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2022 年 8 ⽉

実務対応報告第 43 号

電⼦記録移転有価証券表⽰権利等の発⾏及び 保有の会計処理及び開⽰に関する取扱い

企業会計基準委員会

実務対応報告第 43 号 電子記録移転有価証券表示権利等の発行及び保有の会 計処理及び開示に関する取扱い

2022 年 8 月 26 日

企業会計基準委員会

本実務対応報告は、2024 年 7 月 1 日までに公表された次の会計基準等による修正が反映

されている。

 移管指針「移管指針の適用」(2024 年 7 月 1 日公表)

目 的

1. 本実務対応報告は、「金融商品取引業等に関する内閣府令」(平成 19 年内閣府令第 52 号。

以下「金商業等府令」という。)第 1 条第 4 項第 17 号に規定される「電子記録移転有価証

券表示権利等」を発行又は保有する場合の会計処理及び開示に関する取扱いを明らかにす

ることを目的とする。

範 囲

2. 本実務対応報告は、株式会社が前項に記載した電子記録移転有価証券表示権利等を発行

又は保有する場合の会計処理及び開示を対象とする。

用語の定義

3. 本実務対応報告における用語の定義は、次のとおりとする。

(1) 「電子記録移転有価証券表示権利等」とは、金商業等府令第 1 条第 4 項第 17 号に

規定される権利をいい、金融商品取引法(昭和 23 年法律第 25 号)第 2 条第 2 項に規

定される有価証券とみなされるもの(以下「みなし有価証券」という。)のうち、電

子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値に表示される場合に該当

するものをいう。

(2) 「金融負債」とは、支払手形、買掛金、借入金及び社債等の金銭債務並びにデリバ

ティブ取引により生じる正味の債務等をいう。

-1-

実務上の取扱い

Ⅰ.電子記録移転有価証券表示権利等の発行の会計処理 4. 電子記録移転有価証券表示権利等を発行する場合、その発行に伴う払込金額を第 5 項

及び第 6 項の定めに従い、負債、株主資本又は新株予約権として会計処理を行う。

5. 電子記録移転有価証券表示権利等の発行に伴う払込金額が負債に区分される場合には、

金融負債として、企業会計基準第 10 号「金融商品に関する会計基準」(以下「金融商品会

計基準」という。)第 7 項の定めに従って発生の認識を行い、その金額は金融商品会計

準第 26 項、又は第 36 項、第 38 項(1)及び企業会計基準適用指針第 17 号「払込資本を増

加させる可能性のある部分を含む複合金融商品に関する会計処理」(以下「複合金融商品

適用指針」という。)の定めに従う。

6. 電子記録移転有価証券表示権利等の発行に伴う払込金額が株主資本又は新株予約権に

区分される場合には、その内訳項目は企業会計基準第 5 号「貸借対照表の純資産の部の表

示に関する会計基準」(以下「純資産会計基準」という。)第 5 項から第 7 項の定めに従

い、その金額は会社法(平成 17 年法律第 86 号)第 445 条及び第 446 条の規定、又は金融

商品会計基準第 36 項、第 38 項(2)及び複合金融商品適用指針の定めに従う。

Ⅱ.電子記録移転有価証券表示権利等の保有の会計処理

7. 金融商品取引法第 2 条第 1 項及び第 2 項に定義される金融商品取引法上の有価証券に

