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監査基準報告書540_周知文書第1号新型コロナウイルス感染症に関連する監査に係る周知文書(その2).pdf

監査基準報告書 540 周知文書第1号

新型コロナウイルス感染症に関連する監査に係る周知文書(その2)

2 0 2 0 年 4 月 1 0 日

更新 2 0 2 0 年 5 月 1 2 日

改正 2 0 2 2 年 1 0 月 1 3 日

日本公認会計士協会

監査・保証基準委員会

(周知文書:第 12 号)

当協会が、「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その1)」を 2020

年3月 18 日に発出して以降、我が国をはじめ世界における新型コロナウイルス感染症は一

層の拡大傾向にあり、企業の事業活動や監査人の監査業務においても極めて甚大な影響を

及ぼしている。4月7日には、安倍首相から改正新型インフルエンザ等対策特別措置法第 32

条第1項の規定に基づき、緊急事態宣言が発令された。この間、世界の監督規制当局や会計

基準設定主体から様々なメッセージが発出されている。例えば、IOSCO(証券監督者国際機

構)からは、4月3日に、「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発生下における会計

基準の適用に関する IOSCO 声明」が公表され、「会計基準の適用によって、投資家が情報に

基づいて投資決定を行うための明確で、信頼でき、透明性のある有用な情報を発行体が提供

することに帰着しなければならない」というメッセージ1が発出されている。監査人は、こ

のような監督規制当局等からのメッセージに注意を払わなければならない。新型コロナウ

イ ル ス 感 染 症 に 関 連 す る 情 報 は 、 当 協 会 の ホ ー ム ペ ー ジ に 専 用 サ イ ト

(https://jicpa.or.jp/news/information/announcement_kansensho.html)を設けている

ので随時参考にされたい。

本日、「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その1)」に引き続き、

主として、不確実性の高い環境下における監査上の留意事項を「新型コロナウイルス感染症

に関連する監査上の留意事項(その2)」として発出する。概要は、以下のとおりであり、

詳細は、本文を参照されたい。

・ 財務諸表の利用者等の意思決定に資するという公共の利益を勘案し、不確実性の高い

環境下においても、それを要因として会計上の見積りの監査が困難であることを理由

に監査意見を表明できないという判断は、慎重になされるべきである(本文1参照)。

1 IOSCO ウェブサイト“Statement on Application of Accounting Standards during the COVID-19 Outbreak” https://www.iosco.org/news/pdf/IOSCONEWS561.pdf 金融庁ウェブサイト https://www.fsa.go.jp/inter/ios/20200406.html

