平成 19 年 10 月 1日
追加平成 20 年 6 月 24 日
(問 21~問 67)
追加平成 21 年 4 月 2 日
(問 68~84、問 101~107)
改訂平成 23 年 3 月 31 日
改訂令和 5 年 8 月 31 日
金融庁企画市場局
内部統制報告制度に関するQ&A
<目次>
(問1)【開示すべき重要な不備の判断指針(金額的重要性)】内部統制の評価計画の策
定や期中での開示すべき重要な不備の判定等のために、重要性の判断基準等を予め定
めることが考えられるが、その際の数値基準(例えば、連結税引前利益について、お
おむねその5%程度)の適用については、前期決算数値や期末予想数値をベースにし
てもよいか。.............................................................. 1
(問2)【削除(平成23年3月31日)】
(問3)【削除(平成23年3月31日)】
(問4)【削除(平成23年3月31日)】
(問5)【重要な事業拠点の選定(関連会社)】実施基準において、「関連会社について
は、連結ベースの売上高に関連会社の売上高が含まれておらず、当該関連会社の売上
高等をそのまま一定割合の算出に当てはめることはできないことから、別途、各関連
会社が有する財務諸表に対する影響の重要性を勘案して評価対象を決定する。」(実施
基準Ⅱ2(2)①(注3))とあるが、例えば、関連会社の利益に持分割合をかけた
ものと連結税引前利益とを比較する方法のほか、関連会社の売上高に持分割合を掛け
たものと連結ベースの売上高とを比較する方法を採用することで問題はないか。.. 2
(問6)【重要な勘定科目における業務プロセスの割合の確保】評価範囲の決定に際し
て、米国では、重要な事業拠点を選定した上で、各「重要な勘定科目」について、当
該重要な事業拠点における金額を合算した合計額が、連結ベースの当該科目の金額の
一定割合(例えば、おおむね3分の2程度)に達しないような場合には、当該一定割
合に達するまで、各「重要な勘定科目」ごとに、その他の事業拠点における業務プロ
セスを評価対象に追加するといった実務が行われたと聞くが、我が国において同様の
ことを行う必要はないのか。................................................ 2
i
(問7)【責任者の宣誓書】経営者が評価作業を行うに当たり、業務を執行する各部署
の責任者から、所管する部署における内部統制が有効であるとする宣誓書を集めるこ
とによって、経営者評価の基礎とすることが考えられるが、どのように考える
か。...................................................................... 3
(問8)【経営者評価と財務諸表監査】経営者の評価において、従来監査人が財務諸表
監査において行っている部分(実地棚卸、資産評価単価の妥当性の検討など)につい
ては、監査人の検証をもって内部統制に係る評価を行ったと考えることができない
か。...................................................................... 3
(問9)【フローチャート等の作成】監査人の中には、従来から、財務諸表監査の過程
において、監査計画策定のために自らフローチャート等を作成し、内部統制の有効性
を評価しているところがある。そのような場合、監査人の中には、内部統制報告制度
への対応として、フローチャート等の作成を経営者に求めるとともに、引き続き、監
査人としても財務諸表監査のためのフローチャート作成を行い、そのための情報提供
等を経営者に求めるものがある。これでは作業が二重になり、無駄が生じることにな
るのではないか。.......................................................... 4
(問10)【評価対象となる営業拠点の選定方法】実施基準では、「評価対象とする営業
拠点等については、計画策定の際に、一定期間で全ての営業拠点を一巡する点に留意
しつつ、無作為抽出の方法を導入するなどその効果的な選定方法について検討する」
(実施基準Ⅱ3(3)④ロ)こととなっているが、この規定は、文字通りすべての営
業拠点を数年間で一巡するように評価対象としなければならないということを意味
するのか。数年間で全営業拠点を一巡する方法に代えて、重要性が僅少である営業拠
点を除外した上で、評価対象とする営業拠点をサンプリングの手法を用いて選定する
ことは許容されるのか。.................................................... 5
(問11)【決算・財務報告プロセスの評価時期】決算・財務報告プロセスについての
内部統制の評価はいつ行うことになるのか。当期の決算日以降でなければ行うことが
できないのではないか。.................................................... 5
(問12)【IT統制を管理する単位】IT統制はすべて同一のIT基盤で集中管理す
る必要があるか。.......................................................... 6
(問13)【IT統制と手作業による統制】業種、業態や業務プロセス等によっては、
ITではなく手作業による統制の方が適している場合もあるのではないか。...... 6
ii
(問14)【ITに係る全般統制の不備の判定】ITに係る全般統制に不備がある場合
には、直ちに開示すべき重要な不備となるのか。.............................. 7
(問15)【削除(平成23年3月31日)】
(問16)【期末日前のシステム変更】内部統制監査が受けられなくなるため、期末前
3か月間はシステムを凍結するなど、内部統制の変更を行ってはならないとの議論が
あるが、どのように考えるべきか。.......................................... 7
(問17)【監査人の開発した内部統制ツールの利用】コンサルティング会社と助言業
務契約を締結し、その助言を受けて内部統制ツールを作成したいと考えているが、監
査人の開発した内部統制ツールを必ず使用しなければならないのか。........... 8
(問18)【経営者の評価手続の検証対象】内部統制監査において、監査人が監査する
のは基本的に経営者の評価結果であり、評価の手続についての詳細な検証は求められ
ていないとの理解でよいか。............................................... 9
(問19)【経営者の評価結果の利用】監査人は、内部統制監査において、経営者の評
価結果を何らかの形で利用することができるのか。例えば、経営者が評価において選
択したサンプル及び当該サンプルについて経営者が行った評価結果を、監査人が何ら
かの形で利用することは可能か。........................................... 9
(問20)【中小規模企業の特性】中小規模の企業について、意見書前文に「例えば、
事業規模が小規模で、比較的簡素な組織構造を有している組織等の場合に、職務分掌
に代わる代替的な統制や企業外部の専門家の利用等の可能性も含め、その特性等に応
じた工夫が行われるべきことは言うまでもない。」とあるが、具体的にはどういった
ことが考えられるのか。................................................... 10
(問21)【関連会社における評価】評価対象となった持分法適用関連会社については、
全社的な内部統制の評価(決算・財務報告プロセスのうち全社的な観点で評価するこ
とが適切なものを含む。)を実施すれば事足りると考えてよいか。また、他の支配株
主の存在等の理由から協力が得られず、子会社と同様の評価を行うことができない場
合には、経営者は、基準・実施基準にいう「やむを得ない事情」に該当するとして、当
該部分を除外して、評価結果を表明することはできるのか。この場合、監査人は、無
限定適正意見を表明できるか。............................................. 11
iii
(問22)【評価の対象となる委託業務の例】財務報告に係る内部統制の評価の対象と
なる委託業務とは、具体的にはどのようなものか。............................ 12
(問23)【子会社等に委託する業務の評価】連結財務諸表を構成する子会社や関連会
社に、重要な業務プロセスを構成する物流業務や経理業務などを委託している場合に
は、実施基準でいう委託業務として評価するのか(実施基準Ⅱ2(1)②)。..... 13
(問24)【受託会社による評価結果の報告】当社は、給与計算業務を受託しているが、
委託会社から受託業務に係る内部統制の評価結果の報告として、「受託業務に係る内
部統制の保証報告書に関する実務指針」(日本公認会計士協会 保証業務実務指針
3402 ) に 基 づ く 報 告 書 の 発 行 を 求 め ら れ た が 、 同 報 告 書 の 発 行 は 必 須 な の
か。..................................................................... 13
(問25)【取引先企業(委託業務の委託先を除く)の対応】内部統制報告書提出会社
は、取引を行っている仕入先や得意先などの取引先企業(重要な業務プロセスを構成
している委託業務の委託先を除く。)に対して、内部統制報告制度への対応として、
新たに当該取引に関連する内部統制の整備や評価を依頼しなければならないの
か。..................................................................... 14
(問26)【連結ベースの売上高等の一定割合】実施基準では、重要な事業拠点の選定
にあたり、評価対象とする事業拠点を売上高等の重要性により決定し、その際には、
財務報告に対する金額的及び質的影響並びにその発生可能性を考慮することとされ
ている。事業拠点を選定する指標として売上高等が用いられる。この場合、本社を含
む各事業拠点における指標の金額の高い拠点から合算していき、連結ベースの一定の
割合に達している事業拠点を評価の対象とすることが考えられる。その際、選定され
る重要な事業拠点が売上高等の指標の変動により毎期安定せず、内部統制の評価の準
備が間に合わないことが想定される。このため、一定の割合として、予め範囲を拡大
しておかねばならなくなるのではないか。................................... 14
(問27)【削除(平成23年3月31日)】
(問28)【削除(平成23年3月31日)】
(問29)【内部統制の評価体制】経営者を補助して評価を実施する部署及び機関並び
にその要員の独立性を確保するためには、同じ部内で評価チームを分ける程度では足
りず、必ず別の部署や機関を設置しなければならないのか。.................... 15
iv
(問30)【経営者評価と監査役監査】経営者の評価において、当該会社の監査役等が
会社法に基づく監査を実施している部分は、経営者が内部統制に係る評価を行ったも
のと考えて、経営者による評価を省略することができるか。.................... 16
(問31)【子会社に対する全社的な内部統制】全社的な内部統制については、人材や
組織的に比較的余裕がある親会社とそれ以外の事業拠点(子会社)では、対応に差が
出ることが想定されるが、このような取扱いは可能か。........................ 16
(問32)【3点セットの作成】経営者は、業務プロセスの評価のために、実施基準に
例示されている「業務の流れ図」、「業務記述書」及び「リスクと統制の対応」の3つ
の資料(いわゆる3点セット)を必ず作成しなければならないのか。例えば、既存の
業務マニュアルや諸規程類などを活用して「リスクと統制の対応」のみ作成する予定
だが、3点セットのすべてを作成しないと開示すべき重要な不備に該当するの
か。..................................................................... 17
(問33)【取引の流れを追跡する手続の実施】経営者は、評価対象となった業務プロ
セスごとに、代表的な取引を1つあるいは複数選んで、取引の開始から取引記録が財
務諸表に計上されるまでの流れを追跡する手続をすべての業務プロセスについて実
施しなければならないのか。もし、このような手続を実施しない場合には、監査人の
指摘の対象となるのか。................................................... 18
(問34)【ローテーションによる運用評価】評価の対象とした業務プロセスについて、
一定の複数会計期間ごとにローテーションにより運用状況の評価を行うことは可能
か。..................................................................... 18
(問35)【期中における運用評価の実施】業務プロセスに係る内部統制の運用状況の
評価において、経営者がサンプリングにより証拠を入手する場合、日常反復継続する
取引について、期首から一定期間経過した日までの期間の母集団の中からサンプルを
抽出し、内部統制が有効という評価結果を得た場合、その後内部統制が変更されてい
ない限り、当期の運用状況の評価は完了したものとしてよいか。................ 19
(問36)【期末日直後の大規模なシステム変更】評価の基準日(期末日)直後に大規
模なシステム変更等を予定している場合には、変更前のシステムに係る内部統制につ
いての評価を省略しても差し支えないか。................................... 20
v
(問37)【期末の棚卸プロセスの評価】評価対象とした業務プロセスとして、棚卸資
産についての期末の棚卸プロセスがあるが、期末の棚卸は決算作業の1つであること
及びその頻度が年2回程度と少ないことを考慮して、経営者は、決算・財務報告プロ
セスと同様に、前年度末の運用状況をベースに早期に評価を実施することはできない
か。..................................................................... 21
(問38)【IT統制の評価範囲】どのような場合に、ITに係る全般統制やITに係
る業務処理統制が評価の対象となるのか。................................... 21
(問39)【中小規模企業におけるIT環境】事業規模が小規模で、比較的簡素な組織
構造を有している組織等の場合には、IT環境について、例えば、①販売されている
パッケージ・ソフトウエアをそのまま利用するような比較的簡易なシステムを有して
いる、②システム構成が限定され、重要なシステム変更がない、③ITに係る業務処
理統制が少ない、といった状況の下で業務が遂行されていることが考えられるが、内
部 統 制 の 評 価 及 び 監 査 に あ た り ど の よ う な 対 応 を と る こ と が 考 え ら れ る
か。..................................................................... 22
(問40)【開示すべき重要な不備の判断(人材不足や書類整備不十分)】米国では、会
計処理に関する知識・経験のある人材が不足している場合や会計に関するマニュアル
や規程の整備が不十分である場合には、開示すべき重要な不備であると開示した企業
があるようだが、我が国でも、そのような場合には、直ちに開示すべき重要な不備と
して開示するのか。....................................................... 23
(問41)【開示すべき重要な不備の判断(補完統制)】個々の営業店舗において業務プ
ロセスに係る内部統制の不備(例えば、連結税引前利益の5%を超えるような金額的
重要性があるもの)が発見されたが、本部において当該内部統制の不備を補う内部統
制を実施している場合には、当該内部統制の不備を開示すべき重要な不備として取り
扱わなくても良いか。..................................................... 23
(問42)【外部の専門家の利用】中小規模の企業においては、経理部門の人材が乏し
く、例えば、連結財務諸表の作成などについて、監査人以外の公認会計士など外部の
専門家を利用することも考えられるが、このような場合、開示すべき重要な不備に該
当するのか。............................................................. 24
(問43)【開示すべき重要な不備の判断(監査人に対する照会・相談)】監査人に対し
て、会計処理についての照会・相談を多く行っている企業は、信頼性のある財務報告
vi
の作成に必要な能力が不足していると判断され、開示すべき重要な不備に該当するの
か。..................................................................... 25
(問44)【識別するリスクの内容】監査人から、経営者が識別した業務プロセスにお
けるすべてのリスクを網羅的に把握していないとの指摘を受け、「リスクを識別する
作業において、企業の内外の諸要因及び当該要因が信頼性のある財務報告の作成に及
ぼす影響が適切に考慮されているか」という全社的な内部統制の評価項目についても
不備があると判断され、業務プロセスの評価範囲を拡大するように指摘を受けた。重
要な虚偽記載が発生するリスクとそれを低減する内部統制を適切に識別していれば
良いのではないか。....................................................... 25
(問45)【期末日後の開示すべき重要な不備の是正措置】決算・財務報告プロセスに
係る内部統制のように、開示すべき重要な不備を是正した内部統制について実際の運
用状況の評価の実施時期が期末日以降であっても、当年度の財務諸表の適正性を担保
する内部統制としては有効に機能する場合がある。このような場合、評価時点(期末
日)における内部統制は有効であると判断してよいか。........................ 26
(問46)【電子メール等のデータの保存】実施基準では、「ITの利用は、例えば、経
営者や組織の重要な構成員等が電子メール等を用いることにより、容易に不正を共謀
すること等も可能としかねず、これを防止すべく適切な統制活動が必要となることに
も留意する必要がある」(実施基準Ⅰ2(6)②)とされているが、内部統制報告制
度の導入に伴い電子メール等のデータはすべて保存しなければならないのか。また、
どのくらいの期間の保存が必要か。......................................... 27
(問47)【関連書類への印鑑の押印等】内部統制の整備及び運用の状況に係る記録と
して、業務の実施者はすべての関連書類に印鑑を押印しなければならないのか。また、
当該記録はすべて書面(紙)で保存しなければならないのか。.................. 27
(問48)【開示すべき重要な不備の意義】基準等では、期末日において「開示すべき
重要な不備」が存在する場合には、内部統制報告書に、その内容及びそれが是正され
ない理由を記載することとされているが、この「開示すべき重要な不備」とはどのよ
うな意義を有しているのか。............................................... 28
(問49)【ダイレクト・レポーティングの不採用】米国では、内部統制監査について
直接報告業務(ダイレクト・レポーティング)を採用しており、監査人は経営者の内
部統制の有効性の評価結果とは関係なく、直接、内部統制の整備及び運用状況を検証
vii
すると聞いているが、我が国では、内部統制監査について直接報告業務を採用してい
ないことから、米国とは異なり、経営者自らが内部統制の有効性を評価しなければな
らないのではないか。..................................................... 29
(問50)【監査人の監査の開始時期】監査人は、経営者による内部統制の評価がすべ
て完了した後でなければ、内部統制監査を実施できないのか。.................. 30
(問51)【内部統制監査と財務諸表監査の監査意見】監査人は、内部統制監査で開示
すべき重要な不備を発見した場合や内部統制監査で十分かつ適切な監査証拠が得ら