ついては、金融商品会計基準及び移管指針第 9 号「金融商品会計に関する実務指針」(以

下「金融商品実務指針」という。また、以下、金融商品会計基準及び金融商品実務指針を

合わせて「金融商品会計基準等」という。)上、有価証券として取り扱われるものと有価

証券として取り扱われないものがある(金融商品実務指針第 8 項及び第 58 項)。

本実務対応報告において、電子記録移転有価証券表示権利等の保有の会計処理について

は、金融商品会計基準等上の有価証券に該当する場合と該当しない場合に分けて定める。

金融商品会計基準等上の有価証券に該当する場合

8. 金融商品会計基準等上の有価証券に該当する電子記録移転有価証券表示権利等の発生

及び消滅の認識については、金融商品会計基準第 7 項から第 9 項及び金融商品実務指針

の定めに従って行う。

ただし、電子記録移転有価証券表示権利等の売買契約について、契約を締結した時点か

ら電子記録移転有価証券表示権利等が移転した時点までの期間が短期間である場合は、金

融商品実務指針第 22 項の定めにかかわらず、契約を締結した時点で買手は電子記録移転

-2-

有価証券表示権利等の発生を認識し、売手は電子記録移転有価証券表示権利等の消滅を認

識する。

9. 金融商品会計基準等上の有価証券に該当する電子記録移転有価証券表示権利等の貸借

対照表価額の算定及び評価差額に係る会計処理は、金融商品会計基準第 15 項から第 22 項

及び金融商品実務指針の定めに従って行う。

金融商品会計基準等上の有価証券に該当しない場合

10. 金融商品会計基準等上の有価証券に該当しない電子記録移転有価証券表示権利等の会

計処理は、金融商品実務指針及び実務対応報告第 23 号「信託の会計処理に関する実務上

の取扱い」(以下「実務対応報告第 23 号」という。)の定めに従って行う。

ただし、金融商品会計基準等上の有価証券に該当しない電子記録移転有価証券表示権利

等のうち、金融商品実務指針及び実務対応報告第 23 号の定めに基づき、結果的に有価証

券として又は有価証券に準じて取り扱うこととされているものについての発生の認識(信

託設定時を除く。)及び消滅の認識は、金融商品実務指針及び実務対応報告第 23 号の定め

にかかわらず、本実務対応報告第 8 項の定めに従って行う。

Ⅲ.開 示 表 示

11. 電子記録移転有価証券表示権利等を発行又は保有する場合の表示方法は、みなし有価証

券が電子記録移転有価証券表示権利等に該当しない場合に求められる表示方法と同様と

する。

注記事項

12. 電子記録移転有価証券表示権利等を発行又は保有する場合の注記事項は、みなし有価証

券が電子記録移転有価証券表示権利等に該当しない場合に求められる注記事項と同様と

する。

適用時期

13. 本実務対応報告は、2023 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の期首から適用する。ただ

し、本実務対応報告の公表日以後終了する事業年度及び四半期会計期間から適用すること

ができる。

-3-

議 決

14. 本実務対応報告は、第 485 回企業会計基準委員会に出席した委員 13 名全員の賛成によ

り承認された。

-4-

結論の背景

Ⅰ.経緯等 15. 2019 年 5 月に成立した「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するため