- 1 -

・ 企業会計基準委員会の議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感

染症の影響の考え方」(2020 年4月 10 日)及び議事概要「会計上の見積りを行う上で

の新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(追補)」(2020 年5月 11 日)に留意す

る。

・ 会計上の見積りの合理性の判断を行う際には、企業が、見積りに影響を及ぼす入手可能

な情報をもとに、悲観的でもなく、楽観的でもない仮定に基づく見積りを行っているこ

とを確かめる。監査人が、経営者の過度に楽観的な会計上の見積りを許容することや、

過度に悲観的な予測を行い、経営者の行った会計上の見積りを重要な虚偽表示と判断

することは適切ではない(本文2参照)。

・ 会計上の見積りの不確実性が財務諸表の利用者等の判断に重要な影響を及ぼす場合に

は、企業による追加情報等の開示や、監査報告書の強調事項を用いて、明確で、信頼で

き、透明性のある有用な情報を提供することを検討する(本文2参照)。

引き続き、今後も状況の変化により追加して留意すべき事項が生じた場合には、改めて周

知する。

本周知文書は、一般に公正妥当と認められる監査の基準を構成するものではなく、会員が

遵守すべき基準等にも該当しない。また、2020 年月5月 12 日時点の最新情報に基づいてい

る。

1.不確実性の高い環境下における監査の基本的な考え方

新型コロナウイルス感染症の拡大が被監査会社の現在の事業活動に及ぼす影響は極め

て甚大なものであり、拡大の収束が見えない現況下においては、今後の事業活動に及ぼす

影響は予想することも困難な状況が生じているケースもあるものと考えられる。そのた

め、企業が会計上の見積り項目に関連して財務諸表を作成することにも困難が生じ、監査

人の監査手続の選択や実施にも、極めて困難な状況が予想される。

監査基準では、「監査人は、将来の帰結が予測し得ない事象又は状況について、財務諸

表に与える当該事象又は状況の影響が複合的かつ多岐にわたる場合には、重要な監査手

続を実施できなかった場合に準じて意見の表明ができるか否かを慎重に判断しなければ

ならない。」とされている(第四報告基準五4)。しかし、「将来の帰結が予測し得ない

事象や状況が生じ、しかも財務諸表に与える当該事象の影響が複合的で多岐にわたる場

合(それらが継続企業の前提に関わるようなときもある)に、入手した監査証拠の範囲で

は意見の表明ができないとの判断を下すことについて、基本的には、そのような判断は慎

重になされるべきことを理解しなければならない」ことが、「監査基準の改訂について」

(2002年(平成14年)1月25日企業会計審議会)において記されている。まさに、現在の

新型コロナウイルス感染症拡大の影響下においては、財務諸表の利用者等の意思決定に

資するという公共の利益を勘案して、各監査人は監査意見の形成局面において職業的専

門家としての慎重な判断が求められることに留意しなければならない。

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2.会計上の見積りの監査

財務諸表を作成する上では、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性など、様々な

会計上の見積りを行うことが必要となる。新型コロナウイルス感染症の広がりは、経済、

企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期等を予測す

ることは困難であるため、会計上の見積りを行う上で、特に将来キャッシュ・フローの予

測を行うことが極めて困難な状況となっているものと考えられる。このような状況にお

いて、監査人は、監査報告書に記載されるとおり、経営者によって行われた会計上の見積

りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価する責任がある(監査基準報告書700

「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」第36項(2)③)。

以下に、監査手続を実施する場合の留意事項を記載する。

(1) 適用される財務報告の枠組みの理解

会計上の見積りの認識、測定及び開示は、適用される財務報告の枠組みや報告対象の

財務諸表に計上される項目によって様々であり、監査人は、会計上の見積りに関連して

適用される財務報告の枠組みにおいて要求される事項を理解する(監基報540第7項

(1))とともに、経営者が、会計上の見積りに関連して適用される財務報告の枠組みに

おいて要求される事項を適切に適用したかどうかを判断しなければならない(監基報

540第11項(1))。この点、監査人による会計基準における要求事項の理解が重要と考え

られる。なお、適用される財務報告の枠組みには、会計上の問題に関して会計基準設定

主体、職業的専門家等の団体が公表する見解(規範性はそれぞれ異なる。)が含まれて

おり、その適用に関する指針を示していることがある(監査基準報告書200「財務諸表

監査における総括的な目的」A5項)。

我が国における会計上の見積りに関する包括的な会計基準としては、企業会計基準

第24号「会計方針の開示、会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(以下「企

業会計基準第24号」という。)があげられる。企業会計基準第24号において、「会計上の

見積り」は、「資産及び負債や収益及び費用等の額に不確実性がある場合において、財

務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出することをいう」

ものとされている(第4項(3))。

ここで、「財務諸表作成時に入手可能な情報」に関して、企業会計基準第24号には特

段の定めはないが、2020年4月10日に、企業会計基準委員会から、議事概要「会計上の

見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」が公表されており、そ

の要旨は以下のとおりである。

(1) 新型コロナウイルス感染症の影響のように不確実性が高い事象についても、一定

の仮定を置き最善の見積りを行う必要がある。

(2) 一定の仮定を置くに当たっては、外部の情報源に基づく客観性のある情報を用い

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ることが望ましい。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響については、外部の