れず意見が表明できない場合には、財務諸表監査の監査意見も表明できないの
か。..................................................................... 30
(問52)【特別な検討を必要とするリスク】監査人が財務諸表監査において重要なリ
スク(特別な検討を必要とするリスク)を有する勘定科目を認識した場合において、
経営者が当該勘定科目に関連する業務プロセスを評価対象としていないときには、評
価対象への追加を求める必要があるか。..................................... 31
(問53)【監査役等の業務監査の内容の検討】監査人は、全社的な内部統制の整備及
び運用の状況の検討に当たって、監査役等が実施した業務監査(会計監査を含む。)
の内容の妥当性について検討しなければないのか。........................... 31
(問54)【削除(平成23年3月31日)】
(問55)【中小規模企業における内部統制の記録】事業規模が小規模で、比較的簡素
な組織構造を有している組織等の場合には、構成員が少数であり、業務プロセスが簡
素であるため、規程やフローチャート等の内部統制に関する記録が充実していなくて
も、内部統制が有効に運用できていると確認できる場合があると考えられるが、この
場合、監査人はどのように検証を行うことになるのか。........................ 32
(問56)【中小規模企業における職務分掌に係る代替的な統制】事業規模が小規模で、
比較的簡素な組織構造を有している組織等において、職務分掌が不十分の場合、監査
人としては代替的な統制として、どのようなものを考慮することが考えられる
か。..................................................................... 33
(問57)【削除(平成23年3月31日)】
viii
(問58)【発生可能性の低い内部統制の不備】開示すべき重要な不備とは、財務報告
に重要な影響を及ぼす可能性が高い財務報告に係る内部統制の不備であり(基準Ⅱ1
(4))、内部統制の不備のうち、一定の金額を上回る虚偽記載、又は質的に重要な虚
偽記載をもたらす可能性が高いものとされている(実施基準Ⅱ1②ロ)。したがって、
内部統制の不備について、金額的重要性又は質的重要性の要件に該当する場合であっ
ても、重要な虚偽記載の発生可能性が低いものは開示すべき重要な不備にならないと
考えてよいか。........................................................... 34
(問59)【影響が発生する可能性と発生確率の関係】実施基準では、監査人は、「(業
務プロセスに係る内部統制の不備がどの勘定科目にどの範囲で影響を及ぼすか検討
し、)検討された影響が実際に発生する可能性を検討する。その際には、発生確率を
サンプリングの結果を用いて統計的に導き出すことも考えられる」(実施基準Ⅲ4(2)
④ロ)という記載があるが、この場合の「影響が実際に発生する可能性」と「発生確
率」は同義と捉えてよいか。また違う場合は開示すべき重要な不備とはどのような関
係にあるのか。........................................................... 35
(問60)【軽微な不備の報告】実施基準では「監査人は、開示すべき重要な不備以外
の不備を積極的に発見することを要求されてはいないが、監査の過程において、財務
報告に係る内部統制のその他の不備を発見した場合には、適切な管理責任者に適時に
報告しなければならない。」(実施基準Ⅲ4(3)①)とされているが、監査人は、軽
微な不備も含め、監査の過程で発見した不備を全て会社に報告しなければならない
か。..................................................................... 35
(問61)【複数の勘定科目における不備】実施基準において、「集計した不備の影響が
勘定科目ごとに見れば財務諸表レベルの重要な虚偽記載に該当しない場合でも、複数
の勘定科目に係る影響を合わせると重要な虚偽記載に該当する場合がある。この場合
にも開示すべき重要な不備となる。」(実施基準Ⅱ3(4)②ハ)との記載があるが、
この複数の勘定科目に係る影響を合わせると開示すべき重要な不備に該当する場合
とは、具体的にはどのような場合が想定されているのか。例えば、評価範囲に含まれ
ない福利厚生費に係る不備の影響も合算しなければならないのか。............. 36
(問62)【経営者の評価手続の検証内容】基準では、「監査人は、内部統制報告書にお
いて、経営者が決定した評価範囲、評価手続、及び評価結果に関して不適切なものが
あり、その影響が内部統制報告書全体として虚偽の表示に当たるとするほどに重要で
あると判断した場合には、内部統制報告書が不適正である旨の意見を表明しなければ
ならない」(基準Ⅲ4(4))とされているが、これに関連して、監査人は、経営者の
ix
評価手続についてどのような検証を行う必要があるのか。..................... 37
(問63)【経営者が評価結果を表明しない場合の監査上の取扱い】経営者は、必要な
評価範囲の内部統制の評価手続を完了できず、その影響が重要である場合には、評価
結果を表明できないと考えるが、そのような理解でよいか。このとき、評価を実施し
た範囲において、開示すべき重要な不備が判明している場合には、当該開示すべき重
要な不備の内容等を内部統制報告書に記載すべきか。なお、この場合には、監査人は、
重要な監査手続を実施できないため、監査報告書において意見を表明しない旨を記載
することになるのか。また、当該開示すべき重要な不備については監査報告書におい
て追記情報の記載をすることになるのか。................................... 37
(問64)【やむを得ない事情がある場合の監査意見】下期の合併等の組織再編や大規
模なシステム変更等のやむを得ない事情により経営者の評価手続の一部が実施でき
なかった場合でも、評価を実施できないことが財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼ
すほどではないと判断したときには、経営者は、当該部分を評価範囲から除外して評
価結果を表明できるとされているが、監査人は、どのような判断により、無限定適正
意見を表明することができるのか。......................................... 38
(問65)【監査役等に対する報告の方法や時期】監査人は、内部統制監査の結果につ
いて、監査役等に報告することとされている(基準Ⅲ3(5))が、監査人による報
告の方法や時期についてはどのように考えればよいか。例えば、監査人は、監査役等
宛の内部統制監査報告書を作成することになるのか。......................... 39
(問66)【監査役等の監査報告の後に発見した不備】会社法に基づく監査役等の監査
報告(会社法第 381 条第1項、第 399 条の2第3項第1号、第 404 条第2項第1号)
の後に、監査人が内部統制監査により開示すべき重要な不備を発見した場合には、当
該 開 示 す べ き 重 要 な 不 備 に つ い て 監 査 役 等 に 報 告 す る 必 要 は あ る の
か。..................................................................... 40
(問67)【評価範囲の外から開示すべき重要な不備が発見された場合の取扱い】経営
者は、基準及び実施基準に準拠して決定した評価範囲について評価を実施したが、内
部統制報告書を提出した後に、結果的に、当該評価範囲の外(例えば、その売上高が
連結ベースの売上高のおおむね3分の2程度に入らない連結子会社)から開示すべき
重要な不備に相当する事実が見つかった場合には、内部統制報告書に記載した評価結
果を訂正しなければならないのか。また、この場合、監査人が内部統制監査報告書に
おいて無限定適正意見を表明していたときには、監査意見も訂正しなければならない
x
のか。................................................................... 40
(問68)【開示すべき重要な不備の判断(財務諸表監査による指摘)】期末日後の財務
諸表監査の過程において、財務諸表に記載する予定の数値等に誤りが発見された場合
には、決算・財務報告プロセスに係る内部統制に開示すべき重要な不備があると判断
されることになるのか。................................................... 41
(問69)【開示すべき重要な不備の判断(財務諸表等のドラフト)】有価証券報告書に
含まれる財務諸表等のドラフトを監査人に提出したところ、監査人から個々にはそれ
ほど重要ではないが、多数の誤り(虚偽記載)等の指摘を受け、指摘された数が多い
ことなどから開示すべき重要な不備に該当するのではないかと言われた。会社として
は、できるだけ早く決算書や財務諸表のドラフトを監査人に提出してチェックを受け
ようと考えているのに、ドラフト段階での誤りをもって財務報告に係る内部統制に開
示すべき重要な不備があると指摘されると、会社は、監査人への決算書や財務諸表の
ドラフトの提出を遅らせ、ひいては決算発表も遅れるということになりかねない。財
務諸表等のドラフトをどう考えたらよいのか。............................... 42
(問70)【開示すべき重要な不備の判断(決算短信)】決算短信を公表後、会社の内部
統制により決算短信の内容に重要な誤り(虚偽記載)を発見し、有価証券報告書及び
内部統制報告書を提出する前に決算短信を訂正した。この場合、決算短信を訂正した
こ と を も っ て 「 開 示 す べ き 重 要 な 不 備 」 が あ る と 判 断 し な け れ ば な ら な い の
か。..................................................................... 43
(問71)【有価証券報告書の訂正報告書の提出と内部統制報告書】財務報告に係る内
部統制は有効である(開示すべき重要な不備がない)と記載した内部統制報告書を、
有価証券報告書と併せて提出した後に、財務諸表に記載した数値に誤りがあったとし
て有価証券報告書の訂正報告書を提出することになった。この場合、「開示すべき重
要な不備」がないと記載した内部統制報告書についても併せて訂正報告書を提出しな
ければならないのか。..................................................... 43
(問72)【期末日に存在しない業務プロセスの評価】期中に行われた組織変更や事業
譲渡などにより、期末日には存在しなくなった子会社や事業部に係る業務プロセスに
ついては、実施基準に「変更されて期末日に存在しない内部統制については、評価す
る必要はない」とされていることから、当該業務プロセスに関しては全く評価しない
こととしてよいか。....................................................... 44
xi
(問73)【子会社の売却等により重要な事業拠点の選定指標が一定の割合に達しない
場合の取扱い】期末日に存在しない業務プロセスに係る内部統制について評価する必
要はないとされているが、重要な事業拠点として評価対象としていた子会社を期末日
直前に売却し、当該子会社を評価対象から除外した結果、期末日時点において、連結
ベースの売上高等の一定割合(おおむね3分の2程度)に達しなくなったような場合
には、一定割合に達するまで、評価対象に新たな事業拠点(子会社等)を追加しなけ
ればならないのか。....................................................... 45
(問74)【業績悪化等により重要な事業拠点の選定指標が一定の割合に達しない等の
場合の取扱い】評価範囲については、監査人とも協議して、前年度の連結ベースの売
上高を基本に当期の業績予想も踏まえて決定することとしている。重要な事業拠点と
して選定されている親会社の業績悪化や期中の大幅な為替変動等の結果、期末日時点
において、当初の評価範囲とした事業拠点の売上高等の合計が一定割合に達しなくな
る場合には、売上高の一定割合に達するまで、評価対象に新たな事業拠点(子会社)
を加えなければならないのか。また、仮に、このような事情に基づいて、新たに評価
対象に加えた事業拠点の内部統制の一部について、十分な評価手続を実施できない場
合には、「やむを得ない事情」に該当すると考えて良いか。反対に、連結グループ全
体の売上高が減少したことにより、当初の評価範囲とした重要な事業拠点の売上高等
の合計が上記の一定割合を大幅に超過してしまったが、当該一定割合程度になるまで
重 要 な 事 業 拠 点 の 主 要 な 勘 定 科 目 に 係 る 業 務 プ ロ セ ス を 絞 り 込 ん で も よ い
か。..................................................................... 46
(問75)【開示すべき重要な不備の判断(売掛金の残高確認)】監査人が期末日を基準
として実施した売掛金の残高確認において、得意先への売掛金の照会(確認状)に対
する回答額と帳簿残高に差異があった。監査人から当該事実は開示すべき重要な不備
であると指摘を受けたが、直ちに開示すべき重要な不備であると判断しなければなら
ないのか。............................................................... 47
(問76)【期末日後に実施される統制手続】売上プロセスにおける最も重要な統制手
続として、期末日の売掛金残高を対象に実施する管理手続を位置づけているが、期末
日現在の売掛金残高を対象とした管理手続の運用評価は、期末日までに完了せず期末
日後にもかなりの期間実施される。このため、監査人から、当該統制手続は期末日時
点で存在しているものと確認できないのではないかと指摘され、新たな統制手続を構
築し、当該手続を評価対象とするように言われた。しかし、従来から同様の管理手続
を行っており、それを確認することで十分と判断してもよいのではないか。...... 48
xii
(問77)【開示すべき重要な不備の判断指標】利益が毎年大きく変動するので、開示
すべき重要な不備を判断する指標として、連結税引前利益ではなく、連結総売上高等
の指標を使用することとしていたが、業績の変動により、社内から連結総売上高等の
指標も適切でないとの指摘が出ている。当初、決めていた開示すべき重要な不備を判
断する指標を変更することは可能か。また、当該指標を毎年変更するような取扱いは
認められるのか。......................................................... 49
(問78)【システム変更に係る内部統制の評価方法】システム変更に関する内部統制
の評価において、変更依頼どおりにシステムが変更されたかを検証することは可能で
あるが、監査人から、逆に変更されたプログラムを任意抽出し、それがどのような手
続で依頼・承認されたものであるか確認することが必要であると言われた。こうした
逆方向の確認は、多大な労力がかかる場合がある。こうした確認は、必ず実施する必
要があるのか。........................................................... 49
(問79)【決算日が相違する子会社の内部統制の評価】内部統制府令5条3項では、
事業年度の末日が連結決算日と異なる連結子会社については、連結子会社の事業年度
の末日後連結決算日までの間に当該連結子会社の財務報告に係る内部統制に重要な
変更があった場合を除き、連結子会社の事業年度の末日における内部統制の評価を基
礎として行うことができることとされているが、「当該連結子会社の財務報告に係る
内部統制に重要な変更があった場合」とは、どのように判断すればよいのか。
例えば、連結子会社の事業年度に係る財務諸表を基礎として会社の連結財務諸表を
作成している場合において、連結子会社の事業年度の末日後に当期の連結財務諸表に
は影響を及ぼさないような事象が発生した場合(連結子会社が新たな事業を開始した
場合や翌事業年度に係る新たな会計システムを導入した場合など)であっても、「当
該連結子会社の財務報告に係る内部統制に重要な変更があった場合」に該当し、当該
変更のあった内部統制について、連結決算日における評価対象としなければならない
のか。................................................................... 50
(問80)【最高財務責任者の決定】内部統制報告書に記載する最高財務責任者は、具
体的には、どのような者が考えられるのか。いわゆるCFOがいる場合には、必ずそ
の者が最高財務責任者になるのか。また、最高財務責任者を定めるにあたって、取締
役会の決議等何らかの手続は必要となるのか。............................... 51
(問81)【内部統制報告書提出の取締役会の承認】実施基準において、取締役会が財
務報告の信頼性を確保するための内部統制の整備及び運用を監督、監視、検証してい
ないことが全社的な内部統制の不備の例示として記載されている。このため、内部統
xiii
制報告書を提出するに際しては、取締役会の承認等を経ておくことが必要になるの
か。..................................................................... 52
(問82)【統合された監査報告書の写しの添付】内部統制監査報告書は、財務諸表等
の監査報告書と合わせて作成することになっているが、この統合した監査報告書は、
有価証券報告書にのみ添付すればよいのか。内部統制報告書は有価証券報告書と別の
開示書類として(EDINETを通じて)提出するので、当該監査報告書の写しを任
意に内部統制報告書にも添付してはいけないのか。........................... 53
(問83)【付記事項に記載すべき後発事象】内部統制報告書の付記事項に記載すべき
「財務報告に係る内部統制の有効性の評価に重要な影響を及ぼす後発事象」とは、何
を意味しているのか。具体的にはどのようなことを記載すればよいのか。........ 53
(問84)【特記事項の監査】内部統制報告書において、「特記事項」は必ず記載しなけ
ればならないのか。また、特記事項に記載した場合には、監査人の内部統制監査の対
象となるのか。........................................................... 54
(問85)【財務諸表の信頼性に重要な影響を及ぼす開示事項等】財務報告の定義に含
まれる「財務諸表の信頼性に重要な影響を及ぼす開示事項等」の範囲はどのようなも
のか。...................................................................55
(問86)【在外関連会社の評価】持分法適用となる在外関連会社について、所在地国
に適切な内部統制報告制度がある場合には、当該制度を適宜活用することが可能か。
また、所在地国に内部統制報告制度がない場合であっても、歴史的、地理的な沿革等
から我が国以外の第三国の適切な内部統制報告制度が利用できることが考えられ、そ
のような場合には、これを適宜活用することが可能か。
持分法適用となる在外関連会社が他の会社の子会社であって、当該関連会社の親会
社について、所在地国に適切な内部統制報告制度がある場合にも、当該制度を適宜活
用することが可能か。..................................................... 56
(問101)【削除(令和5年8月31日)】
(問102)【削除(令和5年8月31日)】
(問103)【削除(令和5年8月31日)】
(問104)【削除(令和5年8月31日)】
(問104-1)【評価範囲の実績値の記載】内部統制報告書に、重要な事業拠点の
xiv
選定指標と一定割合を記載することになるが、一定割合の実績値を記載する必要が
あるか。............................................................... 57
(問104-2)【削除(令和5年8月31日)】
(問104-3)【削除(令和5年8月31日)】