の資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第 28 号)により、金融

商品取引法が改正された(以下「改正金融商品取引法」という。)。改正金融商品取引法で

は、いわゆる投資性 ICO(Initial Coin Offering。企業等がトークン(電子的な記録・記

号)を発行して、投資家から資金調達を行う行為の総称である。)を金融商品取引法によ

り規律することとされ、各種規定の整備が行われた。

具体的には、これまで流通する蓋然性が低いものとされ、いわゆる第二項有価証券とし

て分類されてきた金融商品取引法第 2 条第 2 項各号に規定される信託受益権、合名会社、

合資会社及び合同会社(以下、合名会社、合資会社及び合同会社を合わせて「持分会社」

という。)の社員権、並びに民法上の任意組合契約に基づく権利、商法上の匿名組合契約

に基づく権利、投資事業有限責任組合契約に基づく権利、有限責任組合契約に基づく権利

等(以下合わせて「集団投資スキーム持分等」という。)について、電子情報処理組織を

用いて移転することができる財産的価値に表示される場合、株式等と同様に事実上流通し

得ることを踏まえ、そのようなものを「電子記録移転権利」と定義し(金融商品取引法第

2 条第 3 項)、いわゆる第一項有価証券に含めることで原則として開示規制を課し、その

業としての取扱いに第一種金融商品取引業の登録を求めることとされた。

16. また、いわゆる投資性 ICO 以外の ICO トークンについては、併せて改正された「資金決

済に関する法律」(平成 21 年法律第 59 号。以下「資金決済法」という。)第 2 条第 5 項に

規定される「暗号資産」に該当する範囲において、引き続き資金決済法の規制対象に含め

ることとされた。

17. このように金融商品取引法及び資金決済法が改正されたことを受けて、2019 年 11 月に

開催された第 421 回企業会計基準委員会において、公益財団法人財務会計基準機構内に

設けられている基準諮問会議より、金融商品取引法上の電子記録移転権利又は資金決済法

上の暗号資産に該当する ICO トークンの発行・保有等に係る会計上の取扱いの検討を求

める提言がなされ、当委員会は、同年 12 月より検討を開始した。

18. その後、2020 年 5 月に改正府令が施行された金商業等府令において電子記録移転権利

よりも広い概念である「電子記録移転有価証券表示権利等」が定められた。これは、集団

投資スキーム持分等を含む、金融商品取引法第 2 条第 2 項に規定されるみなし有価証券

のうち、電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値に表示される場合に

該当するものであり、株式や社債などの有価証券表示権利も、電子情報処理組織を用いて

移転することができる財産的価値に表示される場合には、これに含まれるとされている。

-5-

金融商品取引業者としてこれを取り扱う場合には、その旨を記載した登録申請書を提出し

なければならないなど、追加的な規制が課されている。

Ⅱ.範 囲 検討の範囲

19. 基準諮問会議から提言を受けた金融商品取引法上の電子記録移転権利と資金決済法上

の暗号資産とでは、権利としての性格が異なると考えられるため、当委員会は、両者を分

けてプロジェクトを進めることとした。

20. 金融商品取引法上の電子記録移転権利については、改正金融商品取引法が 2020 年 5 月

より施行され、これまで流通する蓋然性が低いものとしていわゆる第二項有価証券として

分類されてきた集団投資スキーム持分等が、事実上、流通し得るものとしていわゆる第一

項有価証券に分類されたことなどにより、会計処理に及ぼし得る影響を可能な限り早期に

明らかにするニーズがあると考えられた。

21. また、金商業等府令において規定された電子記録移転有価証券表示権利等(本実務対応

報告第 18 項参照)についても、電子記録移転権利と同様に会計基準を開発する一定のニ

ーズが存在するものと考えられたため、本実務対応報告においては、電子記録移転権利の

みを取り扱うのではなく、より範囲の広い金商業等府令第 1 条第 4 項第 17 号に規定され

る電子記録移転有価証券表示権利等を本実務対応報告の範囲として取り扱うこととした。

なお、これまで当委員会では、基本的に株式会社における会計処理を明らかにしてきて

おり、本実務対応報告においては株式会社による発行及び保有の会計処理のみを検討の対

象とすることとした(本実務対応報告第 24 項から第 26 項参照)。

22. 一方、資金決済法上の暗号資産については、ICO トークンの発行件数が、国際的に 2017

年から 2018 年半ばにかけて増加したものの、その後急減している。また、国際的な会計

基準において、ICO トークンの発行及び保有の会計処理は確立されておらず、基準開発を

行うにあたり難易度が高い論点が識別されている。

そのため、資金決済法上の暗号資産に該当する ICO トークンに係る会計上の取扱いの

検討においては、基準開発の時期及び基準開発を行う場合に取り扱うべき会計上の論点に

ついて、実務対応報告公開草案第 63 号「電子記録移転有価証券表示権利等の発行及び保

有の会計処理及び開示に関する取扱い(案)」の公表に合わせて、2022 年 3 月に関係者か

らの意見を募集することを目的とした「資金決済法上の暗号資産又は金融商品取引法上の

電子記録移転権利に該当する ICO トークンの発行及び保有に係る会計処理に関する論点

の整理」(以下「論点整理」という。)を公表した。

23. なお、電子記録移転有価証券表示権利等は、今後どのように取引が発展していくかは現

時点では予測することが困難であるため、次の論点については論点整理の中で関係者から

-6-

の意見を募集することとし、そこでの要望に基づき別途の対応を図ることの要否を判断す

ることとしていた。

(1) 株式会社以外の信託、持分会社、民法上の任意組合、商法上の匿名組合、投資事業

有限責任組合及び有限責任事業組合(以下合わせて「会社に準ずる事業体等」という。)

