企業会計基準適用指針第 29 号 中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指 針
平成 11 年 1 月 19 日
日本公認会計士協会
会 計 制 度 委 員 会
改正平成 30 年 2 月 16 日
企業会計基準委員会
本適用指針は、2021 年 8 月 12 日に公表された次の会計基準等による修正が反映されてい
る。
実務対応報告第 42 号「グループ通算制度を適用する場合の会計処理及び開示に関する
取扱い」(2021 年 8 月 12 日公表)
目 次 項 目 的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 適用指針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2 範 囲・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
用語の定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
会計処理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5
中間財務諸表における税金費用の会計処理・・・・・・・・・・・・・・・ 5
原則法による税金費用の計算・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
簡便法による税金費用の計算・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 11
中間連結財務諸表における税金費用の会計処理・・・・・・・・・・・・ 17
未実現利益の消去に係る一時差異の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
開 示・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
表 示・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
簡便法による場合の表示方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 20
注記事項・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 21
中間会計期間において租税特別措置法上の諸準備金等を積み立てたもの又は 取り崩したものとみなして税金費用を計算している場合の注記事項・・・・・
21
-1-
適用時期等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
議 決・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
結論の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 経 緯・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 27 用語の定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29 会計処理・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
中間財務諸表における税金費用の会計処理・・・・・・・・・・・・・・ 30
原則法による税金費用の計算・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 32
簡便法による税金費用の計算・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 36
中間連結財務諸表における税金費用の会計処理・・・・・・・・・・・・ 43
未実現利益の消去に係る一時差異の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・ 44
開 示・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45
表 示・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45
簡便法による場合の表示方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 45
適用時期等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46
設 例 [設例 1] 一般的な場合 [設例 2] 中間会計期間を含む事業年度において租税特別措置法上の諸準備金等の積
立てが予定されている場合
[設例 3] 前事業年度の期末において税務上の繰越欠損金を有する場合
[設例 4] 上期が利益の場合で下期に損失が見込まれるとき
[設例 5] 上期が損失の場合で下期に利益が見込まれるとき
[設例 6] 中間会計期間において税率が変更された場合
[設例 7] 簡便法を採用し法定実効税率を用いて税金費用を計算している場合で、税 法の改正による繰延税金資産の修正差額を上期及び下期に合理的な方法に より配分するとき
参 考
[開示例] 中間会計期間において租税特別措置法上の諸準備金等を積み立てたもの又
は取り崩したものとみなして税金費用を計算している場合の注記例
本適用指針の公表による他の会計基準等についての修正
-2-
目 的
1. 本適用指針は、企業会計審議会が平成 10 年 10 月に公表した「税効果会計に係る会 計基準」(以下「税効果会計基準」という。)を、中間連結財務諸表及び中間財務諸表(以
下合わせて「中間財務諸表等」という。)に適用する際の指針を定めるものである。
適用指針
範 囲
2. 本適用指針は、税効果会計基準が適用される中間財務諸表等に適用する。
用語の定義
3. 本適用指針において、中間財務諸表等における「税金費用」とは、税金等調整前中間 純利益又は税引前中間純利益に対応する税金に係る費用をいい、法人税等及び法人税
等調整額の双方が含まれる。
4. 本適用指針に、企業会計基準第 27 号「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基 準」第 4 項及び企業会計基準適用指針第 28 号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」
(以下「税効果適用指針」という。)第 4 項に定義されている用語が使われている場合、
当該用語の定義に従う。
会計処理
中間財務諸表における税金費用の会計処理
5. 中間財務諸表における税金費用は、中間会計期間を一事業年度とみなして、年度決算
と同様の方法により計算する(以下、この計算方法を「原則法」という。)。
ただし、中間会計期間を含む事業年度の税効果会計適用後の実効税率を合理的に見
積り(以下「見積実効税率」という。)、税引前中間純利益に当該見積実効税率を乗じて
計算することができる(以下、この計算方法を「簡便法」という。)。
原則法による税金費用の計算
6. 中間財務諸表における原則法による税金費用は、年度決算と同様の方法により次の
とおり計算する。
(1) 法人税等の額は、年度決算と同様の方法により計算する。
(2) (1)の計算により生じた将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金等について
-3-
は税効果適用指針第 8 項(1)に従って繰延税金資産を、将来加算一時差異について
は同適用指針第 8 項(2)に従って繰延税金負債を計上する。
当該繰延税金資産又は繰延税金負債を計上するにあたっては、税効果適用指針
第 9 項の定めを適用する。この場合において、同項に定める「期末」は、「中間
決算日」に読み替える([設例 1])。
(税金費用の計算に用いる税法及び税率) 7. 本適用指針第 6 項(2)に定める繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法及 び税率については、税効果適用指針第 44 項から第 49 項の定めを適用する。この場合