(問105)【削除(令和5年8月31日)】
(問106)【削除(令和5年8月31日)】
(問107)【削除(令和5年8月31日)】
(問108)【内部統制報告書の記載内容(付記事項及び特記事項)】4【付記事項】及
び5【特記事項】は、該当する事項がない場合、どのように記載することが考えられ
るか。................................................................... 57
xv
1.評価の意義
(問1)【開示すべき重要な不備の判断指針(金額的重要性)】....................1
(問2)【削除(平成23年3月31日)】
(問48)【開示すべき重要な不備の意義】....................................28
2.評価範囲
(問3)【削除(平成23年3月31日)】
(問4)【削除(平成23年3月31日)】
(問5)【重要な事業拠点の選定(関連会社)】..................................2
(問6)【重要な勘定科目における業務プロセスの割合の確保】...................2
(問21)【関連会社における評価】..........................................11
(問22)【評価の対象となる委託業務の例】..................................12
(問23)【子会社等に委託する業務の評価】..................................13
(問24)【受託会社による評価結果の報告】..................................13
(問25)【取引先企業(委託業務の委託先を除く)の対応】....................14
(問26)【連結ベースの売上高等の一定割合】................................14
(問27)【削除(平成23年3月31日)】
(問28)【削除(平成23年3月31日)】
(問72)【期末日に存在しない業務プロセスの評価】..........................44
(問73)【子会社の売却等により重要な事業拠点の選定指標が一定の割合に達
しない場合の取扱い】............................................45
(問74)【業績悪化等により重要な事業拠点の選定指標が一定の割合に達しな
い等の場合の取扱い】............................................46
(問85)【財務諸表の信頼性に重要な影響を及ぼす開示事項等】................55
3.評価体制
(問8)【経営者評価と財務諸表監査】.........................................3
(問29)【内部統制の評価体制】............................................15
(問30)【経営者評価と監査役監査】........................................16
4.評価方法
(問7)【責任者の宣誓書】...................................................3
(問10)【評価対象となる営業拠点の選定方法】...............................5
(問11)【決算・財務報告プロセスの評価時期】...............................5
(問12)【IT統制を管理する単位】.........................................6
(問13)【IT統制と手作業による統制】.....................................6
xvi
(問14)【ITに係る全般統制の不備の判定】.................................7
(問15)【削除(平成23年3月31日)】
(問16)【期末日前のシステム変更】.........................................7
(問17)【監査人の開発した内部統制ツールの利用】...........................8
(問31)【子会社に対する全社的な内部統制】................................16
(問33)【取引の流れを追跡する手続の実施】................................18
(問34)【ローテーションによる運用評価】..................................18
(問35)【期中における運用評価の実施】....................................19
(問36)【期末日直後の大規模なシステム変更】..............................20
(問37)【期末の棚卸プロセスの評価】......................................21
(問38)【IT統制の評価範囲】............................................21
(問40)【開示すべき重要な不備の判断(人材不足や書類整備不十分)】.........23
(問41)【開示すべき重要な不備の判断(補完統制)】.........................23
(問43)【開示すべき重要な不備の判断(監査人に対する照会・相談)】.........25
(問44)【識別するリスクの内容】..........................................25
(問45)【期末日後の開示すべき重要な不備の是正措置】......................26
(問58)【発生可能性の低い内部統制の不備】................................34
(問61)【複数の勘定科目における不備】....................................36
(問68)【開示すべき重要な不備の判断(財務諸表監査による指摘)】...........41
(問69)【開示すべき重要な不備の判断(財務諸表等のドラフト)】.............42
(問70)【開示すべき重要な不備の判断(決算短信)】.........................43
(問75)【開示すべき重要な不備の判断(売掛金の残高確認)】..................47
(問76)【期末日後に実施される統制手続】..................................48
(問77)【開示すべき重要な不備の判断指標】................................49
(問78)【システム変更に係る内部統制の評価方法】..........................49
(問79)【決算日が相違する子会社の内部統制の評価】........................50
(問86)【在外関連会社の評価】............................................56
5.記録・保存
(問9)【フローチャート等の作成】...........................................4
(問32)【3点セットの作成】..............................................17
(問46)【電子メール等のデータの保存】....................................27
(問47)【関連書類への印鑑の押印等】......................................27
6.内部統制監査の目的
(問49)【ダイレクト・レポーティングの不採用】............................29
xvii
(問50)【監査人の監査の開始時期】........................................30
7.内部統制監査と財務諸表監査の関係
(問51)【内部統制監査と財務諸表監査の監査意見】..........................30
(問52)【特別な検討を必要とするリスク】..................................31
8.内部統制監査の実施
(問18)【経営者の評価手続の検証対象】.....................................9
(問19)【経営者の評価結果の利用】.........................................9
(問53)【監査役等の業務監査の内容の検討】................................31
(問57)【削除(平成23年3月31日)】
(問59)【影響が発生する可能性と発生確率の関係】..........................35
(問60)【軽微な不備の報告】..............................................35
(問66)【監査役等の監査報告の後に発見した不備】..........................40
9.監査人の報告
(問62)【経営者の評価手続の検証内容】....................................37
(問63)【経営者が評価結果を表明しない場合の監査上の取扱い】..............37
(問64)【やむを得ない事情がある場合の監査意見】..........................38
(問65)【監査役等に対する報告の方法や時期】..............................39
(問67)【評価範囲の外から開示すべき重要な不備が発見された場合の取扱い】..40
10.中小規模企業
(問20)【中小規模企業の特性】............................................10
(問39)【中小規模企業におけるIT環境】..................................22
(問42)【外部の専門家の利用】............................................24
(問54)【削除(平成23年3月31日)】
(問55)【中小規模企業における内部統制の記録】............................32
(問56)【中小規模企業における職務分掌に係る代替的な統制】................33
11.内部統制報告書の作成・提出
(問71)【有価証券報告書の訂正報告書の提出と内部統制報告書】..............43
(問80)【最高財務責任者の決定】..........................................51
(問81)【内部統制報告書提出の取締役会の承認】............................52
(問82)【統合された監査報告書の写しの添付】..............................53
(問83)【付記事項に記載すべき後発事象】..................................53
xviii
(問84)【特記事項の監査】................................................54
12.内部統制報告書の記載内容
(問101)【削除(令和5年8月31日)】
(問102)【削除(令和5年8月31日)】
(問103)【削除(令和5年8月31日)】
(問104)【削除(令和5年8月31日)】
(問104-1)【評価範囲の実績値の記載】................................57
(問104-2)【削除(令和5年8月31日)】
(問104-3)【削除(令和5年8月31日)】
(問105)【削除(令和5年8月31日)】
(問106)【削除(令和5年8月31日)】
(問107)【削除(令和5年8月31日)】
(問108)【内部統制報告書の記載内容(付記事項及び特記事項)】.............57
(凡例)
・基準.......................財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基
準(令和5年4月7日 企業会計審議会総
会)
・実施基準...................財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関
する実施基準(令和5年4月7日 企業会計
審議会総会)
・内部統制府令...............財務計算に関する書類その他の情報の適正性
を確保するための体制に関する内閣府令(平
成 19 年内閣府令第 62 号)
・内部統制府令ガイドライン...「財務計算に関する書類その他の情報の適正
性を確保するための体制に関する内閣府令」
の取扱いに関する留意事項について
xix
以下は、内部統制報告制度に関して寄せられた照会等に対して行った回答等
のうち、先例的な価値があると認められるものを整理したものである。なお、こ
れらの回答等は、現時点における見解を示すものであり、異なる前提条件が存在
する場合、関係法令及び基準等が変更される場合などには、考え方が異なること
もあることに留意が必要である。
なお、令和5年8月の改訂においては、「12.内部統制報告書の記載内容」に
おける例示を削除しているが、これは必ずしもすべての現行の開示実務を否定
するものではない。内部統制報告書の記載内容については、関係法令等に従い、
投資家と企業との建設的な対話に資する開示がなされることが期待される。
(問1)【開示すべき重要な不備の判断指針(金額的重要性)】
内部統制の評価計画の策定や期中での開示すべき重要な不備の判定等のた
めに、重要性の判断基準等を予め定めることが考えられるが、その際の数値基
準(例えば、連結税引前利益について、おおむねその5%程度)の適用につい
ては、前期決算数値や期末予想数値をベースにしてもよいか。
(答)
1. 内部統制の評価等に当たって、具体的にどういう手続をとるかについては、
各企業において判断されることが適当であり、重要性の判断基準等を必ず予
め設定しておかなければならないといったことではないが、経営者が、毎年度
の評価作業を計画する際などに、必要に応じて監査人と協議して、これらを設
定しておくことは考えられる。
2.その際、前期決算数値や期末予想数値に基づいて、本年度の判断基準を決定
し、事業年度の経過に伴って、当初の予想と実績に重要な乖離が生じたような
場合には、適宜、当初の判断基準の見直しを行うといった対応は、財務諸表監
査に係る実務においても一般的であり、内部統制の評価においても採用可能
であると考えられる。
(問2)【削除(平成23年3月31日)】 (問3)【削除(平成23年3月31日)】 (問4)【削除(平成23年3月31日)】
1
(問5)【重要な事業拠点の選定(関連会社)】
実施基準において、「関連会社については、連結ベースの売上高に関連会社
の売上高が含まれておらず、当該関連会社の売上高等をそのまま一定割合の算
出に当てはめることはできないことから、別途、各関連会社が有する財務諸表
に対する影響の重要性を勘案して評価対象を決定する。」(実施基準Ⅱ2(2)
①(注3))とあるが、例えば、関連会社の利益に持分割合をかけたものと連
結税引前利益とを比較する方法のほか、関連会社の売上高に持分割合を掛けた
ものと連結ベースの売上高とを比較する方法を採用することで問題はないか。
(答)
実施基準に記載のとおり、評価対象とする関連会社の範囲については、財務
報告に対する各関連会社の影響の重要性を勘案して、必要に応じて監査人と
協議して、経営者において適切に判断されるべきものと考えるが、御指摘のよ
うな方法も一法としてあり得ると考えられる。
(問6)【重要な勘定科目における業務プロセスの割合の確保】
評価範囲の決定に際して、米国では、重要な事業拠点を選定した上で、各「重
要な勘定科目」について、当該重要な事業拠点における金額を合算した合計額
が、連結ベースの当該科目の金額の一定割合(例えば、おおむね3分の2程度)
に達しないような場合には、当該一定割合に達するまで、各「重要な勘定科目」
ごとに、その他の事業拠点における業務プロセスを評価対象に追加するといっ
た実務が行われたと聞くが、我が国において同様のことを行う必要はないのか。
(答)
米国においてそのような実務が行われたことは承知しているが、実施基準
では、そのような実務は採用しないこととされている。
2
(問7)【責任者の宣誓書】
経営者が評価作業を行うに当たり、業務を執行する各部署の責任者から、所
管する部署における内部統制が有効であるとする宣誓書を集めることによっ
て、経営者評価の基礎とすることが考えられるが、どのように考えるか。
(答)
経営者の評価をどのように行うかは経営者において適切に判断されるべき
事柄であり、業務を執行する部署の宣誓書を求めてはいけないということで
はないが、内部統制報告制度において、そうした宣誓書の作成を義務付けるこ
とはしていない。内部統制監査の実務においても、一般に、こうした宣誓書の
存在自体が、内部統制の有効性についての有力な判断材料になるものではな
いと承知している。
(問8)【経営者評価と財務諸表監査】
経営者の評価において、従来監査人が財務諸表監査において行っている部分
(実地棚卸、資産評価単価の妥当性の検討など)については、監査人の検証を
もって内部統制に係る評価を行ったと考えることができないか。
(答)
監査人の検証をもって経営者評価自体に代えることは一般論としてできな
いが、例えば、実地棚卸や資産評価単価の妥当性の検討等に際して、会社の内
部監査部門の担当者等が、実地棚卸や資産評価の担当者の監査人に対する説
明やそれに対する監査人の指摘事項等を確認し、それを当該部分に係る内部
統制の評価手続において利用するといったことはありうると考えられる。
3
(問9)【フローチャート等の作成】
監査人の中には、従来から、財務諸表監査の過程において、監査計画策定の
ために自らフローチャート等を作成し、内部統制の有効性を評価しているとこ
ろがある。
そのような場合、監査人の中には、内部統制報告制度への対応として、フロ
ーチャート等の作成を経営者に求めるとともに、引き続き、監査人としても財
務諸表監査のためのフローチャート作成を行い、そのための情報提供等を経営
者に求めるものがある。これでは作業が二重になり、無駄が生じることになる
のではないか。
(答)
フローチャート等を二重に作成することが、効率的でない結果となりうるこ
とは御指摘のとおりであり、その場合には、例えば、以下のいずれかのような
対応が考えられる。
(1)監査人は経営者が作成したフローチャート等内部統制の記録の信頼性を
検証した上で、それを財務諸表監査にも利用する。
(2)経営者が提供する情報等を基に、監査人において、財務諸表監査のための
フローチャート等の作成が可能であるとすれば、経営者においても、当該情
報等に基づき内部統制の評価を行うことが可能であると考えられる。この
場合、内部統制の評価に必要な業務プロセスに係る内部統制の整備及び運
用に関する適切な記録について作成しているものがあれば、経営者におい
て、それを利用することができる。
(注)実施基準においては、必ずしもフローチャート等の作成を求めているもの
ではなく、会社の独自の記録等により内部統制の評価を行うことができる
のであれば、それで足りるとしている。
4
(問10)【評価対象となる営業拠点の選定方法】
実施基準では、「評価対象とする営業拠点等については、計画策定の際に、
一定期間で全ての営業拠点を一巡する点に留意しつつ、無作為抽出の方法を導
入するなどその効果的な選定方法について検討する」(実施基準Ⅱ3(3)④
ロ)こととなっているが、この規定は、文字通りすべての営業拠点を数年間で
一巡するように評価対象としなければならないということを意味するのか。数
年間で全営業拠点を一巡する方法に代えて、重要性が僅少である営業拠点を除
外した上で、評価対象とする営業拠点をサンプリングの手法を用いて選定する
ことは許容されるのか。
(答)
1.実施基準では、選定した重要な事業拠点において、当該事業拠点に属するす
べての営業拠点について内部統制の有効性を評価するのではなく、リスクに
応じて営業拠点を選定して評価することを容認している。
2.その際、実施基準では、営業拠点を選定する方法として、例えば、一定期間
ですべての営業拠点を一巡する点に留意しつつ、無作為抽出の方法をとるこ
となどを記載しているが、これはあくまで一つの例示であり、具体的な営業拠
点の抽出は、各企業の創意工夫により適切に行われるべきものであると考え
る。
3.営業拠点を抽出する方法としては、数年間で全営業拠点を一巡する方法に代
