監査基準報告書260
監査役等とのコミュニケーション
監基報260
2 0 1 1 年 1 2 月 2 2 日
改正 2 0 1 5 年 5 月 2 9 日
改正 2 0 1 9 年 2 月 2 7 日
改正 2 0 1 9 年 6 月 1 2 日
改正 2 0 2 0 年 8 月 2 0 日
改正 2 0 2 1 年 1 月 1 4 日
改正 2 0 2 1 年 6 月 8 日
改正 2 0 2 1 年 8 月 1 9 日
改正 2 0 2 2 年 6 月 1 6 日
改正 2 0 2 2 年 1 0 月 1 3 日
改正 2 0 2 3 年 1 月 1 2 日
改正 2 0 2 3 年 5 月 1 8 日
最終改正 2 0 2 4 年 9 月 2 6 日
日 本 公 認 会 計 士 協 会
監査・保証基準委員会
( 報 告 書 : 第 10号 )
項番号
Ⅰ 本報告書の範囲及び適用
1.本報告書の範囲 .............................................................. 1
2.コミュニケーションの役割 .................................................... 4
3.適用時期 .................................................................... 8
Ⅱ 本報告書の目的 ................................................................ 9
Ⅲ 定義 ......................................................................... 10
Ⅳ 要求事項
1.監査役等 ................................................................... 11
(1) 監査役会、監査等委員会又は監査委員会の一部に対するコミュニケーション ..... 12
2.コミュニケーションを行うことが要求される事項
(1) 財務諸表監査に関連する監査人の責任 ....................................... 14
(2) 計画した監査の範囲とその実施時期 ......................................... 15
(3) 監査上の重要な発見事項 ................................................... 16
(4) 監査人の独立性 ........................................................... 17
(5JP) 品質管理システムの整備・運用状況 ................................... 18-2JP
3.コミュニケーション・プロセス
i
監基報260
(1) コミュニケーション方法の決定 ............................................. 19
(2) コミュニケーションの方法 ................................................. 20
(3) コミュニケーションの実施時期 ............................................. 22
(4) コミュニケーションの適切性 ............................................... 23
4.監査調書 ................................................................... 24
Ⅴ 適用指針
1.監査役等 ................................................................... A1
(1) 監査役会、監査等委員会又は監査委員会の一部に対するコミュニケーション ..... A5
2.コミュニケーションを行うことが要求される事項
(1) 財務諸表監査に関連する監査人の責任 ....................................... A9
(2) 計画した監査の範囲とその実施時期 ........................................ A11
(3) 監査上の重要な発見事項 .................................................. A17
(4) 監査人の独立性 .......................................................... A29
(5JP) 品質管理システムの整備・運用状況 .................................. A32-2JP
(6) 追加的な事項 ............................................................ A33
3.コミュニケーション・プロセス
(1) コミュニケーション方法の決定 ............................................ A37
(2) コミュニケーションの方法 ................................................ A46
(3) コミュニケーションの実施時期 ............................................ A49
(4) コミュニケーションの適切性 .............................................. A51
4.監査調書 .................................................................. A54
付録1 監査役等と行うコミュニケーションについて記載している品質管理基準報告書と他の
監査基準報告書の要求事項の一覧
付録2 会計実務の質的側面
ii
監基報260
《Ⅰ 本報告書の範囲及び適用》
《1.本報告書の範囲》
1.本報告書は、監査人による監査役若しくは監査役会、監査等委員会又は監査委員会(以下「監査
役等」という。)とのコミュニケーションに関する実務上の指針を提供するものである。本報告書
はガバナンスの構造や企業の規模にかかわらず適用されるが、上場企業の監査の場合に特に考慮
する事項を併せて記載している。
本報告書は、監査人と、ガバナンスに責任を有する者に該当しない経営者又は所有者と監査人
とのコミュニケーションに関する要求事項を記載するものではない。
1-2JP.本報告書では、国際監査・保証基準審議会の公表する国際監査基準(ISA)260において規定
された、「本報告書の範囲及び適用」、「要求事項」又は「適用指針」には含まれていないが、日本
公認会計士協会が本報告書の起草に当たり追加した規定については、項番号に「JP」の文字を付
している。
2.本報告書は、財務諸表監査を前提としているが、監査役等が、例えば、有価証券の募集に関連し
て作成される財務情報等、その他の財務情報の作成を監視する責任を有する場合にも、状況に応
じて適用されることがある。
3.本報告書は、財務諸表監査における有効な双方向のコミュニケーションの重要性を認識し、監
査人が監査役等と行うコミュニケーションの包括的な枠組みを提供するとともに、監査人が監査
役等とコミュニケーションを行うことが要求される特定の事項について記載している。
他の監査基準報告書には、本報告書で要求される事項に追加して、監査役等とコミュニケーシ
ョンを行うことが要求される事項が記載されている(付録1参照)。なお、監査基準報告書265「内
部統制の不備に関するコミュニケーション」は、監査人が監査において識別した内部統制の重要
な不備の監査役等へのコミュニケーションに関する要求事項を記載している。
法令、企業との合意、又は日本公認会計士協会の他の実務指針の追加的な要求事項によって、本
報告書又は他の監査基準報告書では要求されない事項についてコミュニケーションを行うことが
求められる場合がある。
本報告書は、監査人が、本報告書で要求されている事項以外の事項について、監査役等とのコミ
ュニケーションを行うことを妨げるものではない(A33項からA36項参照)。
《2.コミュニケーションの役割》
4.本報告書は、主として、監査人から監査役等に行うコミュニケーションに焦点を当てているが、
有効な双方向のコミュニケーションは、以下のことを行う上で重要である。
(1) 監査人と監査役等が、監査に関する事項を理解し、効果的な連携をもたらすような関係を構
築すること。
この関係は、監査人の独立性と客観性を保持した上で構築される。
(2) 監査人が、監査役等から監査に関連する情報を入手すること。
例えば、監査人の企業及び企業環境の理解に資する情報、監査証拠の適切な情報源の識別及
び特定の取引や事象に関する情報を監査役等が提供することがある。
(3) 監査役等が、財務報告プロセスを監視する責任を果たし、それによって、財務諸表の重要な
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監基報260
虚偽表示リスクを軽減すること。
5.監査人は、本報告書が要求する事項について監査役等とコミュニケーションを行う責任を有す
るが、経営者もまた、ガバナンスの観点から、監査役等より報告を求められることがある。この経
