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会計制度委員会研究報告第11号

継続企業の前提が成立していない会社等における

資産及び負債の評価について

<目 次>

平 成 17年 4 月 12日

日本公認会計士協会

1.はじめに .............................................................. 1

2.本研究報告の対象会社.................................................. 1

3.実務上の問題点........................................................ 2 (1) 解散会社 ...................................................................2 (2) 更生会社 ...................................................................2 (3) 民事再生会社 ...............................................................2 (4) 被合併会社 .................................................................3

4.対象会社における資産及び負債の評価.................................... 3 (1) 解散会社の場合 .............................................................3 ① 法律上の取扱い ...........................................................3 ② 会計上の考え方 ...........................................................4 (2) 更生会社の場合 .............................................................4 ① 法律上の取扱い ...........................................................4 ② 会計上の考え方 ...........................................................5 (3) 民事再生会社 ...............................................................6 ① 法律上の取扱い ...........................................................6 ② 会計上の考え方 ...........................................................7 (4) 被合併会社 .................................................................7 ① 法律上の取扱い ...........................................................7 ② 会計上の考え方 ...........................................................8

5.継続企業の前提が成立していない会社に関する基本的な考え方 ............. 8 (1) 継続企業の前提が成立していない会社の範囲...................................8 (2) 財務諸表が提供すべき内容...................................................9 (3) 資産及び負債の評価替えの意義...............................................9 (4) 評価替えに用いられる価額..................................................10 (5) 評価替えが困難な場合の取扱い..............................................11

6.我が国における事例研究の結果......................................... 11 (1) 現行制度上の問題点........................................................11 (2) 今後の対応 ................................................................11

7.諸外国における取扱い................................................. 12

【参考資料】 ............................................................. 14

〔資料1〕 解散会社に関する法律上の取扱い

〔資料2〕 会社更生法と民事再生法との相違点

〔資料3〕 我が国の会計基準における時価の定義

〔資料4〕 評価替えに用いられる価額と時期の基本的な関係図

〔資料5〕 継続企業の前提に関する開示と監査の事例分析

〔資料6〕 解散会社、更生会社及び民事再生会社における監査意見の類型(参考例)

