実務対応報告第 11 号 外貨建転換社債型新株予約権付社債の発行者側の 会計処理に関する実務上の取扱い
平成 15 年 9 月 22 日
企業会計基準委員会
本実務対応報告は、2024 年 11 月 1 日までに公表された次の会計基準等による修正が反映
されている。
・ 「2024 年年次改善プロジェクトによる企業会計基準等の修正について」(2024 年 11 月
1 日公表)
平成 14 年 4 月 1 日から施行されている商法等の一部を改正する法律(平成 13 年法律第 128
号)により導入された新株予約権付社債の会計処理については、平成 14 年 3 月 29 日に、実
務対応報告第 1 号「新株予約権及び新株予約権付社債の会計処理に関する実務上の取扱い」
が公表されている。
しかしながら、外貨建転換社債型新株予約権付社債の円換算に関する発行者側の処理につ
いては、企業会計審議会が平成 11 年 10 月 22 日付で改訂した「外貨建取引等会計処理基準」
(以下「外貨基準」という。)及び日本公認会計士協会が平成 12 年 3 月 31 日付で改正した会
計制度委員会報告第 4 号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」をどのように適用す
べきかが必ずしも明確ではないため、本実務対応報告で実務上の取扱いを明らかにすること
とした。
なお、本実務対応報告で取り扱う外貨建転換社債型新株予約権付社債は、これまで多く発
行されていると考えられる[設例]で示したような発行条件のものを念頭においている。また、
転換社債型新株予約権付社債に関する発行者側の会計処理については、一括法又は区分法が
適用されるが、実務上は一括法が適用されている例が大半であると思われるため、本実務対
応報告では、一括法の適用を前提にしている。今後、外貨建転換社債型新株予約権付社債に
ついて、発行条件が[設例]で示したような想定と大きく異なる事例や、区分法が適用される
事例が多く見受けられるようになり、その会計処理を検討する必要が生じた場合には、それ
らを前提とした実務上の取扱いを明らかにすることもある。また、外貨建転換社債型新株予
約権付社債以外の外貨建新株予約権付社債は、現状ではほとんど見られないため、それらの
取扱いを明らかにしていないが、今後それらが多く見受けられるようになり、その会計処理
を検討する必要が生じた場合には、同様に、実務上の取扱いを明らかにすることもある。
本実務対応報告は、第 41 回企業会計基準委員会に出席した委員 12 名全員の賛成により承
認された。
1. 転換社債型新株予約権付社債の定義等
転換社債型新株予約権付社債とは、新株予約権の行使があったときに代用払込の請求が
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あったものとみなす旨(商法第 341 条ノ 3 第 1 項第 8 号)を決議した新株予約権付社債で
あって、社債と新株予約権がそれぞれ単独で存在しえないことが明確にされるように、以
下のいずれかの事項が予め社債要項等に記載されており、従来の転換社債と経済的実質が
同一であると考えられるものをいう(実務対応報告第 1 号 Q2 のA2(2)参照)。
新株予約権について消却事由を定めておらず、かつ、社債についても繰上償還を定
めていないこと。
新株予約権について消却事由を定めている場合には、新株予約権が消却されたとき
に社債も同時に償還されること、かつ、社債について繰上償還を定めている場合に
は、社債が繰上償還されたときに新株予約権も同時に消却されること。
なお、転換社債型新株予約権付社債については、社債の発行価額(商法第 341 条ノ 3 第 1
項第 1 号)と新株予約権の行使に際して払い込むべき金額(商法第 341 条ノ 13 第 1 項)が
同額でなければならず(商法第 341 条ノ 3 第 2 項)、また、通常の新株予約権の行使と同様
に、新株予約権の発行価額と新株予約権の行使に際して払い込むべき金額の合計が新株の
発行価額とみなされる(商法第 341 条ノ 15 第 5 項、商法第 280 条ノ 20 第 4 項)。
2. 外貨建転換社債型新株予約権付社債に関する発行者側における円換算の処理
外貨建転換社債型新株予約権付社債の社債と新株予約権のそれぞれの発行価額を合算し、
普通社債の発行に準じて処理する(一括法)(実務対応報告第 1 号 Q2 のA3(2)①参照)場
