについて確かめること。
(2) 期首残高に適切な会計方針が適用されているかどうかについて確かめること。
(3) 以下の手続のうち、一つ又は複数の手続を実施すること(A1項からA5項参照)。
① 前年度の財務諸表が監査されている場合、期首残高に関する監査証拠を入手するため、前
任監査人の監査調書を閲覧すること。
② 当年度に実施した監査手続によって期首残高に関する監査証拠を入手できるかどうかにつ
いて評価すること。
③ 期首残高に関する監査証拠を入手するために特定の監査手続を実施すること。
6.監査人は、期首残高に当年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある虚偽表示が含まれ
ているという監査証拠を入手した場合、当年度の財務諸表に対する影響を判断するために、個々
の状況に応じた適切な追加的監査手続を実施しなければならない。
監査人は、当年度の財務諸表にそのような虚偽表示が存在すると判断した場合、監査基準報告
書450「監査の過程で識別した虚偽表示の評価」に従って、当該虚偽表示について適切な階層の経
営者及び監査役若しくは監査役会、監査等委員会又は監査委員会に報告しなければならない(監
基報450第7項及び第11項参照)。
監査人は、監査期間中に、当年度の財務諸表にそのような虚偽表示が存在すると判断した場合
には、その事項に関し、前任監査人を含め三者間で協議するよう会社に対し求めなければならない。
《(2) 会計方針の継続性》
7.監査人は、期首残高に適用した適切な会計方針が当年度の財務諸表に継続して適用されている
かどうか、又は会計方針の変更が適用される財務報告の枠組みに準拠して適切に処理され、その
表示及び注記事項が妥当かどうかについて、十分かつ適切な監査証拠を入手しなければならない。
《(3) 前任監査人の監査報告書》
8.前年度の財務諸表が前任監査人によって監査されており、前任監査人の監査意見が除外事項付
意見の場合、監査人は、監査基準報告書315「重要な虚偽表示リスクの識別と評価」に従って当年
度の財務諸表の重要な虚偽表示リスクを評価する際、除外事項付意見の原因となった事項がリス
ク評価に及ぼす影響を評価しなければならない。
《2.監査の結論と報告》
《(1) 期首残高》
9.監査人は、期首残高に関する十分かつ適切な監査証拠を入手できず、その影響が重要である場合
には、監査基準報告書705「独立監査人の監査報告書における除外事項付意見」に従って、監査範
囲の制約に関する限定意見を表明するか又は意見を表明してはならない(A6項参照)。
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10.監査人は、期首残高に当年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす虚偽表示が含まれており、かつ当
該虚偽表示の影響が適切に処理されていない又はその表示若しくは注記事項が妥当でないと判断
した場合には、監査基準報告書705に従って、限定意見を表明するか又は否定的意見としなければ
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ならない。
《(2) 会計方針の継続性》
11.監査人は、以下のいずれかの影響が重要であると判断した場合には、監査基準報告書705に従っ
て、限定意見を表明するか又は否定的意見としなければならない。
(1) 適用される財務報告の枠組みに準拠して、期首残高に適用した会計方針が当年度の財務諸表
に継続して適用されていない場合
(2) 会計方針の変更が適用される財務報告の枠組みに準拠して適切に処理されていない、又はそ
の表示若しくは注記事項が妥当でない場合
《(3) 前任監査人の監査報告書において監査意見が除外事項付意見である場合》
12.前年度の財務諸表に対する前任監査人の監査報告書において、除外事項付意見が表明されてお
り、除外事項付意見の原因となった事項が当年度の財務諸表に関連し重要な影響を及ぼしている
場合には、監査人は、監査基準報告書705及び監査基準報告書710に従って、当年度の財務諸表に対
する監査意見を除外事項付意見としなければならない(A7項参照)。
《Ⅲ 適用指針》
《1.監査手続》
《期首残高》(第5項(3)参照)
A1.期首残高に関する十分かつ適切な監査証拠を入手するために必要な監査手続の種類と範囲は、
以下のような事項によって決定される。
・ 企業が適用する会計方針
・ 取引種類、勘定残高及び注記事項の特性、並びに当年度の財務諸表の重要な虚偽表示リスク
・ 当年度の財務諸表における期首残高の重要性
・ 前年度の財務諸表が監査されているかどうか、もし監査されている場合、前任監査人の監査
意見が除外事項付意見かどうか。
A2.前年度の財務諸表が前任監査人によって監査されている場合、監査人は、前任監査人の監査調書
を閲覧することによって、期首残高に関する十分かつ適切な監査証拠を入手できることがある。
特に実査、立会、確認等に関連する監査調書の閲覧は有用であることが多い。
当該閲覧により十分かつ適切な監査証拠を入手できるかどうかは、前任監査人の専門的能力と
独立性に影響を受ける。
A3.倫理規則等及び職業的専門家としての要求事項は、現在の監査人が前任監査人とコミュニケー