〔資料7〕 諸外国における取扱い

1.はじめに

企業会計審議会が平成14年1月25日に「監査基準の改訂に関する意見書」(以下「監査基

準」という。)を公表したことを契機として、我が国においても継続企業の前提に関する開

示と監査が制度化された。これに対応して当協会では、開示上の取扱いとして平成14年11

月6日に監査委員会報告第74号「継続企業の前提に関する開示について」(以下「開示実務

指針」という。)を公表するとともに、監査上の取扱いとして平成14年7月29日に監査基準

委員会報告書第22号「継続企業の前提に関する監査人の検討」(以下「監査実務指針」とい

う。)を公表している。

このような監査基準や実務指針に基づき、継続企業の前提に関する開示と監査は平成15

年3月決算会社から実施されているが、今日においては、財務諸表における継続企業の前

提に関する注記や監査報告書における追記情報の記載について一定の事例が見受けられる

など、継続企業の前提に係る実務は定着しつつあるといえる。

しかし、監査基準においては、経営者は継続企業の前提が成立しているかどうかを判断

し、継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象や状況について適切な開示を行うことが

求められているが、継続企業の前提が成立していないことが明らかな場合において、経営

者はいかなる基準を適用して財務諸表を作成すればよいのかについては不明確となってい

る。現行制度下においては継続企業を前提とする会計基準しか存在しないため、継続企業

でないことが明らかな解散決議をした会社のほか、裁判所の管理下において一定の法定手

続の実施により更生・再生を目指している会社等の資産及び負債の評価に関する考え方が

明確にされていない。

本来、継続企業の前提に重要な疑義を抱かせる事象又は状況が存在していると判断され

るような会社においては、経営者は、継続企業の前提に関してどのような事項を注記すべ

きかといったことを検討するだけでなく、資産や負債の帳簿価額の適否についてより慎重

な判断が求められるものと考えられる。

したがって、本研究報告では、継続企業の前提が成立していない会社等を対象として、

継続企業を前提とする会計基準の適用に関する問題点や資産及び負債の評価に関する会計

上の考え方等を検討することにより、継続企業の前提が成立していない会社の資産及び負

債の評価に関する基本的な考え方を整理し、今後の実務の参考に資することとした。

2.本研究報告の対象会社

継続企業の前提に関する開示と監査が制度化されたことに伴い、今日においては、経営

者は継続企業の前提が成立しているかどうかを評価した上で財務諸表を作成しなければな

らず、また、監査人はそのような経営者の評価を踏まえ継続企業を前提として財務諸表を

作成することが適切かどうかを検討しなければならないこととなっている。

この場合、経営者による評価結果としては、継続企業の前提が成立している場合と継続

企業の前提が成立していない場合とに大別することができるが、実務上は継続企業の前提

が成立しているかどうかの判断が困難な場合が想定される。例えば、業績の悪化が著しい

会社においては、実務上多くの継続企業の前提に関係する要因等の分析や有効な経営計画

の策定が必要となり、実際に継続企業の前提が成立しているかどうかを評価するのは容易

なことではない。特に、債権者の支援を前提として自主的に策定された経営計画について

は、法的な効力もないことから不確実性が高く、また、債権者との利害調整が困難と判断

- 1 -

して裁判所に対して法的な整理手続(会社更生手続、民事再生手続)の開始を申し立てる

場合には、裁判所の管理下において継続企業の前提を支える再生計画等が策定されること

となる。

したがって、本研究報告においては、実務上継続企業の前提に関する評価が困難となり、

継続企業を前提とした会計基準の適用が疑問視されると考えられる代表的な会社を対象と

することとし、具体的には解散会社(解散決議をした会社)、更生会社(更生手続の開始決

定を受けた会社)、民事再生会社(民事再生手続の開始決定を受けた会社)及び被合併会社

(合併により消滅する会社)を取りあげ、それぞれの会社について、資産及び負債の評価

に関する会計上の考え方等を検討することとする。

3.実務上の問題点

(1) 解散会社

解散会社においては、清算人による清算手続が実施され、財産調査や債権調査等を通

じて財産や債務が確定されることとなるため、原則として、資産及び負債の帳簿価額の

評価替えが必要となるが、現状では清算手続中に作成される貸借対照表上の資産及び負

債の評価額の意味が必ずしも明確にされていない。

このため、解散会社の状況を貸借対照表に適切に反映させるためにも、解散会社にお

ける資産及び負債の評価額の意味を明確にする必要があると考えられる。

(2) 更生会社

更生会社においては、通常、更生手続の開始決定後は裁判所の監督下において管財人

の主導により更生手続が実施され、その一環として行われる財産評定、債権調査等の結

果を反映した貸借対照表が作成される。この場合、財産評定における価額は法令により

時価によることとされているが、特に市場価格のない資産の評価替えに当たっては、判

断の介入する余地は避けられないとともに、のれんの計上が認められている。

このため、更生会社の状況を貸借対照表に適切に反映させるためにも、更生会社にお

ける資産及び負債の評価額の意味やのれんの計上に関する考え方を明確にする必要があ

ると考えられる。

(3) 民事再生会社

民事再生会社は、原則として旧経営者は退任せず引き続き会社の経営を担当するなど、

更生会社と異なり裁判所の積極的な関与はないとともに、計算書類の作成や定時総会の

開催など商法が予定している一連の手続は中断せず継続することとなっている。また、

民事再生手続においても財産評定や債権調査の手続は実施されるが、民事再生手続にお

ける財産評定は清算を仮定して実施されるものであるため、会社更生法のように財産評

定の結果を貸借対照表に反映させることが法令により強制されていない。

このため、民事再生会社が有する資産及び負債の評価については、会計上、継続企業

の前提が成立していないとして評価替えすべきなのか、それとも従来と同様に継続企業

を前提とした範囲内で必要な評価減を実施すべきなのかといった点が明確となっていな

い。このことは、「固定資産の減損に係る会計基準」(以下「減損会計基準」という。)と

- 2 -

の関係でいえば、民事再生会社においては減損会計基準は適用されないのか、適用され

るとしたらどのように適用すべきかといった点に関係することとなる。

したがって、民事再生会社に適用すべき会計基準を明らかにするため、民事再生会社

を更生会社と同様に扱うのか、それとも継続企業の前提が成立していると判断される会

社と同様に扱うのかという点について明確にする必要があると考えられる。

(4) 被合併会社

合併期日においては、被合併会社の資産及び負債は合併会社に承継されるため、被合

併会社は清算手続を実施することなく解散することとなる。このため、被合併会社の最

終事業年度の財務諸表は、多くの場合、前事業年度と同様に継続企業を前提として作成

されているものと思われる。

しかし、合併会社においては、「企業結合に係る会計基準」(以下「企業結合会計基準」

という。)の適用により企業結合の経済的実態の判定が行われ、その結果、取得と判定さ

れた場合にはパーチェス法が適用され、持分の結合と判定された場合には持分プーリン

グ法が適用されることとなる。また、共通支配下の取引に該当する場合には、時価評価

することなく帳簿価額を引き継ぐこととなる。

したがって、法的には解散し消滅することとされている被合併会社について、企業結

会計基準との関係を考慮しながら解散会社に準じて評価替えする必要があるのかどう

かを検討し、現状必ずしも明らかでない被合併会社の資産及び負債の評価に関する考え

方を明確にする必要があると考えられる。

4.対象会社における資産及び負債の評価

(1) 解散会社の場合

① 法律上の取扱い

解散は、会社の法人格を消滅させる法律事実ではなく、会社の法人格の消滅原因と

なる法律事実であるため、解散決議をしたとしてもただちに法人格が消滅することは

なく、基本的に清算手続(財産調査、債権調査、債権弁済、残余財産分配など)によ

り法律関係を整理した後、清算結了の時をもって法人格が消滅することとなる。

このため、解散決議後、会社は清算目的の範囲内において存続するとされているこ

とから(商法第116条)、取締役は解散と同時にその地位を失い、清算人として就任後

遅滞なく会社財産の現況を調査し、財産目録及び貸借対照表を作成して株主総会に提

出して承認を求めなければならないとされている(商法第417条及び第419条)。また、

清算人は貸借対照表及び事務報告書を作成し、定時総会に提出して承認を求めなけれ

ばならないとされている(商法第420条)。

なお、解散決議後においては、計算書類(商法第281条第1項)は作成されないこと

となるため、会計監査人も解散と同時にその地位を失うことになると考えられる。ま

た、清算中の会社については、承認申請により有価証券報告書の提出を要しないこと

とされている(証券取引法第24条第1項ただし書き、証券取引法施行令第4条第2項)。

解散会社に関する現行の具体的な取扱いについては、〔資料1〕として別途、示して

いるため参照されたい。

- 3 -

会計上の考え方

清算人は、清算手続を通じて、財産を処分し債務を弁済して最終的に残余財産を株