え、ご指摘のように、重要性が僅少である営業拠点を除外した上で、母集団の
同質性等に留意しつつ、評価対象とする営業拠点をサンプリングの手法を用
いて選定することも一法としてあり得るものと考えられる。
(問11)【決算・財務報告プロセスの評価時期】
決算・財務報告プロセスについての内部統制の評価はいつ行うことになるの
か。当期の決算日以降でなければ行うことができないのではないか。
(答)
1.実施基準においては、内部統制の評価時期について、弾力的な取扱いが示さ
れており、期末日までに内部統制に関する重要な変更があった場合には適切な
追加手続が実施されることを前提に、必ずしも当期の期末日以降ではなくとも、
5
適切な時期に評価を行うことで足りるとされている。
2.特に、決算・財務報告プロセスに係る内部統制については、仮に不備がある
とした場合、当該期において適切な決算・財務報告プロセスが確保されるため
には、早期に是正されることが適切であり、(期末日までに内部統制に関する
重要な変更があった場合には適切な追加手続が実施されることを前提に、)前
年度の運用状況や四半期決算の作業等を通じ、むしろ年度の早い時期に評価
を実施することが効率的・効果的である。
(問12)【IT統制を管理する単位】
IT統制はすべて同一のIT基盤で集中管理する必要があるか。
(答)
実施基準は、「すべてを同一のIT基盤で集中管理すること」は求めていな
い。企業内にIT基盤が複数認められれば、個々のIT基盤を評価単位として、
ITに係る全般統制の評価を行うこととなる。
(問13)【IT統制と手作業による統制】
業種、業態や業務プロセス等によっては、ITではなく手作業による統制の
方が適している場合もあるのではないか。
(答)
1.業種、業態や業務プロセスによっては手作業による統制の方が適しているこ
とがありうることは御指摘のとおりであり、内部統制におけるITの利用の
程度は、各企業において適切に判断されるべき事柄である。
2.実施基準においても、「内部統制にITを利用せず、専ら手作業によって内
部統制が運用されている場合には、例えば、手作業による誤謬等を防止するた
めの内部統制を、別途構築する必要等が生じ得ると考えられるが、そのことが
直ちに内部統制の不備となるわけではない。」(実施基準Ⅰ2(6)②)として、
ITによる対応を必ず求めているものではない。
6
(問14)【ITに係る全般統制の不備の判定】
ITに係る全般統制に不備がある場合には、直ちに開示すべき重要な不備と
なるのか。
(答)
1.実施基準では、ITに係る全般統制は、財務報告の重要な事項に虚偽記載が
発生するリスクに直接に繋がるものでは必ずしもないため、全般統制に不備
が発見されたとしても直ちに開示すべき重要な不備と評価されるものではな
いとされている。
2.例えば、ITに係る全般統制のうち、プログラムの変更に適切な承認を得る
仕組みがないなどプログラムの変更管理業務に不備がある場合でも、事後的
に業務処理統制に係る実際のプログラムに変更がないことを確認できたよう
な場合には、稼働中の情報処理システムに係る業務処理統制とは関連性が薄
いため、当該システムの内部統制は有効に機能していると位置づけることが
できると考えられる。
(問15)【削除(平成23年3月31日)】
(問16)【期末日前のシステム変更】
内部統制監査が受けられなくなるため、期末前3か月間はシステムを凍結す
るなど、内部統制の変更を行ってはならないとの議論があるが、どのように考
えるべきか。
(答)
1.お尋ねの問題は、財務諸表監査とも深い関連を有し、本来、企業と監査人と
の適切な協議の中で無理のない段取りが選択されていくべきものであり、経
営者においても内部統制の評価を的確に行うように留意する必要があるが、
企業が業務の改善等の観点からシステム変更等を行うことは当該企業の判断
であり、内部統制監査を実施しにくくなることをもって、期末日前の一定の期
間においてシステム変更等を行うべきでないと監査人が結論づけることは適
切でない。
7
2.下期においてシステム変更等があった場合の対応については、実施基準に照
らして考えれば、以下の対応が容認されているところであり、これを活用し適
切な工夫が行われるべきものと考えられる。
(1)下期におけるシステム変更等が財務報告に係る内部統制に重要な影響を
及ぼすものでないと判断される場合には、何ら問題は生じない。
(2)下期におけるシステム変更等が財務報告に係る内部統制に重要な影響を
及ぼすものと判断される場合でも、経営者は、財務報告に係る内部統制の重
要な変更部分についてのみ追加手続の実施を検討すれば足り、監査人は、経
営者が必要な追加手続を実施していることを確認することになる(実施基
準Ⅲ4(2)①ロ b)。
(3)また、下期の大規模なシステム変更等により、期間内に十分な追加手続を
実施できない場合でも、それが基準・実施基準にいう「やむを得ない事情」
に該当する場合には、経営者は、当該部分を「やむを得ない事情」によるも
のとして評価範囲から除外して、評価結果を表明することができる。
その際、監査人は、経営者が十分な追加手続が実施できないことにつき正
当な理由が認められると判断した場合で、やむを得ない事情により、十分な
評価手続を実施できなかったことが財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼ
すまでには至っていないときには、無限定適正意見を表明することができる。
(問17)【監査人の開発した内部統制ツールの利用】
コンサルティング会社と助言業務契約を締結し、その助言を受けて内部統制
ツールを作成したいと考えているが、監査人の開発した内部統制ツールを必ず
使用しなければならないのか。
(答)
実施基準では、企業の作成・使用している記録等を適宜、利用し、必要に応
じそれに補足を行っていくことで足りるとしており、監査人の内部統制ツー
ルを使用しなければならないということはない。
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(問18)【経営者の評価手続の検証対象】
内部統制監査において、監査人が監査するのは基本的に経営者の評価結果で
あり、評価の手続についての詳細な検証は求められていないとの理解でよいか。
(答)
1.実施基準では監査人に対して、①経営者が決定した評価範囲の妥当性及び②
統制上の要点の識別の妥当性を検証した上で、③内部統制の整備状況及び運
用状況の有効性に関する経営者の評価結果の妥当性を検討することを求めて
いる。
2.これらのうち、統制上の要点の識別の妥当性の検証は、評価手続の検証に属
するものと考えられるが、実施基準では、それ以上に、内部統制の整備状況及
び運用状況の有効性に関する経営者評価の検討において、監査人が経営者の
評価結果を利用する場合を除き、経営者が具体的にどのような評価方法を行
ったか(例えば、運用テストの具体的内容等)についての検証は求められてお
らず、監査人が監査するのは、ご指摘のとおり、経営者の評価結果についてで
ある。
(問19)【経営者の評価結果の利用】
監査人は、内部統制監査において、経営者の評価結果を何らかの形で利用す
ることができるのか。例えば、経営者が評価において選択したサンプル及び当
該サンプルについて経営者が行った評価結果を、監査人が何らかの形で利用す
ることは可能か。
(答)
1.実施基準において、監査人は、内部監査人等の作業を自己の検証そのものに
代えて利用することはできないが、内部監査人等の能力及び独立性を検討し、
当該作業の一部について検証した上で、経営者の評価に対する監査における
監査証拠として利用することはできるものとされている。
(注)内部監査人等の「等」には、内部監査人だけでなく、評価対象とは別の
部署に所属しモ二タリング等を実施する者や社外の専門家など経営者に
代わって内部統制の評価を行う内部監査人以外の一定の者も含まれると
考えられる。
9
2.また、監査人は、統制上の要点として選定した内部統制ごとに、経営者が
評価を行ったサンプルについても、サンプルが母集団を代表しているかやサ
ンプルが無作為に抽出されているかなどサンプルの妥当性の検討を行った上
で、監査人自らが改めて当該サンプルをサンプルの全部又は一部として選択
し、当該サンプルについて、経営者が行った評価結果についても、評価方法
等の妥当性を検証し、経営者による作業の一部について検証した上で、経営
者の評価に対する監査証拠として利用することは可能であると考えられる。
(問20)【中小規模企業の特性】
中小規模の企業について、意見書前文に「例えば、事業規模が小規模で、比
較的簡素な組織構造を有している組織等の場合に、職務分掌に代わる代替的な
統制や企業外部の専門家の利用等の可能性も含め、その特性等に応じた工夫が
行われるべきことは言うまでもない。」とあるが、具体的にはどういったこと
が考えられるのか。
(答)
1.財務報告に係る内部統制は、企業を取り巻く環境、事業の特性、規模等に応
じて、整備・運用することが求められ、意見書前文では、事業規模が小規模で、
比較的簡素な組織構造を有している組織等の場合には、その特性等に応じた
工夫を行っていくことが考えられることを記述している。
(注)平成 23 年3月 30 日の基準・実施基準の改訂により、中小規模企業につ
いて、事業規模が小規模で、比較的簡素な組織構造を有している「企業」
だけでなく、企業よりも小さい単位、例えば、事業部等の「組織」につい
ても同様であると考えられることから、「事業規模が小規模で、比較的簡
素な組織構造を有している組織等」と規定している(以下同じ。)。
2.「事業規模が小規模で、比較的簡素な組織構造を有している組織等」のうち
比較的簡素な組織構造を有している組織等には、例えば、以下のような特徴を
有している。
① 事業の種類が少なく、各事業において生産又は販売する製品も少ない。
② 業務プロセス及び財務報告プロセスが複雑でない。
③ 販売されているパッケージ・ソフトウエアをそのまま利用するような比
較的簡易なシステムを有している。
④ 経営者が日常の業務活動において広範な関与を行っている。
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⑤ 経営者が広範な統制責任を持っているフラットな組織である。
なお、これらは、組織等の実態に応じて適切に判断する必要がある。
3.例えば、事業規模が小規模で、比較的簡素な組織構造を有している組織等の
場合には、要員の不足等により、担当者間で相互牽制をはたらかせるための適
切な職務分掌の整備が難しい場合が想定される。そのような場合には、例えば、
経営者や他の部署の者が適切にモニタリングを実施する等により、リスクを
軽減することや、モニタリング作業の一部を社外の専門家を利用して実施す
ることなど、各組織の特性等に応じて適切な代替的な内部統制により対応す
ることが考えられる。
(問21)【関連会社における評価】
評価対象となった持分法適用関連会社については、全社的な内部統制の評価
(決算・財務報告プロセスのうち全社的な観点で評価することが適切なものを
含む。)を実施すれば事足りると考えてよいか。
また、他の支配株主の存在等の理由から協力が得られず、子会社と同様の評
価を行うことができない場合には、経営者は、基準・実施基準にいう「やむを
得ない事情」に該当するとして、当該部分を除外して、評価結果を表明するこ
とはできるのか。この場合、監査人は、無限定適正意見を表明できるか。
(答)
1.実施基準では、評価対象となった持分法適用関連会社については、全社的な
内部統制の評価を中心として、当該関連会社への質問書の送付、聞き取りある
いは当該関連会社で作成している報告等の閲覧、当該関連会社に係る管理プ
ロセスの確認等適切な方法により評価を行う必要があるとしている(実施基
準Ⅱ2(1)①ロ)。また、当該関連会社の規模、業務内容等に鑑み、当該関
連会社における虚偽記載のリスクが大きい場合には、当該関連会社における
重要性の大きい業務プロセスに係る内部統制の評価が必要となるときもあり
得ることに留意する必要があるが、当該評価が行えないなど、特段の事情があ
る場合には、当該関連会社に対する投資損益の把握などの管理プロセスの確
認等の適切な方法により評価を行うことができる。
2. なお、持分法適用関連会社における重要性の大きい業務プロセスについて、
他の支配株主の存在等の理由から協力が得られず、子会社と同様の評価を行
うことができないような場合で、当該関連会社に対する投資損益の把握など
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の管理プロセスの確認等の適切な方法による評価もできないときが「やむを
得ない事情」に該当するかどうかは、当該業務プロセスの重要性の程度と当該
関連会社の置かれた事情等に応じて、適切に判断することになる。
3.監査人は、当該業務プロセスの重要性が高く、かつ、当該関連会社の置かれ
た事情等により、重要な監査手続を実施できなかった場合には、監査範囲の制
約の重要性に応じて、除外事項を付した限定付適正意見を表明するか、又は意
見を表明しないことになる(基準Ⅲ4(5))。
(問22)【評価の対象となる委託業務の例】
財務報告に係る内部統制の評価の対象となる委託業務とは、具体的にはどの
ようなものか。
(答)
1.外部に委託した業務についても、それが財務報告の信頼性に影響を及ぼすも
のであれば、評価範囲に含めるかどうか検討することになる。
2.例えば、取引の記帳、会計帳簿の作成等に係るコンピューター処理を共同事
務センターに委託する場合や年金資産の運用管理を信託銀行に委託する場合
など、財務諸表や開示事項の作成の基礎となる取引の承認、実行、計算、集計、
記録等に関するものや、情報システムの開発・運用・保守等に関するものは、
財務報告の信頼性に影響を及ぼす委託業務に含まれ(実施基準Ⅱ2(1)②イ)、
これらのうち、財務報告に対する影響が重要であるものが、内部統制の評価の
対象になる。
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(問23)【子会社等に委託する業務の評価】
連結財務諸表を構成する子会社や関連会社に、重要な業務プロセスを構成す
る物流業務や経理業務などを委託している場合には、実施基準でいう委託業務
として評価するのか(実施基準Ⅱ2(1)②)。
(答)
1.財務報告に係る内部統制の評価において、内部統制報告書提出会社の連結財
務諸表を構成する当該会社の子会社や関連会社は、評価の範囲に含まれる(実
施基準Ⅱ2(1))。
2.したがって、連結財務諸表を構成する子会社や関連会社に業務を委託する場
合は、実施基準でいう外部に委託した業務(委託業務)ではなく、企業集団内
部における本来の業務として、財務報告に係る内部統制の評価の範囲に含ま
れることになる。
(問24)【受託会社による評価結果の報告】
当社は、給与計算業務を受託しているが、委託会社から受託業務に係る内部
統制の評価結果の報告として、「受託業務に係る内部統制の保証報告書に関す
る実務指針」(日本公認会計士協会 保証業務実務指針 3402)に基づく報告書
の発行を求められたが、同報告書の発行は必須なのか。
(答)
1.実施基準においては、外部に委託した業務が委託者の重要な業務プロセスの
一部を構成する場合に限り、委託者が受託会社の実施している内部統制の整
備及び運用状況を評価することを求めている(実施基準Ⅱ2(1)②イ)。
2. 受託会社における内部統制の評価については、委託者が自ら実施する方法、
又は受託会社が実施した評価結果を利用する方法のいずれでも可能である
(実施基準Ⅱ2(1)②ロ)。
3.なお、受託会社が実施した評価結果を利用する場合、委託者は、受託会社と
の協議に基づき、受託会社からその評価の結果を何らかの形で報告を求める
ことになるが、この報告の内容や様式は業務等の状況に応じて適切に判断す
べきであり、必ず「受託業務に係る内部統制の保証報告書に関する実務指針」
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(保証業務実務指針 3402)に基づく報告書が必要になるわけではない。
(問25)【取引先企業(委託業務の委託先を除く)の対応】
内部統制報告書提出会社は、取引を行っている仕入先や得意先などの取引先
企業(重要な業務プロセスを構成している委託業務の委託先を除く。)に対し
て、内部統制報告制度への対応として、新たに当該取引に関連する内部統制の
整備や評価を依頼しなければならないのか。
(答)
1.財務報告に係る内部統制の評価においては、内部統制報告書提出会社の連結
財務諸表を構成する当該会社並びに当該会社の子会社及び関連会社が、評価
の範囲となる(実施基準Ⅱ2(1))。
2.したがって、内部統制報告書提出会社の企業集団外の取引先企業は、(重要
な業務プロセスを構成している委託業務の委託先に該当する場合を除き、)内
部統制の評価の範囲に含まれない。
3.実施基準等においては、内部統制報告書提出会社が、取引先企業(重要な業
務プロセスを構成している委託業務の委託先を除く。)に対し、これまでの納
品書、請求書等の証憑類の提出・保存等に加えて、取引に関連する内部統制の
整備及び評価を依頼するなど、本制度の導入に伴う新たな対応をとることは
求めていない。
(問26)【連結ベースの売上高等の一定割合】
実施基準では、重要な事業拠点の選定にあたり、評価対象とする事業拠点を
売上高等の重要性により決定し、その際には、財務報告に対する金額的及び質
的影響並びにその発生可能性を考慮することとされている。事業拠点を選定す
る指標として売上高等が用いられる。この場合、本社を含む各事業拠点におけ
る指標の金額の高い拠点から合算していき、連結ベースの一定の割合に達して
いる事業拠点を評価の対象とすることが考えられる。その際、選定される重要
な事業拠点が売上高等の指標の変動により毎期安定せず、内部統制の評価の準
備が間に合わないことが想定される。このため、一定の割合として、予め範囲
を拡大しておかねばならなくなるのではないか。
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(答)
1.一定の割合をどのように考えるかについては、企業により事業又は業務の特
性等が異なることから、一律に示すことは困難であると考えられるが、実施基
準では、全社的な内部統制の評価が良好であれば、例えば、連結ベースの売上
高等の一定割合(おおむね3分の2程度)とする考え方や、総資産、税引前利
益等の一定割合とする考え方もある(実施基準Ⅱ2(2)①(注2))。この場
合の一定の割合は、必ず一定の割合を超えなければならないということでは
なく、おおむね当該一定の割合程度ということになる。
2.したがって、事業拠点における売上高などの変動等の要素も考慮する必要が
あるとは考えられるものの、一定の割合については、おおむね当該一定の割合
程度となればよく、ご指摘のように、予め範囲を拡大しておくといった対応は
不要であると考えられる。
(問27)【削除(平成23年3月31日)】 (問28)【削除(平成23年3月31日)】
(問29)【内部統制の評価体制】
経営者を補助して評価を実施する部署及び機関並びにその要員の独立性を
確保するためには、同じ部内で評価チームを分ける程度では足りず、必ず別の
部署や機関を設置しなければならないのか。
(答)
1.実施基準では、自ら業務を評価することとならない範囲において、経理部や
内部監査部など既設の部署を活用して評価を行うことが可能であるとしてい
る(実施基準Ⅱ3(1)①)。
2.したがって、内部統制評価のために必ず別の部署や機関を設置しなければな
らない訳ではなく、評価を実施する者が評価の対象となる業務から独立し、客
観性を保っていれば、例えば、同じ部内の別のチームが経営者を補助して評価
を実施することは可能であるものと考えられる。
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(問30)【経営者評価と監査役監査】
経営者の評価において、当該会社の監査役等が会社法に基づく監査を実施し
ている部分は、経営者が内部統制に係る評価を行ったものと考えて、経営者に
よる評価を省略することができるか。
(答)
1.監査役等は取締役の職務の執行に対する監査の一環として、独立した立場か
ら、内部統制の整備及び運用状況を監視、検証する役割と責任を有している
(基準Ⅰ4(3))。したがって、業務執行者である経営者(取締役)は、監査
役等が会社法に基づく監査を実施していることをもって、経営者による評価
を省略することはできない。
2.なお、監査役等による独立的評価の結果については、取締役会で報告され、
経営者による適切な対応を求めていくことが重要であり、経営者は監査役等
から報告された問題点に対して、そのリスクを分類、分析、評価して、適切な