営者による報告は、監査人によるコミュニケーションによって代替されるものではない。同様に、
経営者による報告によって、監査役等とコミュニケーションを行うことが要求される事項につい
ての監査人の責任は軽減されない。ただし、経営者による報告は、監査人が監査役等と行うコミ
ュニケーションの方法や時期に影響を与えることがある。
6.監査基準報告書が要求する事項について監査役等と明確にコミュニケーションを行うことは、
全ての監査において必要である。なお、要求事項以外の事項について監査役等とコミュニケーシ
ョンを行う場合は、要求事項以外の事項を特定するための特別な手続を監査人に要求するもので
はない。
7.国によっては、法令等により、監査人が一定の事項についてガバナンスに責任を有する者にコ
ミュニケーションを行うことが制限されている場合がある。法令等により、違法行為又はその疑
いのある行為について、企業に注意喚起することを含め、適切な規制当局による調査を害するお
それのあるコミュニケーションやその他の行為を明確に禁止していることがある。例えば、マネ
ー・ローンダリングに関する法令に従って、監査人が適切な規制当局に違法行為又はその疑いを
報告することが求められている場合がある。このような状況では、監査人が検討する事項は複雑
であり、監査人は法律専門家に助言を求めることが適切と考えることがある。
《3.適用時期》
8.本報告書の適用時期は以下のとおりである。
・ 本報告書(2011年12月22日)は、2012年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以後
開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する。
・ 本報告書(2015年5月29日)は、2015年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以
後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する。
第16項は、2015年5月29日以後行われる監査役等とのコミュニケーションから適用するもの
とし、外部のレビュー又は検査の結果については、2015年5月29日以後受領した品質管理レビ
ューの報告書又は検査結果通知書を対象として伝達する。ただし、日本公認会計士協会の品質
管理レビューについては、2015年5月29日までに受領したレビュー報告書に記載されている限
定事項及び改善勧告事項で、2015年5月29日時点で、フォローアップ・レビューによる改善状況
の確認が未了の事項を伝達対象とする。
・ 本報告書(2019年2月27日)は、以下の事業年度に係る監査等から適用する。
- 違法行為に関連する改正(第7項、付録1の監査基準委員会報告書240及び同250への参照)
は、2019年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以後開始する中間会計期間に
係る中間監査から適用する。
- 第16項及び関連する適用指針は、2019年4月1日以後行われる監査役等とのコミュニケー
ションから適用するものとし、懲戒処分等の内容、監査事務所の品質管理のシステムの外部
のレビュー又は検査の結果については2019年4月1日以後通知を受けたものを対象として伝
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達する。
- 監査上の主要な検討事項に関連する適用指針(A8項、A13項、A17項、A23項(監基報701に関
連する部分に限る。)、A46項及びA48項)は、2021年3月31日以後終了する事業年度に係る監査
から適用する。ただし、2020年3月31日(米国証券取引委員会に登録している会社においては
2019年12月31日)以後終了する事業年度に係る監査から早期適用することができる。
- 上記以外の改正は、2020年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用する。
・ 本報告書(2019年6月12日)は、2020年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以
後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する。ただし、2019年4月1日以後開始する
事業年度に係る監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間監査から早期適用すること
ができる。
・ 本報告書(2020年8月20日)における日本公認会計士協会の品質管理レビューの結果等の伝
達に係る適用指針(A31項(1))は、2020年7月1日以後新たに開始される品質管理レビューの結
果の伝達から適用する。
・ 本報告書(2021年1月14日)は、以下の事業年度に係る監査等から適用する。
- 会計上の見積りの監査に関連する適用指針(A18項及びA19項)は、2023年3月31日以後終了
する事業年度に係る財務諸表の監査及び2022年9月に終了する中間会計期間に係る中間財務
諸表の中間監査から実施する。ただし、それ以前の決算に係る財務諸表の監査及び中間会計
期間に係る中間財務諸表の中間監査から実施することを妨げない。
- 上記以外の改正は、2022年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から適用する。ただ
し、2021年3月31日以後終了する事業年度に係る監査から早期適用することができる。
・ 本報告書(2021年6月8日)は、2023年3月31日以後終了する事業年度に係る財務諸表の監査
及び2022年9月に終了する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から実施する。ただし、
それ以前の決算に係る財務諸表の監査及び中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から実
施することを妨げない。
・ 本報告書(2021年8月19日)は、2021年9月1日から適用する。
・ 本報告書(2022年6月16日)は、2023年7月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表の監査
及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用する。なお、公認
会計士法上の大規模監査法人以外の監査事務所においては、2024年7月1日以後に開始する事
業年度に係る財務諸表の監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監
査から適用する。ただし、それ以前の決算に係る財務諸表の監査及び中間会計期間に係る中間
財務諸表の中間監査から適用することを妨げない。なおその場合、品質管理基準委員会報告書
第1号「監査事務所における品質管理」(2022年6月16日)、品質管理基準委員会報告書第2号
「監査業務に係る審査」(2022年6月16日)及び監査基準委員会報告書220「監査業務における品
質管理」(2022年6月16日)と同時に適用する。
・ 本報告書(2022年10月13日)のうち、倫理規則に関する事項は、2023年4月1日以後開始する
事業年度に係る財務諸表の監査から適用する。ただし、本報告書を、倫理規則(2022年7月25日
変更)と併せて2023年4月1日以後終了する事業年度に係る財務諸表の監査から早期適用する
ことを妨げない。なお、品質管理に関する事項は、2022年6月16日付け改正の品質管理基準委員
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会報告書第1号「監査事務所における品質管理」、品質管理基準委員会報告書第2号「監査業務
に係る審査」及び監査基準委員会報告書220「監査業務における品質管理」と同時に適用する。
・ 本報告書(2023年1月12日)は、2024年4月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表の監査
及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用する。また、公認
会計士法上の大規模監査法人以外の監査事務所においては、2024年7月1日以後に開始する事
業年度に係る財務諸表の監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監
査から適用する。ただし、それ以前の決算に係る財務諸表の監査及び中間会計期間に係る中間
財務諸表の中間監査から適用することを妨げない。その場合、品質管理基準委員会報告書第1
号「監査事務所における品質管理」(2022年6月16日)、品質管理基準委員会報告書第2号「監査
業務に係る審査」(2022年6月16日)及び監査基準委員会報告書220「監査業務における品質管
理」(2022年6月16日)と同時に適用する。なお、2022年6月16日付けで改正された品質管理基
準に関する事項は、品質管理基準委員会報告書第1号(2022年6月16日)、品質管理基準委員会
報告書第2号(2022年6月16日)及び監査基準委員会報告書220(2022年6月16日)と同時に適
用する。さらに、本報告書(2022年10月13日及び2023年1月12日)のうち、倫理規則に関する事