情報源に基づく客観性のある情報が入手できないことが多いと考えられることか

ら、今後の広がり方や収束時期等も含め、企業自ら一定の仮定を置くことになる。

(3) 企業が置いた一定の仮定が明らかに不合理である場合を除き、最善の見積りを行

った結果として見積もられた金額については、事後的な結果との間に乖離が生じた

としても、「誤謬」にはあたらない。

(4) 最善の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮

定は、企業間で異なることになることも想定され、同一条件下の見積りについて、

見積もられる金額が異なることもあると考えられる。このような状況における会計

上の見積りについては、どのような仮定を置いて会計上の見積りを行ったかについ

て、財務諸表の利用者が理解できるような情報を具体的に開示する必要があると考

えられ、重要性がある場合は、追加情報としての開示が求められるものと考えられ

る。

(2020年5月12日追記)

2020年5月11日に企業会計基準委員会から公表された議事概要「会計上の見積りを

行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(追補)」により、以下の考え方

が追加で示されている。

上記の(4)に記載のとおり、「どのような仮定を置いて会計上の見積りを行ったかに

ついて、財務諸表の利用者が理解できるような情報を具体的に開示する必要があると

考えられ、重要性がある場合は、追加情報としての開示が求められる」としているが、

これまでに公表された2020年3月期の開示情報を踏まえると、新型コロナウイルス感

染症の影響が大きいと考えられる業種においても、今後の法定開示書類において追加

情報の開示が十分に行われないのではないかとの意見が聞かれている。

上記の(4)の「重要性がある場合」については、当年度に会計上の見積りを行った結

果、当年度の財務諸表の金額に対する影響の重要性が乏しい場合であっても、翌年度

の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある場合には、新型コロナウイルス感染症

の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する追加情報の開示を行うことが財

務諸表の利用者に有用な情報を与えることになると思われ、開示を行うことが強く望

まれる。

この追補は、2020年4月10日に公表された議事概要に追加で示された考え方であり、

開示を行うことが強く望まれるとされていることに鑑み、監査上は、今後の法定開示書

類において留意すべき取扱いとすることが考えられる。

また、企業会計基準委員会より2020年3月31日に、企業会計基準第31号「会計上の見

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積りの開示に関する会計基準」が公表された。この会計基準は、会計上の見積りに基づ