対応を選択していく必要があると考えられる(実施基準Ⅰ2(5)③)。
(問31)【子会社に対する全社的な内部統制】
全社的な内部統制については、人材や組織的に比較的余裕がある親会社とそ
れ以外の事業拠点(子会社)では、対応に差が出ることが想定されるが、この
ような取扱いは可能か。
(答)
1.全社的な内部統制は、親会社を中心に連結ベースで整備及び運用するもので
あり、原則として、企業集団全体を対象として評価の対象とすることが考えら
れる。
2.ただし、全社的な内部統制の形態は、企業の置かれた環境や事業の特性等に
よって様々であり、企業ごとに適した内部統制を整備及び運用することが求
められていることから(実施基準Ⅱ3(2)①)、全社的な内部統制について、
子会社に対して親会社と差異のある取扱いを行うことも可能であると考えら
れる。
3.なお、財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点(子会社等)は、
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全社的な内部統制について評価対象としないことも認められている(実施基
準Ⅱ2(2))。
(問32)【3点セットの作成】
経営者は、業務プロセスの評価のために、実施基準に例示されている「業務
の流れ図」、「業務記述書」及び「リスクと統制の対応」の3つの資料(いわゆ
る3点セット)を必ず作成しなければならないのか。例えば、既存の業務マニ
ュアルや諸規程類などを活用して「リスクと統制の対応」のみ作成する予定だ
が、3点セットのすべてを作成しないと開示すべき重要な不備に該当するのか。
(答)
1.実施基準では、①評価対象となる業務プロセスの把握・整理、②当該業務プ
ロセスにおける虚偽記載の発生するリスクとこれを低減する統制の識別のた
めに、経営者は、必要に応じ、図や表を活用して整理・記録することが有用で
あるとしている(実施基準Ⅱ3(3)①・②)。
2.なお、実施基準では、図や表の例として、参考2(業務の流れ図(例)、業
務記述書(例))及び参考3(リスクと統制の対応(例))が挙げられているが、
これは、必要に応じて作成するとした場合の参考例として掲載したものであ
り、また、企業において別途、作成しているものがあれば、それを利用し、必
要に応じそれに補足を行っていくことで足り、必ずしもこの様式による必要
はないことに留意するとしているところである(実施基準Ⅱ3(3)①(注)・
②(注))。
3.したがって、経営者は、実施基準に参考例として掲載されている参考資料と
同様のものをいわゆる3点セットとして作成しなければならないということ
ではなく、3点セットを作成しない場合であっても、直ちに開示すべき重要な
不備に該当するものではないと考えられる。ご指摘のように、例えば、参考2
(業務の流れ図(例)、業務記述書(例))のような図や表に代えて、既存の業
務マニュアルや諸規程類などを利用し、必要に応じ、参考3(リスクと統制の
対応(例))のような図や表を作成して、整理・記録することも一法としてあ
り得ると考えられる。
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(問33)【取引の流れを追跡する手続の実施】
経営者は、評価対象となった業務プロセスごとに、代表的な取引を1つある
いは複数選んで、取引の開始から取引記録が財務諸表に計上されるまでの流れ
を追跡する手続をすべての業務プロセスについて実施しなければならないの
か。もし、このような手続を実施しない場合には、監査人の指摘の対象となる
のか。
(答)
1.評価対象となった業務プロセスごとに、代表的な取引を1つあるいは複数選
んで、取引の開始から取引記録が財務諸表に計上されるまでの流れを追跡す
る手続は、監査人が内部統制の整備状況に関する理解を確実なものとする上
で、有用な手続ではあるとされているが(実施基準Ⅲ4(2)①イb)、経営
者が必ず実施しなければならない手続とはされていない。
2.また、監査人は、経営者の評価結果を利用する場合を除き、経営者が具体的
にどのような評価方法を行ったかについての妥当性の検証は求められておら
ず、上記の手続を経営者が実施しないことが直ちに監査人の指摘の対象とな
ることはない。
(問34)【ローテーションによる運用評価】
評価の対象とした業務プロセスについて、一定の複数会計期間ごとにローテ
ーションにより運用状況の評価を行うことは可能か。
(答)
1.統制上の要点として識別された内部統制の運用状況の評価は、原則として、
毎期実施する必要がある。
2.ただし、全社的な内部統制の評価結果が有効である場合には、評価範囲に含
まれる業務プロセスに係る内部統制の評価について、財務報告の信頼性に与
える影響の重要性を勘案し、重要な変更がないことを確認した上で、一定の複
数会計期間ごとに運用状況の評価の対象とすることは可能である。当該一定
の複数会計期間については、当該業務プロセスの重要性等を勘案し、適切に判
断することが必要である(実施基準Ⅱ3(2)③)。
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3.ITに係る全般統制や業務処理統制の評価に関し、一定の複数会計期間ごと
に運用状況の評価の対象とすることについては、経営者において、IT環境の
変化を踏まえて慎重に判断され、必要に応じて監査人と協議して行われるべ
きものであり、特定の年数を機械的に適用すべきものではないことに留意す
る必要がある(実施基準Ⅱ3(3)⑤ニ)。
4.なお、業務プロセスのローテーションによる運用状況の評価は、例えば、あ
る会計期間において、企業の事業目的に関わる勘定科目(例えば、売上)に至
る業務プロセスのすべてを評価しなくてよいことを意味するものではないこ
とに留意する必要がある。
(問35)【期中における運用評価の実施】
業務プロセスに係る内部統制の運用状況の評価において、経営者がサンプリ
ングにより証拠を入手する場合、日常反復継続する取引について、期首から一
定期間経過した日までの期間の母集団の中からサンプルを抽出し、内部統制が
有効という評価結果を得た場合、その後内部統制が変更されていない限り、当
期の運用状況の評価は完了したものとしてよいか。
(答)
1.実施基準では、内部統制の評価時期については、弾力的な取扱いが示されて
おり、適切な時期に評価を行うことで足り(実施基準Ⅱ3(3)④ハ)、内部
統制の評価方法(サンプル件数、サンプルの対象期間等)についても、企業の
置かれた状況に応じて、弾力的な対応を取ることが可能とされている(実施基
準Ⅱ3(3)④ニ)。
2.したがって、経営者は、企業の置かれた状況に応じて、自らの判断において、
適切な時期に、適切な評価方法により評価を行うことができる。
3.また、期中に運用状況の評価を実施した場合、その後、担当者への質問等に
より、評価対象とした内部統制の整備状況に重要な変更がないことが確認さ
れたときには、新たに追加的な運用状況の評価は要しないものと考えられる。
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(問36)【期末日直後の大規模なシステム変更】
評価の基準日(期末日)直後に大規模なシステム変更等を予定している場合
には、変更前のシステムに係る内部統制についての評価を省略しても差し支え
ないか。
(答)
1.経営者による内部統制評価は、期末日を評価時点として行うものとされてい
る(基準Ⅱ3(1))。
2.期末日に存在する変更前の内部統制については評価の対象となるため、評価
の基準日(期末日)直後に大規模なシステム変更等を予定している場合であっ
ても、評価を省略することはできない。ただし、変更前のシステムに係る業務
処理統制については、全般統制が有効であることを前提に、期末日以前の評価
した時点から重要な変更がされていないことを確認した上で、過去の評価結
果を利用することができることから、より効率的な実務対応が可能であると
考えられる。
(注1) 適用初年度における内部統制の評価にあたっては、「期末日以前の評
価した時点」として、適用前の事業年度を含めた準備段階における内
部統制の確認の状況を踏まえて、総合的に勘案して判断することが可
能である。
(注2) 仮に、適用初年度において、開示すべき重要な不備があった場合に、
当該開示すべき重要な不備を是正するために、大規模なシステム変更
等を行うときには、期末日までに当該システム変更が完了しないこと
も考えられる。この場合、適用初年度の期末日において開示すべき重
要な不備が是正されずに存在することになるが、当該システム変更を
行うことにより、翌年度以降において当該開示すべき重要な不備が改
善されていくことが期待される。
(なお、開示すべき重要な不備の開示は、直ちに当該企業の有価証券
報告書に記載された財務報告が適正でないことを意味するわけでは
ない。むしろ、財務報告に係る内部統制について「今後改善を要する
重要な課題」があることを開示することに意義があるものである。し
たがって、本件では、システム変更が着実に行われることにより、内
部統制が改善されるという前向きな捉え方がなされることが望まれ
る(問 48 参照)。)。
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(問37)【期末の棚卸プロセスの評価】
評価対象とした業務プロセスとして、棚卸資産についての期末の棚卸プロセ
スがあるが、期末の棚卸は決算作業の1つであること及びその頻度が年2回程
度と少ないことを考慮して、経営者は、決算・財務報告プロセスと同様に、前
年度末の運用状況をベースに早期に評価を実施することはできないか。
(答)
1.決算・財務報告プロセスに係る内部統制の運用状況の評価については、(期
末日までに内部統制に関する重要な変更があった場合には適切な追加手続が
実施されることを前提に、)前年度の運用状況や四半期作業を通じて、早期に
実施されることが効率的・効果的であるとしている(問 11 参照)。
2.期末の棚卸についても、経営者は、決算・財務報告プロセスと同様に、前年
度の運用状況をベースに、期中に実施する棚卸作業を通じて早期に運用状況
の評価を実施することが効率的・効果的であると考えられる。
(問38)【IT統制の評価範囲】
どのような場合に、ITに係る全般統制やITに係る業務処理統制が評価の
対象となるのか。
(答)
1.実施基準においては、ITの評価は、財務報告に係る内部統制に関連するシ
ステムが対象となることを明示している(実施基準Ⅰ2(6)・Ⅱ3(3)⑤
イ)。したがって、財務報告に係るITの評価では、企業の利用するすべての
システムが評価対象となるのではなく、財務報告に係る内部統制に関連する
システムが評価対象となる。
2.このため、財務報告に係る内部統制に関連するシステムの対象範囲を明確に
するために、評価対象とする業務プロセスにおける取引の発生から集計、記帳
といった会計処理の過程を確認する際に、財務諸表の重要な勘定科目がどの
ような業務プロセス及びシステムと関連しているか、システムの機能の概要、
どの部署で利用されているか等について整理することが考えられる(実施基
準Ⅱ3(3)⑤ロ a)。
3.その上で、重要な虚偽記載が発生するリスクを低減するためのITに係る業
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務処理統制と当該業務処理統制に関連するITに係る全般統制を、それぞれ
評価の対象として識別することとなる。
(問39)【中小規模企業におけるIT環境】
事業規模が小規模で、比較的簡素な組織構造を有している組織等の場合には、
IT環境について、例えば、①販売されているパッケージ・ソフトウエアをそ
のまま利用するような比較的簡易なシステムを有している、②システム構成が
限定され、重要なシステム変更がない、③ITに係る業務処理統制が少ない、
といった状況の下で業務が遂行されていることが考えられるが、内部統制の評
価及び監査にあたりどのような対応をとることが考えられるか。
(答)
1.一般に、事業規模が小規模で、比較的簡素な組織構造を有している組織等の
場合には、比較的複雑でないIT環境のもとで業務を行っていることが考え
られる。
2.こうした組織等におけるIT環境については、次のような対応をとることが
考えられる。
(1)例えば、販売されているパッケージ・ソフトウエアをそのまま利用するよ
うな比較的簡易なシステムを有している場合には、個々のITに係る業務
処理統制よりも、ITに係る全般統制に重点を置く必要がある(実施基準
Ⅲ4(2)②ロ)。
(2)重要なシステム変更がない場合には、ITに係る全般統制が有効であるこ
とを確認した上で、ITに係る業務処理統制については、毎期評価を実施
せず、過年度の評価結果を利用できるものと考えられる(実施基準Ⅱ3(3)
⑤ニC、問34参照)。
(3)ITに係る業務処理統制が少ない場合には、別途手作業によって内部統制
が運用されていることが考えられるが、そのことが直ちに内部統制の不備
となるわけではなく(実施基準Ⅰ2(6)②)、内部統制の評価及び監査に
あたっては、手作業による内部統制の有効性を確認することにより、十分
な証拠を得ることは可能である。
22
(注)事業規模が小規模でない企業であっても、比較的簡素な組織構造を有して
いる場合には、「事業規模が小規模で、比較的簡素な組織構造を有してい
る組織等」に該当する場合がある。
(問40)【開示すべき重要な不備の判断(人材不足や書類整備不十分)】
米国では、会計処理に関する知識・経験のある人材が不足している場合や会
計に関するマニュアルや規程の整備が不十分である場合には、開示すべき重要
な不備であると開示した企業があるようだが、我が国でも、そのような場合に
は、直ちに開示すべき重要な不備として開示するのか。
(答)
1.開示すべき重要な不備については、企業の置かれた環境や事業の特性等によ
って異なるものであり、すべての企業にとって一律のものではなく、当該企業
の財務報告に与える影響により判断すべきである。
2.したがって、会計処理に関する知識・経験のある人材が不足している場合や
会計に関するマニュアルや規程の整備が不十分である場合であっても、直ち
に開示すべき重要な不備に該当するものではなく、関連する業務プロセスに
係る内部統制にどのような影響を及ぼすかを含め、重要な虚偽記載をもたら
す可能性を検討する必要がある。
(問41)【開示すべき重要な不備の判断(補完統制)】
個々の営業店舗において業務プロセスに係る内部統制の不備(例えば、連結
税引前利益の5%を超えるような金額的重要性があるもの)が発見されたが、
本部において当該内部統制の不備を補う内部統制を実施している場合には、当
該内部統制の不備を開示すべき重要な不備として取り扱わなくても良いか。
(答)
1.業務プロセスに係る内部統制の不備を検討する場合には、個々の内部統制が
いかに相互連係して虚偽記載が発生するリスクを低減しているかを検討する
必要がある。実施基準では、ある内部統制の不備を補う内部統制(補完統制)
の有無と、それが勘定科目等に虚偽記載が発生する可能性と金額的影響をど
の程度軽減しているかを検討することとされている(実施基準Ⅱ3(4)②ハ)。
23
2.企業の置かれた状況等により異なるため一概に言うことは適切ではないが、
本部において、営業店舗における内部統制の不備を補うような同一の統制目
標を達成する補完統制が整備・運用され、関連する業務プロセスにおける虚偽
記載が発生するリスクを低減していると判断できる場合には、当該営業店舗
における内部統制の不備は開示すべき重要な不備に該当しないと判断できる
と考えられる。
(問42)【外部の専門家の利用】
中小規模の企業においては、経理部門の人材が乏しく、例えば、連結財務諸
表の作成などについて、監査人以外の公認会計士など外部の専門家を利用する
ことも考えられるが、このような場合、開示すべき重要な不備に該当するのか。
(答)
1.実施基準においては、全社的な内部統制に関する評価項目の例として「経営
者は、信頼性のある財務報告の作成を支えるのに必要な能力を識別し、所要の
能力を有する人材を確保・配置している」ことが挙げられている(実施基準Ⅱ
(参考1))。
2.この場合、信頼性ある財務報告の作成を支えるのに必要な能力を評価する際
には、外部の専門家の能力を含めて評価することが可能である。したがって、
経理の人材が乏しく、外部の専門家を利用することをもって、直ちに全社的な
内部統制の不備に該当するわけではなく、開示すべき重要な不備にあたるも
のではない。
3.ただし、企業において、専門家が実施した業務結果について、依頼した基本
的内容を満たしているかを確認することが求められることに留意する必要が
ある。
24
(問43)【開示すべき重要な不備の判断(監査人に対する照会・相談)】
監査人に対して、会計処理についての照会・相談を多く行っている企業は、
信頼性のある財務報告の作成に必要な能力が不足していると判断され、開示す
べき重要な不備に該当するのか。
(答)
企業が監査人に対して会計処理についての照会・相談を行うことは、これま
での財務諸表監査の実務でも行われてきたことと承知しており、財務諸表等
の作成はあくまで企業・経営者によって行われるとの前提の下に、複雑な取引
が発生した場合の会計処理について監査人に対して照会・相談を行うことは
必ずしも開示すべき重要な不備に該当するものではない。
(問44)【識別するリスクの内容】
監査人から、経営者が識別した業務プロセスにおけるすべてのリスクを網羅
的に把握していないとの指摘を受け、「リスクを識別する作業において、企業
の内外の諸要因及び当該要因が信頼性のある財務報告の作成に及ぼす影響が
適切に考慮されているか」という全社的な内部統制の評価項目についても不備
があると判断され、業務プロセスの評価範囲を拡大するように指摘を受けた。
重要な虚偽記載が発生するリスクとそれを低減する内部統制を適切に識別し
ていれば良いのではないか。
(答)
1.業務プロセスにおいて、すべてのリスクを網羅的に把握してこれを低減する
ための統制を識別することまでは求められておらず、リスクのうち重要な虚
偽記載が発生するリスクとこれを低減するための統制を把握することで足り
る。
2.したがって、リスクのうち重要な虚偽記載が発生するリスクを識別していれ
ば、「リスクを識別する作業において、企業の内外の諸要因及び当該要因が信
頼性のある財務報告の作成に及ぼす影響が適切に考慮されているか」という
全社的な内部統制の評価項目についても、有効と判断することができると考
えられる。
(注)実施基準では、内部統制の記録として、例えば、重要な虚偽記載が発生
するリスクとこれを低減するための内部統制の内容を記録・保存するこ
とが考えられるとしている(実施基準Ⅱ3(7)①ニ)。
25
(問45)【期末日後の開示すべき重要な不備の是正措置】
決算・財務報告プロセスに係る内部統制のように、開示すべき重要な不備を
是正した内部統制について実際の運用状況の評価の実施時期が期末日以降で
あっても、当年度の財務諸表の適正性を担保する内部統制としては有効に機能
する場合がある。このような場合、評価時点(期末日)における内部統制は有
効であると判断してよいか。
(答)
1.実施基準では、経営者による内部統制評価は、期末日を評価時点として実施
することとされているが、運用状況の評価の実施時期は、期末日後であっても
問題はなく、評価時点(期末日)における内部統制の有効性を判断するために
適切な時期に評価を実施すれば足りることとされている(実施基準Ⅱ3(3)
④ハ)。
2.したがって、開示すべき重要な不備を是正した内部統制の実際の運用状況の
評価の実施時期が期末日以降であっても、当年度の財務報告の信頼性を確保
する内部統制として運用の有効性を確認できた場合には、評価時点(期末日)
において内部統制は有効であると判断することができる。
(注)内部統制は組織内のすべての者が業務の中で遂行する一連の動的なプロ
セスであり、開示すべき重要な不備があれば、その都度是正していくことが
重要である。なお、開示すべき重要な不備が発見された場合でも、期末日ま
でに是正されていれば、財務報告に係る内部統制は有効であると認めるこ
とができる。また、期末日までに是正できなかった場合でも、期末日後に実
施した是正措置や是正に向けての方針等を内部統制報告書に記載すること
ができる(内部統制府令ガイドライン 4-5)。
26
(問46)【電子メール等のデータの保存】
実施基準では、「ITの利用は、例えば、経営者や組織の重要な構成員等が
電子メール等を用いることにより、容易に不正を共謀すること等も可能としか
ねず、これを防止すべく適切な統制活動が必要となることにも留意する必要が
ある」(実施基準Ⅰ2(6)②)とされているが、内部統制報告制度の導入に
伴い電子メール等のデータはすべて保存しなければならないのか。また、どの
くらいの期間の保存が必要か。