における発行及び保有の会計処理

(2) 株式又は社債を電子記録移転有価証券表示権利等として発行する場合に財又はサ

ービスの提供を受ける権利が付与されるときの会計処理

(3) 暗号資産建の電子記録移転有価証券表示権利等の発行の会計処理

(4) 組合等への出資のうち電子記録移転権利に該当する場合の保有の会計処理

当委員会は、論点整理のうち電子記録移転有価証券表示権利等の発行及び保有に関する

論点に対して寄せられたコメントについて審議した。(4)の論点に関して、有価証券に係

る現行の定めを準用すべきかどうかを検討することが必要であるとするコメントが寄せ

られたが、現時点でその取引量が少なく市場性の有無が不明確であることを考慮すると、

早期に検討することは困難であると考えられた。また、それ以外の論点に関しても、電子

記録移転有価証券表示権利等に関する取引が今後どのように発展していくかを予測する

ことが現時点では依然として困難であると考えられた。その結果、早期に会計基準を開発

することを優先する観点から、これらの論点については本実務対応報告では取り扱わない

こととした。

株式会社以外の会社に準ずる事業体等による電子記録移転有価証券表示権利等の

発行及び保有の会計処理

24. これまで当委員会では、基本的に株式会社における会計処理を明らかにしてきており、

株式会社以外の会社に準ずる事業体等の会計処理に関しては、投資事業組合を子会社の範

囲に含めるかどうかの考え方について実務対応報告第 20 号「投資事業組合に対する支配

力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」に定めがあるほか、実務対応報告

第 23 号において受託者の会計処理が定められているなど限定的である。

25. ここで、電子記録移転有価証券表示権利等と従来のみなし有価証券(電子記録移転有価

証券表示権利等に該当しないみなし有価証券を指す。以下同じ。)の権利の内容は同一で

あると考えられることから、会社に準ずる事業体等による電子記録移転有価証券表示権利

等の発行及び保有の会計処理を検討するにあたっては、会社に準ずる事業体等が従来のみ

なし有価証券を発行又は保有する場合の会計処理を参考にすることが考えられるが、会社

に準ずる事業体等の会計処理は、関係法令又は実務によっており、会計基準上、必ずしも

明らかではない。

26. そのため、会社に準ずる事業体等による電子記録移転有価証券表示権利等の発行及び保

-7-

有の会計処理を定める場合、会社に準ずる事業体等における従来のみなし有価証券の発行

及び保有の会計処理を明らかにする必要があると考えられるが、その場合、電子記録移転

有価証券表示権利等の会計処理を取り扱うとする本プロジェクトの範囲を超えて基準開

発を行うこととなる。したがって、可能な限り早期に本実務対応報告を公表し利害関係者

のニーズに資するという便益を優先し、本実務対応報告においては株式会社による発行及

び保有の会計処理のみを検討の対象とすることとした。

なお、会社に準ずる事業体等が発行した電子記録移転有価証券表示権利等を株式会社が

保有する場合が想定されるため、株式会社による保有の会計処理においては、発行者がい

ずれの事業体等であるかにかかわらず、電子記録移転有価証券表示権利等を保有する場合