項は、2023年4月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表の監査から適用する。ただし、本報
告書を、倫理規則(2022年7月25日変更)と併せて2023年4月1日以後終了する事業年度に係る
財務諸表の監査から早期適用することを妨げない。
・ 本報告書(2023年5月18日)は、2023年4月1日から適用する。なお、2023年1月12日付けで
改正したグループ監査における特別な考慮事項に関する事項については、監査基準報告書600
(2023年1月12日)と同時に適用する。
・ 本報告書(2024年9月26日)は、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度に係
る監査並びに同日以後開始する中間連結会計期間及び中間会計期間に係る中間監査から適用す
る。ただし、倫理規則(2024年7月18日変更)を早期適用する場合には、併せて本報告書を早期
適用する。
《Ⅱ 本報告書の目的》
9.本報告書における監査人の目的は、以下の事項のとおりである。
(1) 監査に関する監査人の責任、及び計画した監査の範囲とその実施時期の概要について、監査
役等と明確にコミュニケーションを行うこと。
(2) 監査に関連する情報を監査役等から入手すること。
(3) 財務報告プロセスを監視する監査役等の責任に関連し重要と考えられる監査上発見した事項
について、監査役等に適時に伝達すること。
(4) 監査人と監査役等が連携し、有効な双方向のコミュニケーションを行うこと。
《Ⅲ 定義》
10.本報告書における用語の定義は、以下のとおりとする。
(1) 「経営者」-取締役又は執行役のうち、企業における業務の執行において責任を有する者を
いう。国によっては、ガバナンスに責任を有する者の一部若しくは全員が経営者である企業も
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あり、又はオーナー経営者のみが経営者である企業もある。
(2) 「ガバナンスに責任を有する者」-企業の戦略的方向性と説明責任を果たしているかどうか
を監視する責任を有する者又は組織をいう。これには、財務報告プロセスの監視が含まれる。国
によっては、ガバナンスに責任を有する者には、経営者を含むことがある。
なお、我が国においては、会社法の機関の設置に応じて、取締役会、監査役若しくは監査役
会、監査等委員会又は監査委員会がガバナンスに責任を有する者に該当するが、品質管理基準
報告書及び監査基準報告書においては、原則としてコミュニケーションの対象は監査役若しく
は監査役会、監査等委員会又は監査委員会を想定し「監査役等」と記載している。一方、海外の
構成単位の監査に関連する場合は、ガバナンスの構造の多様性を考慮して「ガバナンスに責任
を有する者」を使用している(A1項からA7項参照)。
《Ⅳ 要求事項》
《1.監査役等》
11.監査人は、ガバナンスの構造に応じて、コミュニケーションを行うことが適切なガバナンスに
責任を有する者を判断しなければならない。第10項(2)に記載のとおり、特に断りのない限り品質
管理基準報告書及び監査基準報告書では、監査役等とのコミュニケーションを想定している(A1
項からA4項参照)。
《(1) 監査役会、監査等委員会又は監査委員会の一部に対するコミュニケーション》
12.監査人は、監査役会、監査等委員会又は監査委員会を構成する個人とコミュニケーションを行
う場合には、全ての監査役、監査等委員又は監査委員に適切に情報が伝わるように、監査役会、監査
等委員会又は監査委員会にもコミュニケーションを行うことが必要かどうかを判断しなければなら
ない(A5項からA7項参照)。
13.欠番
《2.コミュニケーションを行うことが要求される事項》
《(1) 財務諸表監査に関連する監査人の責任》
14.監査人は、財務諸表監査に関連する監査人の責任について、監査役等とコミュニケーションを
行わなければならない。財務諸表監査に関連する監査人の責任についての監査役等とのコミュニ
ケーションには、以下の事項を含めなければならない。
(1) 監査人は、経営者が作成する財務諸表に対して監査意見を形成し、表明する責任を有すること。
(2) 財務諸表監査は、経営者又は監査役等の責任を代替するものではないこと(A9項及びA10項参照)。
《(2) 計画した監査の範囲とその実施時期》
15.監査人は、計画した監査の範囲とその実施時期の概要について、監査役等とコミュニケーショ
ンを行わなければならない。これには監査人により識別された特別な検討を必要とするリスクが
含まれる(A11項からA15項参照)。
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監基報260
《(3) 監査上の重要な発見事項》
16.監査人は、以下について、監査役等とコミュニケーションを行わなければならない(A17項及び
A18項参照)。
(1) 会計方針、会計上の見積り及び財務諸表の表示及び注記事項を含む、企業の会計実務の質的
側面のうち重要なものについての監査人の見解
監査人は、会計実務が、適用される財務報告の枠組みの下で受入可能であるが、企業の特定の
状況においては最適なものではないと考える場合は、その理由を監査役等に説明しなければな
らない(A19項及びA20項参照)。
(2) 監査期間中に困難な状況に直面した場合は、その状況(A21項参照)
(3) 監査の過程で発見され、経営者と協議したか又は経営者に伝達した重要な事項(A22項参照)
(4) 監査人が要請した経営者確認書の草案
(5) 監査報告書の様式及び内容に影響を及ぼす状況(A23項及びA24項参照)
(6) 監査の過程で発見され、監査人が、職業的専門家としての判断において財務報告プロセスに
対する監査役等による監視にとって重要と判断したその他の事項(A26項参照)
《(4) 監査人の独立性》
17.監査人は、我が国における職業倫理に関する規定(特定の事業体の財務諸表監査に特有の独立
性に関する規定が適用される場合には当該独立性に関する規定を含む。)を監査業務に適用する旨、
監査役等とコミュニケーションを行わなければならない(A29項参照)。なお、監査人は、我が国に
おける職業倫理に関する規定に準拠して策定された監査事務所の方針及び手続に従い、独立性に
関して監査役等とコミュニケーションを行わなければならない。
18.上場企業の場合、監査人は、以下について、監査役等とコミュニケーションを行わなければなら
ない。
(1) 監査チーム及び必要な範囲の監査事務所の他の構成員、監査事務所、並びに該当する場合ネ
ットワーク・ファームが、独立性についての職業倫理に関する規定を遵守した旨
(2) 次に掲げる事項
① 監査事務所、ネットワーク・ファームと企業の間の関係及びその他の事項で、監査人の職業
的専門家としての判断により、独立性に影響を与えると合理的に考えられる事項
これには、監査事務所とネットワーク・ファームが企業及び企業が支配する構成単位に対
して提供した監査及び監査以外の業務について、監査対象期間に関連した報酬金額を含めな
ければならない。これらの報酬に関する情報は、監査人の独立性に与える影響を監査役等が
評価するのに役立つ程度に集計し、適切に区分しなければならない。
② 識別した独立性に対する阻害要因が許容可能な水準にないと判断する場合、当該阻害要因
を生じさせている状況を除去する対応策又は阻害要因を許容可能な水準にまで軽減するため
に適用されるセーフガード(A30項からA32項参照)
《(5JP) 品質管理システムの整備・運用状況》(A32-2JP 項から A32-4JP 項参照)
18-2JP.監査人は、少なくとも以下のいずれかに該当する監査の場合は、監査事務所の品質管理シス
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テムの整備・運用状況の概要を監査役等に書面又は電磁的記録で伝達しなければならない。これ
には、規制当局又は日本公認会計士協会による懲戒処分等の内容、監査事務所の品質管理システ
監基報260
ムの外部のレビュー又は検査の結果が含まれる。
・ 公認会計士法上の大会社等の監査
・ 会計監査人設置会社の監査
・ 信用金庫、信用協同組合及び労働金庫の監査
《3.コミュニケーション・プロセス》
《(1) コミュニケーション方法の決定》
19.監査人は、想定されるコミュニケーションの手段、実施時期及び内容について、監査役等とコミ
ュニケーションを行わなければならない(A37項からA45項参照)。
《(2) コミュニケーションの方法》
20.監査人は、職業的専門家としての判断により、口頭によるコミュニケーションが適切ではない
と考える場合、監査上の重要な発見事項について、監査役等と書面又は電磁的記録によりコミュ
ニケーションを行わなければならない。書面又は電磁的記録によるコミュニケーションには、監
査の実施過程で生じた全ての事項を含める必要はない(A46項からA48項参照)。
21.上場企業の場合、監査人は、第18項に記載した監査人の独立性について、監査役等と書面又は電
磁的記録によるコミュニケーションを行わなければならない。
《(3) コミュニケーションの実施時期》
22.監査人は、監査役等とのコミュニケーションを適時に行わなければならない(A49項及びA50項参照)。
《(4) コミュニケーションの適切性》
23.監査人は、監査人と監査役等の間の双方向のコミュニケーションが、監査の目的に照らして適
切に実施されたかどうかを評価しなければならない。
