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監査基準報告書315_周知文書第1号2022年3月期監査に係る周知文書.pdf

監査基準報告書 315 周知文書第1号

2022 年3月期監査に係る周知文書 (ウクライナをめぐる現下の国際情勢を踏まえた監査上の対応について)

2 0 2 2 年 4 月 7 日

改正 2 0 2 2 年 1 0 月 1 3日

日本公認会計士協会

監査・保証基準委員会

(周知文書:第3号)

ウクライナをめぐる国際情勢により、グローバルに活動を展開する企業や監査人の事業活動にも

影響が及んでおり、我が国の一部の企業においても影響が生じているとの報道がされている。

監査人は、ウクライナをめぐる国際情勢が被監査企業の事業活動に及ぼす影響を理解した上で、

それによる事業上のリスク等が財務諸表に重要な虚偽表示をもたらす可能性を考慮し、監査意見を

表明するための十分かつ適切な監査証拠を入手することが求められる。

以下に記載する事項は、2022年3月決算期の監査において、監査人が留意すべきと思われる事項

を列挙したものである。今後も状況の変化により追加して留意すべき事項が生じた場合には、改め

て周知する。なお、監査基準報告書315「重要な虚偽表示リスクの識別と評価」、同報告書540「会計

上の見積りの監査」に関する記載は、2022年3月期において原則適用される報告書に基づいている。

本周知文書は、一般に公正妥当と認められる監査の基準を構成するものではなく、会員が遵守す

べき基準等にも該当しない。また、2022年4月7日時点の最新情報に基づいている。

1.経営者及び監査役等とのコミュニケーション

今般のウクライナをめぐる国際情勢に関し、監査のリスク評価を検討するため、被監査企業の

経営者及び監査役等と適時にコミュニケーションを実施し、現状及び今後の情勢について経営者

はどのようにリスク評価し対応しているかを理解することが考えられる(監基報315第5項(1))。

2.事象の発生を踏まえたリスク評価の修正要否の検討

今般のウクライナをめぐる国際情勢に関し、被監査企業の事業活動に直接的又は間接的な影響

が生じている場合には、監査人は、監査基準報告書300「監査計画」第9項に基づき、監査の基本

的な方針及び詳細な監査計画の修正の要否を検討する必要がある。監査計画の見直しが必要とさ

れた結果、当初計画したリスク対応手続の種類、時期及び範囲を修正することが必要な場合があ

る。例えば、以下の状況が考えられる。

(1) 関連する地域に被監査企業の拠点がある場合の直接的な影響

関連する地域に被監査企業の拠点がある場合、事業の見直しに基づく拠点の閉鎖等が監査基

準報告書 315 第3項(2)の事業上のリスクに該当することが想定される場合がある。この場合、

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企業がどのように事業上のリスクを識別し、評価し、対処しているかについての監査人による評