主に分配することとなるため、解散決議を行った会社の資産及び負債は、通常の事業

活動の中で回収又は返済されるものではなく、清算手続といった特殊な状況下におけ

る回収又は返済が予定されるものである。

このため、解散前の投資額(取得原価)に対する成果を清算手続の中で報告する意

味はないこととなるため、解散会社においてはその資産及び負債の帳簿価額をすべて

評価替えし、清算手続の実施状況を貸借対照表に適切に反映させる必要がある。

この場合、解散会社は、清算手続において財産を換価処分する過程にあるため、解

散会社の資産に付すべき評価額は、基本的には事業の清算を仮定した処分価額を付す

ことになると考えられる。また、負債については、基本的に債権調査により確定され

た評価額や清算業務に必要な費用の合理的な見積額をもって計上することになると考

えられる。なお、キャッシュ・フローを伴わない項目(繰延資産、経過勘定など)は、

貸借対照表に計上されないこととなる。

(2) 更生会社の場合

① 法律上の取扱い

会社は、更生手続開始の申立て後、裁判所による更生手続開始決定により更生会社

となる。更生会社においては、最終的には株主や取締役はその地位を失うことが多く、

裁判所の監督の下、管財人の主導によって更生手続(財産評定、債権調査、更生計画

の策定など)が実施される。

更生手続は、開始決定後、最終的に更生計画が終結されるまで実施されることとな

るが、会社の事業年度は開始決定時に終了し、更生会社の事業年度は更生計画認可時

に終了する。その後は定款記載の時期に事業年度は終了することとなる。

管財人は、更生手続開始後遅滞なく、更生会社に属する一切の財産につき、その価

額を評定して、財産評定の完了後直ちに開始決定時の貸借対照表と財産目録を作成し、

裁判所に提出しなければならないとされている(会社更生法第83条第1項及び第3

項)。また、更生計画の認可決定時においても、認可決定時の貸借対照表と財産目録を

作成し、裁判所に提出しなければならないとされている(会社更生法第83条第4項)。

財産評定における評価額は、開始決定時の時価とされるため(会社更生法第83条第

2項)、開始決定時の貸借対照表に反映される財産はすべて時価により計上されること

となる。また、認可決定時の貸借対照表においては、通常の会社と同様、取得原価を

基本とする商法決算手続が行われる。この場合、財産評定による評価額は取得原価と

みなされるが(会社更生法施行規則第1条第1項及び第2項)、のれんを任意に計上す

ることが認められており、更生計画の認可後5年以内に毎決算期において均等額以上

の償却をしなければならないとされている(会社更生法施行規則第1条第3項)。

なお、更生手続の開始決定後においては、会計監査人はその地位を失うことになる

と考えられる。また、更生手続の開始決定を受けた会社については、更生手続開始の

決定があった日の属する事業年度に係る有価証券報告書について、承認申請により提

出を要しないこととされている(証券取引法第24条第1項ただし書、証券取引法施行

令第4条第4項)。

- 4 -

更生会社に関する現行の具体的な取扱いについては、〔資料2〕として別途、示して

いるため参照されたい。

会計上の考え方

ア.資産及び負債の評価

更生会社においては、法令により、開始決定時の財産は時価で評定され、財産評

定の結果を開始決定時及び認可決定時の貸借対照表に反映させることとされている

ため、更生会社になる前に付していた取得原価を基本とする財産の帳簿価額は、更

生手続開始決定時点で全面的に評価替えされるべきこととなる。

しかし、実務的には、更生手続が開始される時点においては、いずれの事業を継

続するのか、若しくは処分するのかが未確定であるため、開始決定時の決算におい

ては、すべての財産評定を織り込めず、仮評定といった形で決算を行い、認可決定

後の方向性等が明確にされる認可決定前の一定の時点において財産評定額を確定せ

ざるを得ない。このため、債権者集会等への報告時には、確定した財産評定結果を

開始決定時の財産評定に遡及して反映させた財務情報が作成されている。

更生手続の開始決定時においては、通常、更生会社は債務超過であり、今後の更

生計画案の決定権限が実質的に債権者にあることを考慮すれば、更生会社の資産等

の実質的な所有者は更生債権者、更生担保権者等であると考えられるため、更生債

権者、更生担保権者等が旧所有者から資産等を新たに取得したものと解釈すること

ができる。この場合、財産評定に当たっては、事業の清算を仮定するのではなく、

更生後の事業の継続を仮定した個々の資産の時価が付される。また、更生計画の認

可決定時においては、更生債権者、更生担保権者等に移転した更生会社の資産等を

更生計画の下で再構築し、収益性を改善した後に、新たな会社所有者へ事業全体が

譲渡され、この会社所有者が再構築後の事業を取得したと解釈することもできる。

仮にこのような解釈を前提とすれば、更生手続開始決定後の会社は、開始決定時

及び認可決定時において、資産及び負債をすべて評価替えする必要があると考えら

れる。なお、負債の評価額の多くは、債権調査手続により確定されることとなる。

このように評価替えされた資産及び負債は、更生後の新たな事業活動において回

収又は返済されることとなるため、更生会社の資産及び負債を評価替えすることは、

会計的には、その後の事業活動の成果を測定する損益計算の基礎を提供することを

意味していると考えられる。

イ.認可決定時におけるのれんの計上

会社更生法では、開始決定時の財産評定は個別財産の時価評価であり、この他に

裁判所の命令により異なる基準による評価を実施することがある。その一例として

事業全体の価値評価があるが、これはあくまでも更生計画の検討に当たって、更生

計画の遂行可能性と権利分配の公正、衡平を判断するために裁判所に提出する補足

資料として位置付けられている。この結果、個々の資産の時価総額と事業全体の価

値との差額として算定されるのれんは開始決定時における財産評定の対象外とされ

ているが、認可決定時においてはのれんを計上することも認められている。

- 5 -

会計上、のれんの計上は有償取得の場合に限るとされているため、少なくとも実

際に取得の対価が支払われていない中においては、事業価値を特定することができ

ず、のれんの金額を確定させることは困難と考えられるが、更生会社の中には、営

業の全部譲渡に準じてのれんの測定が可能な場合もあると考えられる。

例えば、更生会社にスポンサーが付く場合、一般的には既存株式を100%減資し、

スポンサーによる100%子会社化が図られることが多い。また、更生会社に複数のス

ポンサー候補がある場合には、入札等の競争を課することにより、より多額の弁済

額(債務引受額)を宣言した候補者が選定されるため、最終選定スポンサーによる

債務引受額は、財産評定において確定された個々の資産の時価総額を上回ることが

多いと考えられる。このような場合には、実質的には営業全部譲渡と同一であり、

債務引受額は事業価値に対応するとして取得の対価を意味すると解釈することも可

能と考えられる。このような解釈を前提とすれば、財産評定において確定された個々

の資産の時価総額と、最終選定スポンサーによる債務引受額との差額をのれんとし

て測定することも考えられるが、会計上、評価益の計上を伴う差額のれんの計上に

ついては慎重であるべきものと考えられる。

(3) 民事再生会社

① 法律上の取扱い

会社は、民事再生手続開始の申立て後、裁判所による民事再生手続開始決定により

民事再生会社となる。民事再生法においては、原則として民事再生会社は財産等の管

理処分権を失わないため、従来の経営者により民事再生手続が実施されることとなる。

民事再生手続は、計算書類の作成、定時株主総会の開催など商法が予定している一

連の手続を中断させるものではなく、同時並行して実施されることとなるため、民事

再生手続の開始決定があったとしても会社の事業年度が終了することはない。

民事再生会社は、再生手続開始後遅滞なく、民事再生会社に属する一切の財産につ

いてその価額を評定して、財産評定の完了後直ちに開始決定時の貸借対照表と財産目

録を作成し、裁判所に提出しなければならないとされている(民事再生法第124条)。

この場合の財産評定は、あくまでも清算価値の把握を目的とするものであり、清算価

値に基づく弁済率と再生計画に基づく弁済率との比較を確保するものである。すなわ

ち、債権者が清算と再生のいずれが有利かを判断することを可能にする財務情報を、

継続企業を前提として作成されている財務諸表とは別に提供するものと位置付けられ

る。なお、必要がある場合には、清算価値のほか、再生債権者の事業を継続するもの

とした場合の価値を併記することが認められている。

このため、民事再生法における財産評定の結果は、更生会社の場合と異なり、取得

原価とみなされることはなく、基本的に資産及び負債の帳簿価額を評価替えする性格

のものではないと考えられる。

なお、民事再生手続の開始決定があったとしても、基本的に株主や取締役はその地

位を失うことはないため、交代の決議でもない限り、会計監査人もその地位を失うこ

とはないと考えられる。

民事再生会社に関する現行の具体的な取扱いについては、〔資料2〕として別途、示

しているため参照されたい。

- 6 -

会計上の考え方

ア.民事再生会社の位置付け

民事再生会社においては、事業の継続を目的としている以上、法令による財産評

定(処分価額による評定)を、原則として更生会社のように資産及び負債の貸借対