もし適切でない場合、監査人は、それが重要な虚偽表示リスクに関する監査人の評価と十分か
つ適切な監査証拠を入手できるかどうかに与える影響を評価し、適切な措置を講じなければなら
ない(A51項からA53項参照)。
《4.監査調書》
24.本報告書が実施を要求する事項について、口頭でコミュニケーションを行った場合、監査人は、
いつ、誰と、どのような内容についてコミュニケーションを行ったかを記載した監査調書を作成
しなければならない。書面又は電磁的記録でコミュニケーションを行った場合、監査人は、その
写しを監査調書として保存しなければならない(A54項参照。監査基準報告書230「監査調書」第7
項から第10項及びA6項参照)。
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監基報260
《Ⅴ 適用指針》
《1.監査役等》(第 11 項参照)
A1.ガバナンスの構造は、異なる文化及び法的な背景、並びに規模や所有権の特徴等の影響を反映
して、場合によって様々である。
監査人は、ガバナンスの構造に応じて、コミュニケーションを行うことが適切な、ガバナンス
に責任を有する者を判断することになるが、その際、例えば、監査人の監査の状況についての報告
義務に関する法令の規定並びに財務報告プロセスの整備及び運用状況の監視責任の所在を勘案する。
A2.我が国においては、取締役会、監査役、監査役会、監査等委員会、監査委員会、又はそれと同等
の機関等が全体としてガバナンスの責任を有している。このため、監査役等に限らず、以下のよ
うな場合に必要に応じ、社外取締役その他の非業務執行取締役ともコミュニケーションを行うこ
とが有用なことがある。
(1) 経営者の関与が疑われる不正を発見した場合、又は不正による重要な虚偽表示の疑義がある
と判断した場合
(2) 経営者との連絡・調整や監査役会との連携に係る体制整備を図るため、独立社外取締役の互
選により「筆頭独立社外取締役」が決定されている場合
(3) 取締役会議長と経営者とを分離している場合
なお、ガバナンス機関がその責任を果たせるように、当該機関を構成する個人又は当該機関の
下位グループが特定の職務を担っていることがある。
A3.特定の事項について監査役等のうち誰とコミュニケーションを行うのが最適かは、コミュニケ
ーションを行う事項に応じて様々である。
監査基準報告書315「重要な虚偽表示リスクの識別と評価」に従って入手したガバナンスに関す
る監査人の理解は、誰に対してコミュニケーションを行うかを判断する際に役立つ。
A4.監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」第57項には、グループ監査チーム
がグループのガバナンスに責任を有する者にコミュニケーションを行うことが要求される特定の
事項に関する指針が含まれている。
コミュニケーションを行う事項には、構成単位の監査人がグループ監査人に注意を喚起した事
項で、グループ監査人がグループのガバナンスに責任を有する者にとって重要であると判断する
ものが含まれる。また、構成単位の監査人は、構成単位のガバナンスに責任を有する者に対して、
該当する事項についてコミュニケーションを行うことがある(監基報600第45項(9)参照)。このよ
うな状況において、構成単位の監査人がコミュニケーションを行うのに適切な対象者は、監査業
務の状況と、コミュニケーションを行う事項によって決まる。複数の企業又は事業単位で、同一
の内部統制システムの中で同一の事業及び会計実務が行われており、企業又は事業単位のガバナ
ンスに責任を有する者が同一である場合には、これらの企業又は事業単位について同時にコミュ
ニケーションを行うことにより、効率的な監査を実施できることがある。
《(1) 監査役会、監査等委員会又は監査委員会の一部に対するコミュニケーション》(第 12 項参照)
A5.監査人は、監査役会、監査等委員会又は監査委員会を構成する個人とのコミュニケーションを
検討する場合、以下のような事項を考慮することがある。
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監基報260
・ 当該個人と監査役会、監査等委員会又は監査委員会のそれぞれの責任
・ コミュニケーションを行う事項の内容
・ 関連する法令
・ 当該個人が、コミュニケーションを行う情報に関連して措置を講じる役割を有しており、監
査人が必要とする詳細な情報と説明を監査人に提供できるかどうか。
A6.監査役会、監査等委員会又は監査委員会に対しても詳細又は要約した形式でコミュニケーショ
ンを行う必要があるかどうかの監査人の判断は、当該個人が、関連する情報を監査役会、監査等
委員会又は監査委員会に有効かつ適切にコミュニケーションを行うかどうかについての監査人の
評価によって影響を受けることがある。
A7.監査役等との有効なコミュニケーションの例として、監査役等と監査人が定期的に連絡を取り
合うことや、監査役等と監査人が経営者の出席なしに会うこと等が挙げられる。
A8.欠番
《2.コミュニケーションを行うことが要求される事項》
《(1) 財務諸表監査に関連する監査人の責任》(第 14 項参照)
A9.財務諸表監査に関連する監査人の責任は、多くの場合、監査業務の契約条件を定めた監査契約
書又はその他の適切な形式による合意書に記載される(監査基準報告書210「監査業務の契約条件
の合意」第8項参照)。監査人は、以下の事項について監査役等と適切なコミュニケーションを行
う手段として、監査役等に監査契約書又はその他の適切な形式による合意書の写しを提供するこ
ともある。
・ 一般に公正妥当と認められる監査の基準に準拠した監査の実施に関する監査人の責任は、財
務諸表に対する意見の表明であること
また、監査基準報告書等がコミュニケーションの実施を要求する事項は、財務諸表監査から
生じた、財務報告プロセスを監視する監査役等に関連する重要な事項であること
・ 一般に公正妥当と認められる監査の基準は、監査人に、監査役等とコミュニケーションを行
うために、特段の追加的な手続を立案することを要求していないこと
・ 監査基準報告書701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」に基
づき、法令又は任意で監査上の主要な検討事項を監査報告書に記載する場合、監査上の主要な
検討事項を決定し、報告する監査人の責任
・ 該当する場合、法令、企業との合意、又は日本公認会計士協会の報告書等の業務に適用される
追加的な要求事項によって求められる、コミュニケーションに対する監査人の責任
A10.法令、企業との合意、又は業務に適用される追加的な要求事項によって、監査役等と行うコミ
ュニケーションについて規定されていることがある。例えば、監査事務所又はネットワーク・フ
ァームが提供する財務諸表監査以外の業務から生じた特定の事項について監査役等とコミュニケ
ーションを行うことを企業と合意する場合がある。
《(2) 計画した監査の範囲とその実施時期》(第 15 項参照)
A11.計画した監査の範囲とその実施時期についてコミュニケーションを行うことは、以下のために
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監基報260
役立つことがある。
(1) 監査役等が、監査人の作業から得られる結果の性質をより良く理解し、リスクと重要性の概念
について監査人と協議し、監査人に追加手続の実施を要請する可能性のある領域を識別すること。
(2) 監査人が、企業及び企業環境をより理解すること。
A11-2JP.監査範囲とその実施時期について監査役等とコミュニケーションを行う場合には、監査の
有効性を損なわないための配慮が必要である。
A12.特別な検討を必要とするリスクの内容及び監査人が当該リスクとして識別した理由に関するコ
ミュニケーションは、監査役等が特別な検討を必要とするリスクの内容及び決定理由を理解し、
財務報告プロセスを監視する責任を果たすのに役立つことがある。
A13.コミュニケーションを行う事項には、例えば、以下が含まれる。
・ 不正又は誤謬による、重要な虚偽表示に係る特別な検討を必要とするリスクへの監査人の対応
・ 特別な検討を必要とするリスク以外に識別している重要な虚偽表示リスクが高い領域への監
査人の対応
・ 内部統制システムについての監査人の監査アプローチ
・ 監査に適用される重要性の概念(監査基準報告書320「監査の計画及び実施における重要性」
参照)
・ 監査人の利用する専門家の業務の利用を含む、計画した監査手続の実施又はその結果の評価
において必要となる、特定分野での技能又は知識の内容及び範囲(監査基準報告書620「専門家
の業務の利用」参照)
・ 監査基準報告書701が適用となる場合、監査において監査人が特に注意を払う領域であり、監
査上の主要な検討事項となる可能性がある事項に関する監査人の見解
・ 適用される財務報告の枠組みの改正、並びに企業環境、事業活動及び財務状況における重要
な変更が個々の財務諸表や注記事項に与える影響に対する、監査人が計画した監査アプローチ
A14.監査計画上の事項で、監査役等と協議することが適切なその他の事項には、例えば、以下が含
まれる。
・ 企業が内部監査機能を有する場合、監査人が内部監査を利用する程度、及び監査人と内部監
査人が効果的かつ効率的に連携して業務を行うための方法
・ 以下に関する監査役等の見解
- ガバナンスの構造に照らして監査人がコミュニケーションを行うことが適切な監査役等
- 監査役等と経営者のそれぞれの責任
