品基報2
i
品質管理基準報告書第2号
監査業務に係る審査
2 0 2 2 1 6
改正 202 2 1 0 1 3
改正 2 0 2 3 1 2
最終改正 2 0 2 4 2 6
監査・保証基準委員会
項番号
本報告書の範囲及び目的
1.本報告書の範囲 ................................................................... 1
適用の柔軟性 ....................................................................... 4
2.監査事務所の品質管理システムの役割と監査業務に係る審査 ........................... 5
3.本報告書の規範性 ................................................................ 10
4.適用時期 ........................................................................ 11
5.本報告書の目的 .................................................................. 12
6.定義 ............................................................................ 13
要求事項
1.関連する要求事項の適用及び遵守 .................................................. 14
2.審査担当者の選任と適格性 ........................................................ 17
審査担当者の適格性が損なわれる状況 ................................................ 22
3.審査の実施 ...................................................................... 24
審査の完了 ........................................................................ 27
4.文書化 .......................................................................... 28
適用指針
1.審査担当者の選任に関する責任者 .................................................. A1
(1) 審査担当者の適格............................................................ A4
(2) 合議制による審査の考慮事項 ................................................ A4-2JP
(3) 審査担当者の適格性の規準 ...................................................... A5
(4) 過年度に監査責任者として担当した者のクーリングオフ期間 ....................... A17
(5) 審査担当者の補助者を使用する状況 ............................................. A19
(6) 審査担当者の適格性が損なわれる状........................................... A23
2.審査の実施 ..................................................................... A25
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ii
(1) 審査に関連する監査責任者の責任 ............................................... A25
(2) 審査担当者と監査チームとの討議 ............................................... A27
(3) 審査担当者が実施する手続 ..................................................... A28
3.文書化 ......................................................................... A50
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《Ⅰ 本報告書の範囲及び目的》
《1.本報告書の範囲》
1.本報告書は、以下に関する実務上の指針を提供するものである。
(1) 審査担当者の選任と適格性
(2) 審査の実施と文書化に関する審査担当者の責
2.本報告書は、品質管理基準報告書第1号「監査事務所における品質管理」第 34 項(6)に従って
審査が行われることが要求される全ての業務に適用される。本報告書は、我が国における職業倫
理に関する規定と併せて適用される。
3.本報告書に従って実施される審査は、品質管理基準報告書第1号 34 項(6)に従って監査事務
所によってデザイン及び適用される特定の対応である。審査は、監査事務所によって選任された
審査担当者により個々の監査業務において実施される。
3-2JP.本報告書では、国際監査・保証基準審議会の公表する ISQM2において規定された、「本報告
書の範囲及び目的」「要求事項」又は「適用指針」には含まれていないが、日本公認会計士協会が
本報告書の起草に当たり追加した規定については、項番号に「JP」の文字を付している。