において、同項に定める「決算日」は、「中間決算日」に読み替える。
(税金費用の計算に用いる税法が改正された場合の取扱い) 8. 本適用指針第 6 項(2)に定める繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法が 改正された場合、税効果適用指針第 51 項及び第 53 項から第 55 項の定めを適用する
([設例 6])。この場合において、同項に定める「年度」は、「中間会計期間」に読み替
える。
(租税特別措置法上の諸準備金等の積立て又は取崩しの取扱い) 9. 中間財務諸表における税金費用の計算にあたって、圧縮積立金、特別償却準備金、そ の他租税特別措置法(昭和 32 年法律第 26 号)上の諸準備金等(以下「諸準備金等」と
いう。)の積立て又は取崩しについては、次のとおり取り扱う。
(1) 諸準備金等の積立ての原因となる会計事象が中間会計期間に生じ、当該中間会
計期間を含む事業年度に係る剰余金の処分により、当該諸準備金等の積立額が税
務上の損金に算入されることが確実な場合、当該税務上の損金の算入見込額を考
慮して当該中間会計期間に係る税金費用を計算する([設例 2])。
(2) 中間会計期間を含む事業年度において諸準備金等の取崩額が税務上の益金に算
入される場合、当該取崩額のうち中間会計期間に係る税務上の益金の算入見込額
を考慮して当該中間会計期間に係る税金費用を計算する。
(前事業年度の期末において税務上の繰越欠損金を有する場合の取扱い) 10. 前事業年度の期末において税務上の繰越欠損金を有する場合、当該税務上の繰越欠 損金については、中間会計期間に係る課税所得(税務上の繰越欠損金控除前)から控除
して、当該中間会計期間に係る税金費用を計算する([設例 3])。
簡便法による税金費用の計算
11. 中間財務諸表における簡便法による税金費用は、税引前中間純利益に見積実効税率
-4-
を乗じて計算する。
期首における繰延税金資産及び繰延税金負債については、中間決算日において税効
果適用指針第 8 項(1)に従って繰延税金資産の回収可能性を見直し、将来減算一時差異
及び税務上の繰越欠損金等に係る繰延税金資産の全部又は一部が将来の税金負担額を
軽減する効果を有さなくなったと判断された場合、計上していた繰延税金資産のうち
回収可能性がない金額を取り崩す。
(見積実効税率) 12. 見積実効税率は、原則として、次の算式により計算する([設例 1])。
見積実効税率 =
予想年間税金費用
予想年間税引前当期純利益
(1) 予想年間税金費用は、予想年間税引前当期純利益の額と予想年間課税所得の額
との差異のうち一時差異等に該当しない項目(税効果適用指針第 77 項)に係る税
金費用を含むもので、次の算式により計算する。
予想年間税金費用
=(予想年間税引前当期純利益±一時差異等に該当しない項目)×法定実効税
率
なお、法定実効税率は、中間会計期間を含む事業年度における法人税等の額を
計算する際に適用される税率に基づくものをいう(第 14 項、第 15 項、第 40 項
及び第 45 項において同じ。)。
また、予想年間税金費用の算定においては、必要に応じて税額控除を考慮す
る。
(2) 期首において繰延税金資産を計上していなかった重要な一時差異等について、
当中間会計期間において将来の税金負担額を軽減する効果を有することとなった
と判断された場合、見積実効税率の算定にあたり、税金の回収が見込まれる金額を
上記の算式の予想年間税金費用の額から控除する([設例 3])。
(税金費用の計算に用いる税法が改正された場合の取扱い) 13. 中間会計期間において、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法が改正 された場合、予想年間税金費用について、第 12 項(1)に示した算式に代えて、予想年間
納付税額(当該中間会計期間を含む事業年度の法人税等の予想額。以下同じ。)と予想
年間法人税等調整額との合計額を用いて計算する([設例 6])。
ただし、期首の繰延税金資産及び繰延税金負債の大部分が当該事業年度の期末にお
ける繰延税金資産及び繰延税金負債を構成することが見込まれる場合、次のとおり処
理することができる。
-5-
(1) 第 12 項に定める見積実効税率を用いて計算した税金費用を計上する。 (2) 税法が改正されたことによる期首の繰延税金資産及び繰延税金負債の修正差額
を計算し、(1)で計上した税金費用に加減する。
(見積実効税率を用いて税金費用を計算すると著しく合理性を欠く結果となる場合の取扱
い)
14. 第 12 項に定める見積実効税率を用いて中間会計期間に係る税金費用を計算すると著 しく合理性を欠く結果となる場合、法定実効税率を用いて当該税金費用を計算する。な
お、著しく合理性を欠く結果となる場合とは、例えば、次の場合が該当する。
(1) 予想年間税引前当期純利益がゼロ又は損失となる場合
(2) 予想年間税金費用がゼロ又はマイナスとなる場合
(3) 上期(中間会計期間)と下期の損益が相殺されるため、一時差異等に該当しない
項目に係る税金費用の影響が予想年間税引前当期純利益に対して著しく重要とな
る場合
15. 第 14 項の定めを適用し法定実効税率を用いる場合、中間会計期間に係る税金費用は
次のとおり計算する。
(1) 中間損益計算書上、税引前中間純利益のとき
税引前中間純利益に法定実効税率を乗じて税金費用を計算する。ただし、一時
差異等に該当しない項目が重要な場合、当該項目の額を税引前中間純利益に加減
した上で法定実効税率を乗じる([設例 4])。 (2) 中間損益計算書上、税引前中間純損失のとき
税引前中間純損失に法定実効税率を乗じて税金費用を計算する。ただし、一時
差異等に該当しない項目が重要な場合、当該項目の額を税引前中間純損失に加減
した上で法定実効税率を乗じる([設例 5])。
税引前中間純損失に法定実効税率を乗じて計算した税金費用に対応する中間貸
借対照表上の資産の額については、期首における繰延税金資産の額と合算して、
税効果適用指針第 8 項(1)に従って繰延税金資産の回収可能性を判断し、回収が
見込まれる額を計上する。
16. 第 14 項及び第 15 項の定めを適用するにあたっては、中間会計期間において税法が 改正された場合、当該中間会計期間を含む事業年度の期末に存在すると見込まれる一
時差異等の額を見積り、税法の改正による繰延税金資産及び繰延税金負債の修正差額
を上期(中間会計期間)及び下期に合理的な方法により配分し、上期に配分した修正差
額を中間会計期間に係る税金費用に加減する([設例 7])。
中間連結財務諸表における税金費用の会計処理
17. 中間連結財務諸表における税金費用は、連結会社の中間会計期間に係る税金費用と
-6-
連結財務諸表固有の一時差異に係る法人税等調整額に分けて次のとおり計算する。
(1) 連結会社の中間会計期間に係る税金費用については、連結会社ごとに原則法又
は簡便法のいずれかの方法により計算する。
(2) 連結財務諸表固有の一時差異に係る法人税等調整額については、年度決算と同
様の方法により計算する。
未実現利益の消去に係る一時差異の取扱い
18. 中間連結会計期間において、未実現利益の消去に係る連結財務諸表固有の将来減算 一時差異については、売却元の連結会社において売却年度に納付した当該未実現利益
に係る税金の額を繰延税金資産として計上する。
19. 第 18 項の定めを適用するにあたっては、中間連結会計期間に係る連結会社間の取引 に伴い生じた未実現利益の消去に係る将来減算一時差異の額については、売却元の連
結会社の売却年度(当該中間会計期間を含む事業年度)における課税所得の見積額(簡
便法による場合、予想年間税引前当期純利益。第 44 項において同じ。)を上限とする。
ただし、簡便法による場合、前事業年度の期末に税務上の繰越欠損金を有するときは、
未実現利益の消去に係る将来減算一時差異の額については、予想年間税引前当期純利
益から当該税務上の繰越欠損金の控除見込額を控除した額を上限とする。
開 示
表 示
簡便法による場合の表示方法
20. 簡便法による税金費用は、中間連結損益計算書又は中間損益計算書において法人税、 住民税及び事業税などその内容を示す科目をもって表示し、その旨を注記する。当該簡