合、円貨への換算は以下のように行うことが適当と考えられる。
(1) 発行時
発行時の円貨への換算は、発行時の為替相場による。ただし、発行による入金外貨額
に本邦通貨による為替予約等が締結され、振当処理を採用している場合には、為替予約
等により確定した円貨額により記録する。
(2) 決算時
新株予約権行使期間満了前における決算時の円貨への換算は、発行時に記帳された為
替相場による。ただし、行使の可能性がないと認められるものについては、決算時の為
替相場による円換算額を付する。行使の可能性がないと認められるか否かは、移管指針
第 2 号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」(以下「外貨建実務指針」という。)
第 22 項に準じて判断される。
また、新株予約権行使期間満了後における決算時の円貨への換算は、決算時の為替相
場による。
(3) 新株予約権行使時
新株予約権行使時の円貨への換算は、発行時に記帳された為替相場による。
これは、上述1.のように、転換社債型新株予約権付社債が、従来の転換社債と経済的実
質が同一と考えられるため、外貨建転換社債型新株予約権付社債の円換算の処理は、従来の
外貨建転換社債の円換算の処理(外貨基準一 2(1)②ただし書き及び外貨建実務指針第 20
項参照)と同様に行うことが適当であるとの考えによる。
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従来、転換社債の発行を潜在的株式の発行と解することにより、外貨建転換社債の円換算
の処理は、原則として発行時の為替相場による円換算額を付すこととされていた(外貨建実
務指針第 63 項参照)。これは、旧商法において、転換により発行する株式の発行価額(旧商
法第 341 条ノ 7)が転換社債の発行価額とされていた(旧商法第 222 条ノ 3)ことに根拠が
求められている(新株予約権付社債制度が創設された平成 13 年の商法改正においては、上
記の旧商法第 222 条ノ 3 の規定は削除されているが、新設された新株予約権付社債に関する
規定の中で、実質的に同様の内容が踏襲されているものと解される(1.なお書き参照))。
また、従来の転換社債の転換による新株発行については、このほかに現物出資や相殺と解
する考えもあり、この場合には、転換社債の発行と転換による新株発行をいったん切断して
考え、新株の発行価額は転換時の為替相場により円換算する考えと整合しやすい。
後者の考えについても、一定の合理性は認められるものの、新株予約権付社債制度の創設
によって、円換算の考え方を変更するほどの法律上の改正はないものと解されるため、従来
の外貨建転換社債の換算方法を踏襲することが妥当であると考えられる。
3. 適用時期
本実務対応報告は、公表日以後に終了する中間会計期間又は事業年度から適用する。
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[設例] 一括法による場合の外貨建転換社債型新株予約権付社債の発行者側の会計処理
1 前提条件
(1) 新株予約権付社債の発行価額は 1,000 千ドル(平価発行、期間 10 年)とする。
(2) 新株予約権の行使に際して払込をなすべき 1 株当たりの金額(転換価格)は 500 円と
する。なお、新株予約権の行使により交付される株式数は、社債の額面金額を換算(固
定)レート 210 円/ドルで円に換算した金額を、転換価格で除した数とする。新株の
発行価額はすべて資本金に組み入れるものとする。
(3) 為替相場
発行日
最初の決算日
新株予約権の行使時
212 円/ドル
220 円/ドル
215 円/ドル
2 会計処理(支払利息の処理は省略)
(単位:千円)
(1)発行時
現金預金 212,000 / 社債 212,000
(2)最初の決算日
なし
(3) 行使時(当初発行価額のうち 100 千ドルの行使がなされたと仮定)
社債 21,200(注 1) / 資本金 21,200(注 2)
(注 1) 行使に係る社債の額面金額 212,000 千円×100 千ドル/1,000 千ドル= 21,200 千円
(注 2) 行使により発行する株式の発行価額総額 100 千ドル×212 円/ドル= 21,200 千円
以 上
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