一方、ISQM2において規定されているが、本報告書において導入されていない規定については、
「欠番」としている。
また、本報告書には監査における不正リスク対応基準(以下「不正リスク対応基準」という。
に準拠して実施される監査業務を行う監査事務所に遵守が求められる要求事項と関連する適用指
針(項番号の冒頭に「F」が付されている。)が含まれている(A1 項参照)
不正リスク対応基準に準拠して監査を実施する際に遵守が求められる要求事項と関連する適用
指針は、不正リスク対応基準が適用されない監査業務においても業務の状況に応じて、参考とな
ることがある。
《適用の柔軟性》
4.本報告書によって要求される審査担当者の手続の内容、時期及び範囲は、監査業務又は企業の
性質及び状況に応じて異なる。例えば、審査担当者の手続は、監査チームの重要な判断がより少
ない業務については、広範ではないことがある。
《2.監査事務所の品質管理システムの役割と監査業務に係る審査》
5.品質管理基準報告書第1号第 26 項は品質管理システムに対する監査事務所の責任を定め
質リスクの評価の根拠に基づき、また当該根拠に応じた方法により、品質リスクに対処するため
の対応をデザインし適用することを監査事務所に要求している。品質管理基準報告書第1号にお
ける特定の対応には、本報告書に従って、審査に関する方針又は手続を定めることが含まれる。
6.監査事務所は、品質管理システムを整備及び運用する責任を負う。品質管理基準報告書第1号
14 項においては、監査事務所の目的は、監査事務所が実施する財務諸表の監査業務のために以
下の合理的な保証を監査事務所に提供する品質管理システムを整備及び運用することである。
(1) 監査事務所及びその専門要員が、職業的専門家としての基準及び適用される法令等に基づき、
自らの責任を果たし、当該基準及び要求事項に従って監査業務を実施すること。
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(2) 監査事務所が状況に応じた適切な監査報告書を発行すること。
7.品質管理基準報告書第1号第 15 項に記載のとおり、公共の利益は、より質の高い監査を一貫
て実施することにより実現される。より質の高い監査は、職業的専門家としての基準及び適用さ
れる法令等に従って、業務を計画し、施し、また報告することによって達成される。職業的専門
家としての基準の目的を達成し、適用される法令等における要求事項を遵守するためには、職業
的専門家としての判断を行使し、業務の種類に応じて職業的専門家としての懐疑心を保持及び発
揮することが必要である。
8.審査とは、監査チームによってなされた重要な判断及び到達した結論を客観的に評価すること
である。審査担当者による重要な判断の評価は、職業的専門家としての基準及び適用される法令
等の観点から実施される。しかしながら、審査は、監査業務全体が、職業的専門家としての基準及
び適用される法令等並びに監査事務所の方針又は手続に準拠しているかどうかを評価することを
意図したものではない
9.審査担当者は、監査チームのメンバーではない。審査の実施は、業務の品質を管理し達成する
又は監査チームのメンバーへの指揮、監督及び作業の査閲を実施する監査責任者の責任を変更す
るものではない。審査担当者は、監査業務に対する意見又は結論を裏付ける証拠を入手すること
は要求されないが、審査において提起された事項への対応として、監査チームが追加の証拠を入
手する必要が生ずる場合がある。
《3.本報告書の規範性》
10.本報告書には、監査事務所が本報告書に従うことによって達成すべき目的と、監査事務所及び審
査担当者がその目的を達成できるように定められた「要求事項」が含まれる。
また、本報告書には、連する指針を記載した適用指針」及び本報告書を適切に理解するため
の背景説明等や「定義」を記載した「本報告書の範囲及び目的」が含まれる。
品質管理基準報告書第1号第 12 項、A6 項及び A9 項では、目的、要求事項、適用指針、適切に
理解するための背景説明等を説明している。
《4.適用時期》
11.本報告書の適用時期は以下のとおりである。
本報告書(2022 年6月 16 日)は、2023 年7月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表
監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用する。なお、
公認会計士法上の大規模監査法人以外の監査事務所においては、2024 年7月1日以後に開始す
る事業年度に係る財務諸表の監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中
間監査から適用する。ただし、それ以前の決算に係る財務諸表の監査及び中間会計期間に係る
中間財務諸表の中間監査から適用することを妨げない。その場合、品質管理基準委員会報告書
第1号(2022 6月 16 日)及び監査基準委員会報告書 220「監査業務における品質管理」(2022
年6月 16 日)と同時に適用する。
本報告(2022 10 13 のうち、倫理規則に関する事項は2023 年4月1日以後開始
する事業年度に係る財務諸表の監査から適用する。ただし、本報告書を、倫理規則(2022 年7
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25 日変更)と併せて 2023 年4月1日以後終了する事業年度に係る財務諸表の監査から早期
適用することを妨げない。なお、品質管理に関する事項は、2022 年6月 16 日付け改正の本報告
書、品質管理基準委員会報告書第1号「監査事務所における品質管理」及び監査基準委員会報告
220「監査業務における品質管理」と同時に適用する。
本報告書(2023 年1月 12 日)は、2024 年4月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表