- 企業目的及び戦略並びにこれらに関連して重要な虚偽表示リスクとなる可能性のある事業
上のリスク
- 監査役等が、監査の実施中に特別に留意することが必要と考える事項、及び追加手続の実
施を要請する領域
- 規制当局との間のコミュニケーションのうち重要な事項
- 監査役等が財務諸表監査に影響を与える可能性があると考えるその他の事項
・ 以下に関する監査役等の態度や姿勢、並びに実際の行動
- 内部統制及びその重要度(監査役等が内部統制の有効性を監視する方法を含む。)
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監基報260
- 不正の発見又はその可能性
・ 会計基準、コーポレートガバナンス・コード、取引所の上場基準及び関連する事項の動向及び
当該動向による影響に対応するための監査役等の行動。例えば、当該動向は、以下の点に関し
て、財務諸表の全体的な表示、構成及び内容に影響を及ぼすことがある。
- 財務諸表に表示される情報の目的適合性、信頼性、比較可能性及び理解可能性が確保され
ているか。
- 関連しない情報又は曖昧な情報を含めることにより財務諸表全体の適切な理解を妨げてい
ないか。
・ 以前に監査人と行ったコミュニケーションへの監査役等の対応
・ 監査基準報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」で規定するその他の記載内
容を構成する文書並びにその発行方法及び時期の予定。監査人が監査報告書日より後にその他
の記載内容を入手する予定である場合、監査役等との協議には、監査人が監査報告書日より後
に入手したその他の記載内容に重要な誤りが存在すると判断する場合における適切又は必要な
措置が含まれることがある。
A15.監査役等と行うコミュニケーションは、監査人が監査の範囲とその実施時期を計画することに
役立つことがある。ただし、十分かつ適切な監査証拠を入手するために必要な監査手続、その実
施時期及び範囲を含む、監査の基本的な方針と詳細な監査計画を策定する監査人自身の責任が軽
減されるわけではない。
A16.欠番
《(3) 監査上の重要な発見事項》(第 16 項参照)
A17.監査上の発見事項について行うコミュニケーションにおいて、監査人は、入手した監査証拠を
補強するため、監査役等に追加の情報を求めることがある。例えば、監査人は、特定の取引又は事
象に関連する事実と状況について監査役等に質問し、監査役等の理解が監査人と同じであること
を確かめることがある。
A18.監査基準報告書701が適用される場合、監査上の主要な検討事項は監査人が特に注意を払った
事項から決定するため、以下の事項に関する監査役等とのコミュニケーションは、監査上の主要
な検討事項を決定する際、特に有用である。
・ 識別した特別な検討を必要とするリスク(第15項参照)
・ 監査上の重要な発見事項(第16項参照)
《① 会計実務の重要な質的側面》(第 16 項(1)参照)
A19.財務報告の枠組みにおいて、通常、企業は会計上の見積りを行い、会計方針と財務諸表の注記
事項について判断を行うことが認められている。例えば、経営者は、会計上の見積りにおける仮
定に関する注記事項の妥当性について判断を行うが、財務報告の枠組みによっては、不確実性に
関する注記事項として、財務諸表を作成する上で経営者が行った最も困難、主観的又は複雑な判
断に関する追加的な情報について記載することが求められることがある。
企業の会計実務の重要な質的側面について監査役等と率直にコミュニケーションを行う際には、
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監基報260
重要な会計実務が受入可能かどうかに関する監査人の見解が含まれることがある。付録2に、会
計実務の重要な質的側面について、コミュニケーションを行うことがある事項を記載している。
A20.財務諸表のそのような主観的な側面に関する監査人の見解は、監査役等が財務報告プロセスに
対する監視責任を果たす際に、特に有用なことがある。例えば、A19項に記載されている事項に関
連して、監査役等は、複雑性、主観性又はその他の固有リスク要因が、重要な会計上の見積りに使
用される見積手法、仮定及びデータの選択と適用にどの程度影響を与えるかに関する監査人の見
解や、経営者の見積額や関連する注記事項が適用される財務報告の枠組みに照らして適切かどう
かに関する監査人の評価に関心を持つ場合がある。企業の会計実務の重要な質的側面について監
査役等と率直にコミュニケーションを行う際には、重要な会計実務が受入可能かどうかや開示の
質に関する監査人の見解が含まれることがある。例えば、他の受入可能な会計上の見積りの方法
があり、その方法がより適切と監査人が判断する場合である。付録2に、会計実務の重要な質的
側面について、コミュニケーションを行うことがある事項を記載している。
《② 監査期間中に直面した困難な状況》(第 16 項(2)参照)
A21.監査期間中に直面した困難な状況には、例えば、以下の事項が含まれる。
・ 担当者の不在又は経営者の消極的な姿勢等により、経営者からの監査手続の実施に必要な情
報提供が著しく遅延すること。
・ 不合理に短い期間内に監査を終了することが求められること。
・ 十分かつ適切な監査証拠を入手するために広範囲で想定外の作業が必要となること。
・ 想定していた情報が入手できないこと。
・ 経営者が監査人に制約を課すこと。
・ 監査人が要求したにもかかわらず、経営者が継続企業の前提に関する評価を行わない、又は
評価期間が適切でなく延長に応じないこと。
場合によっては、これらの困難な状況は、除外事項付意見につながる監査範囲の制約となる場
合がある(監査基準報告書705「独立監査人の監査報告書における除外事項付意見」参照)。
《③ 経営者との協議事項又は伝達した重要な事項》(第 16 項(3)参照)
A22.経営者との協議事項又は伝達した重要な事項には、例えば、以下の事項が含まれる。
・ 会計年度中に発生した重要な事象又は取引
・ 企業に影響を与える産業の状況、及び重要な虚偽表示リスクに影響を与える可能性がある事
業計画や予算等
・ 会計上、監査上の事項に関して経営者が他の会計の専門家に照会している事項に対する懸念
・ 監査契約の新規の締結又は更新時に行った、会計実務、監査基準の適用、又は監査若しくはそ
の他の業務報酬に関する協議又はやりとり
・ 経営者の見解と相違がある重要な事項。ただし、不完全な事実又は不確定な情報に基づいて
いたために当初は見解の相違があったが、追加的な関連する事実又は情報入手により事後的に
は解決したものは除く。
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監基報260
《④ 監査報告書の様式及び内容に影響する状況》(第 16 項(5)参照)
A23.監査基準報告書210は、監査業務の契約条件について経営者と合意することを監査人に要求し
ている(監基報210第7項参照)。合意された監査業務の契約条件は、監査報告書の想定される様
式及び内容を含め、監査契約書又はその他の適切な形式による合意書に記載することが求められ
ている(監基報210第8項参照)。A9項に説明されているとおり、監査に関連する事項についてコ
ミュニケーションを行うために、監査人は監査契約書の写しを監査役等に提供することがある。
第16項(5)により要求されるコミュニケーションは、監査報告書について、監査契約締結時に想
定された様式及び内容と異なる場合、又は実施された監査に関する追加的な情報を含む場合に、
その状況を監査役等に報告することを想定している。
A24.監査人が、監査報告書に追加的な情報を含めることが要求される又は必要と判断するため、監
査役等とのコミュニケーションが必要とされる場合には、例えば、以下が含まれる。
・ 監査基準報告書705第29項に従って、監査報告書において除外事項付意見を表明する場合
・ 監査基準報告書570第24項(4)に従って、継続企業の前提に関する重要な不確実性を報告する
場合
・ 監査基準報告書701第16項に従って、監査上の主要な検討事項を報告する場合
・ 監査基準報告書706第11項に従って、又はその他の監査基準報告書の要求により、「強調事項」
区分又は「その他の事項」区分を含めることを監査人が必要と判断する場合
・ 監査基準報告書720に従って、その他の記載内容に未修正の重要な誤りがあると監査人が判断
した場合
上記のような状況においては、監査報告書において当該事項をどのように取り扱う予定かに関
する協議の資料として、監査報告書の草案を監査役等に提供することが有用と監査人が判断する
場合がある。
A25.欠番
《⑤ 財務報告プロセスに関連するその他の重要な事項》(第 16 項(6)参照)
A26.監査の過程で発見され、財務報告プロセスを監視する監査役等に直接関連するその他の重要な
事項には、例えば以下が含まれる。
・ 監査基準報告書300「監査計画」に従って行った監査期間中における監査の基本的な方針及び
詳細な監査計画の見直し及び修正(監基報300のA15項参照)
・ 修正されたその他の記載内容の重要な誤り
・ 審査担当者と協議又は検討したその他の重要な事項
A27.欠番
A28.欠番
《(4) 監査人の独立性》(第 17 項及び第 18 項参照)
A29.監査人は、監査業務に関連する職業倫理に関する規定(独立性に関連するものを含む。)を遵守
し(監査基準報告書200「財務諸表監査における総括的な目的」第13項参照)、監査人が適用する規