会計処理を取り扱うこととした。

Ⅲ.実務上の取扱い 電子記録移転有価証券表示権利等の会計処理の基本的な考え方

27. 電子記録移転有価証券表示権利等は、金融商品取引法において、金融商品取引法第 2 条

第 2 項に規定されるみなし有価証券のうち、当該権利に係る記録又は移転の方法その他

の事情等を勘案し、内閣府令で定めるものに限るとされており(金融商品取引法第 29 条

の 2 第 1 項第 8 号)、金商業等府令では、電子情報処理組織を用いて移転することができ

る財産的価値に表示される場合に該当するものとされている(金商業等府令第 6 条の 3)。

したがって、電子記録移転有価証券表示権利等は、その定義上、従来のみなし有価証券と

権利の内容は同一であると考えられる。すなわち、電子記録移転有価証券表示権利等と従

来のみなし有価証券との発行及び保有における差は、その発行及び保有がいわゆるブロッ

クチェーン技術等を用いてなされるか否かのみであると考えられる。

したがって、電子記録移転有価証券表示権利等の発行及び保有の会計処理は、基本的に

従来のみなし有価証券の発行及び保有の会計処理と同様に取り扱うこととした。

電子記録移転有価証券表示権利等の発行の会計処理

28. 前項に記載のとおり、電子記録移転有価証券表示権利等に該当する金融商品会計基準等

上の有価証券を発行する場合は、従来のみなし有価証券を発行する場合と同様の会計処理

を行うこととした(本実務対応報告第 4 項から第 6 項参照)。

29. ここで、一部の信託受益権(金融商品取引法第 2 条第 2 項第 1 号及び第 2 号に該当する

もの)については、金融商品取引法上の有価証券に該当するものの、金融商品会計基準等

上、有価証券として取り扱われない場合がある(金融商品実務指針第 8 項及び第 58 項)。

そのため、電子記録移転有価証券表示権利等に該当するこれらの一部の信託受益権につい

て、受託者による信託の会計処理が問題となるが、本実務対応報告第 26 項に記載のとお

-8-

り、本実務対応報告では株式会社による会計処理のみを定めることとしたため、金融商品

会計基準等上の有価証券に該当しない電子記録移転有価証券表示権利等の発行の会計

理は取り扱っていない。

(負債か株主資本かの区分)

30. 有価証券を発行した場合、払込金額が負債となるのか株主資本となるのかについての明

確な会計基準は存在せず、有価証券の法的形式等を勘案して、実務上の対応が行われてい

ると考えられる。したがって、電子記録移転有価証券表示権利等を発行した場合の払込金

額の区分についても、特段の定めを置かないこととした。この場合、現行の実務を参考に

することが考えられる。

(払込金額が負債となる場合)

31. 有価証券を発行し、払込金額が負債に区分される場合、金融負債として金融商品会計

準第 7 項及び第 10 項の定めに基づき発生及び消滅の認識を行い、その金額は金融商品会

計基準第 26 項、又は第 36 項、第 38 項(1)及び複合金融商品適用指針に基づき算定するこ

ととしている。したがって、電子記録移転有価証券表示権利等を発行し、その払込金額が

負債に区分される場合もこれらの定めに従うこととした(本実務対応報告第 5 項参照)。

(払込金額が株主資本又は新株予約権となる場合)