監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用する。また、
公認会計士法上の大規模監査法人以外の監査事務所においては、2024 年7月1日以後に開始す
る事業年度に係る財務諸表の監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中
間監査から適用する。ただし、それ以前の決算に係る財務諸表の監査及び中間会計期間に係る
中間財務諸表の中間監査から適用することを妨げない。その場合、品質管理基準委員会報告書
第1号「監査事務所における品質管理」(2022 6月 16 日)及び監査基準委員会報告書 220「監
査業務における品質管理」(2022 年6月 16 日)と同時に適用する。なお、2022 年6月 16 日付
けで改正された品質管理基準に関する事項は、品質管理基準委員会報告書第1号(2022 年6月
16 日)及び監査基準委員会報告 220(2022 年6月 16 日)と同時に適用する。さらに、本報告
(2022 10 13 日)のうち、倫理規則に関する事項は、2023 年4月1日以後開始する事業
年度に係る財務諸表の監査から適用するただし、本報告書を、倫理規則(2022 年7月 25 日変
更)と併せて 2023 年4月1日以後終了する事業年度に係る財務諸表の監査から早期適用するこ
とを妨げない。
《5.本報告書の目的》
12.本報告書における監査事務所の目的は、監査事務所が適格な審査担当者の選任を通じて、監査
チームが行った重要な判断及び到達した結論を客観的に評価することである。
《6.定義》
13.本報告書における用語の定義は、以下のとおりとする。
(1) 「審査」-審査担当者によって監査報告書日以前に実施される、監査チームが行った重要な判
断及び到達した結論についての客観的評価をいう(A4-2JP 項参照)
(2) 「審査担当者」-審査を実施するために監査事務所が選任した社員等、監査事務所内の他の者
又は外部の者をいう。
(3) 「我が国における職業倫理に関する規定」-監査事務所並びに監査チーム及び審査担当者が
うべき職業倫理に関する規定をいい、公認会計士法同施行令同施行規則、日本公認会計士協
会が公表する会則、倫理規則及びその他の倫理に関する規定から構成される。なお、「職業倫理
に関する規定」と表記することもある。
(4)JP 「大会社等」-
ア.全ての上場会社等
イ.法令により、監査を実施するに当たり、上場会社等と同じ独立性の要件が求められる事業体
ウ.倫理規則第 400.8 項により追加的に大会社等と同様に扱うこととした事業体
上記ア及びイについて我が国においては、公認会計士法上の大会社等がこれらの要件を満た
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している。
《Ⅱ 要求事項》
《1.関連する要求事項の適用及び遵守》
14.監査事務所及び審査担当者は、本報告書の目的を理解し、関連する要求事項を適切に適用する
ため、適用指針を含め本報告書を理解しなければならない。
15.監査事務所又は審査担当者は、本報告書の特定の要求事項が監査業務の状況に関連しない場合
を除き、それぞれの要求事項を遵守しなければならない。
16.本報告書の要求事項を適切に適用することにより、本報告書の目的を達成するための十分な基
礎を得ることが想定されている。しかしながら、監査事務所又は審査担当者が、関連する要求事
項を適用することにより本報告書の目的を達成するための十分な基礎を得られないと判断した場
合には、監査事務所又は審査担当者は、目的を達成するために追加の措置を講じなければならな
い。
《2.審査担当者の選任と適格性》
17.監査事務所は、審査担当者の選任に関する責任の付与に関する方針又は手続を定めなければな
らない。当該方針又は手続には、責任を果たすための適性、能力及び監査事務所における適切な
権限を有する者に対して審査担当者の選任に関する責任を付与すること並びに当該責任者が審査
担当者を選任することを含めなければならない(A1 項から A3 項参照)
18.監査事務所は、審査担当者として選任される適格性の規準を定める方針又は手続を定めなけれ
ばならない。この方針又は手続においては、審査担当者が監査チームのメンバーではないこと、
及び以下の要件を満たすべきことを定めなければならない(A4 項参照)
(1) 審査を実施するための十分な時間の確保を含む、適性と能力及び適切な権限を有しているこ
と(A5 項から A10 項参照)
(2) 審査担当者の客観性と独立性への阻害要因との関連を含め、我が国における職業倫理に関す
る規定へ準拠すること(A12 項から A15 項参照)
(3) 該当する場合には、審査担当者の適格性に関する法令の規定に準拠すること(A16 項参照)
F18-2JP.監査事務所は、正にる重要な虚偽表示の疑義に対応す十分つ適な経や職等の
資格を有する審査担者の任にする針又手続定めければならない(FA8-2JP 参照
19.第 18 項(2)に従って定めた監査事務所の方針又は手続は、過年度に監査責任者を担当した後に
審査担当者に選任された者によって生じる客観性への阻害要因も扱わなければならない。この方
針又は手続には、監査責任者が審査担当者に就任することが可能となるまでの、クーリングオフ
期間の2年間又は職業倫理に関する規定により要求される場合は、それより長い期間を明記しな
ければならない(A17 項及び A18 項参照)
20.監査事務所は、審査担当者の補助者の適格性に関する規準を定める方針又は手続を定めなけれ
ばならない。この方針又は手続は、審査担当者の補助者が監査チームのメンバーではないこと、
及び以下を満たすことを要求しなければならない
(1) 与えられた業務を実施るたの、分な間をむ適及び力をする(A19 項参照)
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(2) 客観性や独立性を阻害する要因及び該当する場合には、法令の規定を含め、職業倫理に関す