定について、監査役等とコミュニケーションを行うことが求められている。職業倫理に関する規
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監基報260
定には、以下のようなものがある。
・ 社会的影響度の高い事業体の財務諸表監査に対する独立性に関する規定など、職業倫理に関
する規定に定められている特定の事業体の財務諸表監査に特有の独立性に関する規定を設定す
ること。監査業務の状況において適用可能な場合には、本報告書は、監査人がそのような独立性
に関する規定を適用していることについて監査役等とコミュニケーションを行うことも求めて
いる。
・ 監査人が、職業倫理に関する規定に定められている特定の事業体の財務諸表監査に特有の独
立性に関する規定を適用した場合に、当該事実の開示を監査人に要求すること(倫理規則
R400.25項及びR400.26項参照)。監査基準報告書700「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」
第28項(3)は、監査人の独立性及び監査人が適用した職業倫理に関する規定に関連する監査報告
書に関する要求事項について記載している。
・ 職業倫理に関する規定に定められている特定の事業体ではない企業の財務諸表監査に対して、
特定の事業体の財務諸表監査に特有の独立性に関する規定を適用することが適切かどうかを判
断することを、監査人に推奨すること(倫理規則第400.24.A1項参照)。このような場合におい
て、監査人が当該独立性に関する規定を適用していることを開示しなければならない場合には、
監査人は、経営者又は監査役等と、企業の性質を誤解するおそれがないかどうか及び追加的な
開示の必要性について協議することがある。
A30.企業との関係やその他の事項及び独立性に対する阻害要因が許容可能な水準にない場合にどの
ように対処したかに係る監査役等とのコミュニケーションは、業務の状況によって様々であるが、
一般的には、独立性に対する阻害要因、当該阻害要因を軽減するためのセーフガード及び阻害要
因を生じさせている状況を除去する方法に関するものである。
A31.倫理規則では、例えば以下に該当する場合、監査役等とのコミュニケーションを行うことが求
められている。
・ 合併又は企業買収等の効力発生日までに禁止されている利害又は関係を合理的に解消できな
い場合(倫理規則R400.72項からR400.76項参照)
・ 監査人の独立性に関する規定の違反が生じた場合(倫理規則R400.80項からR400.89項参照)
・ 特定の大会社等に対する報酬依存度が一定の割合を占める場合を含む、大会社等の報酬関連
情報(倫理規則第410.22 A1項からR410.28項参照)
・ 監査業務の依頼人に対して非保証業務を提供する場合(倫理規則R600.19 A1項からR600.24項
参照)
A32.上場企業の場合に適用される監査人の独立性に関するコミュニケーションについての要求事項
は、その他の企業、特に、事業内容、事業規模又は事業体の属性により利害関係者が広範囲に及ぶ
ため、社会的影響度が高い事業体にも適用される場合がある。上場企業ではないが、監査人の独
立性に関するコミュニケーションが適切となることがある企業の例示としては、金融機関及び保
険会社等を挙げることができる。
一方、監査役等の全員が関連する事実を知っていることが明らかな場合等、独立性に関するコ
ミュニケーションを行わない場合もある。また、監査人の監査事務所とネットワーク・ファーム
が財務諸表監査以外に企業に関与することがほとんどないような場合には、独立性に関するコミ
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監基報260
ュニケーションを行わないこともある。
《(5JP) 品質管理システムの整備・運用状況》(第 18-2JP 項参照)
A32-2JP.会計監査人設置会社には、会社法上の会計監査人設置会社のほか、法令により、会計監査
人に監査役等に対して監査人の職務の遂行に関する事項の通知義務が定められている場合が含ま
れる。監査人は、法令により求められている監査役等に対する監査人の職務の遂行に関する事項
の通知をするため、監査事務所の品質管理システムの整備・運用状況の概要を監査役等に伝達す
る。
なお、監査事務所の品質管理システムの整備・運用状況の概要の伝達の内容は、第24項に基づき
文書化することが求められる。
A32-3JP.規制当局又は日本公認会計士協会による懲戒処分等には、金融庁による懲戒処分若しくは
指示、日本公認会計士協会による懲戒処分又は公認会計士・監査審査会の勧告がある。これには、
監査事務所又は監査事務所に所属する社員等又は専門職員を対象とするものを含むが、監査事務
所の業務に関連しない個人の非違行為を原因とするものを除く。
懲戒処分等を受けた場合には、遅滞なく以下の事項を伝達する。
(1) 懲戒処分等について通知、指示又は勧告があった日
(2) 懲戒処分等の対象、内容及び理由
A32-4JP.監査事務所の品質管理システムの外部のレビュー又は検査の結果については、監査契約の
新規締結又は更新に際して、直近の状況に基づき以下の事項を伝達し、監査期間中にレビュー若
しくは検査の結果を受領した場合には、個々の状況に応じて適宜伝達することが適切である。
(1) 日本公認会計士協会の品質管理レビュー(日本公認会計士協会会則に基づく通常レビュー、
特別レビュー及び登録の審査のためのレビューをいう。以下同じ。)
① 対象となるレビュー報告書等
(ア)直近の品質管理レビュー報告書及び改善勧告書の日付(過去に受領していない場合はそ
の旨)
(イ)改善状況の確認結果報告書の日付((ア)に関連付けて記載する。)
② ①のレビュー報告書等の内容及び対応状況
(ア)品質管理レビュー(改善状況の確認を除く。)の実施結果及びその結果に基づく措置
(イ)改善状況の確認結果(改善の不十分な事項のある確認結果の場合にはその内容を含む。)
及びその結果に基づく措置
(ウ)監査事務所又は個別の監査業務における品質管理に関する極めて重要な不備事項、重要
な不備事項又は不備事項の有無、当該事項があった場合は、その内容の要約(個別の監査業
務における品質管理に係る極めて重要な不備事項、重要な不備事項又は不備事項について
は、その領域及び全般的な傾向)及び監査事務所の対応状況
(エ)品質管理レビューの対象業務として選定されたかどうかの事実
(オ)選定された場合は、当該監査業務における品質管理に関する極めて重要な不備事項、重
要な不備事項又は不備事項の有無、当該事項があったときは、その内容の要約及び対応状況
(2) 公認会計士・監査審査会の検査
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監基報260
① 対象となる検査結果通知書
直近の検査結果通知書の日付(過去に受領していない場合にはその旨)
② ①の通知書の内容及び対応状況
(ア)監査事務所の業務運営に関する総合評価
(イ)監査事務所の業務管理態勢、品質管理態勢及び個別監査業務における不備の内容等並び
に監査事務所の対応状況
(ウ)検査の対象業務として選定されたかどうかの事実
(エ)選定された場合は、当該監査業務における品質管理に関する不備の有無、不備があった
ときは、その内容及び対応状況
なお、海外の規制当局の検査を受けている場合は、当該規制当局の監督対象になる監査業務の
監査役等に対して、当該規制当局の定める検査結果の開示に関する規制の範囲内において、当該
検査結果を伝達することが適切である。
《(6) 追加的な事項》(第3項参照)
A33.監査役等による経営者の監視には、企業の財務報告の信頼性を確保し、事業運営の有効性と効
率性を高め、事業運営に係る法令の遵守を促すために、適切な内部統制の整備及び運用を確保す
ることが含まれる。
A34.監査人は、財務報告プロセスの監視には必ずしも関連しないが、業務監査に関連して、企業の
戦略的方向性と企業が説明責任を果たしているかどうかを監視する上で監査役等にとって重要と
なる可能性の高い追加的な事項に気付くことがある。追加的な事項には、例えば、ガバナンスの
構造やプロセスに関する重要な事項や、上級経営者による権限外の重要な決定又は行為が含まれ
る。
A35.監査役等に追加的な事項についてコミュニケーションを行うかどうか判断する際、監査人は、
個々の状況において不適切でない限り、気付いた事項について適切な階層の経営者と協議するこ
とがある。
A36.追加的な事項のコミュニケーションを行う場合、監査人は、監査役等に対し以下について明ら
かにすることが適切である。
(1) 追加的な事項の識別とそのコミュニケーションは、財務諸表に対する意見を形成するという
監査の目的に副次的なものであること。
(2) 財務諸表に対する意見を形成するのに必要な事項以外に関しては、手続を実施していないこと。
(3) 他に同様の事項が存在するかどうか判断するための手続を実施していないこと。
《3.コミュニケーション・プロセス》
《(1) コミュニケーション方法の決定》(第 19 項参照)
A37.監査人の責任、監査の範囲とその実施時期に関する計画、及び想定されるコミュニケーション
の内容について明らかにしておくことは、有効な双方向のコミュニケーションの基礎を築くのに
役立つ。
A38.また、以下に関する議論を行うことは、有効な双方向のコミュニケーションに役立つことがある。
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監基報260