32. 有価証券を発行し、払込金額が株主資本に区分される場合、その内訳は純資産会計基準

第 5 項及び第 6 項の定めに基づき区分され、その金額は会社法の規定により決定される

(会社法第 445 条及び第 446 条)。また、払込金額が新株予約権に区分される場合、その

内訳は純資産会計基準第 7 項の定めに基づき区分され、その金額は金融商品会計基準第

36 項、第 38 項(2)及び複合金融商品適用指針の定めに基づき算定することとしている。

したがって、電子記録移転有価証券表示権利等を発行し、その払込金額が株主資本又は新

株予約権に区分される場合もこれらの定めに従うこととした(本実務対応報告第 6 項参

照)。

電子記録移転有価証券表示権利等の保有の会計処理

33. 金融商品取引法上の有価証券について、金融商品会計基準等上、有価証券として取り扱

われるものと有価証券として取り扱われないものがある(金融商品実務指針第 8 項及び

第 58 項)。株式会社はいずれも保有することが考えられるため、電子記録移転有価証券表

示権利等の保有の会計処理については、金融商品会計基準等上の有価証券に該当する場合

と該当しない場合に分けて、それぞれ定めることとした(本実務対応報告第 7 項参照)。

-9-

金融商品会計基準等上の有価証券に該当する場合

34. 本実務対応報告第 27 項に記載のとおり、電子記録移転有価証券表示権利等の権利の内

容は、金融商品取引法上の従来のみなし有価証券と同一であると考えられることから、金

融商品会計基準等上の有価証券に該当する電子記録移転有価証券表示権利等を保有する

場合の会計処理は、金融商品会計基準等上の有価証券に該当する従来のみなし有価証券を

保有する場合と同様とすることが考えられる。

そのため、金融商品会計基準等上の有価証券に該当する電子記録移転有価証券表示権利

等の貸借対照表価額の算定及び評価差額に係る会計処理については、従来のみなし有価証

券を保有する場合と同様に、金融商品会計基準第 15 項から第 22 項及び金融商品実務指

針(組合等への出資の会計処理(金融商品実務指針第 132 項及び第 308 項)を含む。)の

定めに従うこととした(本実務対応報告第 9 項参照)。

35. 一方、電子記録移転有価証券表示権利等の売買契約における発生及び消滅の認識につい

ては、次のとおり、本実務対応報告において別途の定めを置くことの検討を行った。

(発生及び消滅の認識)