る規定を遵守すること(A20 項及び A21 項参照)
21.監査事務所は、以下の方針又は手続を定めなければならない。
(1) 審査担当者が審査の実施に関する全体的な責任を負うこと。
(2) 審査の補助者への指示及び監督並びにその作業の査閲の内容、時期及び範囲を決定すること
についての審査担当者の責任(A22 項参照)
《審査担当者の適格性が損なわれる状況》
22.監査事務所は、審査を実施するための審査担当者の適格性が損なわれる状況及びそのような状
況において代わりの者を選任するプロセスを含め、監査事務所が講じるべき適切な措置に関する
方針又は手続を定めなければならない(A23 項参照)
23.審査担当者は、審査担当者の適格性が損なわれる状況を識別した場合、監査事務所の適切な者
に通知し、また以下を行わなければならない(A24 項参照)
(1) 審査が開始されていない場合、審査担当者への選任を辞退する。
(2) 審査が既に開始されている場合、審査の実施を中止する。
《3.審査の実施》
24.監査事務所は、審査の実施に関して、以下に係る方針又は手続を定めなければならない。
(1) 監査チームが行った重要な判断とその結論を客観的に評価するための適切な基礎を得るため
に、監査の適切な時点において第 25 項及び第 26 項に従って手続を実施する審査担当者の責任
(2) 監査報告書の日付を、 27 項に従って審査担当者から審査の完了が通知された日以降とする
ことを含む、審査に関する監査責任者の責任(A25 項参照)
(3) 重要な判断に関する監チーと審担当の討が、の内と範により審査担当者の客
観性を阻害する要因となる状況及びそのうな況にいてじるき適な措(A27項参照)
25.審査を実施する際には、審査担当者は以下を実施しなければならな(A28 項から A33 項参照)
(1) 以下の情報を通読し、理解する(A34 項参照)
監査チームから提供される、監査業務と企業の性質及び状況
監査事務所から提供される、監査事務所の品質管理システムのモニタリング及び改善プ
セスにより識別された不備の情報、特に監査チームが行った重要な判断を含む領域に関係
る、又は影響を与える可能性のある不備
(2) 監査責任者及び必要な場合には監査チームの他のメンバーと、監査業務の計画、実施及び報
告における、重要な事項及び重要な判断を討議する(A35 項から A38 項参照)
(3) (1)及び(2)で得られた情報に基づき、監査チームが行った重要な判断に関する選択された監
査調書を査閲及び評価する(A39 項から A43 項参照)
監査業務の種類に応じた重要な判断の根拠。なお、監査チームによる職業的専門家としての
懐疑心が保持及び発揮されているかどうかを含む
監査調書は、到達した結論を裏付けるかどうか。
到達した結論が適切かどうか。
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(4) 我が国における独立性に係る職業倫理に関する規定を遵守していると監査責任者が判断した
根拠を評価する(A44 項参照)
(5) 専門性が高く、判断に困難が伴う事項や見解が定まっていない事項又は監査上の判断の相違
がある事項について必要に応じて適切な専門的な見解の問合せが行われたか、及び当該専門的
な見解の問合せから生じた結論を評価する(A45 項参照)
(6) 監査責任者の重要な判断及び到達した結論が、監査業務の内容及び状況を踏まえて適切であ
るかを監査責任者が判断する根拠が得られるよう、監査責任者の関与が監査業務の全過程を通
じて十分かつ適切であると判断した根拠を評価する(A46 項参照)
(7) 財務諸表及び監査報告書を検討する。該当する場合には、監査上の主要な検討事項の記述を
含む(A47 項参照)
F25-2JP.監査事務所は、不正による重要な虚偽表示の疑義があると判断された場合には、修正後の
リスク評価及びリスク対応手続が妥当であるかどうか、入手した監査証拠が十分かつ適切である
かどうかについて、監査事務所としての審査が行われるよう、審査に関する方針及び手続を定め
なければならない(FA35-3JP 項参照)
F25-3JP.審査担当者は、不正による重要な虚偽表示の疑義があると判断された場合には修正後の
リスク評価及びリスク対応手続が妥当であるかどうか、入手した監査証拠が十分かつ適切である
かどうかについて検討しなければならない(FA35-3JP 項参照)
26.審査担当者は、査チームが行った重要な判断又は到達した結論が適切でないと懸念する場合、
監査責任者に通知しなければならない。そのような審査担当者の懸念事項が解決されない場合、
審査担当者は、審査が完了できないことを監査事務所の適切な者に通知しなければならな(A49
項参照)
《審査の完了》
27.審査担当者は、審査の実施に関して本報告書の要求事項が遵守されているかどうか、及び審査
が完了したかどうかを判断しなければならない。審査が完了した場合、審査担当者はその旨を監
査責任者に通知しなければならない。
《4.文書化》
28.監査事務所は、審査担当者が審査の文書化に責任を負うことを要求する方針又は手続を定めな
ければならない(A50 項参照)
29.監査事務所は、 30 項に従った審査の文書化とその文書が監査調書に含まれることを要求する
方針又は手続を定めなければならない。
30.審査担当者及び該当する場合にはその補助者によって実施された審査手続の種類、時期及び範
囲並びにその実施において到達した結論についての文書化が、以前に当該監査業務に関与してい
ない経験豊富な監査人が理解するのに十分であることを、審査担当者は確かめなければならない。
また、審査担当者は、査の文書化において以下を含むことを確かめなければならない(A51 項か
A53 項参照)
(1) 審査担当者及び審査の補助者の氏名