・ コミュニケーションの目的
コミュニケーションの目的が明確であれば、コミュニケーションに関する問題とその解決策
について監査人と監査役等の相互理解をより深めることができる。
・ コミュニケーションを行う方法
・ 特定の事項に関して監査チームと監査役等のそれぞれにおいてコミュニケーションを行う者
・ 監査人は、双方向のコミュニケーションを想定していること、及び、監査役等が監査に関連す
ると考える以下の事項について、監査人に伝えることを想定していること
- 監査手続の種類、時期及び範囲に重要な影響を与えることのある企業の戦略的決定
- 不正の疑い又は発見された不正
- 上級経営者の誠実性と能力に対する懸念等
・ 監査人が監査役等にコミュニケーションを行った事項について監査役等がとった行動とそれ
を監査人に伝えるプロセス
・ 監査役等が監査人にコミュニケーションを行った事項について監査人がとった行動とそれを
監査役等に伝えるプロセス
A39.コミュニケーションの方法は、企業の規模とガバナンスの構造、監査役等が職務を遂行する方
法、及びコミュニケーションを行う事項の重要性に関する監査人の見解等、その状況によって様々
である。有効な双方向のコミュニケーションを確立することが困難な場合、監査人と監査役等の
間で行われるコミュニケーションが、監査の目的にとって十分でないことを示唆している場合が
ある(A52項参照)。
《① 小規模企業に特有の考慮事項》
A40.小規模企業の監査の場合、監査人は、上場企業や大規模企業の場合よりも簡略的な方法で、監
査役等とのコミュニケーションを行うことがある。
《② 経営者とのコミュニケーション》
A41.監査人は、監査の通常の実施過程において、本報告書が監査役等とコミュニケーションを行う
ことを求めている事項を含め、多くの事項について経営者と協議を行う。経営者との協議は、経
営者が企業における業務の執行に関する責任を有すること、また、特に、財務諸表の作成責任を
有することを明確にすることにもなる。
A42.監査人は、監査役等とのコミュニケーションを行う前に、経営者と該当する事項について協議
することがある。なお、それが適切でない事項の場合には経営者との協議は行わない。例えば、経
営者の能力や誠実性の問題については経営者と協議することは適切でないことがある。
監査役等とのコミュニケーションの前に経営者と協議を行うことは、経営者の業務執行に関す
る責任を踏まえたものである。これによって、事実と問題点が明確になり、また、経営者にとって
は詳細な情報と説明を監査人に提供する機会となる場合がある。同様に、企業が内部監査機能を
有する場合、監査人は、監査役等とコミュニケーションを行う前に、内部監査に従事する適切な
者と協議することがある。
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監基報260
《③ 第三者への提示》
A43.監査役等は、監査人からのコミュニケーションのための文書の写しを、例えば、銀行や規制当
局等の第三者に提示しようとする場合があるが、第三者への提示は、不適切となるか又は制限さ
れていることがある。
監査役等とのコミュニケーションのために作成した文書が第三者に提示される場合、監査人は、
例えば、当該文書に以下の事項を記載することにより、それが第三者を念頭に置いて作成されて
いないことを当該第三者に知らせることが重要である。
(1) 書面又は電磁的記録によるコミュニケーションは、監査役等及び該当する場合にはグループ
経営者とグループ監査人による利用のみのために作成されており、第三者が依拠すべきもので
はないこと。
(2) 監査人は第三者に対して何ら責任を負わないこと。
(3) 第三者への提示又は配布は制限されていること。
A44.監査人は、法令により以下を要求されることがある。
・ 監査役等にコミュニケーションを行った一定の事項について規制当局等に通知すること。
例えば、監査人は、経営者と監査役等が違法行為の事実の是正に必要なそれぞれの措置を講
じない場合、当局に報告する義務を負っていることがある。
・ 監査役等のために作成したコミュニケーションのための文書の写しを、関連する規制当局等
に提出すること。
A45.監査人が監査役等と行うコミュニケーションのための文書の写しを第三者に提示することが法
令により要求されている場合を除き、監査人は、当該文書を第三者に提示する前に、通常、監査役
等の事前の同意を得ることが想定される。
《(2) コミュニケーションの方法》(第 20 項参照)
A46.有効なコミュニケーションには、正式な報告会や書面による報告だけではなく、協議等、簡略
的なコミュニケーションが含まれることがある。監査人は、第20項及び第21項に記載した事項以
外のコミュニケーションを、口頭若しくは書面又は電磁的記録によって行う。監査役等に監査契
約書等の写しを提供することによって、書面又は電磁的記録によるコミュニケーションを行うこ
とがある。
A47.コミュニケーションの方法(例えば、コミュニケーションを口頭若しくは書面又は電磁的記録
のいずれで行うか、コミュニケーションの詳細さの程度、コミュニケーションを正式な方法で行
うかどうか等)は、コミュニケーションの対象となる事項の重要性に加えて、例えば、以下の事項
の影響を受ける。
・ 協議した事項を監査報告書に含めるかどうか。例えば、監査上の主要な検討事項を監査報告
書に記載する場合、監査上の主要な検討事項と判断した事項に関して、書面又は電磁的記録で
コミュニケーションを行う必要があると判断することがある。
・ 問題となった事項が十分に解消されているかどうか。
・ 経営者が当該事項について以前に監査役等に伝達しているかどうか。
・ 企業の規模、事業運営の構造、統制環境、及び法的構造
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監基報260
・ 特別目的の財務諸表の監査の場合、監査人が企業の一般目的の財務諸表も監査しているかど
うか。
・ 法令により監査役等にコミュニケーションを要求されている事項かどうか。
・ 監査人と行う定期的な会合又はコミュニケーションの方法に関する取決めを含む監査役等の
要望
・ 監査人と監査役等との継続的な連携及び情報交換の頻度
・ 監査役等に交代があったかどうか。
A48.監査役会、監査等委員会又は監査委員会を構成する個人と重要な事項について協議した場合、
監査人は、監査役等の全てが十分な情報を有することができるように、その後のコミュニケーシ
ョンにおいて当該事項を要約して報告することが適切なことがある。
《(3) コミュニケーションの実施時期》(第 22 項参照)
A49.監査期間を通じた適時なコミュニケーションは、監査役等と監査人の適切な連携の実現に寄与
する。ただし、コミュニケーションの適切な時期は、業務の状況によって様々であり、例えば以下
のようなコミュニケーションを行う事項の重要性とその内容、及び監査役等が講じることが予想
される措置により影響を受ける。
・ 監査計画に関する事項のコミュニケーションは、監査業務の初期の段階に行われることが多
い。初年度監査の場合、監査業務の契約条件の合意に際して行われることがある。
・ 監査期間中に直面した困難な状況に対処するために監査役等が監査人を支援できる場合、又
は除外事項付意見につながる可能性が高い場合には、速やかにコミュニケーションを行うこと
が適切なことがある。
同様に、監査人は、識別した内部統制の重要な不備を、監査基準報告書265第8項及びA14項に
従って書面又は電磁的記録によりコミュニケーションを行う前に、監査役等に口頭で速やかに
コミュニケーションを行うことがある。
・ 監査基準報告書701が適用となる場合、監査人は、計画した監査の範囲と実施時期についてコ
ミュニケーションを行う際に、監査上の主要な検討事項となる可能性がある事項についてもコ
ミュニケーションを行うことがある(A13項参照)。また、当該事項について、監査上の重要な発
見事項を報告する際、深度ある協議を行うため、頻繁にコミュニケーションを行うことがある。
・ 独立性に関するコミュニケーションは、例えば、財務諸表監査以外の業務契約を締結する場
合や監査の最終段階での協議等、独立性に対する阻害要因及び許容可能な水準にない独立性に
対する阻害要因にどのように対処するかについての重要な判断が行われる際に適宜行うことが
適切なことがある。
・ 企業の会計実務の質的側面に関する監査人の見解を含め、監査の発見事項についてのコミュ
ニケーションは、監査の最終段階での協議においても行われることがある。
・ 一般目的の財務諸表と特別目的の財務諸表の双方の財務諸表を監査する場合、コミュニケー
ションの実施時期を調整することが適切なことがある。
A50.コミュニケーションの実施時期に関連するその他の要因には、以下の事項がある。
・ 企業の規模、事業運営の構造、統制環境、及び法的構造
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・ 特定の事項について一定の期間内にコミュニケーションを行うことを求める法令上の義務
・ 監査人と行う定期的な会合又はコミュニケーションの方法に関する取決めを含む監査役等の
要望
・ 違法行為の特定の事項
例えば、監査人は、違法行為の特定の事項に事前に気付かなかったとしても、当該事項につい
て認識した時点で適時にコミュニケーションを行うことにより、是正措置を促すことが可能な
ことがある。
《(4) コミュニケーションの適切性》(第 23 項参照)