36. 金融資産の発生の認識について、金融商品会計基準においては、金融資産の契約上の権

利を生じさせる契約を締結したときは、原則として、当該金融資産の発生を認識しなけれ

ばならないとしている(金融商品会計基準第 7 項)。金融資産の売買契約においては、こ

の原則は、厳密には当該売買契約自体を認識するのであって、契約日と受渡日が異なる固

定価格による売買契約は先渡契約であるから当該売買契約そのものを先渡契約として認

識し、市場相場の変動に伴う当該契約の権利義務から生じる価値を金融資産又は金融負債

として認識すべきことを意味しており、売買対象となった金融資産そのものを認識するの

ではないと解される(金融商品実務指針第 233 項)。

また、金融資産の消滅の認識について、金融商品会計基準においては、金融資産の契約

上の権利を行使したとき、権利を喪失したとき又は権利に対する支配が他に移転したとき

は、当該金融資産の消滅を認識しなければならないとしており(金融商品会計基準第 8 項)、

金融資産の契約上の権利に対する支配の他への移転の要件を定めている(金融商品会計

準第 9 項)。

ただし、有価証券の売買契約の認識については、金融商品実務指針において、約定日か

ら受渡日までの期間が市場の規則又は慣行に従った通常の期間である場合、原則として、

売買約定日に買手は有価証券の発生を認識し、売手は有価証券の消滅の認識を行う(以下

「約定日基準」という。)こととされている(金融商品実務指針第 22 項)。すなわち、

有価証券の売買契約の認識については、金融商品実務指針において、金融商品会計基準に

-10-

おける原則に対する別途の定めが置かれている。

37. 本実務対応報告第 34 項に記載のとおり、電子記録移転有価証券表示権利等に該当する

金融商品会計基準等上の有価証券を保有する場合の会計処理は、従来のみなし有価証券を

保有する場合と同様とすることが考えられるため、発生及び消滅の認識についても、前項

に記載した金融商品会計基準等の定めに従うことが考えられる。

しかしながら、電子記録移転有価証券表示権利等の売買に係る事例が限定的である現状

を踏まえると、電子記録移転有価証券表示権利等の売買契約においても金融商品実務指針

第 22 項における約定日基準の定めに従うこととする場合、約定日及び受渡日が明確では

ない場合も生じ得ると考えられ、また、実務上、約定日から受渡日までの期間が市場の規

則又は慣行に従った通常の期間であるかどうかの判断が困難である可能性がある。そのた

め、電子記録移転有価証券表示権利等の売買契約において、約定日に相当する時点、受渡

日に相当する時点及び約定日に相当する時点から受渡日に相当する時点までの期間につ

いて検討の上、本実務対応報告において、電子記録移転有価証券表示権利等の売買契約に

おける発生及び消滅の認識について別途の定めを置くこととした。

約定日に相当する時点

38. 金融商品実務指針における約定日基準の定めは、売買対象となった有価証券そのものを、

売買契約を締結した時点において認識するとの考え方を基礎としていると考えられるこ

とから、金融商品実務指針における約定日に相当する時点は、電子記録移転有価証券表示

権利等の売買契約を締結した時点とすることとした。

なお、約定日が明確である場合には、当該約定日が売買契約を締結した時点に該当する

と考えられる。

受渡日に相当する時点

39. 金融商品実務指針における受渡日においては、通常、有価証券に表示される権利が移転

すると考えられることから、電子記録移転有価証券表示権利等の売買において、金融商品

実務指針における受渡日に相当する時点は、電子記録移転有価証券表示権利等が移転した

時点とすることとした。

なお、電子記録移転有価証券表示権利等が移転した時点は、個々の権利ごとの根拠法に

基づき判断することが考えられるが、受渡日が明確である場合には、当該受渡日を電子記

録移転有価証券表示権利等が移転した時点として取り扱うことが考えられる。

約定日に相当する時点から受渡日に相当する時点までの期間

40. 本実務対応報告第 37 項に記載のとおり、電子記録移転有価証券表示権利等の売買取引

-11-

においては、実務上、約定日に相当する時点から受渡日に相当する時点までの期間が市場

の規則又は慣行に従った通常の期間であるかどうかの判断が困難である可能性がある。

41. ここで、金融商品実務指針において、有価証券を約定日基準で認識することが定められ

た理由の 1 つとして、通常の受渡期間による売買契約を締結した有価証券については、受

渡期間が短いため、約定日において金融資産の消滅の認識における法的保全の要件を満た

していなくとも、短期間に受渡しが履行され法的要件を満たすことが説明されている(金

融商品実務指針第 234 項)。

この点、電子記録移転有価証券表示権利等の売買取引においても、取引の安定化を図る

ために、約定日に相当する時点から短期間に法的保全の要件が満たされることが想定され

ることから、約定日に相当する時点から受渡日に相当する時点までの期間が短期間である

場合に限り、約定日に相当する時点で電子記録移転有価証券表示権利等の発生及び消滅を

認識することとした。

42. なお、本実務対応報告第 15 項に記載のとおり、改正金融商品取引法では、金融商品取

引法第 2 条第 2 項各号に規定されるみなし有価証券が電子情報処理組織を用いて移転す