便法による税金費用の相手勘定について、中間連結貸借対照表又は中間貸借対照表に
おいて負債に計上される場合は、流動負債の区分に未払法人税等などその内容を示す
科目をもって表示し、資産に計上される場合は(第 15 項(2)参照)、投資その他の資産
の区分に繰延税金資産などその内容を示す科目をもって表示する。
注記事項
中間会計期間において租税特別措置法上の諸準備金等を積み立てたもの又は取り崩したも
のとみなして税金費用を計算している場合の注記事項
21. 第 9 項に関連し、中間会計期間において諸準備金等の積立て又は取崩しを行わず、諸 準備金等を積み立てたもの又は取り崩したものとみなして税金費用を計算している場
合、その旨を注記する。
-7-
適用時期等
22. 本適用指針の適用時期は、平成 30 年に公表された税効果適用指針と同様に、平成 30 年 4 月 1 日以後開始する中間連結会計期間及び中間会計期間の期首から適用する。
23. 本適用指針の適用については、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当しな
いものとして取り扱う。
24. 本適用指針の公表に伴い、実務対応報告第 28 号「改正法人税法及び復興財源確保法 に伴う税率変更等に係る四半期財務諸表における税金費用の実務上の取扱い」(以下
「実務対応報告第 28 号」という。)及び実務対応報告第 29 号「改正法人税法及び復興
財源確保法に伴い税率が変更された事業年度の翌事業年度以降における四半期財務諸
表の税金費用に関する実務上の取扱い」(以下「実務対応報告第 29 号」という。)は廃
止する。
25. 当委員会は、日本公認会計士協会に、会計制度委員会報告第 11 号「中間財務諸表等 における税効果会計に関する実務指針」(以下「中間税効果実務指針」という。)及び会
計制度委員会「税効果会計に関する Q&A」(以下「税効果 Q&A」という。)の改廃を検討
することを依頼する。
議 決
26. 平成 30 年改正の本適用指針は、第 378 回企業会計基準委員会に出席した委員 14 名
全員の賛成により承認された。
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結論の背景
経 緯
27. 平成 25 年 12 月に開催された第 277 回企業会計基準委員会において、公益財団法人 財務会計基準機構内に設けられている基準諮問会議より、日本公認会計士協会におけ
る税効果会計に関する実務指針(会計に関する部分)について当委員会で審議を行うこ
とが提言された。この提言を受けて、当委員会は、税効果会計専門委員会を設置して、
平成 26 年 2 月から審議を開始した。
その後、当委員会は、繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針を先行して開発す
ることとし、平成 27 年 12 月に、企業会計基準適用指針第 26 号「繰延税金資産の回収
可能性に関する適用指針」(以下「回収可能性適用指針」という。)を公表した。
28. 本適用指針は、中間税効果実務指針を改正するものであり、主に当該中間税効果実務 指針のうち中間財務諸表等における税効果会計の適用に係る取扱いについて、基本的
にその内容を本適用指針に踏襲した上で見直しを行い、平成 29 年 6 月に企業会計基準
適用指針公開草案第 60 号「中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指針(案)」
を公表して広く意見を求めた。本適用指針は、公開草案に寄せられた意見を踏まえて検
討を行い、公表するに至ったものである。
用語の定義
29. 本適用指針では、中間税効果実務指針において「費用として認識した法人税等を「税 金費用」という。」とされていた「税金費用」という用語について、その内容をより明
確に示すため、「中間財務諸表等における「税金費用」とは、税金等調整前中間純利益
又は税引前中間純利益に対応する税金に係る費用をいい、法人税等及び法人税等調整
額の双方が含まれる。」と定義している(第 3 項参照)。なお、この用語を定義したこと
により実質的な内容が変更されることは意図していない。
会計処理
中間財務諸表における税金費用の会計処理
30. 税効果会計基準においては、「中間財務諸表及び中間連結財務諸表の作成上、法人税 等は、中間会計期間を含む事業年度の法人税等の計算に適用される税率に基づき、年度
決算と同様に税効果会計を適用して計算するものとする。ただし、中間会計期間を含む
事業年度の税効果会計適用後の実効税率を合理的に見積もり、法人税等を控除する前
の中間純利益に当該見積実効税率を乗じて計算することができる。」とされている(税
-9-
効果会計基準 第二 二 5)。
31. 第 5 項に定める原則法及び簡便法については、「中間財務諸表については、実績主義 により作成されるため、中間財務諸表における税効果会計も、原則的には中間会計期間
を一事業年度とみなして、中間会計期間を含む事業年度の法人税、住民税及び事業税の
計算に用いる税率に基づいて年度決算と同様に計算する。(中略)しかしながら、法人
税等は事業年度末において確定するため、上記の原則法に代えて、中間会計期間を含む
事業年度の見積実効税率を合理的に見積もり、税引前中間純利益に当該見積実効税率
を乗じて税金費用を計算する簡便法も認められている。」とされていた中間税効果実務
指針の考えを踏襲している。
原則法による税金費用の計算
(繰延税金資産の計上) 32. 将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に係る繰延税金資産は、回収可能性適用 指針第 6 項に従って回収可能性を判断した結果、当該将来減算一時差異(複数の将来減
算一時差異が存在する場合は、それらを合計する。)及び税務上の繰越欠損金が将来の
一時差異等加減算前課税所得の見積額及び将来加算一時差異の解消見込額と相殺され、
税金負担額を軽減することができると認められる範囲で計上するものとし、その範囲
を超える額については控除しなければならない(回収可能性適用指針第 7 項)。
したがって、例えば、中間会計期間において税務上の繰越欠損金に対して見積られる
繰延税金資産の計上額が、事業年度の期末において予想される税務上の繰越欠損金に
対して見積られる繰延税金資産の計上額より多額であったとしても、当該中間会計期
間後において税務上の繰越欠損金が課税所得の見積額(税務上の繰越欠損金控除前)と
相殺されることが合理的に見込まれる場合、繰延税金資産を計上することになる。
(税金費用の計算に用いる税法に関する取扱い) 33. 税効果適用指針では、税率に限らず、どの時点の税法を税効果会計に適用するかにつ いて明らかにし、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算にあたっては、決算日において
国会で成立している税法に規定されている納税額の算定方法に基づき計算することを
明記することとした(税効果適用指針第 44 項)。
これに伴い、本適用指針においても、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる
税法及び当該税法の改正に関する取扱いについて記載している(本適用指針第 7 項及
び第 8 項参照)。
34. 本適用指針では、中間財務諸表における原則法による税金費用の計算にあたって、繰 延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税法に関する取扱いに関して、税効果適
用指針の定めにおける「期末」及び「決算日」を「中間決算日」に読み替えた上で適用
することとしている(第 6 項及び第 7 項参照)。これは、中間財務諸表における税金費
-10-
用は、中間会計期間を一事業年度とみなして、年度決算と同様に計算することとされて
いるためである(税効果会計基準第二 二 5)。
(前事業年度の期末において税務上の繰越欠損金を有する場合の取扱い) 35. 前事業年度の期末において税務上の繰越欠損金を有する場合、当該税務上の繰越欠 損金については、上期(中間会計期間)と下期の課税所得(税務上の繰越欠損金控除前)
から平均的に控除する方法と上期の課税所得(税務上の繰越欠損金控除前)から優先的