(答)
1.実施基準では、全社的な内部統制の評価項目の例示として、「ITを用いて
統制活動を整備する際には、ITを利用することにより生じる新たなリスク
が考慮されているか」という項目が挙げられているが、これは電子メール等の
データを一律に記録・保存することを求めているものではない。
2.経営者は、財務報告に係る内部統制の有効性の評価手続及びその評価結果並
びに発見した不備及びその是正措置に関して作成した記録を保存することが
求められており(実施基準Ⅱ3(7))、電子メール等のデータについても財務
報告に係る内部統制の有効性の評価手続等に関して作成した記録のみを保存
することで足りる。また、保存期間については、特に重要なもの(例えば、企
業内のすべての者、特に財務報告の作成に関連する者に対する信頼性のある
財務報告の作成に関する経営者の方針や指示、重要な電子取引に関するデー
タ)については、例えば、有価証券報告書及びその添付書類の縦覧期間(5年)
を勘案して、それと同程度の期間保存することも考えられるが、いずれにせよ、
その重要性に応じ適切に判断することになる。
(問47)【関連書類への印鑑の押印等】
内部統制の整備及び運用の状況に係る記録として、業務の実施者はすべての
関連書類に印鑑を押印しなければならないのか。また、当該記録はすべて書面
(紙)で保存しなければならないのか。
(答)
1.内部統制の整備及び運用状況に係る記録(実施基準Ⅱ3(7)①ホ)につい
ては、経営者による評価や監査人による監査が実施できる記録が保存されて
いればよく、必ずしも、業務の実施者がすべての関連書類に印鑑を押印するこ
とは求められてはいない。経営者による評価や監査人による監査においては、
27
業務の実施者がすべての関連書類に印鑑を押印しているという形式が重要な
のではなく、内部統制が有効に整備及び運用されていることを確認できるこ
とが重要であると考えられる。
2.また、記録の保存の方法は、必要に応じて適時に可視化できればよく、書面
(紙)のほか、磁気媒体やフィルムなどに保存しておくことも可能であり、後
日、経営者による評価や監査人による監査が可能となるよう、適切に保存して
おくことで足りる(実施基準Ⅱ3(7)②)。
(問48)【開示すべき重要な不備の意義】
基準等では、期末日において「開示すべき重要な不備」が存在する場合には、
内部統制報告書に、その内容及びそれが是正されない理由を記載することとさ
れているが、この「開示すべき重要な不備」とはどのような意義を有している
のか。
(答)
1.「開示すべき重要な不備」とは、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高
い財務報告に係る内部統制の不備をいうこととされている(基準Ⅱ1(4))。
したがって、内部統制に開示すべき重要な不備が存在する場合には、それが財
務報告に重要な影響を及ぼす可能性があるということであり、直ちに当該企
業の有価証券報告書に記載された財務報告が適正でないことを意味するわけ
ではないことに留意する必要がある。
2.期末日において「開示すべき重要な不備」が存在する場合には、経営者は内
部統制報告書において、その内容及びそれが是正されない理由を記載するこ
ととされている(基準Ⅱ4(5)③)が、これは、投資者等に対して、有価証
券報告書に記載された財務報告の内容を利用する際に留意すべき事項として、
財務報告に係る内部統制について「今後改善を要する重要な課題」があること
を開示することに意義がある。
3.したがって、経営者は、「開示すべき重要な不備」を開示することによって、
そのことを企業が抱える様々な経営上の課題の1つとして認識し、自社内の
内部統制が有効となるように改善していくことが重要である。こうした考え
方から、経営者は、内部統制報告書提出日までに開示すべき重要な不備が是正
されていない場合であっても、開示すべき重要な不備の是正に向けての方針、
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当該方針を実行するために検討している計画等がある場合には、その内容を
併せて記載することができることとされている(内部統制府令ガイドライン
4-5)。なお、監査人は、当該方針や計画等の実在性のみを検討することとなる。
(問49)【ダイレクト・レポーティングの不採用】
米国では、内部統制監査について直接報告業務(ダイレクト・レポーティン
グ)を採用しており、監査人は経営者の内部統制の有効性の評価結果とは関係
なく、直接、内部統制の整備及び運用状況を検証すると聞いているが、我が国
では、内部統制監査について直接報告業務を採用していないことから、米国と
は異なり、経営者自らが内部統制の有効性を評価しなければならないのではな
いか。
(答)
1.内部統制監査について直接報告業務(ダイレクト・レポーティング)を採用
している米国においても、経営者は報告書により内部統制の有効性の評価を
行うことが求められていると承知している。
2.なお、我が国においては、内部統制監査について直接報告業務を採用してい
ないことから、通常、評価範囲や評価対象となる統制上の要点は経営者と監査
人で一致することになり、経営者が評価対象としていない統制上の要点を監
査人が独自に追加検証することにはならず、効果的かつ効率的な実務対応が
可能になるものと考えられる。
(注)監査人は、財務諸表監査においては、これまで同様、経営者が評価対象と
していない業務プロセスを独自に検証の対象とすることはありうることに
留意する必要がある。
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(問50)【監査人の監査の開始時期】
監査人は、経営者による内部統制の評価がすべて完了した後でなければ、内
部統制監査を実施できないのか。
(答)
1.実施基準では、監査人に対して、①経営者が決定した評価範囲の妥当性及び
②統制上の要点の識別の妥当性を検討した上で、③内部統制の整備状況及び
運用状況の有効性に関する経営者の評価結果の妥当性を検討することを求め
ている(問 18 参照)。
2.監査人は、経営者が決定した評価範囲や統制上の要点の識別の妥当性につい
ては、通常、経営者がこれらを決定した後でなければ、検証することはできな
いものと考えられるが、監査の効率的な実施の観点から、経営者がこれらを暫
定的に決定した時点において、監査人はその妥当性について予め検証してお
くことが考えられる。
3.一方、内部統制の整備状況及び運用状況の有効性の検証については、経営者
の評価がすべて完了していない場合であっても、監査人は検証することが可
能であると考えられる。
(問51)【内部統制監査と財務諸表監査の監査意見】
監査人は、内部統制監査で開示すべき重要な不備を発見した場合や内部統制
監査で十分かつ適切な監査証拠が得られず意見が表明できない場合には、財務
諸表監査の監査意見も表明できないのか。
(答)
監査人は、内部統制監査で開示すべき重要な不備を発見した場合や内部統
制監査で十分かつ適切な監査証拠が得られず意見が表明できない場合であっ
ても、これまで同様、実証手続により、財務諸表が適正に表示されていること
につき十分かつ適切な監査証拠を入手することができれば、財務諸表監査に
おいて無限定適正意見を表明することができる。
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(問52)【特別な検討を必要とするリスク】
監査人が財務諸表監査において重要なリスク(特別な検討を必要とするリス
ク)を有する勘定科目を認識した場合において、経営者が当該勘定科目に関連
する業務プロセスを評価対象としていないときには、評価対象への追加を求め
る必要があるか。
(答)
1.実施基準において、監査人は、リスクが大きい取引を行っている事業又は業
務の識別が適切でないなど、経営者が評価対象とした業務プロセスが適切で
ないと判断した場合には、財務報告に対する影響の程度等に応じ、経営者に対
し評価対象とした業務プロセスの見直しなど追加的な対応を求めることとさ
れている(実施基準Ⅲ3(2)②ロ)。
2.また、基準において、監査人は、経営者により決定された内部統制の評価の
範囲の妥当性を判断するために、経営者が当該範囲を決定した方法及びその根
拠の合理性を検討する際、財務諸表監査の実施過程において入手している監査
証拠も必要に応じて、活用することが適切であるとされている(実施基準Ⅲ3
(2))。
3.経営者が重要なリスクを有する勘定科目に関連する業務プロセスを評価対
象としていない場合には、監査人は、経営者の評価範囲の決定方法及びその根
拠等について、財務諸表監査の実施過程において入手している監査証拠も必
要に応じて活用しながら、経営者と再度協議を行うことが適切であると考え
られる。
(問53)【監査役等の業務監査の内容の検討】
監査人は、全社的な内部統制の整備及び運用の状況の検討に当たって、監査
役等が実施した業務監査(会計監査を含む。)の内容の妥当性について検討し
なければないのか。
(答)
1.実施基準において、監査人は、監査役等の活動を含めた経営レベルにおける
内部統制の整備及び運用状況を、統制環境、モニタリング等の一部として考慮
するとされている(実施基準Ⅰ4(3))。
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2.また、監査人は、全社的な内部統制の整備及び運用の状況の検討に当たって
は、監査役等における監視機能について、例えば、以下の点に留意して確認す
ることが重要であるとされている(実施基準Ⅲ4(1)②)。
(1)監査役等の責任が記載された規定が存在しているか。
(2)監査役等の開催実績の記録や議事録等が存在しているか。
(3)監査役等の構成員は、内部統制の整備及び運用に関するモニタリングを実
施するため、経営者を適切に監督・監視する責任を理解した上で、それを適
切に実行しているか。
(4)監査役等は、内部監査人及び監査人と適切な連携を図っているか。
3.しかしながら、監査人は、全社的な内部統制の整備及び運用の状況の検討に
当たって、監査役等が行った業務監査(会計監査を含む。)の内容の妥当性自
体を検討することまでは求められていない。
(問54)【削除(平成23年3月31日)】
(問55)【中小規模企業における内部統制の記録】
事業規模が小規模で、比較的簡素な組織構造を有している組織等の場合には、
構成員が少数であり、業務プロセスが簡素であるため、規程やフローチャート
等の内部統制に関する記録が充実していなくても、内部統制が有効に運用でき
ていると確認できる場合があると考えられるが、この場合、監査人はどのよう
に検証を行うことになるのか。
(答)
1.実施基準では、内部統制に関する記録の形式、方法等については、一律に規
定されるものではなく、企業の作成・使用している記録等を適宜、利用し、必
要に応じそれに補足を行っていくことで足りることに留意する。特に、事業規
模が小規模で、比較的簡素な構造を有している組織等においては、様々な記録
の形式・方法をとりうる。例えば、当該会社の経営者からの社内への通達等、
32
当該会社の作成している経営者から組織の内外の者に対する質問書、各業務
の業務内容を前任者から後任者に伝達するための文書等、販売担当者が受注
の際に作成した文書等、ソフトウェアのマニュアル、伝票や領収書などの原資
料、受注入力後販売管理システムから出力される出荷指図書などの業務指示
書等を適宜、利用し、必要に応じてそれに補足を行っていくことで足りること
に留意するとしている(実施基準Ⅱ3(7))。
2.監査人は、内部統制の整備状況については、記録の閲覧や質問等では理解す
ることが困難である場合には、必要に応じ、業務プロセスの現場に赴いて観察
することにより、当該業務プロセスにおいて実施されている手続の適否等を
確認することが考えられる(実施基準Ⅲ4(2)①イ a)。
3.また、内部統制の運用状況についても、記録の閲覧や質問等では検証が困難
な場合には、業務の観察や、必要に応じて適切な管理者又は担当者に再度手続
を実施させることによって検証することが考えられる(実施基準Ⅲ4(2)①
ロ a)。
(問56)【中小規模企業における職務分掌に係る代替的な統制】
事業規模が小規模で、比較的簡素な組織構造を有している組織等において、
職務分掌が不十分の場合、監査人としては代替的な統制として、どのようなも
のを考慮することが考えられるか。
(答)
1.職務分掌は、それ自体が目的ではなく、あくまで重要な虚偽記載につながる
リスクを低減するための手段である。監査人は、職務分掌が不十分な企業等に
おいて内部統制監査を実施するにあたり、代替的な統制が重要な虚偽記載に
つながるリスクを低減しているかを考慮することが考えられる。
2.職務分掌の代替的な統制としては、例えば、以下のようなものが考えられる。
(1)経営者や他の部署の者が、取引報告書等により取引内容を定期的かつ適時
に閲覧している。
(2)経営者や他の部署の者が、担当者が実施した勘定残高調整表等の確認など
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担当者の業務を確認している。
(3)経営者や他の部署の者が、定期的に資産の実地検査や勘定残高の外部確認
などを実施している。
(問57)【削除(平成23年3月31日)】
(問58)【発生可能性の低い内部統制の不備】
開示すべき重要な不備とは、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性が高い財
務報告に係る内部統制の不備であり(基準Ⅱ1(4))、内部統制の不備のうち、
一定の金額を上回る虚偽記載、又は質的に重要な虚偽記載をもたらす可能性が
高いものとされている(実施基準Ⅱ1②ロ)。したがって、内部統制の不備に
ついて、金額的重要性又は質的重要性の要件に該当する場合であっても、重要
な虚偽記載の発生可能性が低いものは開示すべき重要な不備にならないと考
えてよいか。
(答)
1.開示すべき重要な不備の判断指針は、基本的には、財務報告全般に関する虚
偽記載の発生可能性と影響の大きさ(金額的重要性又は質的重要性)のそれぞ
れから判断することとされている(実施基準Ⅱ1②)。
2.全社的な内部統制の不備については、業務プロセスに係る内部統制にどのよ
うな影響を及ぼすかも含め、財務報告に重要な虚偽記載をもたらす可能性に
ついて慎重に検討することとされている(実施基準Ⅱ3(4)①イ)。また、
業務プロセスに係る内部統制の不備についても、①不備の影響が及ぶ勘定科
目等の範囲を検討した上で、②影響が実際に発生する可能性の検討を行うこ
ととされている(実施基準Ⅱ3(4)②ハ)。
3.したがって、内部統制の不備の評価にあたっては、金額的重要性又は質的重
要性の要件に該当する場合であっても、重要な虚偽記載の発生可能性が低い
ものは開示すべき重要な不備にならないものと考えられる。
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(問59)【影響が発生する可能性と発生確率の関係】
実施基準では、監査人は、「(業務プロセスに係る内部統制の不備がどの勘定
科目にどの範囲で影響を及ぼすか検討し、)検討された影響が実際に発生する
可能性を検討する。その際には、発生確率をサンプリングの結果を用いて統計
的に導き出すことも考えられる」(実施基準Ⅲ4(2)④ロ)という記載があ
るが、この場合の「影響が実際に発生する可能性」と「発生確率」は同義と捉
えてよいか。また違う場合は開示すべき重要な不備とはどのような関係にある
のか。
(答)
1.実施基準では、「影響が実際に発生する可能性」を検討する際の1つの方法
として、「発生確率」をサンプリングの結果を用いて統計的に導き出す方法を
例示している。
2.ただし、「発生確率」は「影響が実際に発生する可能性」を考慮する際の判
断要素の1つではあるが、必ずしもそれに限定されるものではないと考えら
れる。例えば、「発生確率」が高い場合であっても、検出された例外事項の大
きさ・頻度、原因、他の内部統制との代替可能性に留意して、リスクの程度を
把握した結果、「影響が実際に発生する可能性」が低いと判断されるときには、
開示すべき重要な不備に該当しないと考えられる。
(注)実施基準では、不備の影響の発生可能性が無視できる程度に低いと判断さ
れる場合には、開示すべき重要な不備の判定から除外することができるとし
ている(実施基準Ⅲ4(2)④ロ)。
(問60)【軽微な不備の報告】
実施基準では「監査人は、開示すべき重要な不備以外の不備を積極的に発見
することを要求されてはいないが、監査の過程において、財務報告に係る内部
統制のその他の不備を発見した場合には、適切な管理責任者に適時に報告しな
ければならない。」(実施基準Ⅲ4(3)①)とされているが、監査人は、軽微
な不備も含め、監査の過程で発見した不備を全て会社に報告しなければならな
いか。
35
(答)
1.ご指摘のとおり、監査人は開示すべき重要な不備以外の不備を積極的に発見
することは要求されていないが、監査の過程において不備を発見した場合に
は、適切な管理責任者に適時に報告することが必要である。
2.しかしながら、経営者においても開示すべき重要な不備の集計の対象となら
ないような影響が非常に僅少な不備まで監査人が報告の対象とすることは合
理的でなく、例えば、必要に応じて、経営者と監査人で協議の上、一定の基準
値を定め、この基準値を下回るような影響が僅少な不備については、報告の対
象としないといったことも考えられる。
(問61)【複数の勘定科目における不備】
実施基準において、「集計した不備の影響が勘定科目ごとに見れば財務諸表
レベルの重要な虚偽記載に該当しない場合でも、複数の勘定科目に係る影響を
合わせると重要な虚偽記載に該当する場合がある。この場合にも開示すべき重
要な不備となる。」(実施基準Ⅱ3(4)②ハ)との記載があるが、この複数の
勘定科目に係る影響を合わせると開示すべき重要な不備に該当する場合とは、
具体的にはどのような場合が想定されているのか。例えば、評価範囲に含まれ
ない福利厚生費に係る不備の影響も合算しなければならないのか。
(答)
1.実施基準では、内部統制の不備が複数存在する場合には、それらの内部統制
の不備が単独で、又は複数合わさって開示すべき重要な不備に該当するか否
かは、同じ勘定科目に関係する不備をすべて合わせ、当該不備のもたらす影響
が財務報告の重要な事項の虚偽記載に該当する可能性があるか否かによって
判断するとされており、評価対象となった各勘定科目(例えば、売上、売掛金、
棚卸資産など)ベースで判断することとなる。
2.評価対象となる勘定科目の範囲は、企業により様々であるが、例えば、1つ
の勘定科目が業種等の特性によって、2つの勘定科目に分割されていると考
えられるような場合には、開示すべき重要な不備の判断に際して、実質的に1
つの勘定科目として評価することが適当であり、そうした場合には、複数の勘
定科目に係る影響を合わせて重要な虚偽記載に該当するかを判断することに
なるものと考えられる。
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(問62)【経営者の評価手続の検証内容】
基準では、「監査人は、内部統制報告書において、経営者が決定した評価範
囲、評価手続、及び評価結果に関して不適切なものがあり、その影響が内部統
制報告書全体として虚偽の表示に当たるとするほどに重要であると判断した
場合には、内部統制報告書が不適正である旨の意見を表明しなければならない」
(基準Ⅲ4(4))とされているが、これに関連して、監査人は、経営者の評
価手続についてどのような検証を行う必要があるのか。
(答)
1.基準等においては、監査人に対して、経営者が実施した評価手続の検証に属
するものとして、経営者が統制上の要点を適切に選定しているかについて検
証することを求めているが、それ以上に、経営者が具体的にどのような評価方
法を行ったかについての検証は、監査人が経営者の評価結果を利用する場合
を除き、求められていない(問 18 参照)。
2.また、内部統制報告書における「評価手続」の記載には、会社の行った手続
のうち、評価範囲内における統制上の要点の選定など財務報告に係る内部統
制の評価結果に重要な影響を及ぼす手続の概要を簡潔に記載することとされ
ており(内部統制府令ガイドライン 4-3)、監査人は、上記の経営者の評価手
続に対する検証結果を踏まえて、当該記載が適正に表示されているかどうか
について意見を表明する必要がある。
(問63)【経営者が評価結果を表明しない場合の監査上の取扱い】
経営者は、必要な評価範囲の内部統制の評価手続を完了できず、その影響が
重要である場合には、評価結果を表明できないと考えるが、そのような理解で
よいか。
このとき、評価を実施した範囲において、開示すべき重要な不備が判明して