照表価額に反映することはないが、裁判所の監督下において民事再生手続が実施さ

れ、利害関係者間の合意形成後、認可決定された民事再生計画には法的効力が認め

られる点を考慮すると、更生会社と同様に評価替えを行うことも考えられる。

しかし、民事再生会社の場合には、民事再生手続の開始決定によっても株主はそ

の権利を喪失しないため、更生会社のように旧所有者から新所有者に事業等の譲渡

が行われたと擬制することは困難と考えられる。また、民事再生手続の一環として

実施される財産評定は、清算を仮定した財務情報の提供にとどまるものであるため、

財産評定を通じて財産の評価額を利害関係者が合意した合理的な評価額として確定

させることができない。

このため、民事再生会社については、継続企業の前提が成立していない会社とし

て位置付け、会計上すべての資産及び負債の評価替えを強制することは、適当でな

いと考えられる。

イ.留意点

民事再生会社に代表される継続企業の前提が成立しているかどうか判断が困難な

会社については、基本的にすべての資産を評価替えする段階には至っていないため、

実務上は継続企業を前提として財務諸表を作成せざるを得ないこととなる。この場

合、継続企業を前提として財務諸表を作成することになるとしても、すべての資産

を帳簿価額で据え置くことが当然認められるものではない。民事再生会社は、資産

価値の劣化が著しい状況に陥っているものと考えられるため、これまで以上に資産

の評価額に対する配慮が必要と考えられる。

このため、民事再生会社においては、民事再生会社になる前における減損会計

準の適用の有無にかかわらず、民事再生手続の開始申立てを減損の兆候とみなして、

再生計画に基づく将来キャッシュ・フローにより減損会計を適用する必要があると

考えられる。この場合、実際には再生計画の認可決定まで将来キャッシュ・フロー

の算定が困難であるとしても、処分予定が明らかな資産については一定の方針を財

務諸表に注記の上、必要な評価減を実施する必要があると考えられる。

なお、民事再生会社において、経営者による継続企業の前提に関する評価は、実

質的には再生計画の策定に置き換わることとなる。

(4) 被合併会社

① 法律上の取扱い

会社が合併する場合には、合併契約書を作成し、株主総会の承認を得るなど一定の

法的手続を実施する必要があるが(商法第408条等)、合併後存続する会社又は合併に

より設立された会社(合併会社)は、合併により消滅した会社の権利義務を承継する

こととされている(商法第416条第1項、第103条)。

- 7 -

このため、合併は、会社が解散する事由と規定されてはいるものの(商法第404条、

第94条)、合併により消滅した会社(被合併会社)においては、清算人は選任されず、

清算手続は実施されないこととなる(商法第417条第1項)。

したがって、被合併会社においては、合併会社に承継される財産等を確定させる決

算が特別に実施されることはない。

なお、合併の効力発生とともに、被合併会社における会計監査人はその地位を失う

ことになると考えられる。ただし、証券取引法適用会社が合併する場合には、有価証

券報告書における財務諸表に被合併会社に係る最終事業年度の財務諸表が組み込まれ

(「企業内容等の開示に関する内閣府令」 第3号様式(記載上の注意)(40)c)、会

計監査人の監査が必要となる場合がある。

会計上の考え方

ア.被合併会社の位置付け

合併会社においては、企業結合会計基準の適用により、被合併会社から承継する

資産及び負債は、基本的に取得を仮定した時価(パーチェス法)又は被合併会社の

帳簿価額(持分プーリング法、共通支配下の取引)で評価される。

しかし、被合併会社においては、清算手続の実施により残余財産を株主に分配す

るようなことはないため、売却を仮定した処分価額により評価替えするのは適当で

ないことは明らかである。また、合併会社が仮に取得を仮定した時価で評価する場

合であっても、被合併会社にとっては資産及び負債がすべて合併会社に承継される

にすぎないため、取得企業でない被合併会社において、取得を仮定した時価評価が

適切でないことも明らかである。

このため、合併前の段階においては、被合併会社の帳簿価額を合併を前提として

評価替えすべきでないことから、被合併会社を継続企業の前提が成立していない会

社として位置付けるのは適当でないと考えられる。

イ.留意点

被合併会社の資産及び負債は時価評価すべきでないとすれば、その帳簿価額につ

いて従来と同様、通常の事業活動の実施の中で回収又は返済を前提として評価する

ことが基本となる。ただし、合併前の会社である被合併会社の資産及び負債は、合

併後の合併会社における事業活動ではなく、合併を前提としない被合併会社単独の

事業活動の実施を仮定して評価せざるを得ないことになると考えられる。このこと

は、被合併会社が計上する繰延税金資産についていえば、その回収可能性は、合併

を前提として判断してはならないことを意味することとなる。

5.継続企業の前提が成立していない会社に関する基本的な考え方

(1) 継続企業の前提が成立していない会社の範囲

継続企業の前提に関する評価に実務上困難な面があるとしても、少なくともその評価

時点において実際に会社が存続している点を考慮すれば、継続企業の前提が成立してい

ないとして資産及び負債の評価替えが必要と判断される会社は、基本的に一定の法的手

続に着目するなどして限定して解釈せざるを得ないように思われる。この場合、会計上、

- 8 -

資産及び負債を全面的に評価替えしなければならないとするためには、一定の法的手続

を実施する会社ということだけではなく、当該手続において財産の処分又は事業の取得

といった取引が事実上又は実質的に認められることが必要となる。会計上は、事業の継

続を仮定するかどうかの判断を前提に評価替えをするかしないかの処理しかなく、部分

的又は任意に評価替えすることは容認されないこととなる。

したがって、現状では、このような取引が認められる会社の典型としては、企業の継

続を断念して解散決議がなされ、清算手続を通じて会社財産が処分され事実上消滅する

こととなる会社(解散会社)のほか、会社再建が当事者間の利害調整では達成困難とな

ったこと等により裁判所から更生手続の開始決定を受けた会社(更生会社)のように、

スポンサー等が新たに会社財産等を取得したことが実質的に認められる会社が該当する

ことになると考えられる。この結果、継続企業を前提とする会計基準は、解散を決議し

た時点や更生手続の開始決定を受けた時点からは適用されないこととなる。

(2) 財務諸表が提供すべき内容

財務諸表の利用者の関心は多様であるといえるが、業績不振等により倒産リスクが高

まっている会社の利害関係者、例えば、債権者にとっては今後返済がどの程度見込める

のか、また、株主にとっては今後株価や株主権(議決権、残余財産分配請求権など)が

どの程度影響を受けるのかといった点が重要な関心事であると考えられる。そして、自

力再建が不可能な状況下においては、このような重大な関心事に対応して、会社を解散

する場合の財務情報及び会社を継続する場合の財務情報が必要となり、これに基づいて

最終的に利害関係者は解散と継続のいずれが有利かを判断し、当該会社の方向性を意思

決定することとなる。

このように倒産リスクが高まっている会社においては、会社は所有者である株主から

独立した存在としては区別されず、むしろ会社財産等は実質的に債権者が所有している

として意思決定の主体は債権者と認められる場合が多いと考えられる。この場合、少な

くとも会社は一定の目的を達成するために存続する事業体であることを考慮すれば、解

散を前提とする財務情報については、解散が決定していない限り財務諸表に反映すべき

ではなく、必要と認められれば財務諸表の作成とは別に提供すべきものと考えられる。

したがって、継続企業の前提が成立していない会社において作成される財務諸表は、

利害関係者の多様な関心に対応した情報を提供するというよりも、例えば、解散会社の

場合には解散を前提とした上で債権者や株主に対する返済・分配原資に関する情報を提

供するものであるといえ、また、更生会社の場合には更生を前提とした上で更生後の損

益計算に関する会計上の基礎を提供するものであるということができる。

(3) 資産及び負債の評価替えの意義

一般に公正妥当と認められる企業会計の基準は、継続企業を前提として設定されてい

るため、減価償却に代表されるように、会社の資産及び負債をすべて時価評価すること

を想定していない。このため、解散会社や更生会社のように継続企業の前提が成立して

いないことが明らかな会社が、従来と同様に、継続企業を前提に財務諸表を作成したの

では、財務諸表に当該会社の状況を適切に反映することは困難となる。

- 9 -

したがって、解散会社や更生会社など、継続企業を前提として財務諸表を作成するこ

とが適当でない場合においては、継続企業を前提とする会計基準を適用するのではなく、

会社の資産及び負債をすべて評価替えし、財務諸表の利用者に対し会社の状況を提供で

きるようにすべきものと考えられる。

(4) 評価替えに用いられる価額

ア.会計上の価額の意味

継続企業の前提が成立していない場合において資産の評価替えに用いられる価額に

は、実施する法的手続(清算手続か更生手続か)に応じて、基本的に、解散会社が用

いる早期の処分換価を仮定した処分価額と、更生会社が用いる会計上の時価(〔資料4〕

を参照)があると考えられる。

いずれの価額も第三者との取引を仮定した取引価額との性格を有するものといえる