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(2) 審査担当者が査閲した監査調書の特
(3) 第 27 項に従った審査担当者の判断の根拠
(4) 第 26 項及び第 27 項に従って要求される通
(5) 審査の完了日
《Ⅲ 適用指針》
《1.審査担当者の選任に関する責任者》(第 17 項参照)
A1.審査担当者の選任に関する責任を果たすための適性と能力には以下に関する適切な知識が含ま
れることがある。
審査担当者の責任
審査担当者の適格性に関する第 18 項及び第 19 項の要求事項
審査の対象となる監査業務又は企業の性質及び状況並びに監査チームの構成
A2.監査事務所の方針又は手続において、実務的に不可能な場合を除いて、審査が実施される監査
チームのメンバーは、当該監査業務の審査担当者を選任できないことを明記する場合がある。例
えば、小規模な監査事務所又は個人事務所のような特定の状況では、監査チームのメンバー以外
の者が審査担当者を選任することが実務的に不可能な場合がある。
A3.監査事務所は、審査担当者の選任に関する責任者を複数選任することがある。例えば、監査事務
所の方針又は手続において、審査担当者の選任に関して上場企業の監査と非上場企業の監査で異
なるプロセスを定めて、各プロセスに別の責任者を選任することがある
《(1) 審査担当者の適格性》(第 17 項参照)
A4.状況によっては、例えば、小規模な監査事務所や個人事務所の場合には、審査を実施する適格
を有する社員等や監査事務所内の他の者が存在しないときがある。監査事務所は、このような状
況においては、審査を実施するために、監査事務所の外部の者と契約する、又は外部の者が提供
するサービスを利用することがある。
監査事務所の外部の者は、ネットワークファーム、監査事務所のネットワーク内の組織又はサ
ービスプロバイダーの社員又は従業員であることがあるこのような者を利用する場合、ネット
ワークの要求事項又はネットワーク・サービスやサービス・プロバイダーに関連する品質管理基
準報告書第1号の規定が適用される。
なお、監査事務所の外部の者による審査として委託審査制度を利用する場合、「監査意見表明の
ための委託審査要領」(日本公認会計士協会)等が参考になる。
《(2) 合議制による審査の考慮事項》(第 14 項から第 30 項参照)
A4-2JP.特定の監査業務に関して審査担当者を選任しない場合、会議体による審査(以下「合議制に
よる審査」という。を実施することができる。こうした場合には、審査に関する方針及び手続は、
14 項から第 30 (ただし、 19 項後段の、監査責任者が審査担当者に就任することが可能と
なるまでの期間に関する記載は除く。の記載に基づき適切に定める必要があるが特に以下の事
項に留意する。
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(1) 会議体の構成員は、審査を実施するための十分な時間の確保を含む、適性と能力及び適切な
権限を有する者から選任される。
(2) 合議制による審査は、監査計画の策定から監査意見の形成まで一貫してかつ適時に実施する。
なお、構成員が従事している監査業務に係る審査においては、当該構成員は案件の説明のみを
行い審査に加わらない
(3) 合議制による審査の内容及び結論を、監査調書として適切に文書化する。
《(3) 審査担当者の適格性の規準》
《① 十分な審査時間を含む、適性と能力》(第 18 項(1)参照)
A5.品質管理基準報告書第1号 A88 項においては、技術的な能力、専門的な技能、並びに職業的
専門家としての倫理、価値観及び態度を統合して活用することを含む、適性に関連する特徴が記
載されている。例えば、審査を実施するために必要な適性を有しているかを監査事務所が判断す
る際に考慮する事項には以下が含まれることがある。
職業的専門家としての基準及び適用される法令、並びに監査業務に関連する監査事務所の方
針又は手続の理解
企業の属する産業に関する知識
類似の内容及び複雑さを有する監査業務の理解及び関連する経験
審査の実施及び文書化における審査担当者の責任の理解。これらは、監査事務所の関連する研
修を受けることにより達成又は強化されることがある。
A6.一つ又は複数の品質リスクに対処するために、監査事務所が検討した状況、事象、環境又は行動
の有無は、その監査業務の審査を実施するために必要な適性と能力を監査事務所が判断する際の
重要な考慮事項となることがある。監査チームの重要な判断及び到達した結論を評価するために
必要である、十分な時間を含む適性及び能力を審査担当者が有しているかどうかを、監査事務所
が判断する際に考慮する他の事項には、例えば以下が含まれることがある。
企業の性質
企業が事業を行っている産業又は規制環境の専門性と複雑さ
監査業務において、特定の場合に必要となることがある専門的な知(例えば、情報技術(I
T)又は会計や監査の専門領域に関するもの)又は科学や技術的な知識に関連する程度(A19
についても参照)
A7.審査担当者に選任される者の適性と能力を評価するに当たっては、監査事務所のモニタリング
活動の発見事項(例えば、当該者が監査チームメンバー又は審査担当者であった監査業務の検証
から得られた発見事項)又は外部の検証の結果も関連する考慮事項であることがある。
A8.適性や適切な能力の欠如は、審査の実施に際して審査担当者が適切な職業的専門家としての判
断を行使する能力に影響を与える。例えば、関連する業界の経験を欠いている審査担当者は、複
雑な業界固有の会計又は監査に関する事項についての監査チームの重要な判断及び職業的専門家
としての懐疑心の保持及び発揮を、評価及び(適切な場合には)疑問を呈するために必要な能力
又は確信を有していないことがある。
FA8-2JP.不正による重要な虚偽表示の疑義の内容及び程度に応じて、必要な場合には、追加で審査
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担当者を選任することもあれば、適格者で構成される会議体により審査を実施する。