き財務諸表に計上される金額は、見積りの不確実性の程度により様々であることから、

翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目に関して会計上の見積りの

内容を注記項目として開示することを目的としている。この会計基準は、2021年3月31

日以降終了する会計年度から適用されるが、早期適用が認められている。

新型コロナウイルス感染症は企業活動に影響を与えており、会計上の見積りに関す

る不確実性が高まることが想定される。このため、会計上の見積りの開示に関する会計

基準に従って、会計上の見積りに使用される情報、主要な仮定及び翌年度の財務諸表に

与える影響を開示することは財務諸表の利用者の意思決定に資することにつながるた

め、状況に応じて、早期適用について検討する企業もあると考えられる。

(2) 会計上の見積りの合理性の検討

① 新型コロナウイルス感染症の影響の見積り

監査人は、会計上の見積りに関して、監査基準報告書540第12項に記載の手続の一

つ又は複数の手続を実施しなければならないが、特に、経営者が使用した仮定が、適

用される財務報告の枠組みにおける測定目的に照らして合理的であるかどうかの評

価(監基報540第12項(2)②)が重要と考えられる。前述の企業会計基準委員会の議事

概要によれば、新型コロナウイルス感染症の影響のように不確実性が高い事象につ

いても、一定の仮定を置き最善の見積りを行う必要があり、企業が置いた一定の仮定

が明らかに不合理である場合を除き、最善の見積りを行った結果として見積もられ

た金額については、事後的な結果との間に乖離が生じたとしても、「誤謬」にはあた

らないものとされている。そのため、新型コロナウイルス感染症の収束時期等の予測

に関して、経営者が一定の仮定を置いている場合には、監査人は、その仮定が「明ら

かに不合理である場合」に該当しないことを確かめることになる。

「明らかに不合理である場合」に該当しないことを検討する場合、例えば以下の点

が検討の指標となると考えられる。

・ 見積額の選択が、過度に楽観的又は過度に悲観的な傾向を示していること

したがって、監査人が、不確実性が極めて高い環境下においても、経営者の過度に

楽観的な会計上の見積りを許容することや、過度に悲観的な予測を行い、それと異な

る経営者の採用した仮定を用いた会計上の見積りを重要な虚偽表示と判断すること

は適切ではない。

② 会計上の見積りに用いられた情報の検討

会計上の見積り項目に関連して、将来の利益やキャッシュ・フローの予測が行われ

ている際には、企業の事業活動にマイナスの影響を及ぼす情報及びプラスの影響を

及ぼす情報の双方を含む入手可能な偏りのない情報に基づき、企業固有の事情を加

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味して説明可能な仮定及び予測に基づいて見積もっていることを確かめる。

新型コロナウイルス感染症の収束時期等の予測に関して、経営者が一定の仮定を

置いている場合には、その仮定が「明らかに不合理である場合」に該当しないことを

確かめる必要があるが、収束時期だけでなく、収束後の経済状態や市場、消費動向も

相当程度の不確実性があると考えられる(仕入先・取引先の倒産、失業者の増加、世

界からの調達物資の滞留などの可能性)。新型コロナウイルス感染症の収束時期等以

外の会計上の見積りに影響を及ぼす事象や状況について、企業の事業活動にマイナ

スの影響を及ぼす情報及びプラスの影響を及ぼす情報の双方を含む入手可能な偏り

のない情報を総合的に評価して、悲観的でもなく、楽観的でもない仮定に基づく企業

固有の事情を反映した説明可能な仮定になっていることを検討した上で、会計上の

見積りが実施されているかを検討することに留意する必要がある。

(参考情報)

2020年3月31日時点において、会計上の見積りに影響を及ぼす事象に関する情報

としては、例えば、以下があげられる。

 外務省「新型コロナウイルス感染症の感染者数とこれによる死亡者数について

は、世界的に急激な増加が見られ、世界保健機関(WHO)は、3月11日、この感染

症の拡大がパンデミックと形容されると評価した。」「49か国・地域に対し、感染

症危険情報レベルをレベル3(渡航中止勧告)に引き上げ、レベル3の国・地域

を除く、全世界に対し、レベル2(不要不急の渡航禁止)に引き上げ」(2020年3

月31日渡航安全情報)

 新型コロナウイルス感染症の影響拡大を踏まえた事業者の資金繰り支援につい

て官民金融機関に対して事業者のニーズに迅速かつ適切に対応し、事業者の資金

繰りに重大な支障が生じることがないよう十分な対応を行うことが求められて

いる。(麻生財務大臣兼金融担当大臣談話 2020年3月6日公表

https://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/20200306.html)

その後、現時点においては、例えば以下があげられる。

 2020年4月7日に安倍首相が緊急事態宣言(https://corona.go.jp/)を発出。こ

れにより都府県から企業にも具体的な要請が行われている。

 日本政府を始め世界各国で経済支援策が公表又は検討されており、新型コロナウ

イルス感染症の影響を受けた企業に対する資金繰りや信用保証の支援が行われ

る予定である。(経済産業省「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者

の皆様へ」2020年(令和2年)4月2日公表)

 2020年4月8日に政府から総額108兆円規模の緊急経済対策が発出されている

(「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策について」2020年(令和2年)4月

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7日閣議決定)。これには、新型コロナ収束後の官民を挙げた経済活動の回復策