いる場合には、当該開示すべき重要な不備の内容等を内部統制報告書に記載す
べきか。
なお、この場合には、監査人は、重要な監査手続を実施できないため、監査
報告書において意見を表明しない旨を記載することになるのか。また、当該開
示すべき重要な不備については監査報告書において追記情報の記載をするこ
とになるのか。
37
(答)
1.経営者は、重要な評価手続が実施できず、全体として、評価結果を表明する
に足る証拠が得られない場合には、内部統制報告書において、「重要な評価手
続が実施できなかったため、財務報告に係る内部統制の評価結果を表明でき
ない旨並びに実施できなかった評価手続及びその理由」(基準Ⅱ4(5)④)
を記載する。
2.しかしながら、経営者が評価を実施した範囲において、開示すべき重要な不
備を識別している場合には、財務報告に係る内部統制が有効でないことは明
らかであることから、内部統制報告書において、実施できなかった評価手続及
びその理由を記載した上で、「開示すべき重要な不備があり、財務報告に係る
内部統制は有効でない旨並びにその開示すべき重要な不備の内容及びそれが
是正されない理由」(基準Ⅱ4(5)③)を記載することになる。
3.なお、監査人が重要な監査手続を実施できない場合には、その影響に応じて、
監査範囲に関する除外事項を付して限定付適正意見を表明するか又は意見表
明をしないこととなる(基準Ⅲ4(5))。この場合、監査人は、強調又は説明
することが適当であると判断した事項として、当該開示すべき重要な不備の
内容を追記情報として記載することも考えられる。
(問64)【やむを得ない事情がある場合の監査意見】
下期の合併等の組織再編や大規模なシステム変更等のやむを得ない事情に
より経営者の評価手続の一部が実施できなかった場合でも、評価を実施できな
いことが財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼすほどではないと判断したと
きには、経営者は、当該部分を評価範囲から除外して評価結果を表明できると
されているが、監査人は、どのような判断により、無限定適正意見を表明する
ことができるのか。
(答)
1.監査人が経営者の評価手続の一部が実施できなかったことに正当な理由が
認められるとして無限定適正意見を表明する場合には、次の点に留意しなけ
ればならない。
(1)経営者による評価が、やむを得ない事情を除き、全体として適切に実施さ
38
れていること。
(2)やむを得ない事情により、十分な評価手続を実施できなかったことが財務
報告の信頼性に重要な影響を及ぼすまでには至っていないこと。
2.例えば、下期の合併等の組織再編や大規模なシステム変更等のやむを得ない
事情により、経営者が基準等に準拠した十分な評価手続を実施できない場合
でも、監査人は、次の事項を考慮することにより、評価手続を実施できなかっ
たことが財務報告の信頼性に重要な影響を及ぼすまでには至っていないと判
断して、無限定適正意見を表明することができると考えられる。
(1)全社的な内部統制の評価結果が有効であること。
(2)合併等の組織再編や大規模なシステム変更等のやむを得ない事情に関連
する財務報告の数値について会社が何らかの確認作業(合併承継財産の引継
の確認作業やシステム移行の確認作業など)を実施していること。
3.なお、監査人は、やむを得ない事情によると認められるとして無限定適正意
見を表明する場合には、十分な評価手続を実施できなかった範囲及びその理
由を追記情報として記載することとなる。
(問65)【監査役等に対する報告の方法や時期】
監査人は、内部統制監査の結果について、監査役等に報告することとされて
いる(基準Ⅲ3(5))が、監査人による報告の方法や時期についてはどのよ
うに考えればよいか。例えば、監査人は、監査役等宛の内部統制監査報告書を
作成することになるのか。
(答)
1.基準等においては、監査人は、内部統制監査の結果について、監査役等に報
告しなければならないこととされている(基準Ⅲ3(5))。
2.ただし、基準等では、監査人の報告の方法や時期について記載しておらず、
ご指摘のような監査役等宛の内部統制監査報告書を作成することは求めてい
ない。
39
3.したがって、監査人による報告の方法や時期については、被監査会社の状況
に応じて、監査人と監査役等との合意により、決定することが適当と考えられ
る。
(問66)【監査役等の監査報告の後に発見した不備】
会社法に基づく監査役等の監査報告(会社法第 381 条第1項、第 399 条の2
第3項第1号、第 404 条第2項第1号)の後に、監査人が内部統制監査により
開示すべき重要な不備を発見した場合には、当該開示すべき重要な不備につい
て監査役等に報告する必要はあるのか。
(答)
1.基準において、監査人は、内部統制監査の過程で発見された内部統制の開示
すべき重要な不備については、会社法監査の終了日までに、経営者、取締役会
及び監査役等に報告することが必要になると考えられるとされている(基準
Ⅲ3(5)(注))。
2.監査人は、通常、会社法監査終了時点において大部分の内部統制監査の手続
は終了していることが想定されるが、会社法監査に関連しない部分(例えば、
有価証券報告書の作成に係る決算・財務報告プロセスの評価の検討)について
は、内部統制監査の手続が終了していないことが考えられる。したがって、監
査人の内部統制監査報告書の日付までの間に実施する監査手続により、監査
役等に報告すべき内容が変更又は追加される可能性があると考えられる。
3.したがって、監査人は、監査役等の監査報告の後であっても、内部統制監査
の過程で開示すべき重要な不備を発見した場合には、監査役等に報告するこ
とが必要であると考えられる。
(問67)【評価範囲の外から開示すべき重要な不備が発見された場合の取扱い】 経営者は、基準及び実施基準に準拠して決定した評価範囲について評価を実
施したが、内部統制報告書を提出した後に、結果的に、当該評価範囲の外(例
えば、その売上高が連結ベースの売上高のおおむね3分の2程度に入らない連
結子会社)から開示すべき重要な不備に相当する事実が見つかった場合には、
内部統制報告書に記載した評価結果を訂正しなければならないのか。また、こ
の場合、監査人が内部統制監査報告書において無限定適正意見を表明していた
ときには、監査意見も訂正しなければならないのか。
40
(答)
1.経営者が、基準及び実施基準に準拠して決定した評価範囲について評価を実
施している場合においては、内部統制報告書を提出した後に、結果的に、評価
範囲の外から開示すべき重要な不備に相当する事実が見つかったとしても、
内部統制報告書に記載した評価結果を訂正する必要はないと考えられる。
(注)実施基準では、開示すべき重要な不備の判断指針(例えば、金額的重要
性として、連結税引前利益のおおむね5%程度)は、不備が開示すべき重
要な不備に該当するか判断する際に用いられるものであり、個別に評価
対象に追加する業務プロセスを決定する際に用いる指針として示したも
のではないことに留意する必要があるとしている(実施基準Ⅱ1②)。し
たがって、例えば、連結ベースの売上高等のおおむね3分の2程度に入ら
ない連結子会社の売上高等が開示すべき重要な不備の判断指針である連
結税引前利益のおおむね5%程度を超えたことをもって、直ちに当該連
結子会社の業務プロセスを評価対象に追加することは求めていない。
2.また、この場合において、監査人は、内部統制監査報告書において無限定適
正意見を表明していたとしても、監査人の監査意見を訂正する必要はないと
考えられる。
3.なお、当該開示すべき重要な不備に相当する事実が見つかった事業年度にお
いては、評価範囲の決定に際して、当該事象に十分留意する必要があるものと
考えられる。
(問68)【開示すべき重要な不備の判断(財務諸表監査による指摘)】
期末日後の財務諸表監査の過程において、財務諸表に記載する予定の数
値等に誤りが発見された場合には、決算・財務報告プロセスに係る内部統
制に開示すべき重要な不備があると判断されることになるのか。
(答)
1.「開示すべき重要な不備」とは、財務報告に重要な影響を及ぼす可能性の高
い財務報告に係る内部統制の不備をいうこととされている。したがって、財務
諸表監査によって財務諸表に記載する予定の数値等の誤りを指摘されたこと
が直ちに開示すべき重要な不備に該当するものではなく、誤り(虚偽記載)を
生じさせた内部統制上の不備の金額的・質的重要性を勘案して開示すべき重
41
要な不備に該当するかどうかを判断することとなる。
2.なお、その際には、監査人から指摘された誤りが会社の内部統制によって防
止・発見できなかったのかどうかという観点から検討する必要があるものと
考えられる。
(問69)【開示すべき重要な不備の判断(財務諸表等のドラフト)】
有価証券報告書に含まれる財務諸表等のドラフトを監査人に提出した
ところ、監査人から個々にはそれほど重要ではないが、多数の誤り(虚偽
記載)等の指摘を受け、指摘された数が多いことなどから開示すべき重要
な不備に該当するのではないかと言われた。会社としては、できるだけ早
く決算書や財務諸表のドラフトを監査人に提出してチェックを受けよう
と考えているのに、ドラフト段階での誤りをもって財務報告に係る内部統
制に開示すべき重要な不備があると指摘されると、会社は、監査人への決
算書や財務諸表のドラフトの提出を遅らせ、ひいては決算発表も遅れると
いうことになりかねない。財務諸表等のドラフトをどう考えたらよいの か。
(答)
1.財務諸表等のドラフトに限らず、指摘された誤りが多いことをもって開示す
べき重要な不備に該当するものではなく、誤り(虚偽記載)を生じさせた内部
統制上の不備の金額的・質的重要性を勘案して開示すべき重要な不備に該当
するかどうかを判断することとなる(問68参照)。
2.したがって、財務諸表等のドラフトについても、監査人から指摘された誤り
等が、会社の内部統制によって防止・発見できなかったのかどうかという観点
から検討する必要があるものと考えられる。
3.なお、財務諸表等のドラフトについては、会社がどのような位置づけで監査
人に提出したかによっても開示すべき重要な不備の判断は異なるものと考え
られる。すなわち、監査を受ける前提としてのドラフトなのか、監査人との協
議を目的とするドラフトなのかによって異なることが考えられる。開示にお
いて高度な専門的判断を伴う場合に、後者のような協議を行うことは、従来の
財務諸表監査の過程でも行われている実務であると考えられ、この場合、協議
42
の過程で、重要な虚偽記載が発見されることがあっても、内部統制の開示すべ
き重要な不備と判断する必要はないものと考えられる。
(問70)【開示すべき重要な不備の判断(決算短信)】
決算短信を公表後、会社の内部統制により決算短信の内容に重要な誤り
(虚偽記載)を発見し、有価証券報告書及び内部統制報告書を提出する前
に決算短信を訂正した。この場合、決算短信を訂正したことをもって「開 示すべき重要な不備」があると判断しなければならないのか。
(答)
1.内部統制報告制度の対象とする内部統制は、(連結)財務諸表を中心とした
財務報告が法令等に従って適正に作成されるための体制である。
2.したがって、決算短信が訂正されたことをもって直ちに開示すべき重要な不
備があることにはならず、決算短信公表後に、会社の内部統制が有効に機能し
たことによって発見された虚偽記載を訂正し、有価証券報告書が適正に開示
されるのであれば、「開示すべき重要な不備」には該当しないものと考えられ
る。
(問71)【有価証券報告書の訂正報告書の提出と内部統制報告書】
財務報告に係る内部統制は有効である(開示すべき重要な不備がない)と
記載した内部統制報告書を、有価証券報告書と併せて提出した後に、財務諸
表に記載した数値に誤りがあったとして有価証券報告書の訂正報告書を提
出することになった。この場合、「開示すべき重要な不備」がないと記載し
た内部統制報告書についても併せて訂正報告書を提出しなければならない のか。
(答)
1.内部統制報告制度の対象とする内部統制は、(連結)財務諸表を中心とした
財務報告が法令等に従って適正に作成されるための体制である。
2.したがって、有価証券報告書の訂正報告書が提出されたことをもって、直ち
43
に連動して財務報告に係る内部統制に開示すべき重要な不備がないと記載し
た内部統制報告書について訂正報告書を提出しなければならないということ
にはならない。ただし、有価証券報告書の訂正報告書を提出する原因となった
誤りを検討し、当該誤りが適切に決定された内部統制の評価範囲内からの財
務報告に重要な影響を及ぼすような内部統制の不備から生じたものであると
判断される場合には、当該内部統制報告書についての訂正報告書の提出が必
要になるものと考えられる。
3.なお、適切に決定された評価範囲の外から開示すべき重要な不備に相当する
事実が発見された場合には、内部統制報告書に記載した評価結果を訂正する
必要はないと考えられる(問 67 参照)。
(問72)【期末日に存在しない業務プロセスの評価】
期中に行われた組織変更や事業譲渡などにより、期末日には存在しなく
なった子会社や事業部に係る業務プロセスについては、実施基準に「変更
されて期末日に存在しない内部統制については、評価する必要はない」と
されていることから、当該業務プロセスに関しては全く評価しないことと
してよいか。
(答)
1.経営者による内部統制評価は、期末日を評価時点として行う(基準Ⅱ3⑴)
ことから、変更されて期末日に存在しない内部統制については、評価する必要
がない(実施基準Ⅱ3⑶④ハ)とされている。
2.したがって、期中に行われた組織変更や事業譲渡などにより期末日に存在し
なくなった子会社や事業部に係る業務プロセスそのものについては、原則と
して評価する必要はないものと考えられる。
3.ただし、当該子会社等の計上した損益や譲渡等に伴う損益等が連結財務諸表
に重要な影響を与える場合には、連結財務諸表を作成する親会社の決算・財務
報告プロセスにおいて、期末日には存在しない当該子会社等に係る損益等を
適切に把握するための内部統制を評価することが必要になるものと考えられ
る。
44
4.なお、経営者は、必要に応じて、評価の計画段階で把握した事象や状況が変
化した場合、あるいは評価の過程で新たな事実を発見した場合には、評価範
囲を検討し、監査人と協議することが適切であるとされており、留意するこ
とが必要である(実施基準Ⅱ2(3))。
(問73)【子会社の売却等により重要な事業拠点の選定指標が一定の割
合に達しない場合の取扱い】
期末日に存在しない業務プロセスに係る内部統制について評価する必
要はないとされているが、重要な事業拠点として評価対象としていた子会
社を期末日直前に売却し、当該子会社を評価対象から除外した結果、期末
日時点において、連結ベースの売上高等の一定割合に達しなくなったよう
な場合には、一定割合に達するまで、評価対象に新たな事業拠点(子会社
等)を追加しなければならないのか。
(答)
1.経営者は、評価範囲を決定する計画段階で、評価対象年度に予定している子
会社の売却等についても、一定程度考慮して評価範囲を決定することが適当
であると考えられる。
当該事情も考慮して適切に評価範囲を決定している場合には、評価対象と
していた当該子会社の売却等までの期間については、期末日に存在する他の
重要な事業拠点と同様に内部統制の整備等を行っていたものとも考えられる。
このため、全社的な内部統制が有効であることを前提として、計画段階で予定
していなかった当該子会社の売却等に対応して、期末日時点で一定割合を必
ず超えていなければならないということにはならないものと考えられる。
なお、この場合、当該子会社等の計上した損益や譲渡等に伴う損益等は、連
結財務諸表を作成する親会社の決算・財務報告プロセスにおいて適切に把握
されることとなる。
2.したがって、重要な事業拠点に該当するとして評価範囲にしていた子会社を
期末日直前に売却等し、評価範囲から除外した結果、期末日時点において、連
結ベースでの売上高等の一定割合に達しなくなった場合であっても、当該事
情も考慮して予め評価範囲を決定していたと認められる場合には、除外した
子会社の代わりに、評価対象に新たな事業拠点(子会社)を追加するなど改め
て当期の評価範囲を見直す必要はないものと考えられる。
45
3.なお、経営者は、必要に応じて、評価の計画段階で把握した事象や状況が変
化した場合、あるいは評価の過程で新たな事実を発見した場合には、評価範囲
を検討し、監査人と協議することが適切であるとされており、留意することが
必要である(実施基準Ⅱ2(3))。
(問74)【業績悪化等により重要な事業拠点の選定指標が一定の割合に達
しない等の場合の取扱い】
評価範囲については、監査人とも協議して、前年度の連結ベースの売上
高を基本に当期の業績予想も踏まえて決定することとしている。重要な事
業拠点として選定されている親会社の業績悪化や期中の大幅な為替変動
等の結果、期末日時点において、当初の評価範囲とした事業拠点の売上高
等の合計が一定割合に達しなくなる場合には、売上高の一定割合に達する
まで、評価対象に新たな事業拠点(子会社)を加えなければならないのか。
また、仮に、このような事情に基づいて、新たに評価対象に加えた事業
拠点の内部統制の一部について、十分な評価手続を実施できない場合に
は、「やむを得ない事情」に該当すると考えて良いか。
反対に、連結グループ全体の売上高が減少したことにより、当初の評価
範囲とした重要な事業拠点の売上高等の合計が上記の一定割合を大幅に
超過してしまったが、当該一定割合程度になるまで重要な事業拠点の主要 な勘定科目に係る業務プロセスを絞り込んでもよいか。
(答)
1.経営者は、評価範囲を決定する計画段階で、前年度の売上高なども参考に当
期の業績予想も一定程度考慮して評価範囲を決定することが適当であると考
えられる。計画段階でそうした事情も考慮して適切に評価範囲を決定してい
るのであれば、全社的な内部統制が有効であることを前提として、一定割合を
著しく下回らない限りにおいて、選定している重要な事業拠点をもって適切
な評価範囲であると判断することが可能であり、当期の内部統制の評価範囲
を見直す必要はないと考えられる。
2.その上で、仮に、一定割合を著しく下回るとして新たに評価対象に加えた事
業拠点(子会社)があり、その一部について十分な評価手続を実施できない場
46
合、そのことをもって直ちに「やむを得ない事情」には該当しない場合がある
が、その際にも、評価範囲の制約としてその内容を記載することとなる。
3.実施基準において、売上高等の一定割合は重要な事業拠点の選定に係る指標
であり、重要な事業拠点における事業目的に大きく関わる勘定科目に至る業
務プロセスについては原則としてすべてを評価の対象とするとされているこ
とから、当該業務プロセスを絞り込むことは適切でない。
なお、当初の評価範囲とした事業拠点の売上高等の合計額が一定割合を超過
することとなった場合、重要な事業拠点自体を一定割合まで除外することも考
えられる。その際には、既に当初の評価範囲に基づいて内部統制の整備等を実
施しているものと考えられること、及び当初の評価範囲の決定に際しては売上
高等の指標以外の要素も勘案して決定している場合もあることから、当該超過
の事実により、評価範囲の見直しをするときには、慎重に検討を行う必要があ
る。
4.なお、経営者は、必要に応じて、評価の計画段階で把握した事象や状況が変
化した場合、あるいは評価の過程で新たな事実を発見した場合には、評価範
囲を検討し、監査人と協議することが適切であるとされており、留意するこ
とが必要である(実施基準Ⅱ2(3))。
(問75)【開示すべき重要な不備の判断(売掛金の残高確認)】
監査人が期末日を基準として実施した売掛金の残高確認において、得意
先への売掛金の照会(確認状)に対する回答額と帳簿残高に差異があった。
監査人から当該事実は開示すべき重要な不備であると指摘を受けたが、直 ちに開示すべき重要な不備であると判断しなければならないのか。
(答)
1. 監査人の行った残高確認において、回答額と帳簿残高に差異があった場合、
会社が既にその原因を解明の上、差異の調整を実施し、適切な残高に修正して
いる場合には、会社の内部統制は有効に機能していると判断できるものと考
えられる。
2.一方、監査人が行った照会(確認状)による差異について、会社が当該差異
の原因を明らかにできない場合や適切に差異の調整を行い残高の修正を行わ
47
ないような場合には、内部統制上の不備によるものとして、開示すべき重要な
不備となり得る場合があると考えられる。
(問76)【期末日後に実施される統制手続】
売上プロセスにおける最も重要な統制手続として、期末日の売掛金残高
を対象に実施する管理手続を位置づけているが、期末日現在の売掛金残高
を対象とした管理手続の運用評価は、期末日までに完了せず期末日後にも
かなりの期間実施される。このため、監査人から、当該統制手続は期末日