ションを行う際の指針となる。
A4.流動資産及び流動負債については、期首残高に関する監査証拠を当年度の監査手続により入手
できることがある。例えば、期首に残高のある売掛金又は買掛金が当年度中に回収又は支払われ
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ることによって、売掛金又は買掛金の期首残高の実在性、権利と義務、網羅性及び評価に関する監
査証拠を入手できることがある。
しかしながら、棚卸資産の場合、期末の棚卸資産残高に対する当年度の監査手続によっても期
首の実地棚卸数量についての監査証拠をほとんど入手できない。したがって、追加的監査手続が
必要となることがあり、以下のうち一つ又は複数の監査手続を実施することによって十分かつ適
切な監査証拠を入手できることがある。
・ 当年度の実地棚卸に立ち会い、その結果から期首の棚卸数量に遡って調整する。
・ 期首の棚卸資産残高の評価に対する監査手続を実施する。
・ 売上総利益と期間帰属に対する監査手続を実施する。
A5.有形固定資産、投資等の固定資産、長期債務等の固定負債に関しては、期首残高の基礎となる会
計記録やその他の情報を検討することによって、監査証拠を入手できることがある。例えば、長期
債務や投資といった特定の勘定の場合には、第三者に対する確認によって、期首残高に関する監
査証拠を入手できることがある。他の勘定科目の場合、追加的監査手続を実施することが必要と
なることもある。
《2.監査の結論と報告》
《(1) 期首残高》(第9項参照)
A6.監査基準報告書705は、財務諸表に対する監査意見を除外事項付意見とする場合の指針を提供し
ており、さらに個々の状況に応じた適切な監査意見の類型、及び除外事項付意見とする場合の監
査報告書の記載内容について説明している。
監査人が期首残高に関する十分かつ適切な監査証拠を入手できず、その影響が重要である場合
には、監査意見は以下のいずれかとなる。
(1) 個々の状況に応じて、監査範囲の制約に関する限定意見を表明するか又は意見を表明しない。
(2) 法令等により禁止されていない場合に限り、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(関連
する場合)については監査範囲の制約に関する限定意見を表明する又は意見を表明しない一方
で、財政状態については無限定意見を表明する。
付録には、監査報告書の文例が記載されている。
《(2) 前任監査人の監査報告書において監査意見が除外事項付意見である場合》(第 12 項参照)
A7.前任監査人の監査意見が除外事項付意見である場合であっても、当年度の財務諸表に対する監
査意見には関連せず、かつ重要でないことがある。例えば、前年度において監査範囲の制約が存在
したが、当年度において当該監査範囲の制約が解消された場合がこれに該当する。
《Ⅳ 適用》
・ 本報告書(2011年12月22日)は、2012年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以
後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する。
・ 本報告書(2014年4月4日)は、2015年4月1日以後に開始する事業年度又は会計期間に係る
監査から適用する。ただし、監査基準委員会報告書800「特別目的の財務報告の枠組みに準拠し
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監基報 510
て作成された財務諸表に対する監査」又は監査基準委員会報告書805「個別の財務表又は財務諸
表項目等に対する監査」に基づいて2014年4月1日以後に監査報告書を発行する監査の場合に
は本報告書を適用する。
・ 本報告書(2015年5月29日)は、2015年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以
後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する。
・ 本報告書(2019年2月27日)は、2020年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用す
る。ただし、米国証券取引委員会に登録している会社においては2019年12月31日以後終了する
事業年度に係る監査から適用する。
・ 本報告書(2020年4月9日)は、2020年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用す
る。
・ 本報告書(2021年1月14日)は、2022年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用す
る。ただし、2021年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から早期適用することができる。
・ 本報告書(2021年8月19日)は、2021年9月1日から適用する。
・ 本報告書(2022年10月13日)のうち、倫理規則に関する事項は、2023年4月1日以後開始する
事業年度に係る財務諸表の監査から適用する。ただし、本報告書を、倫理規則(2022年7月25日