が含まれている。

③ 不確実性に関する感応度分析

監査人が、経営者による見積りの不確実性の検討過程を評価する場合に、経営者が

当該事業計画に関して感応度分析を行っている場合には、会計上の見積りに対する

感応度の高い仮定を重要な仮定として識別して検討するとともに、「悲観的」シナリ

オや「楽観的」シナリオなど経営者が想定する複数の結果の範囲を理解し、検討する

ことによって、経営者による見積りが合理的な見積りの範囲内にあるかどうかを評

価することができることに留意する。また、当該事業計画に関して、業績改善の対策

や政府支援策の活用等の重要な仮定が経営者の意思と能力に大きく依存する場合に

は、会計上の見積りについて慎重に検討することに留意する(監基報540第14項、A79

項、A102項、A103項及びA106項)。

また、見積りに利用するデータ等として、従前は確定値を利用が可能であった場合

でも当期においては確定値が利用できない場合もある。その場合には、データ等の見

積りの合理性の検証も追加的に必要となる点にも留意する。

④ 強調事項による説明

監査人は、会計上の見積りにより特別な検討を必要とするリスクが生じている場

合、適用されている財務報告の枠組みに照らして、財務諸表における開示の妥当性を

評価しなければならない(監基報540第19項)。さらに、監査人は、利用者にとって財

務諸表を理解する基礎として重要であり、当該注記項目の開示を強調して利用者の

注意を喚起する必要があると判断するときには、強調事項として監査報告書に記載

しなければならない(監査基準報告書706「独立監査人の監査報告書における強調事

項区分とその他の事項区分」第7項及び第8項)。

新型コロナウイルス感染症に関連して会計上の見積りの不確実性が極めて高い場

合には、企業の追加情報等の開示に加え、監査人が強調事項により監査報告書の利用

者に注意喚起することが有用な場合もあるものと考えられる。

3.継続企業の前提

監査人は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、経営者が継続企業の前提に重要な

疑義を生じさせるような事象又は状況を識別しているかどうか、識別している場合は、当

該事象又は状況に対する経営者の対応策について経営者と協議する必要がある(監査基

準報告書 570「継続企業」第9項)。

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また、監査人は、継続企業の前提に関して合理的な期間(少なくとも期末日の翌日から

12 か月間)について経営者が行った評価を検討しなければならない(監基報 570 第 11 項

及び第 12 項)。

監査人は、当該事象又は状況を識別した場合、経営者の対応策の検討、企業の資金計画

表の分析、政府の経済支援策及び金融庁から 2020 年(令和2年)4月7日に発出された

「『新型コロナウイルス感染症緊急経済対策』を踏まえた資金繰り支援について(要請)」

(貸出等の条件となっている財務制限条項(コベナンツ)に事業者が抵触している場合で

あっても、これを機械的・形式的に取り扱わないこと等が要請されている。)なども含む

当該事象や状況を改善する要因の検討等を実施することにより、十分かつ適切な監査証

拠を入手し、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるか否かについて実態

に即して判断し、結論付けなければならない(監基報 570 第 15 項及び第 17 項)。

また、金融機関等の企業外部の者から直接回答を得ることが必要と判断され、重要な監

査証拠を構成する場合がある。直接質疑応答をすることは、回答書を入手する以上に情報

を得られる場合が多いことを考慮し、必要と判断する場合には、直接面談が困難であって

も、電話、TV 会議等を活用し、直接質疑応答が実施できるよう工夫をする必要がある。

なお、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められる場合における注記の適切

性、当該事象又は状況が識別されているが、重要な不確実性が認められない場合における

開示等の適切性にも留意が必要である(監基報 570 第 18 項及び第 19 項)。

以 上

・ 本周知文書(2022 年 10 月 13 日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映して

いる。

- 監査基準報告書(序)「監査基準報告書及び関連する公表物の体系及び用語」(2022

年7月 21 日改正)

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