に控除する方法が考えられる。本適用指針では、中間会計期間を一事業年度とみなして
年度決算と同様に処理するという考えにより、当該税務上の繰越欠損金について上期
の課税所得(税務上の繰越欠損金控除前)から優先的に控除することとしている中間税
効果実務指針に示されていた考えを踏襲している。
簡便法による税金費用の計算
(簡便法による税金費用) 36. 中間財務諸表における簡便法による税金費用の計算において、税金費用として処理 されない資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等に係る一時差異に関する繰
延税金資産及び繰延税金負債の差額については、原則法と同様に処理する。
すなわち、資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等を直接純資産の部に計
上する場合、当該評価差額等に係る一時差異に関する繰延税金資産及び繰延税金負債
の差額については、事業年度の期首における当該差額と中間決算日における当該差額
の増減額が、純資産の部の評価・換算差額等を相手勘定として計上され(税効果適用指
針第 9 項(1))、税金費用の計算には考慮されないこととなる。また、中間会計期間にお
いて、税法が改正されたこと等により、当該評価差額等に係る一時差異に関する繰延税
金資産及び繰延税金負債の額を修正した場合、当該修正差額を純資産の部の評価・換算
差額等を相手勘定として計上することとなる(税効果適用指針第 51 項(1))。
(見積実効税率) 37. 本適用指針では、中間財務諸表における簡便法による税金費用の計算について、中間
税効果実務指針において示されていた次の考えを踏襲している。
(1) 「税金費用は納付税額と法人税等調整額(税効果額)に区分することなく一括し
て計算されるため、見積実効税率の算定に当たっては、第 9 項の算式にあるように
基本的に一時差異等を考慮する必要がない。これは、中間会計期間における一時差
異等の変動は税引前中間純利益に対する税金費用に影響を与えないためである。
したがって、見積実効税率の算定に当たり、税金費用に影響するものとして一時差
異等に該当しない差異のみを考慮すれば足りることとなる。」
(2) 「しかし、例えば当期首に繰延税金資産を計上していなかった税務上の繰越欠損
-11-
金を当期又は将来に充当することが確実になった場合には、その予想充当額は、一
時差異等に該当しない差異と同様、税金費用に影響することとなる。同様に当期首
に繰延税金資産として計上していなかった一時差異等がある場合においても、当
期又は将来にその全部又は一部が実現すると確実に見込まれるときは、当該見積
実効税率の算定に当たり、その税金費用への影響を考慮する必要がある。」
(税金費用の計算に用いる税法が改正された場合の取扱い) 38. 中間会計期間において税法の改正に伴い税率が変更された場合の簡便法による税金 費用の計算の取扱いについては、中間税効果実務指針に示されていた次の考えに基づ
いている。
(1) 「簡便法では、年間の税金費用と税引前当期純利益を見積もるが、中間決算日時
点における一時差異等は把握しないため、税率変更があったとしても原則法のよ
うに厳密にその影響を計算することは想定されていない。」
(2) 「このため、簡便法においては、税率の変更を年間の税金費用の見積りに当たっ
て適用される税率に影響させるべきか否かその取扱いを明確にすることが必要と
なる。この点に関して、簡便法であっても原則法になるべく近似させることが必要
であるとの立場から、第 10 項では第 9 項の算式の分子として次の 2 項目の合計額
を使用することとした。
① 予想年間納付税額
予想年間税引前当期純利益に一時差異の予想年間増減額及び一時差異等に該
当しない差異を加減して算出した予想年間課税所得に基づき計算した当事業年
度における予想納付税額の合計額
② 予想年間法人税等調整額
上記①のうち一時差異の予想年間増減額に当事業年度における納付税額の計
算に用いる税率(法定実効税率)を乗じて計算した税額及び当事業年度末に存在
すると予想される一時差異に係る税率変更の影響額との合計額」
(見積実効税率を用いて税金費用を算定すると著しく合理性を欠く結果となる場合の取扱
い)
39. 中間税効果実務指針において、見積実効税率を用いて税金費用を算定すると中間会 計期間に係る適正な税金費用を計算できない事例として次のものが示されていた。
(1) 「簡便法を適用する場合に用いられる見積実効税率は、予想年間税金費用を予想
年間税引前当期純利益で除して算定されるため、予想年間税金費用又は予想年間
税引前当期純利益が発生しない場合には見積実効税率は算定できないこととな
る。」
(2) 「見積実効税率の算定における予想年間税金費用には一時差異等に該当しない
-12-
差異の税額への影響が反映されるが、上期と下期で損益が相殺されるため予想年
間税引前当期純利益が上期又は下期に計上される税引前純利益に比して著しく小
さく、その結果、一時差異等に該当しない差異に係る税金費用の影響が著しく重要
となる場合には、例えば、見積実効税率が 100%を超過したり、又は 0%に近くな
ったりすることも考えられ、このような見積実効税率では中間会計期間に係る適
正な税金費用を計算できないこととなる。」
40. 第 39 項に示した中間税効果実務指針における記載を踏まえ、第 14 項においては、 第 12 項に定める見積実効税率を用いて税金費用を計算すると著しく合理性を欠く結果
となる場合、法定実効税率を用いて計算することとしている。これは、中間税効果実務
指針に示されていたように、「上期と下期で損益が相殺されるような場合においては、
中間会計期間に係る税金費用を税引前中間純損益に法定実効税率を用いて計算し、上
期に計上した税金費用は下期に相殺されることにより、年度決算との整合性を図るこ
とが適当と考えられるため」である。
41. 第 16 項に定める税法の改正による繰延税金資産及び繰延税金負債の修正差額を上期 (中間会計期間)及び下期に配分する合理的な方法については、第 38 項に記載されて
いるように「簡便法であっても原則法になるべく近似させることが必要である」との立
場によるものであり、税効果 Q&A に示されていた次の内容に基づき定められている。
(1) 「合理的な方法とは、各会社の状況、一時差異の性質等を総合的に勘案して決め
られる妥当な方法を意味しています。」
(2) 「例えば、中間会計期間を含む事業年度の末日に存在すると見込まれる一時差異
が一つしかない会社で、その一時差異が棚卸資産の評価損に係るものであり、その
棚卸資産の評価損が上期にのみ生じたものであれば、全額上期に配分すべきです
し、上期及び下期の発生に係るものであれば、それぞれの金額をもとに上期及び下
期に配分することになります。」
(更正等による追徴又は還付に伴い過年度の法人税等の納付税額が変更された場合の取扱
い)
42. 中間会計期間において、更正等による追徴又は還付に伴い過年度の法人税等の納付 税額が変更された場合の簡便法における税金費用の取扱いについては、税効果 Q&A に
示されていた次の考えが参考になる。
(1) 「中間会計期間中に更正決定又は修正申告により過年度の納付税額が変更され
た場合の中間会計期間に帰属する税金費用は、中間税効果実務指針の第 9 項に掲
げる算式を用いてまず計算します。」
(2) 「この場合、追徴の対象とされた一時差異に係る税額部分は、当中間会計期間に
いったん税金費用に含められても、同額の将来減算一時差異が発生し、当該一時差
異に係る税金費用のマイナス額を計上する結果となります。」
-13-
(3) 「したがって、過年度に発生した一時差異に係る追徴税額は、当中間会計期間に
おける税金費用合計に影響を及ぼしません。」
(4) 「しかしながら、中間財務諸表等規則の第 52 条第 4 項では、重要な法人税等の
更正決定等による納付税額又は還付税額の区分表示を求めており、当該区分表示
をした場合には、過年度に発生した一時差異に係る追徴税額に相当する部分は税
金費用から控除して、中間損益計算書に計上することになります。」
中間連結財務諸表における税金費用の会計処理