変更)と併せて2023年4月1日以後終了する事業年度に係る財務諸表の監査から早期適用する
ことを妨げない。
・ 本報告書(2023年1月12日)は、2024年4月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表の監査
及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用する。また、公認
会計士法上の大規模監査法人以外の監査事務所においては、2024年7月1日以後に開始する事
業年度に係る財務諸表の監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監
査から適用する。ただし、それ以前の決算に係る財務諸表の監査及び中間会計期間に係る中間
財務諸表の中間監査から適用することを妨げない。その場合、品質管理基準委員会報告書第1
号「監査事務所における品質管理」(2022年6月16日)、品質管理基準委員会報告書第2号「監査
業務に係る審査」(2022年6月16日)及び監査基準委員会報告書220「監査業務における品質管
理」(2022年6月16日)と同時に適用する。なお、本報告書(2022年10月13日)のうち、倫理規
則に関する事項は、2023年4月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表の監査から適用する。
ただし、本報告書を、倫理規則(2022年7月25日変更)と併せて2023年4月1日以後終了する事
業年度に係る財務諸表の監査から早期適用することを妨げない。
以 上
・ 本報告書(2022 年 10 月 13 日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。
- 倫理規則(2022 年7月 25 日変更)
(修正箇所:第1項)
- 監査基準報告書(序)「監査基準報告書及び関連する公表物の体系及び用語」(2022 年7月
21 日改正)
(上記以外の修正箇所)
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・ 本報告書(2023 年1月 12 日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。
- 監査基準報告書 600「グループ監査における特別な考慮事項」(2023 年1月 12 日改正)
監基報 510
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《付録 除外事項付意見の監査報告書の文例》(A6 項参照)
監基報 510
監査対象
財務報告の
グループ監査
枠組み
適用の有無
監査意見
その他の事項
文例1 財務諸表
文例2 財務諸表
一般目的/
適正表示
一般目的/
適正表示
《文例1》
文例の前提となる状況
適用なし
限定付適正意見
記載あり
分割意見
適用なし
(経営成績及びキャッシュ・フローに
ついては限定付適正意見、財政状態に
記載あり
ついては無限定適正意見)
・ 上場企業の適正表示の枠組みに準拠して作成された完全な一組の一般目的の財務諸表の監査
である。当該監査は、グループ監査ではない(すなわち、監査基準報告書600「グループ監査に
おける特別な考慮事項」は適用されない。)。
・ 監査契約書において、監査基準報告書210「監査業務の契約条件の合意」の財務諸表に対する
経営者の責任が記載されている。
・ 監査人は、当年度の期首における棚卸資産の実地棚卸に立ち会うことができず、棚卸資産の
期首残高に関して十分かつ適切な監査証拠を入手できなかった。
・ 当事業年度末の財政状態は適正に表示されている。
・ 棚卸資産の期首残高に関する十分かつ適切な監査証拠を入手できないことが、企業の経営成
績及びキャッシュ・フローの状況に及ぼす可能性のある影響は、重要であるが広範ではないと
認められる。
・ 監査人は、入手した監査証拠に基づいて、監査基準報告書570「継続企業」に従って、継続企
業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関連する重要な不確実性は存在しな
いと判断している。
・ 監査基準報告書701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」に従
って、監査上の主要な検討事項を報告することが求められている。
・ 監査人は、監査報告書日以前にその他の記載内容の全てを入手し、また、その他の記載内容に
関して重要な虚偽記載を識別していない。
・ 比較情報が対応数値として表示されており、前年度の財務諸表は前任監査人によって監査さ
れている。監査人は、監査報告書において、前任監査人が対応数値を監査している旨及びその意
見をその他の事項として記載することとしている。
・ 会社は監査役会設置会社である。
・ 監査人は、財務諸表の監査に加えて、法令等に基づくその他の報告責任を有する。
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[宛先]
独立監査人の監査報告書
監基報 510
[監査報告書の日付]
[○○監査法人]
[事業所名]
[監査人の氏名]