が、前者の処分価額は短期間における限られた相手との取引を想定した極めて例外的

な取引価額を意味するため、必ずしも公正な評価額とはいえないことから、会計上両

者は性格を異にする価額であるとして区別すべきものと考えられる。

また、更生会社の資産の評価替えに用いられる価額は、会計的には更生手続により

再構築された事業の取得を仮定した価額を意味することとなる。ただし、更生会社に

おけるのれんの計上は、実際に取得の対価が支払われる場合の差額のれんの計上とは

異なり、評価益の計上を伴うため、その資産性には十分留意する必要があると考えら

れる。

他方、負債の評価替えに用いられる価額については、デリバティブのような項目に

ついては時価となり、退職給付引当金のような項目は合理的な見積額となるが、金銭

債務については債権調査等により確定した金額になると考えられる。

イ.実務上の価額の意味

会計上の時価は、市場価格が観察できない場合、合理的に算定された価額をいうと

されているが、継続企業の前提が成立していない会社が市場価格のない資産等に付す

評価額は、実務上、非常に限られた資源や時間といった制約の中で算定されるため、

一定の制約下において合理的に算定された価額であるといわざるを得ない。

解散会社の場合には、そのような制約のある評価額であっても、会社財産は換価処

分されるため、評価額(処分価額)は最終的に確定値(現金)に修正されることとな

るが、更生会社の場合には、財産評定による評価額(時価)は取得原価とみなされる

ため、その後修正されることはない。

このため、更生手続においては、実務上、評価額の合理性の担保が不可欠と思われ

るが、財産評定の手続は、更生担保権の評価が同時に行われるなど債権者が合意した

価額として財産の評価額が決定されている面があることや、債権者と新株主の利益が

相反する関係にある中で行われることを考慮すると、財産評定の結果は、少なくとも

当事者間の利害調整を果たした合理的な評価額との性格を有するものであると考えら

れる。

- 10 -

(5) 評価替えが困難な場合の取扱い

特に継続企業の前提が成立していない会社における資産の評価替えに当たっては、対

象会社が解散会社又は更生会社かにより、資産の評価替えに用いられる価額の意味、す

なわち、取得を仮定する時価を用いるのか、それとも処分を仮定する価額を用いるのか

が明らかとなる。

しかし、一定の法的手続実施の意思決定により継続企業を前提とする会計基準が適用

されなくなったとしても、実務上、財務諸表の作成時期との関係から資産等について合

理的な測定ができない場合が考えられる。この場合には、一定の方針を財務諸表に注記

の上、一部の資産についてのみ評価替えを行わざるを得ないことになると考えられる。

なお、更生会社においては、実務上財産評定が確定してから開始決定時の資産の評価

替えが行われるため、この点は実際には問題にならないと考えられる。

6.我が国における事例研究の結果

(1) 現行制度上の問題点

継続企業の前提が成立していない場合の監査人の対応について、監査基準では、「ただ

し、事業の継続が困難であり継続企業の前提が成立していないことが一定の事実をもっ

て明らかなときは不適正意見を表明することになる。」(前文 三 6 (2) )と定められて

いる。この点について、監査実務指針第24項では、「監査人は、継続企業の前提が成立し

ていないことが一定の事実をもって明らかな場合において、財務諸表が継続企業の前提

に基づいて作成されているときは、不適正意見を表明する。」(下線追加)とされている。

しかし、実務上は、例えば、100%子会社が解散するケースにおいて、営業譲渡により

資産等について客観的な評価ができるにもかかわらず、会計上の取扱いが明確にされて

いないことや継続企業でないことを理由として、監査報告書に監査意見を表明しない旨

が記載される場合(以下「意見不表明」という。)があるといわれている。また、継続企

業の前提が成立していないと判断されるまでには至っていない場合においても、追記情

報付適正意見の表明又は意見不表明といったように監査人の実務対応に幅が見受けられ

る(〔資料5〕を参照)。

このような実務対応は、現行制度下において、継続企業の前提が成立していないと判

断される会社が開示すべき財務諸表の内容や資産及び負債の評価基準が明確にされてい

ないことに起因するものと考えられる。

(2) 今後の対応

継続企業の前提が成立していないことが明らかな一定の事実については、以下の事項

が監査実務指針第18項に例示されている。

・ 更生手続開始決定の取消し、更生計画の不認可など

・ 再生手続開始決定の取消し、再生計画の不認可など

・ 整理開始後の破産宣告

・ 破産法の規定による破産の申立て

・ 商法の規定による特別清算開始の申立て

・ 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議等による事業継続の中止に関

する決定

- 11 -

・ 行政機関による事業停止命令

上記の例示では、破産により会社が消滅する決定的な場合に相当するものしか示され

ていないが、本研究報告との整合性を考慮すれば、例えば解散決議や更生手続の開始決

定を追加する必要があると考えられる。ただし、その場合には、今後、継続企業の前提

が成立していない会社等に関する会計上の取扱いが明確にされることが前提となる。

また、監査基準にある「監査人は、継続企業を前提として財務諸表を作成することが

適切でない場合には、継続企業を前提とした財務諸表については不適正である旨の意見

を表明し、その理由を記載しなければならない。」(第四 報告基準 六 4)の改訂を前

提とすれば、継続企業の前提が成立していない会社が資産及び負債を評価替えすべき場

合の監査報告について、適正意見(財務諸表に評価額を適切に反映している。)、不適正

意見(財務諸表に評価額を適切に反映していない。)、意見不表明(評価額が確定してい

ない。)といった対応を新たに示す必要があると考えられる(〔資料6〕を参照)。

なお、継続企業の前提が成立していない場合には、財務諸表の適正表示は資産等の評

価額を合理的に測定できるか否かにかかっており、合理的な経営計画の有無はその測定

に関係することはあっても、計画そのものが監査意見に直接影響する位置付けとはなら

なくなるものと考えられる。

7.諸外国における取扱い

諸外国における継続企業の前提が成立していない会社等に係る会計上、監査上の取扱い

は、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツの各国について調査を実施し、その結果を取

りまとめた(〔資料7〕を参照)。

まず、イギリスでは、財務報告基準(FRS)18号において、下記のような状況以外の場合

は、継続企業を前提として財務諸表を作成することが規定されている。

(1) 企業が清算中であるか既に営業を停止している。

(2) 経営者が事業を清算するか営業活動を停止する以外に現実的な代替案を持っていな

い。

したがって、(1)又は(2)の状況では、経営者は清算価値により決算書を作成し、会計

査人の監査意見も、追記情報付無限定適正意見が表明されるという日本とは異なる実務が

見られる。なお、「清算価値」の定義は特に明記されておらず、一般的に、保守主義の原則

等に基づく、営業停止等の実態に即した保守的な経理(固定から流動への組替え、閉鎖費

用等の引当計上他)を指すと解されている。

フランスでは、企業の事業計画が不認可の場合、あるいは事業停止になった場合には、

継続性の原則が放棄され、イギリスと同様に経営者は清算価値により決算書を作成し、監

査意見も追記情報付無限定適正意見が表明される。フランスの場合には、国家会計監査人

協会(CNCC)情報8号に、勘定科目ごとに「清算価値」とは何かが列挙されているが、基

本的な考え方はイギリスと差がないと考えられる。

イギリスとフランスの会計上、監査上の取扱いが多くの点において相互に類似している

のに対し、アメリカとドイツにおける取扱いはそれぞれ全く異なっている。

アメリカでは、連邦破産法第7章(清算型)及び第11章(再建型)に基づいて実務が行

われているが、再建型の場合には、AICPA参考意見書(SOP)90-7の基準に従ってフレッシ

- 12 -

ュ・スタートの評価を行い、財務諸表を作成し、清算型の場合には、清算をベースとした

財務諸表を作成することとされている。

また、ドイツにおいては、継続企業とみなされない場合は、原則として即時に破産の扱

いとなる。すなわち、会社が支払不能又は債務超過となってから遅くとも3週間以内に、

破産原因から脱するための何らかの措置が講じられなければ、解散し、裁判所での清算手

続へと移行しなければならない。そして、破産扱い前の会社は継続企業を前提とした基準

に基づき、破産扱い後は清算を前提とした基準に基づき決算書を作成することとされてい

る。

以 上

- 13 -

【参考資料】

〔資料1〕 解散会社に関する法律上の取扱い

1.解散と清算

解散とは、会社の法人格を消滅させる原因となる法律事実のことをいう。清算とは、会

社の解散に伴いそれまでの法律的、経済的関係を整理する手続をいう。清算には、任意清

算(合名会社や合資会社にのみ適用)と法定清算がある。法定清算は、清算手続が裁判所

の監督下で行われるかにより、通常清算(商法第417条から第430条)と特別清算(商法第

431条から第456条)に区分される。債務超過の疑いがあれば清算人は特別清算の申立てを

しなければならない(商法第431条第2項)。(※1)