A51.監査人は、監査人と監査役等の間で行われる双方向のコミュニケーションの適切性に関する評
価を裏付けるため、特別の手続を立案する必要はない。当該評価は、他の目的のために実施され
た監査手続から得た、以下のような監査人の理解に基づくことがある。
・ 監査人が指摘した事項に対する監査役等の対応
以前に指摘した重要な事項について経営者が有効な対処をしなかった場合、監査人は、監査
役等にその理由に関する見解について質問し、再度問題点を指摘することを検討することが適
切なことがある。これによって、監査人は、問題点が適切に処理された又は重要でないと考えて
いるという印象を監査役等に与えることを避けることができる。
・ 監査人とのコミュニケーションにおいて監査役等が明瞭に情報提供を行っていることが明ら
かであること。
・ 経営者の了解又は陪席なしに監査役等と監査人が会うことができること。
・ 問題点や提案に関する質疑の内容などを通じて、監査人が指摘した事項を監査役等が十分に
理解しているかどうか。
・ コミュニケーションの方法、実施時期及びその内容について、監査役等と相互理解を確立す
ることが困難かどうか。
・ 監査人と監査役等の間で行われる双方向のコミュニケーションが、適用される法令の規定を
満たしているかどうか。
A52.第4項に記載のとおり、有効な双方向のコミュニケーションは、監査人と監査役等の双方にと
って有益なものとなる。
監査基準報告書315の付録3では、企業の統制環境の要素として、内部監査と外部監査人との相
互関係を含めた監査役等の参画について記載している。双方向のコミュニケーションが不十分で
あることは、脆弱な統制環境を示唆し、重要な虚偽表示リスクに係る監査人の評価に影響を与え
る可能性がある。また、監査人が財務諸表に対する意見形成のための十分かつ適切な監査証拠を
入手できないリスクも存在することになる。
A53.監査人と監査役等の間で行われる双方向のコミュニケーションが十分でなく、その状況を解消
できない場合、監査人は、例えば、以下の措置を講じることがある。
・ 監査報告書において監査範囲の制約に関する除外事項を付す。
・ 監査人の講じる措置について、法律専門家に助言を求める。
・ 第三者(例えば、規制当局)、又は、事業の所有者(例えば、株主総会における株主)等、ガ
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バナンスの構造において高い権限を有する企業外部の者とコミュニケーションを行う。
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・ 監査契約を解除する。
《4.監査調書》(第 24 項参照)
A54.口頭によるコミュニケーションに関する事項が、企業の作成した議事録に適切に記載されてい
る場合、当該議事録の写しを監査調書とすることがある。
以 上
・ 本報告書(2022年10月13日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。
- 倫理規則(2022年7月25日変更)
(修正箇所:A26項及びA27項)
- 監査基準報告書(序)「監査基準報告書及び関連する公表物の体系及び用語」(2022年7月
21日改正)
(上記以外の修正箇所)
・ 本報告書(2023 年1月 12 日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。
- 倫理規則(2022 年7月 25 日変更)
(修正箇所:第 15 項、A26 項、A27 項及び A48 項)
- 監査基準報告書 600「グループ監査における特別な考慮事項」(2023 年1月 12 日改正)
(上記以外の修正箇所)
・ 本報告書(2023 年5月 18 日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。
- 日本公認会計士協会会則(2023 年1月 31 日変更)
(修正箇所:A31項)
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《付録1 監査役等と行うコミュニケーションについて記載している品質管理基準報告書
と他の監査基準報告書の要求事項の一覧》(第3項参照)
本付録は、監査役等と特定の事項についてコミュニケーションを行うことを要求している品質
管理基準報告書と他の監査基準報告書を記載している。
この一覧は、他の監査基準報告書における要求事項及び適用指針の検討に代わるものではなく、
それぞれの報告書を参照する必要がある。
・ 品質管理基準報告書第1号「監査事務所における品質管理」第34項(5)
・ 監査基準報告書240「財務諸表監査における不正」第20項、第37項、第F39-2項から第41項
・ 監査基準報告書250「財務諸表監査における法令の検討」第14項、第19項、第22項から第24項
・ 監査基準報告書265「内部統制の不備に関するコミュニケーション」第8項
・ 監査基準報告書450「監査の過程で識別した虚偽表示の評価」第11項、第12項
・ 監査基準報告書505「確認」第8項
・ 監査基準報告書510「初年度監査の期首残高」第6項
・ 監査基準報告書540「会計上の見積りの監査」第37項
・ 監査基準報告書550「関連当事者」第26項
・ 監査基準報告書560「後発事象」第6項、第9項、第12項、第13項、第16項
・ 監査基準報告書570「継続企業」第24項
・ 監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」第57項
・ 監査基準報告書610「内部監査人の作業の利用」第16項
・ 監査基準報告書701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」第16項
・ 監査基準報告書705「独立監査人の監査報告書における除外事項付意見」第11項、第13項、第
22項、第29項
・ 監査基準報告書706「独立監査人の監査報告書における強調事項区分とその他の事項区分」第
11項
・ 監査基準報告書710「過年度の比較情報-対応数値と比較財務諸表」第17項
・ 監査基準報告書720「その他の記載内容に関連する監査人の責任」第16項から第18項
・ 監査基準報告書910「中間監査」第30項、第32項
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《付録2 会計実務の質的側面》(第16項(1)並びにA19項及びA20項参照)
第16項(1)並びにA19項及びA20項に記載されている会計実務の質的側面に関するコミュニケー
ションには、例えば、以下の事項が含まれる。
《会計方針》
・ 情報提供に要する費用と財務諸表利用者が得られる便益とを勘案した上での、個々の企業の
状況に応じた会計方針の適切性
受入可能な代替的な会計方針が存在する場合、重要な会計方針の選択によって影響を受ける
財務諸表項目の識別に加えて、類似の企業が用いる会計方針に関する情報を含めることがある。
・ 新会計基準の適用時の選択と重要な会計方針の変更
会計方針の変更の時期とその方法が現在と将来の損益に与える影響、及び今後公表が予想さ
れる新会計基準に関連した会計方針を変更する時期を含めることがある。
・ 議論がある又は新たな領域における重要な会計方針(又は、確立された指針等がない、業界特
有の会計方針)の影響
・ 取引の発生時期が期間帰属に与える影響
《会計上の見積り及び関連する注記事項》
・ 会計上の見積り及び関連する注記事項に関する会計実務の重要な質的側面に関して、監査人
が監査役等とのコミュニケーションを検討する事項が、監査基準報告書540「会計上の見積りの
監査」の付録2に記載されている。
《財務諸表の表示及び注記事項》
・ 特に慎重な検討を要する事項の財務諸表の表示及び注記事項(例えば、収益認識、継続企業の
前提、後発事象、及び偶発事象に関連する表示及び注記事項)の作成における問題点や関連する
判断
・ 財務諸表の表示及び注記事項の全体的な中立性、一貫性及び明瞭性
《関連する事項》
・ 係争中の訴訟等、財務諸表に開示されている重要なリスクやエクスポージャー、及び不確実
性が財務諸表に与える影響の可能性
・ 通常の取引過程から外れた重要な取引又は通例でないと思われる取引が財務諸表に与えてい
る影響の程度。このコミュニケーションには以下の観点が含まれる。
- 会計年度中に認識された非経常的な金額
- 当該取引が財務諸表に個別に開示されている程度
- 当該取引の意図は、特定の会計上若しくは税務上の処理、又は法令上の目的を達成するこ
とにあるように見えるか。
- 当該取引の形式が過度に複雑かどうか、又は取引の組成に関する外部のアドバイザー等か
らの広範な助言に基づくものかどうか。
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監基報260
- 経営者が、取引の経済実態よりも、特定の会計処理の必要性を強調しているか。
・ 有形固定資産及び無形固定資産の耐用年数の決定根拠などの、資産・負債の帳簿価額に影響
を与える要因
帳簿価額に影響を与える要因がどのように選択されたか、及び代替的な方法が財務諸表にど
のような影響を与えるかについて説明される場合がある。
・ 利益が増加する効果のある虚偽表示は修正するが、利益が減少する効果のある虚偽表示は修
正しない場合などの虚偽表示の選択的修正
以 上
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