<財務諸表監査>(注1)
限定付適正意見
当監査法人は、○○株式会社の×1 年1月1日から×1 年 12 月 31 日までの事業年度の財務
諸表、すなわち貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書
及び重要な会計方針を含む財務諸表の注記について監査を行った。
当監査法人は、上記の財務諸表が、「限定付適正意見の根拠」に記載した事項の財務諸表に
及ぼす影響を除き、[適用される財務報告の枠組み(注2)]に準拠して、○○株式会社の×1 年
12 月 31 日現在の財政状態並びに同日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・
フローの状況を、全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
限定付適正意見の根拠
当監査法人は、×1 年6月 30 日に監査契約を締結したため、当事業年度の期首における棚
卸資産の実地棚卸に立ち会うことができず、×0 年 12 月 31 日時点に保有する棚卸資産××
百万円の数量に関して、他の監査手続によっても十分かつ適切な監査証拠を入手することが
できなかった。
期首の棚卸資産は、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるので、当監査法
人は、損益計算書に計上されている利益や、キャッシュ・フロー計算書に記載されている営業
活動による正味キャッシュ・フローに関して、何らかの修正が必要かどうかについて判断す
ることができなかった。この影響は・・・・・・・である(注3)。したがって、財務諸表に
及ぼす可能性のある影響は重要であるが広範ではない。
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を
行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」に
記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社から独
立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人は、限
定付適正意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項
[監査基準報告書 701 及び同 705 に従った記載]
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監基報 510
その他の事項
会社の×0 年 12 月 31 日をもって終了する事業年度の財務諸表は、前任監査人が監査し、×
1 年3月 31 日に当該財務諸表に対して無限定適正意見を表明している。
その他の記載内容
[監査基準報告書 720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」付録2文例1に従った
記載]
財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任
[監査基準報告書 700 付録文例1に従った記載]
財務諸表監査における監査人の責任
[監査基準報告書 700 付録文例1に従った記載]
<法令等に基づくその他の報告>
(省略)
利害関係
会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利
害関係はない。
《文例2》
文例の前提となる状況
・ 上場企業の適正表示の枠組みに準拠して作成された完全な一組の一般目的の財務諸表の監査
である。当該監査は、グループ監査ではない(すなわち、監査基準報告書600は適用されない。)。
・ 監査契約書において、監査基準報告書210の財務諸表に対する経営者の責任が記載されている。
・ 監査人は、当年度の期首における棚卸資産の実地棚卸に立ち会うことができず、棚卸資産の
期首残高に関して十分かつ適切な監査証拠を入手できなかった。
・ 棚卸資産の期首残高に関する十分かつ適切な監査証拠を入手できないことが、企業の経営成
績及びキャッシュ・フローの状況に及ぼす可能性のある影響は、重要であるが広範ではないと
認められる(注)。
(注)監査人の判断において、企業の経営成績及びキャッシュ・フローの状況に及ぼす可能性の
ある影響が重要かつ広範であると考えられる場合には、監査人は、経営成績及びキャッシュ・
フローの状況に関して意見を表明しない。
・ 当事業年度末の財政状態は適正に表示されている。
・ 経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関しては限定付適正意見、財政状態に関しては無
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監基報 510
限定適正意見を表明することが法令等により禁止されておらず、そのような意見を表明するこ
とが当該状況においては適切と考えられる。
・ 監査人は、入手した監査証拠に基づいて、監査基準報告書570に従って、継続企業の前提に重
要な疑義を生じさせるような事象又は状況に関連する重要な不確実性は存在しないと判断して
いる。