《② 適切な権限》(第 18 項(1)参照)
A9.監査事務所レベルでの対応が、審査担当者の権限の確立に役立つことがある。例えば、審査担当
者の役割を尊重する監査事務所の組織風土を醸成することにより、審査担当者が、審査の結果に
不適切な影響を与えようとする監査責任者又は他の専門要員からのプレッシャーを受ける可能性
が低くなることがある。場合によっては、審査担当者の権限は、監査上の判断の相違に対処する
ための監査事務所の方針又は手続によって強化されることがあり、これには、審査担当者と監査
チームとの間に監査上の判断の相違が生じたときに、審査担当者が取り得る対応が含まれること
がある。
A10.以下の場合には、審査担当者の権限が弱まることがある。
監査事務所の組織風土として、監査事務所内のより職位が高い者の権限のみが尊重されてい
る場合
審査担当者が、監査責任者と上司部下の関係を有している場合。例えば、監査責任者が監査事
務所の最高責任者等の地位を保持している、又は審査担当者の報酬を決定する責任を有してい
る場合
A11.欠番
《③ 我が国における職業倫理に関する規定》(第 13 項(3)及び第 18 項(2)参照)
A12.審査を実施する際に適用される職業倫理に関する規定は、監査業務又は企業の性質及び状況に
応じて異なる場合がある。職業倫理に関する様々な規定は、監査事務所そのものではなく、審査
担当者等の個々の会員にのみ当てはまることがある。
A13.我が国における職業倫理に関する規定には、審査担当者に適用される特定の独立性に関する要
求事項が含まれる。
監査の依頼人との長期的関与によって生じる独立性への阻害要因に対処する規定の適用は、第
19 項に従って必要とされるクーリングオフ期間を適用する際に考慮することが必要な場合がある。
《④ 審査担当者の客観性に対する阻害要因》
A14.審査担当者の客観性に対する阻害要因は、広範な事実と状況によって生じることがある。例え
ば、以下が挙げられる
自己レビューの脅威は、審査担当者が、特に監査責任者又は他の監査チームメンバーとして、
過去に監査チームによってなされた重要な判断に関与していたときに生じる可能性がある
審査担当者が、監査責任者又は他の監査チームメンバーの家族や近親者である場合又は監査
チームメンバーと緊密な人的関係を通じて、なれ合い又は自己利益の脅威が生じる可能性があ
る。
審査担当者がプレッシャーを受けていると感じたとき(例えば、監査責任者が高圧的な者であ
る場合又は審査担当者が監査責任者と上司部下の関係を有している場合)に、不当なプレッシ
ャーを受ける脅威が生じる可能性がある
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A15.我が国における職業倫理に関する規定は、客観性に対する阻害要因を識別し、評価し、また
処するための要求事項及び適用指針を含む場合がある。例えば、以下を含む具体的な指針を提供
している。
審査担当者に選任された場合に客観性への阻害要因が生じる可能性のある状況
そのような阻害要因の水準を評価する上で関連性のある要因
そのような阻害要因に対処する可能性のあるセーフガードを含む措
《⑤ 審査担当者の適格性に関する法令》(第 18 項(3)参照)
A16.審査担当者の適格性に関する追加的な要求事項が法令により規定される場合がある。
《(4) 過年度に監査責任者として担当した者のクーリングオフ期間》(第 19 項参照)
A17.継続的な監査業務では、重要な判断が行われる事項は変わらないことが多く、過年度の重要な
判断が、その後の期間においても監査チームの判断に影響を及ぼし続ける可能性がある。審査担
当者による重要な判断の客観的評価の実施は、審査担当者が過年度に監査責任者としてその判断
に関与していた場合には影響を受けるため、客観性への阻害要因、特に自己レビューの脅威を許
容水準にまで緩和するための適切なセーフガードが整備されることが重要である。したがって、
本報告書は、監査責任者が審査担当者として選任されないクーリングオフ期間を規定した、方針
又は手続を監査事務所が定めることを要求している。
A18.監査事務所の方針又は手続は、監査責任者以外の者が関与していた監査業務の審査担当者とし
ての選任要件を満たすために、クーリングオフ期間を設けることが適切かどうかを規定すること
もある。この点に関して、監査事務所は、その者の役割の内容及び監査業務における重要な判断
への過年度での関与を考慮することがある。例えば、グループ監査業務における構成単位の財務
情報に関する監査手続の実施に責任を有する監査責任者は、グループ監査業務に影響を与える重
要な判断に関与しているため、監査事務所はグループ監査の審査担当者に選任される適格性がな
いと判断することがある。
《(5) 審査担当者の補助者を使用する状況》(第 20 項及び第 21 項参照)
A19.特定の状況においては、審査担当者が、関連する専門知識を有する者又はチームによって補助
されることが適切な場合がある。例えば、高度に専門化された知識、能又は経験は、企業が行う
特定の取引を理解するのに役立ち、また当該取引に関連して監査チームが行った重要な判断を審
査担当者が評価するのに役立つ場合がある。
A20.A14 項の指針は、審査担当者の補助者の客観性への阻害要因に対処する方針又は手続を監査事
務所が定める際に役立つ場合がある。
A21.審査担当者が、監査事務所の外部の者によって補助される場合、職業倫理に関する規定の遵守
に関するものを含む審査担当者の補助者の責任は、監査事務所と当該補助者との間の契約又は他
の合意において規定されることがある。
A22.監査事務所の方針又は手続には、以下に関する審査担当者の責任が含まれることがある。
審査担当者の補助者が審査担当者の指示を理解しているかどうか、及び作業が計画した審査
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の方針に従って実施されているかどうかを考慮すること。