43. 本適用指針では、連結会社ごとの税金費用の会計処理について、「簡便法では、各連 結会社ごとに予想年間税金費用から中間会計期間に係る税金費用が計算されますが、
その金額は原則法により計上される税金費用額に近似するものと思われますので、中
間連結財務諸表の作成上、原則法又は簡便法のいずれかに統一して適用することは要
求されておりません。したがいまして、中間連結財務諸表の作成上、連結会社ごとに原
則法又は簡便法を選択適用することができるものと解されます。」とされていた税効果
Q&A の取扱いを踏襲している(第 17 項(1)参照)。
未実現利益の消去に係る一時差異の取扱い
44. 中間連結会計期間における連結会社間の取引に伴い生じた未実現利益の消去にあた って、当該未実現利益の消去に係る将来減算一時差異の額が、売却元の連結会社の売却
年度における課税所得の見積額を上回っている場合、当該課税所得の見積額を上限と
している(第 19 項参照)。これは、実際の税金費用は年度の課税所得をもって確定する
ことから、中間連結会計期間においても売却年度における課税所得の見積額を将来減
算一時差異の限度額として用いることによって年度との整合性を図ることにより、年
間の業績見通しに資する情報を提供することとなるという考えに基づくものである。
開 示
表 示
簡便法による場合の表示方法
45. 簡便法により税金費用を計算する場合、法人税等の額と法人税等調整額が併せて計
算されるため、両者を区分して表示することはできない。
本適用指針では、「当該税金費用の相手勘定が貸方残高の場合は、基本的には納付税
額が主要部分を構成するものと考えられるため、当該貸方残高は流動負債として一括
表示することとした。」とされていた中間税効果実務指針の取扱いを踏襲している。ま
た、本適用指針は、税引前中間純損失に見積実効税率又は法定実効税率を乗じて税金費
用を計算し計上する場合、当該税金費用の相手勘定について、繰延税金資産などの科目
-14-
を用いることが示されていた税効果 Q&A の取扱いを踏襲している(第 20 項参照)。
適用時期等
46. 本適用指針は、中間税効果実務指針等のうち中間財務諸表等における税効果会計の 適用に係る取扱いについて、基本的にその内容を踏襲した上で表現の見直しを行った
ものであり、実質的な内容の変更は意図していないため、本適用指針の適用については、
会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に該当しないものとして取り扱うこととした
(第 23 項参照)。
47. なお、中間税効果実務指針を参照していた実務対応報告第 28 号及び実務対応報告第 29 号については、これらの実務対応報告において取り扱っていた復興特別法人税が廃
止されていることに鑑み、本適用指針の公表に伴い廃止する(第 24 項参照)。
-15-
設 例
次の設例は、税効果会計基準及び本適用指針で示された内容についての理解を深めるた
めに参考として示されたものであり、仮定として示された前提条件の記載内容は、経済環境
や各企業の実情等に応じて異なることに留意する必要がある。
[設例 1] 一般的な場合
1. 前提条件
(1) 当中間会計期間に係る税引前中間純利益は 1,000、貸倒引当金繰入限度超過額(将来
減算一時差異)は 300、交際費(税務上の損金に算入されない項目)は 100 である。当該
将来減算一時差異は、当中間会計期間において生じたものとする。
(2) 交際費は、一時差異等に該当しない項目(税効果適用指針第 77 項)であり、本設例で
は、当中間会計期間を含む事業年度に係る交際費の額の異なる次の 2 つのケースを想定
する。
(ケース A) 当中間会計期間を含む事業年度に係る予想年間税引前当期純利益は 2,000、
交際費は 200 と予想している。
(ケース B) 当中間会計期間を含む事業年度に係る予想年間税引前当期純利益は 2,000、
交際費は 300 と予想している。
(3) 法定実効税率は、30%とする。
(4) 前事業年度の期末に一時差異等は有していないものとする。
2. 会計処理
(1) 原則法による税金費用の計算
① 法人税等の計算
税引前中間純利益
貸倒引当金繰入限度超過額(将来減算一時差異)
交際費(税務上の損金に算入されない項目)
中間会計期間に係る課税所得
税 率(*)
法人税等
(*)法人税等の税率は、30%とする。
1,000
300
100
1,400
30%
420
-16-
② 法人税等調整額の計算
繰延税金資産(当期首)
繰延税金資産(中間決算日)
法人税等調整額(( ):貸方)
(*1) 繰延税金資産(中間決算日)90
-
90(*1)
(90)
=将来減算一時差異残高(中間決算日)300×法定実効税率 30%
③ 会計処理(第 6 項参照)
(借) 法人税、住民税及び事業税
繰延税金資産
420 90
(貸) 未払法人税等
法人税等調整額
420 90
(2) 簡便法による税金費用の計算
① 見積実効税率の計算
簡便法により税金費用を計算する場合、税金費用は法人税等の額と法人税等調整
額に区分することなく一括して計算され、一時差異等の変動は税引前当期純利益に
対する税金費用の比率に影響を及ぼさない(第 37 項参照)。このため、見積実効税
率の計算にあたっては、一時差異等に該当しない項目である交際費を考慮する(第
12 項参照)。
予想年間税引前当期純利益(a)
交際費(年間の予想額)(b)
小計((c)=(a)+(b))
法定実効税率(d)
(ケース A) (ケース B)
2,000
200
2,200
2,000
300
2,300
30.0%
30.0%
予想年間税金費用((e)=(c)×(d))
660
690
見積実効税率((f)=(e)÷(a))
33.0%
34.5%
② 税金費用の計算
(ケース A) 税引前中間純利益 1,000×見積実効税率 33.0%=330
(ケース B) 税引前中間純利益 1,000×見積実効税率 34.5%=345
③ 会計処理(第 11 項及び第 20 項参照)
ケース A
(借) 法人税、住民税及び事業税
330
(貸) 未払法人税等
330
ケース B
(借) 法人税、住民税及び事業税
345
(貸) 未払法人税等
345
-17-
3. 中間損益計算書
原則法
簡便法
税引前中間純利益
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
法人税等合計
中間純利益
1,000
420
△90
330
670
(ケース A)
(ケース B)
1,000
1,000
330
-
330
670
345
-
345
655
簡便法の見積実効税率の計算において考慮された交際費(年間の予想額)の予想年
間税引前当期純利益に対する割合は、ケース A では 10%(=交際費 200÷予想年間
税引前当期純利益 2,000)、ケース B では 15%(=交際費 300÷予想年間税引前当期
純利益 2,000)となっており、ケース A の場合には当中間会計期間における実績によ
る割合と同じであるため、原則法と簡便法(ケース A)の計算結果は一致している。
このように、簡便法においては、一時差異等に該当しない項目(交際費)に対応す
る税金費用を税引前当期純利益の割合で上期(中間会計期間)と下期に按分すること
となるため、税引前当期純利益(税引前中間純利益)に対する一時差異等に該当しな
い項目の割合が上期と年度で異なる場合、原則法と簡便法の計算結果は当該割合の
差(注)だけ相違することになる。
(注)原則法による税金費用 330-簡便法(ケース B)による税金費用 345=△15
△15=税引前中間純利益 1,000×(交際費の割合 10%(=交際費 100÷税引前中間純利益
1,000)-交際費の割合(ケース B)15%)×法定実効税率 30%
-18-
[設例 2] 中間会計期間を含む事業年度において租税特別措置法上の諸準備金
等の積立てが予定されている場合
1. 前提条件
(1) 当中間会計期間に係る税引前中間純利益は 1,000、特別償却に係るもの(将来加算一
時差異)は 300、交際費(税務上の損金に算入されない項目)は 100 であるとする。当
該一時差異 300 は、当中間会計期間に取得した固定資産に係る特別償却(租税特別措置
法に従ったもの)であり、当中間会計期間を含む事業年度において租税特別措置法上の