・ 監査基準報告書701に従って、監査上の主要な検討事項を報告することが求められている。
・ 監査人は、監査報告書日以前にその他の記載内容の全てを入手し、また、その他の記載内容に
関して重要な虚偽記載を識別していない。
・ 比較情報が対応数値として表示されており、過年度の財務諸表が前任監査人によって監査さ
れている。監査人は、前任監査人が対応数値を監査している旨及びその意見をその他の事項と
して記載することとした。
・ 会社は監査役会設置会社である。
・ 監査人は、財務諸表の監査に加えて、法令等に基づくその他の報告責任を有する。
[宛先]
独立監査人の監査報告書
[監査報告書の日付]
[○○監査法人]
[事業所名]
[監査人の氏名]
<財務諸表監査>(注1)
監査意見
当監査法人は、○○株式会社の×年×月×日から×年×月×日までの事業年度の財務諸
表、すなわち貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、キャッシュ・フロー計算書
及び重要な会計方針を含む財務諸表の注記について監査を行った。
経営成績及びキャッシュ・フローの状況に対する限定付適正意見
当監査法人は、上記の損益計算書及びキャッシュ・フロー計算書が、「経営成績及びキャ
ッシュ・フローの状況に対する限定付適正意見の根拠」に記載した事項の財務諸表に及ぼす
可能性のある影響を除き、[適用される財務報告の枠組み(注2)]に準拠して、○○株式会
社の×年×月×日をもって終了する事業年度の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を、
全ての重要な点において適正に表示しているものと認める。
財政状態に対する監査意見
当監査法人は、上記の貸借対照表が、[適用される財務報告の枠組み(注2)]に準拠して、
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○○株式会社の×年×月×日現在の財政状態を、全ての重要な点において適正に表示して
いるものと認める。
財政状態に対する監査意見並びに経営成績及びキャッシュ・フローの状況に対する限定付
適正意見の根拠
当監査法人は、×年×月×日に監査契約を締結したため、当事業年度の期首における棚卸
資産の実地棚卸に立ち会うことができず、×年×月×日時点に保有する棚卸資産××百万
円の数量に関して、他の監査手続によっても十分かつ適切な監査証拠を入手することがで
きなかった。
期首の棚卸資産は、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるので、当監査
法人は、損益計算書に計上されている利益や、キャッシュ・フロー計算書に記載されている
営業活動による正味キャッシュ・フローに関して、何らかの修正が必要かどうかについて判
断することができなかった。この影響は・・・・・・・である(注3)。したがって、財務
諸表に及ぼす可能性のある影響は重要であるが広範ではない。
当監査法人は、我が国において一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠して監査を
行った。監査の基準における当監査法人の責任は、「財務諸表監査における監査人の責任」
に記載されている。当監査法人は、我が国における職業倫理に関する規定に従って、会社か
ら独立しており、また、監査人としてのその他の倫理上の責任を果たしている。当監査法人
は、財政状態に対する無限定適正意見、並びに経営成績及びキャッシュ・フローの状況に対
する限定付適正意見表明の基礎となる十分かつ適切な監査証拠を入手したと判断している。
監査上の主要な検討事項
[監査基準報告書 701 及び同 705 に従った記載]
その他の事項
会社の×年×月×日をもって終了する事業年度の財務諸表は、前任監査人が監査し、×年
×月×日に当該財務諸表に対して無限定適正意見を表明している。
その他の記載内容
[監査基準報告書 720 付録2文例1に従った記載]
財務諸表に対する経営者並びに監査役及び監査役会の責任
[監査基準報告書 700 付録文例1に従った記載]
財務諸表監査における監査人の責任
[監査基準報告書 700 付録文例1に従った記載]
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監基報 510
<法令等に基づくその他の報告>
(省略)
利害関係
会社と当監査法人又は業務執行社員との間には、公認会計士法の規定により記載すべき利
害関係はない。
《文例1及び文例2に対する注》
(注1)「<法令等に基づくその他の報告>」がない場合は、「<財務諸表監査>」は不要である。
(注2)適用される財務報告の枠組みの名称を具体的に記載する。
(注3)「・・・・・・・」には、重要ではあるが広範ではないと判断し、意見不表明ではなく限
定付適正意見とした理由を、財務諸表利用者の視点に立って分かりやすく具体的に記載
する。広範性の判断に当たっては、監査基準報告書700実務ガイダンス第1号「監査報告
書に係るQ&A(実務ガイダンス)」Q1-6「除外事項の重要性と広範性及び除外事項
の記載上の留意点」を参照する。
以 上
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