審査担当者の補助者により提起された事項の重要性を考慮しまた、計画した審査の方針を適
宜修正し、当該事項に対処すること。
《(6) 審査担当者の適格性が損なわれる状況》(第 22 項及び第 23 項参照)
A23.審査を実施するための審査担当者の適格性が損なわれているかを監査事務所が検討する際に関
連することがある要因には以下が含まれる。
監査業務の状況の変化により、審査担当者が審査を実施するための適性及び適切な能力を有
していないことになるか。
審査担当者の他の業務や職責に係る変化が、その者が審査を実施するための十分な時間を有
していないことを示しているか。
23 項に従った審査担当者からの通知
A24.審査を実施するための審査担当者の適格性が損なわれる状況に関して、監査事務所の方針又は
手続は、代わりの適格な審査担当者を選任するためのプロセスを規定することがある。また、監
査事務所の方針又は手続は、代わりに選任された審査担当者の責任、つまり審査の実施に関する
本報告書の要求事項を満たすために十分な手続を実施する責任についても扱うことがある。さら
に、そのような方針又は手続は、当該状況における専門的な見解の問合せの必要性を規定するこ
とがある。
《2.審査の実施》(第 24 項から第 27 項参照)
《(1) 審査に関連する監査責任者の責任》(第 24 項(2)参照)
A25.監査基準報告書 220 36 項は、以下を含む審査が必要な監査業務における監査責任者に関す
る要求事項を定めている。
審査担当者が選任されていることを確かめること。
審査担当者に協力すること、及び監査チームの他のメンバーにその責任を伝達すること。
監査の実施中に識別した重要な事項及び重要な判断(審査中に識別されたものを含む。につ
いて審査担当者と討議すること。
審査が完了した日以降を監査報告書日とすること。
A26.欠番
《(2) 審査担当者と監査チームとの討議》(第 24 項(3)参照)
A27.監査チームと審査担当者とが監査業務全体を通して頻繁にコミュニケーションを取ることは、
効果的かつ適時な審査の実施に資することがある。しかしながら、重要な判断に関する監査チー
ムとの討議の時期及び範囲によっては、審査担当者の客観性を阻害する要因が生じることがある。
監査事務所の方針又は手続は、審査担当者が監査チームを代表して意思決定を行っている、又は
行っているように認識される状況を避けるため、審査担当者又は監査チームが講じるべき措置を
規定することがある。例えば、そのような状況において監査事務所は、その専門的な見解の問合
せに係る方針又は手続に準拠し、当該重要な判断について他の適切な専門要員への専門的な見解
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の問合せを要求することがある。
《(3) 審査担当者が実施する手続》(第 25 項から第 27 項参照)
A28.監査事務所の方針又は手続は、審査担当者が実施する手続の種類時期及び範囲を定めること
があり、また審査を実施する際に職業的専門家としての判断を審査担当者が行うことの重要性を
強調することがある。
A29.審査担当者が実施する手続の時期は、審査対象の事項の内容を含め、監査業務又は企業の性質
及び状況に応じて異なることがある。監査計画、監査の実施及び報告など監査業務の全ての段階
において、審査担当者による監査調書の適時な査閲により、監査報告書日以前に、審査担当者が
納得できるような形で、審査対象の事項について迅速に解決することが可能となる。例えば、審
査担当者は、監査計画段階において、当該監査業務の全体的な戦略及び計画に関連した手続につ
いての審査を実施する場合がある。審査を適時に実施することにより、監査計画段階及び監査の
実施の際に、監査チームが、職業的専門家としての判断を慎重に行い、より職業的専門家として
の懐疑心を保持及び発揮することが可能となる。
A30.審査担当者の個別監査業務に対する手続の種類及び範囲は、特に以下のような要因に応じて異
なる。
品質リスクの評価の根拠(品質管理基準報告書第1号の A49 項参照)
例えば、新興の産業の企業や複雑な取引を行っている企業に対して実施される監査業務か
うか。
監査事務所の品質管理システムのモニタリング及び改善プロセスに関連して識別された不備
及びそれらに対処するための是正措置、並びに監査事務所が発行する関連する指針。それらは
審査担当者がより広範囲な手続を実施する必要がある分野を示すことがある。
監査業務の複雑さ
企業が上場企業かどうかを含む企業の性質と規模
前期に外部の監視当局が実施した検証の結果などの、監査業務に関連する発見事項又は監査
チームの作業の品質に関して提起された他の懸念
監査事務所による契約の新規の締結及び更新から得られた情報
監査チームによる重要な虚偽表示リスクの識別と評価及び対応
監査チームのメンバーは、審査担当者が実施する審査に協力しているかどうか監査事務所の
方針又は手続は、監査チームが審査担当者が実施する審査に協力していない場合に、例えば、
題を解決するために適切な措置を講じることができるように、監査事務所の適切な担当者に情
報を提供することなど、審査担当者が講じるべき措置を規定することがある。
A30-2JP.大会社等の監査の審査においては、第 25 項に記載されている事項のうち、監査チームが
行った重要な判断として検討され評価される事項には、以下の事項が含まれることがある
監査の基本的な方針と詳細な監査計画の内容(監査期間中に行われた重要な修正を含む。
監査の実施中に識別された特別な検討を必要とするリスクとそのリスクに対する対応
監査上の判断、特に重要性及び特別な検討を必要とするリスクに関して行った判断
監査の実施中に識別し、修され又は修正虚偽示にする要性の判断とその対処
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経営者及び監査役等、該当する場合、規制当局などの第三者に伝達する事項