特別償却準備金を積み立てることが確実である。
(2) 交際費は、一時差異等に該当しない項目(税効果適用指針第 77 項)である。
(3) 当中間会計期間を含む事業年度に係る予想年間税引前当期純利益は 2,000、交際費は
200 であると予想している。
(4) 法定実効税率は、30%とする。
(5) 前事業年度の期末の一時差異等は有していないものとする。
2. 会計処理
(1) 原則法による税金費用の計算
① 法人税等の計算
税引前中間純利益
特別償却に係るもの(将来加算一時差異)
交際費(税務上の損金に算入されない項目)
中間会計期間に係る課税所得
税 率(*)
法人税等
(*)法人税等の税率は、30%とする。
② 法人税等調整額の計算
繰延税金負債(当期首)
繰延税金負債(中間決算日)(( ):貸方)
法人税等調整額
(*1) 繰延税金負債(中間決算日)90
=将来加算一時差異残高(中間決算日)300×法定実効税率 30%
1,000
△300
100
800
30%
240
-
(90)(*1)
90
③ 会計処理(第 6 項及び第 9 項参照)
(借) 法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
240 90
(貸) 未払法人税等 繰延税金負債
240 90
-19-
(2) 簡便法による税金費用の計算
① 見積実効税率の計算
[設例 1]2.(2)①と同様に、見積実効税率の計算にあたっては、一時差異等に該当
しない項目である交際費を考慮する(第 12 項参照)。なお、諸準備金等に係る一時
差異の変動は税引前当期純利益に対する税金費用の比率に影響を及ぼさないため、
別途考慮する必要がない。
予想年間税引前当期純利益(a)
交際費(年間の予想額)(b)
小計((c)=(a)+(b))
法定実効税率(d)
予想年間税金費用((e)=(c)×(d))
見積実効税率((f)=(e)÷(a))
2,000
200
2,200
30%
660
33%
② 税金費用の計算
税引前中間純利益 1,000×見積実効税率 33%=330
③ 会計処理(第 11 項及び第 20 項参照)
(借) 法人税、住民税及び事業税
330
(貸) 未払法人税等
330
3. 中間損益計算書
税引前中間純利益
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
法人税等合計
中間純利益
原則法
1,000
240
90
330
670
簡便法
1,000
330
-
330
670
租税特別措置法の特別償却準備金の積立額に係る将来加算一時差異については、
第 9 項に従って繰延税金負債を計上する。他方、当該将来加算一時差異は納付税額の
計算では、課税所得から減算されるため、それらの合計額である税金費用には影響し
ないこととなる(第 37 項参照)。
なお、本設例では、中間会計期間を含む事業年度における交際費の年間予想額の税
引前当期純利益に対する割合が中間会計期間における実績による割合と同じである
ため、原則法と簡便法の計算結果は一致している。
-20-
[設例 3] 前事業年度の期末において税務上の繰越欠損金を有する場合
1. 前提条件
(1) 当中間会計期間に係る税引前中間純利益は 1,000、貸倒引当金繰入限度超過額(将来
減算一時差異)は 300、交際費(税務上の損金に算入されない項目)は 100 である。
(2) 交際費は、一時差異等に該当しない項目(税効果適用指針第 77 項)である。
(3) 前事業年度の期末において、税務上の繰越欠損金を 1,000 有していた。当該税務上の
繰越欠損金に係る繰延税金資産については、回収可能性が見込まれないため計上してい
なかった。また、税務上の繰越欠損金を除く一時差異等は有していなかった。
(4) 当中間会計期間では、一時差異等に係る繰延税金資産の全額について回収可能性があ
ると判断した。
(5) 当中間会計期間を含む事業年度に係る予想年間税引前当期純利益は 2,000、交際費は
200 であると予想している。また、前事業年度の期末における税務上の繰越欠損金残高
1,000 は、全額、当中間会計期間を含む事業年度において予想年間課税所得の計算にお
いて控除されるものと予想する。
(6) 法定実効税率は、30%とする。
(7) 当中間会計期間の期首において、繰延税金資産及び繰延税金負債は計上されていない。
2. 会計処理
(1) 原則法による税金費用の計算
① 法人税等の計算
税引前中間純利益
貸倒引当金繰入限度超過額(将来減算一時差異)
交際費(税務上の損金に算入されない項目)
税務上の繰越欠損金
中間会計期間に係る課税所得
税 率(*)
法人税等
(*)法人税等の税率は、30%とする。
② 法人税等調整額の計算
繰延税金資産(当期首)
繰延税金資産(中間決算日)
1,000
300
100
△1,000
400
30%
120
-
90(*1)
法人税等調整額(( ):貸方)
(90)
(*1) 繰延税金資産(中間決算日)90
=将来減算一時差異残高(中間決算日)300×法定実効税率 30%
-21-
③ 会計処理(第 6 項参照)
(借) 法人税、住民税及び事業税
繰延税金資産
120 90
(貸) 未払法人税等
法人税等調整額
120 90
(2) 簡便法による税金費用の計算
① 見積実効税率の計算
見積実効税率の計算にあたっては、一時差異等に該当しない項目である交際費を
考慮する。また、当中間会計期間においては、前事業年度の期末に繰延税金資産を
計上していなかった税務上の繰越欠損金の全額について税金の回収が見込まれる
ため、当該金額を予想年間税金費用の額から控除する(第 12 項参照)。これらの項
目は、法人税等の額の計算のみに反映されるため、税引前当期純利益に対する税金
費用の比率に影響を及ぼすこととなる。
予想年間税引前当期純利益(a)
交際費(年間の予想額)(b)
税務上の繰越欠損金の年間の控除見込額(c)
小計((d)=(a)+(b)+(c))
法定実効税率(e)
予想年間税金費用((f)=(d)×(e))
見積実効税率((g)=(f)÷(a))
2,000
200
△1,000
1,200
30%
360
18%
② 税金費用の計算
税引前中間純利益 1,000×見積実効税率 18%=180
③ 会計処理(第 11 項及び第 20 項参照)
(借) 法人税、住民税及び事業税
180
(貸) 未払法人税等
180
3. 中間損益計算書
税引前中間純利益
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
法人税等合計
中間純利益
原則法
1,000
120
△90
30
970
簡便法
1,000
180
-
180
820
原則法による税金費用は中間会計期間を一事業年度とみなして、中間会計期間を
-22-
含む事業年度の法人税等の計算に用いる税率に基づき、年度決算と同様の方法によ
り計算するため、前事業年度の期末における税務上の繰越欠損金については、当中間
会計期間に生じた課税所得(税務上の繰越欠損金控除前)から控除して、税金費用を
計算する(第 10 項参照)。一方、簡便法により税金費用を計算する場合、上記 2(2)
①のとおり税務上の繰越欠損金の年間の控除見込額について年度で平均的に控除す
ることとなるため、両者の税金費用の額は相違することとなる。
-23-
[設例 4] 上期が利益の場合で下期に損失が見込まれるとき
1. 前提条件
(1) 当中間会計期間に係る税引前中間純利益は 1,000、貸倒引当金繰入限度超過額(将来
減算一時差異)は 300、交際費(税務上の損金に算入されない項目)は 100 である。当
該将来減算一時差異は、当中間会計期間において生じたものとする。
(2) 交際費は、一時差異等に該当しない項目(税効果適用指針第 77 項)である。
(3) 下期において損失(1,500)が見込まれるため、当中間会計期間を含む事業年度に係る
予想年間税引前当期純損失は 500、交際費は 200 であると予想している。
(4) 法定実効税率は、30%とする。
(5) 前事業年度の期末の一時差異等は有していないものとする。
(6) 当事業年度においては損失が見込まれているが、次年度以降は利益が見込まれるため、
当中間決算日に生じた将来減算一時差異に係る繰延税金資産の全額について回収可能
性があると判断している。