2.株式会社の解散事由

株式会社の解散事由は次のとおりである。

(1) 株主総会の特別決議(商法第404条第2号、同第405条)

(2) 会社の存立時期の満了その他定款に定めたる事由の発生(商法第404条第1号、同第94

条第1号)

(3) 会社の合併(商法第404条第1号、同第94条第3号)

(4) 会社の破産(商法第404条第1号、同第94条第5号)

(5) 解散を命ずる裁判(商法第404条第1号、同第94条第6号)

(6) 解散判決(商法第406条の2)

(7) 休眠会社の整理による解散(商法第406条の3)

(8) 特別法(銀行法、保険業法)上の解散原因の発生(銀行法第40条、保険業法第152条第

3項第2号等)

3.株主総会決議で解散決議し、通常清算による場合の流れ(※2)

項 目

時 期

税 務

株主総会で解散決議(商法第404条第2号)

「解散の日」:株主総会の決議

清算人の選任

があった日又は将来の特定日

を総会で定めたときは当該日

現務の結了 清算事務の開始

株主への解散通知(商法第407条) 解散日後遅滞なく

解散及び清算人の登記(商法第430条第1

解散日から2週間以内

項、同第123条、同第67条)

解散日現在の財産目録と貸借対照表の作

清算人就職日後遅滞なく 事業年度開始日から解散日

成と株主総会における承認(商法第419条

第1項)

までを一事業年度とみなし

た「解散確定申告書」を解散

日から2ヶ月以内に提出

債権申出の公告(商法第421条から第423

清算人就職日から2ヶ月以内

条)

知れたる債権者への通知(商法第422条) 期限の定めなし

債権取立、財産換価、債務弁済、残余財産 「清算事業年度予納申告書」

- 14 -

確定(商法第430条第1項、同第125条、同

第131条)

(通常事業年度ベースの貸

借対照表及び損益計算書)を

清算中の各事業年度末終了

後2ヶ月以内に提出

残余財産の分配(商法第425条)

余財産の一部分配をした

とき、「残余財産分配予納申

告書」を残余財産分配日の前

日までに提出

決算報告書の作成と株主総会における承

残余財産分配後遅滞なく 「清算確定申告書」

を残余財

認(商法第427条第1項)

産確定日から1ヶ月以内、た

だし、その期間内に残余財産

の最終分配が行われる場合

はその行われる日の前日ま

でに提出

清算結了登記(商法第430条第1項、同第

株主総会終了後2週間以内

134条)

※ 清算中の大会社は、解散後は中会社となり、株式会社の監査等に関する商法の特例に

関する法律第2条により会計監査人の監査は不要であり監査役も商法が定めた権限だけ

を有することになる。

4.財務書類

解散時 清算中 清算終了時

解散日現在の財産目録と貸借対

貸借対照表、事務報告書、附属明

決算報告書

照表

細書

清算中の会社であっても定款に定

決算報告書の記載方法は特に法

める決算期ごとに計算書類を作成

定されていないが、一般的には、

し、定時株主総会の承認を受けな

解散日の翌日から残余財産の分

ければならない(商法第420条第7

配日までの期間における収入と

項)とされている。

支出、及び残余財産の分配額な

どを記載する。(※3)

5.処分価額等の例(※4)

科 目

評価方法

現金 解散日までの経過利息を未収入金に計上

金銭債権 個別債権残高から、貸倒見込額及び取立費用を控除した価額

貸付金は解散日までの経過利息を未収入金に計上

たな卸資産 売却可能価額から売却費用を控除した価額

有価証券 市場性があるものは時価から売却費用を控除した価額

前払費用 契約解除による現金回収可能見込額を未収入金に計上

市場性がないものは処分可能価額から処分費用を控除した価額

- 15 -

仮払金 現金回収見込額は未収入金に計上し、その他はゼロ評価

借入金利息の前払は原則としてゼロ評価

土地(借地権を含む) 時価(近隣の取引価額又は公示価格等)から処分費用を控除した価額

建物等を取り壊して更地として処分する場合はその取壊費用をさらに控除

その他の有形固定資産 処分可能価額から処分費用を控除した価額

無形固定資産 原則としてゼロ評価

処分可能なものは処分可能価額から処分費用を控除した額

繰延資産 ゼロ評価

税務上の繰延資産 契約解除による現金回収見込額を未収入金に計上

未払金 リース契約の解除に伴う違約金を一括未払金計上

契約解除により取得する固定資産は、その他の固定資産と同様の評価

借入金 解散日までの経過利息を未払金に計上

退職給付引当金 解散日現在での会社都合による要支給額を未払金に計上

法人税・住民税・事業税 事業年度開始日から解散日までの期間に係る所得金額に対する確定税額を未

払金に計上

清算所得に対する税額を見積り概算計上

偶発債務 割引手形の両建て計上

保証債務の履行が確実に見込まれるものは履行額を未払計上

<参考文献>

(※1) 坂本一、平山昇共著「第四次改訂 会社税務マニュアルシリーズ 1 設立・解散(増補

版)」(ぎょうせい 2003年)、122頁

(※2) (※1)掲書、121頁等

(※3) (※1)掲書、161頁

(※4) (※1)掲書、144頁、145頁

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〔資料2〕 会社更生法と民事再生法との相違点

1.概論

会社更生法と民事再生法との比較一覧は次のとおりである。

項 目

会社更生法

民事再生法

適用会社 株式会社

すべての法人、自然人

申立権者 その株式会社

債務者、債権者

資本の10分の1以上の債権を有する債権者

総株主の議決権の10%以上を有する株主

経営権、財産管理処

保全管理人、管財人(原則として従来の経営

原則として債務者(従来の経営者)が経営

分権

陣は退任)

通常の業務に属さない行為は監督委員の承

認可までの期間 申立てから開始決定まで約1ヶ月、開始決定

申立てから約5ヵ月

認が必要

から1年以内に更生計画案提出

減 免 等 の 対 象 と な

更生債権、更生担保権 再生債権

る債権

公租公課、担保権 公租公課、担保権の弁済は原則として禁止、

公租公課は一般優先債権として再生手続に

更生計画に従い弁済

よらないで随時弁済

担保権は別除権とされ、再生手続によらな

いで権利行使可能

株主の地位 100%減資が原則

減資は任意

財産評定 資産及び担保物の評価は更生手続開始時に

原則処分価額

おける時価

必要ある場合は事業継続価値

債権の届出 債権届出がなく、かつ認否書に記載がないと

債権届出期間内に届出がない場合は、原則

原則として失権

として失権

債権者集会 第1回関係人集会(開始決定後)

、第2回関

再生計画案決議のための債権者集会

係人集会(更生計画案審理・決議のため)