価は、監査人が財務諸表全体レベル及びアサーション・レベルの重要な虚偽表示リスクを識別し

評価するのに役立つことがある(監基報 315 第 10 項(4)、第 15 項ほか)。

(2) 政府の措置が産業や経済事象に及ぼす間接的な影響

日本政府を含め、各国政府は、諸般の措置を実施している。監査人は、これらの措置により被

監査企業に関連する産業や経済事象に影響が及ぶ可能性を考慮し、当初のリスク評価について

修正が必要となるかどうか検討することを要する。日本政府による措置については、各省庁にお

いて公表がなされている 12(監基報 315 第 10 項(1)ほか)。

なお、リスク評価への影響が生じる状況として、例えば以下が想定される。

① 関連する地域に所在する主要な事業拠点、子会社、関連会社において、以下の事項又は事象

に対応する必要がある場合

ア.固定資産の減損(連結上ののれんも含む。)、税効果会計、棚卸資産の評価、債権の回収

可能性、事業撤退の影響の反映等といった会計上の見積り

イ.現地の事業拠点、子会社、関連会社におけるグループ財務諸表作成に必要な財務情報の作

成に関する遅延の発生

② 関連する地域に重要な取引先(原材料の調達先、得意先等)又は投資先がある場合の債権の

回収可能性、税効果会計、投融資・保証の評価等の会計上の見積り

3.会計上の見積りの監査

今般のウクライナをめぐる国際情勢による被監査企業の営む事業への上記2.に記載したよう

な影響によって、経営者による会計上の見積りの前提となる様々な仮定に影響が生じることが想

定される。また、現状においては、事象は帰結しておらず、見積りの不確実性が高まっていると考

えられる。監査人は、状況の変化が会計上の見積りのリスク評価に与える影響を考慮し、リスク評

価及び立案したリスク対応手続の修正が必要となるかどうか検討することを要する(監基報315第

30項及びA38項)。

監査人は、リスク評価手続において内部統制を含む企業及び企業環境を理解する際、会計上の

見積りに関連する重要な虚偽表示リスクを識別し評価する基礎を得るための事項として、(1)会計

上の見積りに関連して適用される財務報告の枠組みにおいて要求される事項、(2)経営者が、財務

諸表において認識又は開示するために、会計上の見積りが必要となる取引、事象及び状況を把握

する方法、(3)経営者が会計上の見積りを行う方法及びその基礎データについても理解することが

要求されている(監基報540第7項)。これら(1)から(3)に関しても改めて理解し、リスク評価の

更新を行うことが適切である。なお、基礎データとして用いられることが想定される各種経済指

1 「ウクライナをめぐる現下の国際情勢を踏まえた対応について」(2022 年(令和4年)3月 14 日 金融庁) 2 「ウクライナ情勢に関する外国為替及び外国貿易法に基づく措置について」(2022 年(令和4年)3月 15 日

外務省 財務省 経済産業省)

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標3は、ウクライナをめぐる国際情勢の直接的及び間接的な影響を踏まえ入手可能な最新の情報を

検討することが必要である(監基報540第12項(2)及びA68項)。

会計上の見積りへの影響としては、例えば、将来キャッシュ・フロー等の予測に影響する以下

の項目(仮定や基礎データ)が挙げられる。

(1) 事業の継続

(2) 契約や取引の履行可能性、サプライチェーンの乱れ

(3) 製品等の今後の需要動向や供給動向

(4) 原材料の価格、燃料価格及び資源価格、食品等の原料価格、輸送運賃価格等の上昇

(5) 天然ガスやその他の資源(鉱物資源等)の供給不足

(6) 為替変動

なお、収束時期や帰結が不透明な場合など、不確実性の高い環境下における監査の基本的な考

え方については、当協会が公表した「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(そ

の2)4」(2020 年5月 12 日更新)が参考になる。

また、監査人が 2022 年3月期の財務諸表の監査において、会計上の見積りに関し、職業的専門

家として特に重要であると判断した事項については、監査上の主要な検討事項として監査報告書

に記載することに留意が必要である。

4.独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告

監査上の主要な検討事項の報告は、実施された監査に関する透明性を高めることにより、監査

報告書の情報伝達手段としての価値を向上させることを目的としており、今般のウクライナをめ

ぐる国際情勢による影響についても十分な検討が必要である 5。

監査人は、監査役等とのコミュニケーションを行った事項の中から、監査を実施する上で監査

人が特に注意を払った事項を決定する場合において、以下に記載の監査基準報告書 701「独立監査

人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」第8項(1)から(3)の項目等を考慮する

際に、ウクライナをめぐる国際情勢による被監査企業に与える直接的及び間接的影響を踏まえる

必要がある。

(1) 監査基準報告書 315 に基づき決定された特別な検討を必要とするリスク又は重要な虚偽表示

リスクが高いと評価された領域

3 例えば、次のような経済指標が参考になる。 日本貿易振興機構(JETRO)「基礎的経済指標」:https://www.jetro.go.jp/ 国際通貨基金(IMF)「World Economic Outlook」:https://www.imf.org/en/Home 国際エネルギー機関(IEA)「Oil Market Report」:https://www.iea.org/ 4 新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その2)」(2020 年5月 12 日更新) 5 監査上の主要な検討事項の報告の検討に当たり、弊会から公表している「「監査上の主要な検討事項 (KAM)の適用2年目に向けて」(2022 年3月1日)」(2022 年3月1日)も参考になる。

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(2) 見積りの不確実性の程度が高い会計上の見積りを含む、経営者の重要な判断を伴う財務諸表