2. 会計処理
(1) 原則法による税金費用の計算
① 法人税等の計算
税引前中間純利益
貸倒引当金繰入限度超過額(将来減算一時差異)
交際費(税務上の損金に算入されない項目)
中間会計期間に係る課税所得
税 率(*)
法人税等
(*)法人税等の税率は、30%とする。
② 法人税等調整額の計算
繰延税金資産(当期首)
繰延税金資産(中間決算日)
法人税等調整額(( ):貸方)
(*1) 繰延税金資産(中間決算日)90
1,000
300
100
1,400
30%
420
-
90(*1)
(90)
=将来減算一時差異残高(中間決算日)300×法定実効税率 30%
③ 会計処理(第 6 項参照)
(借) 法人税、住民税及び事業税
繰延税金資産
(貸) 未払法人税等
法人税等調整額
420 90
420 90
-24-
(2) 簡便法による税金費用の計算
① 税金費用の計算
予想年間税引前当期純利益が損失のため、見積実効税率でなく法定実効税率によ
り当中間会計期間に係る税金費用を計算する(第 14 項(1)参照)。なお、一時差異等
に該当しない項目である交際費の影響を考慮する。
税引前中間純利益(a)
交際費(税務上の損金に算入されない項目)(b)
小計((c)=(a)+(b))
法定実効税率(d)
税金費用((e)=(c)×(d))
1,000
100
1,100
30%
330
② 会計処理(第 11 項及び第 20 項参照)
(借) 法人税、住民税及び事業税
330
(貸) 未払法人税等
330
3. 中間損益計算書
税引前中間純利益
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
法人税等合計
中間純利益
原則法
1,000
420
△90
330
670
簡便法
1,000
330
-
330
670
本設例において、原則法と簡便法は、税金費用を個別に計算するか一括して計算す
るかの違いはあるものの、結果として税金費用の額は一致している。
-25-
[設例 5] 上期が損失の場合で下期に利益が見込まれるとき
1. 前提条件
(1) 当中間会計期間に係る税引前中間純損失は 1,000、貸倒引当金損金繰入限度超過額(将
来減算一時差異)は 300、交際費(税務上の損金に算入されない項目)は 100 であると
する。当該将来減算一時差異は、当中間会計期間において生じたものとする。
(2) 交際費は、一時差異等に該当しない項目(税効果適用指針第 77 項)である。
(3) 下期においては利益(1,200)が見込まれるため、当中間会計期間を含む事業年度に係
る予想年間税引前当期純利益は 200、交際費は 200 であると予想している。
(4) 法定実効税率は、30%とする。
(5) 前事業年度の期末の一時差異等は有していないものとする。
(6) 税務上の欠損金の繰戻還付は、認められていないものとする。
(7) 当中間会計期間において生じた将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金相当額に
係る繰延税金資産の全額について回収可能性があると判断している。
2. 会計処理
(1) 原則法による税金費用の計算
① 法人税等の計算
税引前中間純利益(△は税引前中間純損失)
△1,000
貸倒引当金繰入限度超過額(将来減算一時差異)
交際費(税務上の損金に算入されない項目)
300
100
中間会計期間に係る課税所得(△は税務上の欠損金) △600
税 率(*)
法人税等
(*)法人税等の税率は、30%とする。
② 法人税等調整額の計算
繰延税金資産(当期首)
繰延税金資産(中間決算日)
法人税等調整額(( ):貸方)
(*1) 繰延税金資産(中間決算日)270
30%
-
-
270(*1)
(270)
=(将来減算一時差異残高(中間決算日)300+税務上の繰越欠損金残高(中間決算日)600)
×法定実効税率 30%
③ 会計処理(第 6 項参照)
(借) 繰延税金資産
270
(貸) 法人税等調整額
270
-26-
(2) 簡便法による税金費用及び繰延税金資産の計算
① 税金費用の計算
第 12 項に従って見積実効税率を計算すると、次のとおり 60%となるが、これは
上期(中間会計期間)と下期の損益が相殺されることにより、一時差異等に該当し
ない項目に係る税金費用が見積実効税率に著しく重要な影響を与えていることに
よる。そのため、当該見積実効税率による税金費用の計算は著しく合理性を欠く結
果となる場合に該当する(第 14 項(3)参照)。
予想年間税引前当期純利益(a)
交際費(年間の予想額)(b)
小計((c)=(a)+(b))
法定実効税率(d)
予想年間税金費用((e)=(c)×(d))
見積実効税率((f)=(e)÷(a))
200
200
400
30%
120
60%
したがって、法定実効税率により中間会計期間に係る税金費用を計算する。なお、
一時差異等に該当しない項目である交際費の影響を考慮する。
税引前中間純利益(△は税引前中間純損失)(a)
△1,000
交際費(税務上の損金に算入されない項目)(b)
小計((c)=(a)+(b))
法定実効税率(d)
税金費用((e)=(c)×(d))
100
△900
30%
△270
② 会計処理
(借) 繰延税金資産(*2)
270
(貸) 法人税、住民税及び事業税
270
(*2) 税引前中間純損失に法定実効税率を乗じて計算した税金費用に対応する中間貸借対照表上の資
産の額については、期首における繰延税金資産の額と合算して、税効果適用指針第 8 項(1)に従
って繰延税金資産の回収可能性を判断し、回収が見込まれる額を計上する(本適用指針第 15 項
(2)参照)。
-27-
3. 中間損益計算書
税引前中間純利益(△は税引前中間純損失) △1,000
△1,000
原則法
簡便法
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
法人税等合計
中間純利益(△は中間純損失)
-
△270
△270
△730
△270
-
△270
△730
本設例では、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金相当額に係る繰延税金資
産の計上額に原則法と簡便法との間に相違はなく、両者の計算結果は一致している。
-28-
[設例 6] 中間会計期間において税率が変更された場合
1. 前提条件
(1) 当中間会計期間に係る税引前中間純利益は 1,000、貸倒引当金繰入限度超過額(将来
減算一時差異)の前期末(当期首)残高は 200、当中間決算日残高は 500 である(当中
間会計期間における課税所得計算上、300 が加算される)、交際費(税務上の損金に算
入されない項目)は 100 であるとする。
(2) 前事業年度の期末において、貸倒引当金繰入限度超過額に係る繰延税金資産の全額に
ついて、回収可能性があると判断していた。
(3) 交際費は、一時差異等に該当しない項目(税効果適用指針第 77 項)である。
(4) 当中間会計期間を含む事業年度に係る予想年間税引前当期純利益は 2,000、貸倒引当
金繰入限度超過額の当期末残高は 700(当事業年度の課税所得計算上、500 が加算され
る)、交際費は 200 であると予想する。
(5) 当中間会計期間に税率が変更され、法定実効税率は 30%から 25%になったが、当事業
年度における法人税等の額の計算に当該税率の変更の影響はないものとする。
2. 会計処理
(1) 原則法による税金費用の計算
① 法人税等の計算
税引前中間純利益
貸倒引当金繰入限度超過額(将来減算一時差異)
交際費(税務上の損金に算入されない項目)
中間会計期間に係る課税所得
税 率(*)
法人税等
(*)法人税等の税率は、30%とする。
② 法人税等調整額の計算
繰延税金資産(当期首)
繰延税金資産(中間決算日)
法人税等調整額(( ):貸方)
1,000
300
100
1,400
30%
420
60(*1)
125(*2)
(65)
(*1) 繰延税金資産(当期首)60=将来減算一時差異残高(当期首)200×法定実効税率 30%
(*2) 繰延税金資産(中間決算日)125
=将来減算一時差異残高(中間決算日)500×法定実効税率 25%
なお、税率の変更による影響額 25(=将来減算一時差異残高(中間決算日)500×(変更