決議方法

可決要件

①更生債権者の組

関係者によって組分けせず、再生債権者の

議決権の総額の2分の1超

過半数かつ議決権の総額の2分の1以上の賛

②更生担保権者の組

成で可決

(a)期限の猶予 議決権総額の3分の2以上

株主は議決権なし

(b)減免その他 議決権総額の4分の3以上

③株主の組

行使することができる議決権の総数の過

半数

弁済期間の上限 15年以内

10年以内

手続の終結時期 更生計画で定められた債権の3分の2の弁済

監督委員が選任されている場合、再生計画

が終了した時

が遂行された時又は認可決定後3年を経過

した時

営業譲渡 管財人更生計画作成前に、裁判所の許可を得

再生計画によることなく、裁判所の許可を

て営業譲渡できる。

得て営業譲渡できる。

更生計画により行うこともできる。

債務超過の場合、株主総会の特別決議は不

- 17 -

否認権行使権者 管財人

監督委員

要である。

2.会社更生法と民事再生法の事業年度

(1) 会社更生法と民事再生法の事業年度と税務上の取扱い

会社更生法においては、事業年度が変更される旨の規定があるが、民事再生法の場合

は特に規定がなく、従来どおりの定款所定の事業年度のままである。

具体的には、会社更生法の場合、開始決定日に事業年度が終了し、その翌日から更生

計画認可時までが翌事業年度となり、それ以降は定款所定の事業年度に戻る。

更生会社における税務上の事業年度も基本的に同じであるが、法人税法は、1年を超

える事業年度を認めていないため、更生手続開始決定から更生計画の認可までが1年を

超える場合には、開始決定日の翌日からの1年間をみなし事業年度として区切ることと

なる。

具体的に例示したものは次のとおりである(定款の事業年度は1月1日〜12月31日と

する。)。

会社更生法 民事再生法

申立て後の事業年度

税務上の事業年度 −

1年12月31日 決算日

決算日

決算日

申立日

2年4月30日

開始決定日

2年6月30日

2年12月31日

3年6月30日

事業年度

2年1月1日〜

2年6月30日

事業年度

2年7月1日〜

計画認可日

3年10月31日

3年10月31日

事業年度

2年1月1日〜

2年6月30日

事業年度

2年7月1日〜

3年6月30日

事業年度

3年7月1日〜

3年10月31日

事業年度

2年1月1日〜

2年12月31日

事業年度

3年1月1日〜

3年12月31日

事業年度

事業年度

3年12月31日

3年11月1日〜

3年11月1日〜

3年12月31日

3年12月31日

- 18 -

3.会社更生法及び民事再生法上の財産評定と税務上の取扱い

(1) 会社更生法の場合

会計上の取扱い

管財人は、更生手続開始決定後、遅滞なく更生会社に属する一切の財産につき、開

始決定時の「時価」にて評定しなければならない。なお、この財産評定の結果は、財産

目録、貸借対照表に記載され、新たな取得原価とみなされる。

② 税務上の取扱い

法人税法においては、一定の条件を満たす場合について、評定損益の計上を認めて

いる。

ア.評定損の計上

原則として、更生手続開始決定時の財産評定に基づく時価を限度して、たな卸資

産、有価証券、固定資産及び繰延資産について評価損の計上が認められている。な

お、売掛金や貸付金等の金銭債権については、貸倒損失や貸倒引当金の定めに従う

こととなる。

イ.評定益の計上

原則として開始決定時における財産評定により、含み益のある資産については、

評価益が発生するが、法人税法上も、更生手続開始決定に伴い評価替えを行った場

合の評定益は益金算入する旨が規定されている。

(2) 民事再生法の場合

会計上の取扱い

民事再生法においても、再生会社は再生手続開始後遅滞なく、再生会社に属する一

切の財産につき再生手続開始時の価額を評定しなければならないこととされている。

そして、当該評価は事業を清算することを想定し、早期の処分可能性を考慮した処分

価額によることとされている。

しかしながら、民事再生法の場合は会社更生法と異なり、財産評定額を取得価額と

みなす規定はなく、原則として財産評定額が帳簿上の資産評価額になることはない。

なお、事業継続を行っていく上で、固定資産の評価替えが必要な場合は、減損会計

適用などにより、評価替えを行うことになると考えられる。

② 税務上の取扱い

民事再生法の場合には、会社更生法と異なり、評価益の益金算入については認めら

れていない。評価損については、会社更生法の場合と同様、たな卸資産、有価証券、

固定資産、繰延資産について評価損の損金算入が認められている。なお、税務上は清

算価値による処分価額評価ではなく、企業が継続するという前提で時価による財産評

定を行う必要がある。

売掛金や貸付金等の金銭債権に関する含み損については、会社更生法と同様、貸倒

損失や貸倒引当金の定めに従って損金算入する。

- 19 -

会社更生法、民事再生法の財産評定結果と税務上の取扱いのまとめ

会計上の取扱い 会社更生法 民事再生法

財産評定結果の取扱い 会計上、反映させる必要がある。

財産評定の結果は原則として帳簿に

反映させる必要はない。

税務上の取扱い

会社更生法

民事再生法

評定損の損金算入

たな卸資産、固定資産、有価証券

同左

及び繰延資産について時価までの

評定損の損金算入が可能である。

債権については、法人税法の貸倒

同左

引当金、貸倒損失の規定に従う必

要がある。

益金不算入 評定益の益金算入 時価による評定益の益金算入

- 20 -

〔資料3〕 我が国の会計基準における時価の定義

会計基準 定

企業会計原則 公正な評価額(第三

F)

金融商品会計基準

時価とは公正な評価額をいい、市場において形成されている取引価格、気配又

(「金融商品に係る会計

は指標その他の相場(市場価格)に基づく価額である。市場価格がない場合、

基準」)

合理的に算定された価額を公正な評価額とする(金融商品会計基準第一 二)。

減損会計基準

時価とは公正な評価額をいい、通常、観察可能な市場価格をいう(減損会計

(「固定資産の減損に係

準注解(注1) 3)。

会計基準」)

市場価格(「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(以下「減損会計適用

指針」という。)第15項また書き)が存在する場合には、原則として、市場価格

に基づく価額を時価とする(減損会計適用指針第90項)。

市場価格が観察できない場合には、合理的に算定された価額が時価となる。

企業結合会計基準

時価とは公正な評価額をいう。通常、時価は観察可能な市場価格をいい、市場

(「企業結合に係る会計

価格が観察できない場合には、合理的に算定された価額をいう(企業結合会計

基準」)

基準 二 7)。

- 21 -

〔資料4〕評価替えに用いられる価額と時期の基本的な関係図

・取得原価評価 :

・処分価額評価 :

・時価評価(新取得原価) :

1.解散会社

100%(倒産)

倒 産 リ ス ク

2.更生会社

100%(倒産)

倒 産 リ ス ク

3.民事再生会社

100%(倒産)

倒 産 リ ス ク

( 清 算 )

時 間

解散決議

解散決議

(取締役会)

(株主総会)

( 破 産 )

時 間

申立て

開始決定

計画認可

( 破 産 )

時 間

申立て

開始決定

計画認可

- 22 -

〔資料5〕 継続企業の前提に関する開示と監査の事例分析

会社名 決算期

状 況

監査意見

継続企業の前提が成立していないと判断されるケース(解散が予定されている。)

① A社 3月 解散予定

② B社 3月 解散予定

③ C社 11 月 民事再生・営業譲渡実施・解散予定

不適正

追記情報

不適正

継続企業の前提が成立していないと判断されるケース(経営者が自ら判断している。)