ることができる財産的価値に表示される場合、株式等と同様に事実上流通し得ることを踏

まえ、そのようなものをいわゆる第一項有価証券に含めることで規制が強化されている。

また、電子記録移転有価証券表示権利等の売買においては、いわゆるブロックチェーン技

術等を用いることにより、売買契約の締結、権利の移転及び決済を即時に行うことも可能

になると考えられる。これらのことを踏まえると、電子記録移転有価証券表示権利等の売

買における約定日に相当する時点から受渡日に相当する時点までの期間は、通常、長くと

も我が国の上場株式における受渡しに係る期間を超えることはないことが想定される。

そのため、電子記録移転有価証券表示権利等の売買において、約定日に相当する時点か

ら受渡日に相当する時点までの期間が短期間かどうかは、我が国の上場株式における受渡

しに係る通常の期間と概ね同期間かそれより短い期間であるかどうかに基づいて判断す

ることが考えられる。

電子記録移転有価証券表示権利等における取扱い

43. 以上より、電子記録移転有価証券表示権利等の発生及び消滅の認識については、金融商

会計基準が定める原則に従って行うこととするが、その売買契約について、契約を締結

した時点から電子記録移転有価証券表示権利等が移転した時点までの期間が短期間であ

る場合に限り、契約を締結した時点において認識することとした(本実務対応報告第 8 項

参照)。

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金融商品会計基準等上の有価証券に該当しない場合

44. 本実務対応報告第 29 項に記載のとおり、一部の信託受益権については、金融商品取引

法上の有価証券に該当するものの、金融商品会計基準等上、有価証券として取り扱われな

い場合があり(金融商品実務指針第 8 項及び第 58 項)、これらの会計処理については、金

融商品実務指針及び実務対応報告第 23 号に定めがある。

45. ここで、本実務対応報告第 27 項に記載のとおり、電子記録移転有価証券表示権利等の

権利の内容は、金融商品取引法上の従来のみなし有価証券と同一であると考えられること

から、電子記録移転有価証券表示権利等に該当する前項に示した信託受益権を保有する場

合の会計処理についても、金融商品実務指針及び実務対応報告第 23 号の定めに従うこと

とした(本実務対応報告第 10 項参照)。

46. しかしながら、発生及び消滅の認識については、従来の有価証券の売買契約とは異なり、

約定日及び受渡日が明確ではない場合も生じ得ると考えられることなどから、金融商品会

計基準等上の有価証券に該当する電子記録移転有価証券表示権利等について、従来の有価

証券の定めとは異なる定めを置いている(本実務対応報告第 8 項及び第 36 項から第 43 項

参照)。

そのため、金融商品会計基準等上の有価証券に該当しない電子記録移転有価証券表示権

利等のうち、金融商品実務指針及び実務対応報告第 23 号の定めに基づき、結果的に有価

証券として又は有価証券に準じて取り扱うこととされているものについての発生の認識

(信託設定時を除く。)及び消滅の認識は、本実務対応報告第 8 項の定めに従うこととし

た(本実務対応報告第 10 項ただし書き参照)。

開 示

47. 本実務対応報告第 27 項に記載のとおり、電子記録移転有価証券表示権利等の権利の内

容は、従来のみなし有価証券と同一であると考えられ、電子記録移転有価証券表示権利等

の開示に関して、従来のみなし有価証券を発行又は保有する場合に適用される開示の定め

に従うことにより、有用な情報が開示されるものと考えられる。そのため、電子記録移転

有価証券表示権利等を発行又は保有する場合の表示方法及び注記事項は、みなし有価証券

が電子記録移転有価証券表示権利等に該当しない場合に求められる表示方法及び注記事

項と同様とすることとした(本実務対応報告第 11 項及び第 12 項参照)。

Ⅳ.適用時期

48. 本実務対応報告は、電子記録移転有価証券表示権利等を保有する場合の発生及び消滅の

認識について、金融商品実務指針における有価証券の定めとは異なる定めを置いているこ

とから(本実務対応報告第 8 項及び第 36 項から第 43 項参照)、本実務対応報告の適用に

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あたっては、一定の周知期間を設けることが有用と考えられる。そのため、2023 年 4 月 1

日以後開始する事業年度の期首から適用することとした。

また、本実務対応報告第 20 項に記載のとおり、改正金融商品取引法は既に 2020 年 5 月

より施行されており、本実務対応報告を速やかに適用することへのニーズが想定されるこ

とから、本実務対応報告を公表日以後終了する事業年度及び四半期会計期間から早期適用

することを認めることとした(本実務対応報告第 13 項参照)。

以 上

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本実務対応報告の公表による他の会計基準等についての修正

本実務対応報告により、当委員会が公表した会計基準等については、次の修正を行う(下線

は追加部分、取消線は削除部分を示す。)。

(1) (削 除)

以 上

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