前の法定実効税率 30%-変更後の法定実効税率 25%))が含まれている。
-29-
③ 会計処理(第 6 項参照)
(借) 法人税、住民税及び事業税
繰延税金資産
420 65
(貸) 未払法人税等
法人税等調整額
420 65
(2) 簡便法による税金費用の計算
① 見積実効税率の計算
中間会計期間において、税法の改正に伴い税率が変更された場合、その影響を合
理的に見積る必要があるため、見積実効税率は、予想年間納付税額と予想年間法人
税等調整額との合計額を用いて計算する(第 13 項参照)。
(ア) 予想年間納付税額
予想年間税引前当期純利益
貸倒引当金繰入限度超過額(将来減算一時差異)
交際費(年間の予想額)
予想年間課税所得
税 率(*)
予想年間納付税額
(*)法人税等の税率は、30%とする。
(イ) 予想年間法人税等調整額
繰延税金資産(当期首)
繰延税金資産(当期末)
予想年間法人税等調整額(( ):貸方)
2,000
500
200
2,700
30%
810
60(*3)
175(*4)
(115)
(*3) 繰延税金資産(当期首)60=将来減算一時差異残高(当期首)200×法定実効税率 30%
(*4) 繰延税金資産(当期末)175=将来減算一時差異残高(当期末)700×法定実効税率 25%
なお、税率の変更による影響額 35(=将来減算一時差異残高(当期末)700×(変更前
の法定実効税率 30%-変更後の法定実効税率 25%))が含まれている。
(ウ) 見積実効税率
見積実効税率 34.75%=(予想年間納付額 810+予想年間法人税等調整額△115)
÷予想年間税引前当期純利益 2,000
なお、税率の変更がなかった場合、見積実効税率は 33%(*5)となる。したがっ
て、税率の変更による影響率は 1.75%(*6)となり、影響額は 35(*7)となる。この
額は税率変更による繰延税金資産への影響額 35(*4)と一致する。
(*5)
33%=
(予想年間税引前当期純利益 2,000+交際費(年間の予想額)200)×法定実効税率 30%
予想年間当期純利益 2,000
-30-
(*6) 税率の変更による影響率 1.75%=34.75%-33.0%
(*7) 税率の変更による影響額 35=予想年間当期純利益 2,000×1.75%
② 税金費用の計算
税引前中間純利益 1,000×見積実効税率 34.75%=347.5
③ 会計処理(第 11 項及び第 20 項参照)
(借) 法人税、住民税及び事業税
347.5
(貸) 未払法人税等
347.5
3. 中間損益計算書
税引前中間純利益
法人税、住民税及び事業税
法人税等調整額
法人税等合計
中間純利益
原則法
1,000
420
△65
355
645
簡便法
1,000
347.5
-
347.5
652.5
原則法による場合、中間会計期間に係る税率の変更による影響額を全額計上す
るのに対し、簡便法による場合、中間会計期間を含む事業年度に係る税率の変更
による影響額を税引前当期純利益の割合で上期(中間会計期間)と下期に按分す
るため、両者の計算結果は相違することとなる。
4. 表 示
前事業年度及び当中間会計期間の原則法による場合と簡便法による場合の貸借対照表は
次のようになる。
(原則法による場合)
前事業年度
当中間会計期間
流動負債
:
未払法人税等 420
投資その他の資産
:
繰延税金資産 60
:
⇒
投資その他の資産
:
:
繰延税金資産 125
:
-31-
(簡便法による場合)
前事業年度
当中間会計期間
流動負債
:
未払法人税等 347.5
投資その他の資産
:
繰延税金資産 60
:
⇒
投資その他の資産
:
:
繰延税金資産 60
:
-32-
[設例 7] 簡便法を採用し法定実効税率を用いて税金費用を計算している場合
で、税法の改正による繰延税金資産の修正差額を上期及び下期に合
理的な方法により配分するとき
1. 前提条件
(1) 当中間会計期間に係る税引前中間純利益は 100 とする。
(2) 減価償却費の損金算入限度超過額(将来減算一時差異)の前期末(当期首)残高は 400
であり、その全額について回収可能性があると判断していた。当該繰延税金資産は中間
会計期間の期末においても回収可能性があると判断している。
(3) 当事業年度において減価償却費の損金算入限度超過額 200 が新たに生じ、減価償却費
の損金算入限度超過額の当期末残高は 600 となることが見込まれている。
(4) 中間会計期間において簡便法により税金費用を計算しているが、予想年間税引前当期
純利益がゼロ又は損失となることが見込まれており、第 12 項の見積実効税率を用いて
中間会計期間に係る税金費用を計算すると著しく合理性を欠く結果となる場合に該当
するため、法定実効税率を使用している(第 14 項参照)。
(5) 当中間会計期間に税法が改正され、当該将来減算一時差異の解消が見込まれる期の法
定実効税率は 30%から 25%に変更された。なお、当該改正された税法により税率の変
更以外に繰延税金資産及び繰延税金負債の額は修正されていない。
2. 会計処理
(1) 税金費用の計上
当中間会計期間の税金費用を、税引前中間純利益 100 に法定実効税率 30%(中間会計
期間を含む事業年度における法人税等の額を計算する際に適用される税率に基づく法
定実効税率)を乗じて計算し、当該税金費用 30 について、未払法人税等などを相手勘定
として計上する。
(2) 税率の変更による修正差額の配分
当事業年度の期末の将来減算一時差異(減価償却費の損金算入限度超過額)600 に含
まれる当期首残高 400 についての税率の変更による影響額 20(=400×(30%-25%))
は、原則法との整合性を踏まえ、上期(中間会計期間)に配分する。
また、当事業年度に生じることが見込まれる将来減算一時差異 200 についての税率の
変更による影響額は、上期と下期にそれぞれ 5(=200×1/2×(30%-25%))を配分す
る。したがって、税率の変更による繰延税金資産の修正差額 30(=600×(30%-25%))
は、上期に 25(=当期首残高 400 についての税率変更による影響額 20+当事業年度に
生じることが見込まれる将来減算一時差異についての税率の変更による影響額 5)を、
下期に 5(当事業年度に生じることが見込まれる将来減算一時差異についての税率の変
-33-
更による影響額 5)を配分する(第 16 項参照)。
-34-
参 考
次の開示例は、本適用指針で示された内容について理解を深めるために参考として示さ
れたものであり、記載内容は各企業の実情等に応じて異なることに留意する必要がある。
[開示例] 中間会計期間において租税特別措置法上の諸準備金等を積み立てた
もの又は取り崩したものとみなして税金費用を計算している場合の
注記例
中間会計期間に係る法人税等の額及び法人税等調整額は、当事業年度において予定
している圧縮積立金及び特別償却準備金の積立て及び取崩しを前提として、当中間会
計期間に係る金額を計算しております。
-35-
本適用指針の公表による他の会計基準等についての修正
本適用指針により、当委員会が公表した会計基準等については、次の(1)及び(2)の修正を
行う(下線は追加部分、取消線は削除部分を示す。)。
(1) 企業会計基準適用指針第 14 号「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」
① 第 19 項
前項の方法における見積実効税率の算定方法、税率が変更された場合の見積実効
税率の算定方法及び見積実効税率を用いて税金費用を計算すると著しく合理性を欠
く結果となる場合の取扱いについては、日本公認会計士協会 会計制度委員会報告
第 11 号「中間財務諸表等における税効果会計に関する実務指針」第 9 項から第 12 項
企業会計基準適用指針第 29 号「中間財務諸表等における税効果会計に関する適用指
針」第 12 項から第 16 項に準じて処理する。なお、見積実効税率の算定においては、
税額控除を考慮することに留意する必要がある。
また、見積実効税率の算定において、財務諸表利用者の判断を誤らせない限り、一
時差異等に該当しない差異項目や税額控除等の算定にあたり、重要な項目に限定す
る方法によることができる。
(2) (削 除)
以 上
-36-