④ D社 3月 事業継続困難

被合併会社のケース

不適正

⑤ E社 3月 逆取得により法人格消滅予定(事業自体は継続している。

) 追記情報

再建型の法的整理の申立てを行ったケース

⑥ F社 3月 民事再生・再生計画案未確定

意見不表明

⑦ G社 3月 民事再生・再生計画案認可決定

意見不表明

⑧ H社

⑨ I社

3月 民事再生・再生計画案未確定 追記情報

3月 民事再生・再生計画案認可決定 追記情報

解散決議又は法的整理の申立て等の事実はないが、金融機関の支援の可能性が不明等のケース

⑩ J社 2月 債務超過・経営計画等なし

⑪ K社 3月 債務について金融機関の対応不明

⑫ L社 3月 支援未承諾

意見不表明

意見不表明

追記情報

※監査意見欄の「追記情報」とは、「追記情報付無限定適正意見」を意味する。

- 23 -

》 《

民 事 再 生 会 社

〔資料6〕 解散会社、更生会社及び民事再生会社における監査意見の類型(参考例)

X1年度

解散決議

(取締役会)

解散決議

(株主総会)

清 算 結 了

【決算日】

X1年度監査報告

X1年度監査報告

適正意見又は追記情報付適正

追記情報付適正意見(減損会計の回収可

意見

能価額の算定可能)又は意見不表明(減

(監査報告なし)

会計の回収可能価額の算定不能)

X1年度

X2年度

X3年度

X4年度

【決算日】

【決算日】

X1年度監査報告

X1年度監査報告

適正意見又は追記

意見不表明

情報付適正意見

(減損会計の回収可

能価額の算定不能)

申 立 て

開 始 決 定

(X3年度においては有価証券報告書の提出免除

によりX2年度の監査報告がないことを前提)

X2年度監査報告

X4年度監査報告

追記情報付適正意見

(略)

【決算日】

【決算日】

X3年度監査報告

追記情報付適正意見

認 可 決 定

【決算日】

【決算日】

【決算日】

X1年度監査報告

X1年度監査報告

X1年度監査報告

X2年度監査報告

X2年度監査報告

X3年度監査報告

適正意見又は追記

意見不表明

意見不表明

意見不表明

追記情報付適正意見(修正後

追記情報付適正意見

情報付適正意見

(減損会計の回収可

(減損会計の回収可能

(減損会計の回収可能価額

発事象として減損会計適用)

(減損会計適用)又

能価額の算定不能)

価額の算定不能)

の算定不能)

又は不適正意見(修正後発事

は不適正意見(減損

象として減損会計不適用)

会計不適用)

X1年度

X2年度

X3年度

- 24 -

〔資料7〕 諸外国における取扱い

アメリカ イギリス フランス ドイツ

再建型の場合は、SOP90-7 に従い

1.企業が清算中であるか既に

1.企業の事業計画が不認可の

清算中の会社等の非継続企業

フレッシュ・スタート報告を採用

営業を停止している場合

場合

についても、清算が結了する

する。これに準拠し、適切な開示

2.経営者が清算するか営業活

2.事業停止になった場合

までの間においては、通常の

要 旨

がなされている場合は、説明文節

動を停止する以外に現実的な

を設けた適正意見が表明されてい

代替案を持っていない場合

る。

監査基準上、継続企業の前提が妥

1.あるいは 2.の状況では、経

同 左

当ではない場合についての取扱い

営者は「継続企業の前提以外の

は、明記されていない。

前提(=清算価値)」に基づい

て財務諸表を作成する。また、

会計監査人も追記情報付無限

定適正意見を表明する。

年 次 決 算 が 行 わ れ る と と も

に、これに対する監査が行わ

れる。

決算書の作成

(関連規定(会社法、会計

則))

1.連邦破産法第 11 章(Bankruptcy

清算手続中や営業休止の状態

企業の事業計画が不認可の場

支払不能、債務超過等の破産

Code Chapter11)―再建

になった事業体の場合、適切で

合と事業停止になった場合に

原因があり、これを脱するこ

申請を行った会社は、法廷の判断

あると判断されれば継続企業

は、企業の継続性が保証でき

とができない場合には、破産、

により、法廷で確認された再建計

の前提以外の前提(=清算価

ず、その場合には計算書類で

解散を通して、清算中の会社

画の下で再組織される。

値)に基づいて財務諸表を作成

も継続性の原則は放棄される

となる(有限会社法第 63 条、

2.連邦破産法第7章(Bankruptcy

する(FRS18 Para.21)。

(CNCC 情報8号)。

第 65 条)。

Code Chapter7)―清算

財務諸表が継続企業の前提に

継続性の原則が放棄された場

会社は清算され、資産は債権者と

基づいて作成されていない場

合には会計期間独立の原則も

清算中の会社は、営業の用に

株主に配分される。

合の開示(注記)事項も規定さ

放棄され、資産・負債は清算

供されていない固定資産等に

れている。(FRS18 Para.61C)

価値で評価される。保持され

ついては、流動資産として評

- 25 -

アメリカ イギリス フランス ドイツ

米国基準における関連規定

清算価値とは何かについて具

会計原則は保守主義のみと

価を行い、さらに、営業停止

1.SOP90-7(Financial Reporting

体的に定めた規定はないが、保

なる。

の実態に即した保守的な経理

by Entities in Reorganization

守 主 義 の 原 則 ( 会 社 法

附属明細書に会計方針(清算

(引当金の設定等)が要求さ

Under the Bankruptcy Code)

Chapter4 Para.12)等に基づ

価値により財務諸表を作成し

れる(企業の成果報告ではな

破産法第 11 章の保護を申請した

き、営業停止の実態に即した保

た旨)及び継続性の原則を放

く、清算結了前の経過報告的

企業の会計を扱い、破産を免れた

守的な経理(固定資産の流動資

棄した理由を開示する。

な性格を有する。)(有限会社

企業に、公正価値に基づく新しい

産への振替、引当金の設定等)

勘定科目ごとに「清算価値」

法第 71 条)。

報告ベース「フレッシュ・スター

が求められる。

とは何かが列挙されているが

(CNCC 情報8号)、基本的な考

え方はイギリスと差はないと

考えられる。

ト報告(Fresh-start reporting)」

を採用することを要求している。

「フレッシュ・スタート報告」の

もとでは、新しい企業が設立され

たように扱われる。

2.破産法第7章に基づく清算の場

清算をベースにした財務諸表(資

産は見積正味実現可能価額、負債

は支払わねばならない見積金額)

が作成される。

3.法的手続をとらず、累積欠損を

解消する場合

・欠損組替

(deficit reclassification)

- 26 -

アメリカ イギリス フランス ドイツ

資産と負債の評価替えを行うこと

なしに、欠損金を他の資本勘定と

相殺する。

SAB78(公開企業のみ適用)では、

欠損組替は禁止されているので、

非公開企業のみ適用が可能であ

る。

・準再組織

(quasi-reorganization)

(ARB43,Chapter7A)

適用は任意である。

資産と負債を公正価値で再評価

し、その修正を欠損金に加算する。

累積欠損金は資本準備金と相殺さ

れる。

AUセクション 341 では継続企業

原則として通常の年次決算と

同 左

原則として通常の年次決算と

監査上の取扱い

の前提が妥当である状況のみを想

同様に、監査も行われる。

定している。

清算価値で決算書が作成され

ていることが意見差控や不適

正意見の理由にはならない(追

記情報付無限定適正意見)。

同様に、監査も行われる(小

会社以外の有限会社は、登記

裁判所からの監査の免除がな

い限りは、監査を受ける義務

を有している。)。

- 27 -