の領域に関連する監査人の重要な判断

(3) 当年度に発生した重要な事象又は取引が監査に与える影響

当該事項の中から更に、当年度の財務諸表の監査において、職業的専門家として特に重要であ

ると判断した事項を監査上の主要な検討事項として決定する必要がある(監基報 701 第9項)。

5.グループ監査

今般のウクライナをめぐる国際情勢により構成単位の事業活動や構成単位の監査人の作業に制

限等があった場合又は上記2.のリスク評価の見直しの結果、新たに重要な虚偽表示リスクや特

別な検討を必要とするリスクを識別した場合、グループ監査チームは、被監査企業及び構成単位

の監査人と一層のコミュニケーションを行う必要がある。

また、十分かつ適切な監査証拠を入手できなかった場合には、グループ財務諸表の監査意見に

与える影響を評価しなければならない(監査基準報告書600「グループ監査」第44項)。

なお、現地子会社等に関連して、十分かつ適切な監査証拠を入手できない状況として、例えば関

連する地域において以下のような事態が発生した場合が想定される。

(1) 銀行、顧客等からの確認状の回収が困難になること。

(2) 保有する在庫の実地棚卸の立会が実施不能となること。

(3) 現地子会社等の内部統制の整備、運用評価が完了できないこと(財務諸表監査、内部統制監

査)。

(4) 現地子会社等の決算を完了することができないこと。

6.経営者確認書

今般のウクライナをめぐる国際情勢が事業に及ぼす影響について、経営者に対し書面による陳

述を要請することが考えられる。監査基準報告書580「経営者確認書」や他の監査基準報告書に従

って、監査人の判断によって以下の例の下線部を追加する等の対応により、経営者に対して、適切

会計処理を行ったことや監査人に提供された情報の網羅性等の確認を要請する場合がある。

(例)

計算書類等

・ 時価による測定を含め、会計上の見積りを行うに際して使用した重要な仮定は、合理的

であると判断しております。なお、ウクライナをめぐる現下の国際情勢を踏まえた○○(会

計上の見積り)への影響については、計算書類等作成日における入手可能な情報に基づく

最善の見積りを行っています。

・ 決算日後本確認書の日付までに発生した計算書類等に重要な影響を及ぼす事象は、ウク

ライナをめぐる現下の国際情勢の影響を含め、全て計上又は注記されております。

会計上の見積りに関する開示は、ウクライナをめぐる現下の国際情勢に関する一定の仮

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定についての開示も含め、適用される財務報告の枠組みに準拠して網羅的であり、適切に

作成しております。

・ ウクライナをめぐる現下の国際情勢による〇〇への影響を含め、計算書類等に含まれる

会計上の見積り及び開示に修正を必要とする事象や状況は本確認書の日付までに発生して

おりません。

提供する情報

・ ウクライナをめぐる現下の国際情勢の影響に対応するために当社が行ったプロセス、内

部統制、方針及び手続に関する全ての重要な変更を貴監査法人に提示いたしました。

・ ウクライナをめぐる現下の国際情勢の影響を含む全ての取引は会計記録に適切に記録さ

れ、計算書類等に反映されております。

・ ウクライナをめぐる現下の国際情勢の影響を含め、計算書類と監査報告書日以前に監査

人に提供したその他の記載内容には一貫性があり、また当該その他の記載内容には重要な

誤りが含まれていないと判断しております。

7.その他の記載内容

2021年1月に改正された監査基準報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」は、

2022年3月期決算が適用初年度となり、監査人はその他の記載内容を入手して以下(1)及び(2)を

実施し、その結果を監査報告書に記載する必要がある。特に、今後の事業の見通し等、今般のウク

ライナをめぐる国際情勢に関する記載がその他の記載内容に含まれることがあることに留意し、

監査人は、その他の記載内容に対する手続の実施において、経営者及び監査役等の関係者とのよ

り一層緊密なコミュニケーションを行うことが必要となる場合が想定される。

(1) その他の記載内容の通読

監査人は、計算書類等における事業報告及びその附属明細書や有価証券報告書における事業

等のリスクや経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(いわゆ

る、MD&A)等の記載内容と財務諸表の数値又は数値以外の項目の間に重要な相違があるかどうか

について検討する必要がある。

また、監査人は、監査において入手した証拠と到達した結論の観点から、その他の記載内容と

監査人が監査の過程で得た知識の間に重要な相違があるかどうかについて検討することが必要

である(監基報720第13項)。例えば、経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロ

ーの状況の分析の開示において、経営成績等の増減要因等についての分析・検討内容の説明と監

査手続の過程で入手した情報との間における重要な相違の有無について検討が必要となる。

(2) その他の記載内容の検討及び評価

監査人は、財務諸表及び監査人が監査の過程で得た知識とその他の記載内容に重要な相違が

あると思われる場合(又は重要な誤りがあると思われるその他の記載内容に気付いた場合)、当

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該事項について経営者と協議し、必要に応じてその他の手続を実施しなければならない(監基報

720第15項及びA39項からA43項)。

さらに、監査人は、その他の記載内容に重要な誤りがあると判断した場合、経営者にその他の

記載内容の修正を要請し、経営者が同意しない場合、監査役若しくは監査役会、監査等委員会又

は監査委員会に当該事項を報告するとともに、修正を要請しなければならないことに留意する

(監基報720第16項)。

以 上

・ 本周知文書(2022 年 10 月 13 日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。

- 監査基準報告書(序)「監査基準報告書及び関連する公表物の体系及び用語」(2022 年7月

21 日改正)

【本件についての問合せ先】

担当部署:日本公認会計士協会 業務本部 監査グループ

E-mail :kansa@sec.jicpa.or.jp

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