時点で存在しているものと確認できないのではないかと指摘され、新たな
統制手続を構築し、当該手続を評価対象とするように言われた。しかし、
従来から同様の管理手続を行っており、それを確認することで十分と判断 してもよいのではないか。
(答)
1.実施基準では、経営者による内部統制評価は、期末日を評価時点として実施
することとされているが、運用状況の評価の実施時期は、期末日後であっても
問題なく、評価時点(期末日)における内部統制の有効性を判断するための適
切な時期に評価を実施すれば足りるとされている(実施基準Ⅱ3⑶④ハ)。
2.また、監査人による内部統制の整備状況及び運用状況の有効性の検証につい
ては、経営者の評価がすべて完了していない場合であっても、実施することが
可能であると考えられる(問 50 参照)。
3.ご指摘の売掛金残高に係る管理手続が最も重要な統制手続と位置づけてい
るのであれば、より適切な内部統制を構築し評価することが必要になるもの
と考えられるが、売掛金の管理手続は、同様の手続が前年度や月次あるいは四
半期にも行われていると考えられ、監査人は経営者の暫定的な評価について、
その妥当性の検証を行っておくことも考えられる。したがって、必ずしも従来
の統制手続を変更し、新たな統制手続を構築し直さなければならないという
ことではないと考えられる。
48
(問77)【開示すべき重要な不備の判断指標】
利益が毎年大きく変動するので、開示すべき重要な不備を判断する指標
として、連結税引前利益ではなく、連結総売上高等の指標を使用すること
としていたが、業績の変動により、社内から連結総売上高等の指標も適切
でないとの指摘が出ている。当初、決めていた開示すべき重要な不備を判
断する指標を変更することは可能か。また、当該指標を毎年変更するよう
な取扱いは認められるのか。
(答)
1.実施基準において、開示すべき重要な不備の金額的重要性の判断指標として、
連結総資産、連結売上高、連結税引前利益などに対する比率で判断するとされ
ており、これらの比率は画一的に適用するのではなく、会社の業種、規模、特
性など、会社の状況に応じて適切に用いる必要がある。連結総資産、連結売上
高、連結税引前利益などは、評価対象年度の実績値のみならず、それぞれの過
去の一定期間における実績値の平均を含むことに留意する(実施基準Ⅱ1②
ロ)。
2. したがって、企業の状況に応じて指標等を変更することは可能ではあるが、
恣意的に変更することは適切でなく、特に、予め定めていた指標を年度途中で
変更する場合には、監査人と十分協議し、変更にあたっての合理的な理由が必
要であると考えられる。
(問78)【システム変更に係る内部統制の評価方法】
システム変更に関する内部統制の評価において、変更依頼どおりにシス
テムが変更されたかを検証することは可能であるが、監査人から、逆に変
更されたプログラムを任意抽出し、それがどのような手続で依頼・承認さ
れたものであるか確認することが必要であると言われた。こうした逆方向
の確認は、多大な労力がかかる場合がある。こうした確認は、必ず実施す る必要があるのか。
(答)
1.システム変更に関するITに係る全般統制の評価については、システム変更
が行われた当該システムの重要性や内容等により、評価や監査の手法は異な
49
るものと考えられるが、基本的には、変更依頼どおりにシステムが変更された
かについて承認及び導入前の試験が適切に行われているかどうかを確認する
ことになると考えられる(実施基準Ⅲ4⑵②ロa)。この場合に、変更依頼又
は変更されたプログラム等からサンプリングし、それがどのような手続で依
頼・承認されたものであるかを確認する方法が考えられるが、必ず双方が求め
られるのではなく、状況に応じて適切な手続を実施する必要がある。
2.実施基準においては、システム変更等があった場合、ITに係る業務処理統
制の整備状況については、システム設計書等を閲覧することにより、企業の意
図した会計処理が行われるシステムが作成されていることを確認することと
されている。また、運用状況については、例えば、評価対象となった統制上の
要点ごとに、サンプリングを行い、当該取引に係るシステムへの入力情報とシ
ステムからの出力情報を比較し、予想していた出力情報が得られているかを、
例えば、入力データに基づいて、検算を行うこと等により確認するとされてい
る(実施基準Ⅲ4⑵②ハ)。
(問79)【決算日が相違する子会社の内部統制の評価】
内部統制府令5条3項では、事業年度の末日が連結決算日と異なる連結
子会社については、連結子会社の事業年度の末日後連結決算日までの間に
当該連結子会社の財務報告に係る内部統制に重要な変更があった場合を
除き、連結子会社の事業年度の末日における内部統制の評価を基礎として
行うことができることとされているが、「当該連結子会社の財務報告に係
る内部統制に重要な変更があった場合」とは、どのように判断すればよい
のか。
例えば、連結子会社の事業年度に係る財務諸表を基礎として会社の連結
財務諸表を作成している場合において、連結子会社の事業年度の末日後に
当期の連結財務諸表には影響を及ぼさないような事象が発生した場合(連
結子会社が新たな事業を開始した場合や翌事業年度に係る新たな会計シ
ステムを導入した場合など)であっても、「当該連結子会社の財務報告に
係る内部統制に重要な変更があった場合」に該当し、当該変更のあった内
部統制について、連結決算日における評価対象としなければならないの か。
50
(答)
1.内部統制府令5条3項は、事業年度の末日が連結決算日と異なる連結子会社
について、連結子会社の事業年度に係る財務諸表を基礎として会社の連結財
務諸表が作成されている場合には、連結子会社の事業年度の末日における財
務報告に係る内部統制の評価を基礎として行うことができる旨を定めている
ものであり、連結財務諸表を作成する際の連結子会社の事業年度の取扱いと
同様にしているものである。
2.したがって、連結子会社の事業年度に係る財務諸表を基礎として会社の連結
財務諸表が作成されている場合において、連結子会社の事業年度の末日後に
当期の連結財務諸表には影響を及ぼさないことが確実であると考えられる事
象が発生した場合には、「当該連結子会社の財務報告に係る内部統制に重要な
変更があった場合」には該当せず、連結子会社の事業年度の末日における内部
統制の評価を基礎として行うことができると考えられる。
3.なお、内部統制府令ガイドライン 5-1 では、「当該連結子会社の財務報告に
係る内部統制に重要な変更があった場合」の例として、合併等による組織、決
算方法及び取扱品目の大幅な変更が例示されているが、連結子会社の事業年
度の末日後に発生した事象については、個々の企業等の置かれた環境や事業
の特性、規模等によってその重要性は異なることから、当該事象の当期の財務
報告に係る内部統制に与える影響の重要性を勘案して、「当該連結子会社の財
務報告に係る内部統制に重要な変更があった場合」に該当するかどうかを適
切に判断することになると考えられる。
(問80)【最高財務責任者の決定】
内部統制報告書に記載する最高財務責任者は、具体的には、どのような
者が考えられるのか。いわゆるCFOがいる場合には、必ずその者が最高
財務責任者になるのか。また、最高財務責任者を定めるにあたって、取締
役会の決議等何らかの手続は必要となるのか。
(答)
1.内部統制報告書に役職氏名を記載する最高財務責任者とは、「会社が、会社
内部における役職のいかんにかかわらず、財務報告に関し代表者に準ずる責
任を有する者を定めている場合における当該者をいい、単に財務担当してい
51
る者は、含まない」とされている。
2.したがって、会社に、既にいわゆるCFOと呼ばれる者がいる場合であって
も、会社が会社の組織や職制などを勘案し、別の者が内部統制報告制度に関し
て、代表者に準じる責任を有する者として適切であると定めている場合には、
当該者が「最高財務責任者」となると考えられる。
3.なお、最高財務責任者は会社が任意に定めればよく、法令上取締役会等の決
議を必要としているものではなく、最高財務責任者についての届出や登記等
も求められていない。
(問81)【内部統制報告書提出の取締役会の承認】
実施基準において、取締役会が財務報告の信頼性を確保するための内部
統制の整備及び運用を監督、監視、検証していないことが全社的な内部統
制の不備の例示として記載されている。このため、内部統制報告書を提出
するに際しては、取締役会の承認等を経ておくことが必要になるのか。
(答)
1.実施基準においては、財務報告に係る全社的な内部統制に関する評価項目の
例として、「取締役会及び監査役等は、財務報告とその内部統制に関し経営者
を適切に監督・監視する責任を理解し、実行しているか。」を統制環境に記載
している。
2.内部統制報告書は、経営者(代表者及び最高財務責任者)が当該会社の財務
報告に係る内部統制の整備及び運用状況を評価した結果を記載して提出する
ものである。したがって、経営者が適切な内部統制報告書を提出するよう取締
役会等が監督・監視することは全社的な内部統制としても重要であると考え
られる。
3.ただし、取締役会等による当該監督・監視の方法等は会社により様々であり、
内部統制報告書の提出に際しての取締役会の承認が必ずしも必要なものでは
ないと考えられる。
52
(問82)【統合された監査報告書の写しの添付】
内部統制監査報告書は、財務諸表等の監査報告書と合わせて作成するこ
とになっているが、この統合した監査報告書は、有価証券報告書にのみ添
付すればよいのか。内部統制報告書は有価証券報告書と別の開示書類とし
て(EDINETを通じて)提出するので、当該監査報告書の写しを任意
に内部統制報告書にも添付してはいけないのか。
(答)
1.内部統制府令ガイドライン 7-3 において、「統合された監査報告書及び内
部統制監査報告書は、有価証券報告書の連結財務諸表(連結財務諸表を作成し
ていない場合にあっては、財務諸表)のみに添付することとし、内部統制報告
書には添付しないことに留意する。」とされている。
2.また、作成者の負担や開示会社間での添付のバラツキを避ける観点、監査人
は当該統合された監査報告書について有価証券報告書のみに添付されること
を念頭に作成しているものであると考えられること等を勘案すると、当該統
合された監査報告書の写しについても、内部統制報告書に添付しないことが
適当である。
(問83)【付記事項に記載すべき後発事象】
内部統制報告書の付記事項に記載すべき「財務報告に係る内部統制の有
効性の評価に重要な影響を及ぼす後発事象」とは、何を意味しているのか。
具体的にはどのようなことを記載すればよいのか。
(答)
1.内部統制報告書の付記事項に記載すべき「財務報告に係る内部統制の有効性
の評価に重要な影響を及ぼす後発事象」は、「事業年度の末日後、内部統制報
告書の提出日までに、財務報告に係る内部統制の有効性の評価に重要な影響
を及ぼす事象が発生した場合には、当該事象を記載すること」とされている
(内部統制府令第一号様式(記載上の注意)⑼a、第二号様式(記載上の注意)
⑽a)。
2.後発事象には、①当該事業年度の内部統制の有効性の評価に重要な影響を及
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ぼす事象、②次年度以降の内部統制の有効性の評価に重要な影響を及ぼす事
象の双方が考えられるが、①の当該事業年度の内部統制の有効性の評価に重
要な影響を及ぼす事象については、当初の評価の見直しが必要になるものと
考えられることから、付記事項に記載すべき後発事象としては、②の次年度以
降の内部統制の有効性の評価に重要な影響を及ぼす事象を記載することとな
る。
3.具体的には、事業年度の末日後、内部統制報告書提出日までに行われた会社
の合併や買収、事業の譲渡や譲受、大幅な組織変更、基幹システムの全面更改
などのうち、次年度以降の企業集団に係る財務報告のリスクに重要な変更を
もたらすことで、内部統制の有効性の評価に重要な影響を及ぼすものが発生
した場合には当該事象の内容を記載することが考えられる。
(問84)【特記事項の監査】
内部統制報告書において、「特記事項」は必ず記載しなければならないの
か。また、特記事項に記載した場合には、監査人の内部統制監査の対象と なるのか。
(答)
1.内部統制報告書の特記事項には、「財務報告に係る内部統制の評価について
特記すべき事項がある場合には、その旨及び内容を記載すること」(内部統制
府令第一号様式(記載上の注意)⑽、第二号様式(記載上の注意)⑾)とされ
ている。
2.したがって、会社が、内部統制の評価について、特記すべき事項がないと判
断した場合には記載する必要がないものと考えられる。なお、内部統制監査は、
内部統制報告書の表示を対象に行われることから、特記事項も内部統制監査
の対象となるものと考えられる。
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(問85)【財務諸表の信頼性に重要な影響を及ぼす開示事項等】
財務報告の定義に含まれる「財務諸表の信頼性に重要な影響を及ぼす開
示事項等」の範囲はどのようなものか。
(答)
1.「財務諸表の信頼性に重要な影響を及ぼす開示事項等」とは、有価証券報告
書等における財務諸表以外の開示事項等で次に掲げるものをいう(実施基準
Ⅱ1①ロ)。
(1)財務諸表に記載された金額、数値、注記を要約、抜粋、分解又は利用
して記載すべき開示事項
(2)関係会社の判定、連結の範囲の決定、持分法の適用の要否、関連当事
者の判定その他財務諸表の作成における判断に密接に関わる事項
とされているが、これらは、有価証券報告書の「経理の状況」に記載される
開示事項に限定されないことに留意が必要である。
2.1の(1)の事項としては、例えば、有価証券報告書の記載事項中、「企業
の概況」の「主要な経営指標等の推移」の項目、「事業の状況」の「業績等の
概要」、「生産、受注及び販売の状況」、「事業等のリスク」、「研究開発活動」及
び「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の項目、「設
備の状況」の項目、「提出会社の状況」の「株式等の状況」、「自己株式の取得
等の状況」、「配当政策」及び「コーポレート・ガバナンスの状況等」の項目、
「経理の状況」の「主要な資産及び負債の内容」及び「その他」の項目、「保
証会社情報」の「保証の対象となっている社債」の項目並びに「指数等の情報」
の項目のうち、財務諸表の表示等を用いた記載が挙げられる(実施基準Ⅱ1①
ロ a)。
この点に係る経営者の評価は、財務諸表に記載された内容が適切に要約、
抜粋、分解又は利用される体制が整備及び運用されているかについて行うも
のであることに留意する。
3.1の(2)の事項としては、例えば、有価証券報告書の記載事項中、「企業
の概況」の「事業の内容」及び「関係会社の状況」の項目、「提出会社の状況」
の「大株主の状況」の項目における関係会社、関連当事者、大株主等の記載事
項が挙げられる(実施基準Ⅱ1①ロ b)。
この点に係る経営者の評価は、これらの事項が財務諸表作成における重要
な判断に及ぼす影響の大きさを勘案して行われるものであり、必ずしも上記
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開示項目における記載内容の全てを対象とするものではないことに留意が必
要である。
例えば、「大株主の状況」の項目については、「大株主の状況」に記載してい
るすべての情報に係る内部統制を評価範囲とするのではなく、株式の保有割
合が 50%や 20%といった比率を超えるかどうかといった関係会社の判定や関
連当事者の判定に重要な影響を及ぼす部分に係る内部統制を評価範囲に含め
ることになると考えられる。
(問86)【在外関連会社の評価】
持分法適用となる在外関連会社について、所在地国に適切な内部統制報
告制度がある場合には、当該制度を適宜活用することが可能か。また、所
在地国に内部統制報告制度がない場合であっても、歴史的、地理的な沿革
等から我が国以外の第三国の適切な内部統制報告制度が利用できること
が考えられ、そのような場合には、これを適宜活用することが可能か。
持分法適用となる在外関連会社が他の会社の子会社であって、当該関連
会社の親会社について、所在地国に適切な内部統制報告制度がある場合に
も、当該制度を適宜活用することが可能か。
(答)
1.連結対象となる在外子会社並びに持分法適用となる在外子会社及び在外関
連会社(以下、「在外子会社等」という。)は評価範囲を決定する際の対象に含
まれる。
2.在外子会社等について、所在地国に適切な内部統制報告制度がある場合には、
当該制度を適宜活用することが可能である(実施基準Ⅱ2(1)①ハ)。
3.また、所在地国に内部統制報告制度がない場合であっても、歴史的、地理的
な沿革等から我が国以外の第三国の適切な内部統制報告制度を利用すること
が考えられ、そのような場合には、これを適宜利用することが可能である(同
上)。
4.持分法適用となる在外関連会社が他の会社の子会社であって、当該関連会社
の親会社について、所在地国に適切な内部統制報告制度がある場合にも、当該
関連会社が当該内部統制報告制度の評価範囲に含まれている場合には、当該
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制度を適宜活用することが可能であると考えられる。
(問101)【削除(令和5年8月31日)】
(問102)【削除(令和5年8月31日)】
(問103)【削除(令和5年8月31日)】
(問104)【削除(令和5年8月31日)】
(問104-1)【評価範囲の実績値の記載】
内部統制報告書に、重要な事業拠点の選定指標と一定割合を記載す
ることになるが、一定割合の実績値を記載する必要があるか。
(答)
例えば、企業が重要な事業拠点を選定する際の一定割合として、「お
おむね3分の2程度」というように選定の方針を記載しているのであれ
ば、実績値は不要であり、方針とした一定割合を記載することで足りる
ものと考えられる。
(注)なお、売上高等のおおむね3分の2程度を相当程度下回る場合(実
施基準Ⅱ2(2)①(注2))における評価範囲の決定方法及び根拠等
についても記載することになるものと考えられる。
(問104―2)【削除(令和5年8月31日)】
(問104―3)【削除(令和5年8月31日)】
(問105)【削除(令和5年8月31日)】
(問106)【削除(令和5年8月31日)】
(問107)【削除(令和5年8月31日)】
(問108)【内部統制報告書の記載内容(付記事項及び特記事項)】
4【付記事項】及び5【特記事項】は、該当する事項がない場合、どのよ
うに記載することが考えられるか。
(答)
該当する事項がない場合には、「該当事項なし」と記載することとなる。
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(参考)
○ 内部統制府令第一号様式記載上の注意⑼
a 財務報告に係る内部統制の有効性の評価に重要な影響を及ぼす後
発事象
事業年度の末日後、内部統制報告書の提出日までに、財務報告に
係る内部統制の有効性の評価に重要な影響を及ぼす事象が発生した
場合には、当該事象を記載すること。
(注)(問83)【付記事項に記載すべき後発事象】参照
b 事業年度の末日後に開示すべき重要な不備を是正するために実施
された措置がある場合には、その内容
事業年度の末日において、開示すべき重要な不備があり、財務報告
に係る内部統制が有効でないと判断した場合において、事業年度の末
日後内部統制報告書の提出日までに、当該開示すべき重要な不備を是
正するために実施された措置があるときは、その内容を記載するこ
と。なお、当該提出日までに、当該措置により当該開示すべき重要な
不備を是正し、財務報告に係る内部統制が有効であると判断した場合
には、当該措置の内容と併せて当該措置が完了した旨を記載すること
ができる。
c 当事業年度の直前事業年度に係る内部統制報告書に開示すべき重
要な不備を記載している場合には、その是正状況
当事業年度の直前事業年度に係る内部統制報告書に開示すべき重
要な不備を記載している場合において、当事業年度の末日までに当該
開示すべき重要な不備を是正するために実施された措置があるとき
は、その内容及び当該措置による当該開示すべき重要な不備の是正状
況を記載すること。ただし、当該是正状況の記載内容が当該内部統制
報告書に記載している事項又は当事業年度に係る内部統制報告書に
記載する⑻cに掲げる事項と同一の内容となる場合には、これを記載
しないことができる。
○ 内部統制府令第一号様式記載上の注意⑽
財務報告に係る内部統制の評価について特記すべき事項がある場合
には、その旨及び内容を記載すること。
(注)(問84)【特記事項の監査】参照
以 上
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