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Q9 監査とレビューにおける重要性の考え方の違いについて
監査とレビュー業務実務指針 2400 に準拠したレビューの間で重要性の考え方に違いはあるか。
監査業務は合理的保証業務、レビュー業務は限定的保証業務であることから、両者の間で保証水
準は異なることとなり、手続に差異が生じるが、財務諸表全体において何が重要であるかの判断は
両者の間で同一である(レビュー実 2400 の A73 項参照)。したがって、同一の財務諸表又は個別の
財務表に対する監査における重要性の基準値(監査基準報告書 320「監査の計画及び実施における
重要性」第9項参照)とレビュー業務実務指針 2400 に準拠したレビューにおける重要性の基準値
(レビュー実 2400 第 43 項参照)は、同一水準となる。
一方、監査業務においては重要性の基準値より低い金額となる手続実施上の重要性を設定するこ
とが求められているが(監基報 320 第8項(3)及び第 10 項参照)、レビュー業務実務指針 2400 にお
いては手続実施上の重要性を設定することは求められていない(レビュー実 2400 第 43 項参照)。
ただし、財務諸表に重要な虚偽表示が存在する可能性が高いと認められる事項に対する追加的な手
続を設計する場合など、手続実施上の重要性の考え方を参考にすることも考えられる。
また、監査又はレビューの実施過程で識別された未修正の虚偽表示に対して、集計しても明らか
に財務諸表に重要な影響を与えないと想定する虚偽表示の金額を「明らかに僅少」な額として定め
る場合があるが(監査基準報告書 450「監査の過程で識別した虚偽表示の評価」第4項及びレビュ
ー実 2400 の A118-2JP 項参照)、この「明らかに僅少」であるかどうかの判断も、監査とレビュー
において同一である。
(解説)
重要性の決定は、監査人又は業務実施者の職業的専門家としての判断事項であり、財務諸表の
想定利用者が有する財務情報に対するニーズを考慮して決定される。この点において、保証水準
に関係なく両者における財務諸表全体に対する重要性の考え方は同一である。
しかしながら、手続を実施する際の重要性に関しては監査業務とレビュー業務の間では違いが生
じることとなる。監査は合理的保証業務であることから、財務諸表の未修正の虚偽表示と未発見の
虚偽表示の合計が重要性の基準値を上回る可能性を適切な低い水準に抑えるために、重要性の基準
値より低い金額となる手続実施上の重要性を設定して、アサーションごとに監査手続が実施される。
一方、レビューは限定的保証業務であることから、質問及び分析的手続を中心とした手続が実
施され、財務諸表の未修正の虚偽表示と未発見の虚偽表示の合計が重要性の基準値を上回る可能
性を適切な低い水準に抑えるためのアサーションごとの手続は想定されていないことから、手続
実施上の重要性を別途決定することは求められていない。この点、レビュー業務においては詳細
なリスク評価の実施は求められていないが、重要な項目に対するレビュー手続を立案する際や財
務諸表に重要な虚偽表示が存在する可能性が高いと認められる事項に対する追加的な手続を設
計する場合など、手続実施上の重要性の考え方を参考にすることも考えられる。
なお、監査業務とレビュー業務において実施する手続に違いはあるものの、意見又は結論形成に
影響を与える重要な虚偽表示の概念は同一であることから、監査又はレビューの実施過程で識別さ
れた未修正の虚偽表示に対して、集計しても明らかに財務諸表に重要な影響を与えないと想定する
虚偽表示の金額(「明らかに僅少」な額)についても、監査とレビューにおいて同一と考えられる。