これらの事項は、状況に応じて、大会社等以外の財務諸表監査、中間監査、期中レビュー及び内
部統制監査の審査にも適用されることがある。
なお、期中レビュー業務の品質が合理的に確保される範囲において、期中レビュー業務に係る
審査の方法、内容等を柔軟に定めることができる
A30-3JP.大会社等以外の審査では、監査業務の品質が合理的に確保される範囲において、以下の事
項を考慮して審査の方法、内容、時期及び範囲を簡素化又は柔軟に実施することができる
監査業務の目的や内容(社会的影響の程度を含む。
個々の監査業務において識別した通例でない環境又はリスクの重要
A31.審査の実施の過程において識別された状況に応じて、審査担当者の手続の種類、時期及び範囲
を変更することが必要な場合がある。
《① グループ監査の考慮事項》
A32.グループ財務諸表の監査のための審査の実施においては、グループの規模及び複雑さに応じて、
グループ監査のために審査担当者として選任された者のための追加の検討事項が含まれる場合が
ある。第 21 項(1)においては、審査担当者が審査の実施に対して全体的な責任を負うことを要
するための、監査事務所の方針又は手続を定めることが要求されている。その際、より大規模で
複雑なグループ監査については、グループ監査の審査担当者は、例えば、構成単位の監査人など
の、グループ監査人以外の監査チームの主要メンバーと重要な事項及び重要な判断について討議
することが必要な場合がある。このような状況では、当該審査担当者は、 20 項における審査担
当者の補助者による協力を受けることがある。A22 項の指針は、グループ監査の審査担当者が当該
補助者を利用している場合に役立つことがある。
A33.グループの一部である企業又は事業単位の監査のために、審査担当者が選任されることがある。
例えば、法令やその他の理由により、そのような監査が要求される場合である。このような状況
では、グループ監査の審査担当者とその企業又は事業単位の監査のための審査担当者とのコミュ
ニケーションが、第 21 項(1)に従った責任をグループ監査の審査担当者が果たすことに役立つこ
とがある。例えば、の企業や事業単位がグループ監査の目的のために構成単位として識別され、
グループ監査に関連する重要な判断が当該構成単位のレベルで行われた場合がこれに該当するこ
とがある。
《② 監査チーム及び監査事務所から伝達された情報》(第 25 項(1)参照)
A34. 25 項(1)に従って監査チーム及び監査事務所から伝達された情報を理解することは、審査担
当者が監査業務において想定される重要な判断を理解する上で役立つことがある。また、当該理
解は、監査計画、監査の実施及び報告においてなされた重要な事項及び重要な判断についての監
査チームとの討議の基礎を審査担当者に提供することがある。例えば、特定の産業における特定
の会計上の見積りに関する監査事務所によって識別された不備は、他の監査チームの重要な判断
に関係することがある。それゆえに、第 25 項(2)に従った審査担当者と監査チームとの討議の基
礎を提供することがある。
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《③ 重要な事項及び重要な判断》(第 25 項(2)及び第 25 項(3)参照)
A35.監査基準報告書 220 31 項では、監査責任者が、重要な事項(監査基準報告書 230「監査調
書」第7項(3)参照)に関する監査調書並びに監査の実施中に識別された、専門性が高く、判断に
困難が伴う事項や見解が定まっていない事項を含む重要な判断及び到達した結論に関する監査調
書を査閲することが要求されている。
FA35-2JP.審査担当者が審査において評価する重要な事項や監査チームが行った重要な判断には、
不正による重要な虚偽表示を示唆する状況を識別した場合、不正による重要な虚偽表示の疑義が
あるかどうかの判断が含まれる。
FA35-3JP.不正による重要な虚偽表示の疑義があると判断された場合、審査において検討され評価
される事項には、例えば、以下の事項が含まれる(F25-2JP 項及び F25-3JP 項参照)
修正後の監査の基本的な方針と詳細な監査計画の内容
監査上の判断、特に重要性及び重要な虚偽表示の発生可能性に関して行った判断
リスク対応手続の種類、時期及び範
入手した監査証拠が十分かつ適切かどうか。
専門的な見解の問合せの要否及びその結論
不正による重要な虚偽表示の疑義に関する監査調書には、実施した手続とその結論が適切に
記載されているかどうか。
A36.監査基準報告書 220 A92 項は、監査業務を実施するための監査の基本的な方針及び監査計画、
業務の実施並びに監査チームが到達した全体的な結論に関する、監査責任者によって識別される
可能性のある重要な判断の例を示している。
A37.欠番
A38.審査の実施において、審査担当者が、監査チームにより重要な判断が行われるべき他の領域に
気付くことがあり、監査チームの実施した手続又は結論の根拠について、追加の情報が必要とな
ることがある。そのような状況では、審査担当者との討議の結果、監査チームは追加的な手続を
実施する必要があるとの結論に至ることがある。
A39. 25 項(1)及び第 25 項(2)に従って得られた情報及び選定された監査調書の査閲は監査チー
ムの重要な判断の基礎を審査担当者が評価する際に役立つ。審査担当者の評価に関連する他の考
慮事項には、例えば、以下が含まれる。
監査チームが行った重要な判断の変更につながる可能性のある監査業務又は企業の性質及び
状況の変化に留意する
監査チームからの回答を偏りのない視点から評価する。
監査調書を査閲する際に識別した不整合又は重要な判断に関する質問に対する監査チームの
一貫性のない回答については追加の検討を実施する。
A40.監査事務所の方針又は手続においては、審査担当者が査閲する監査調書を指定することがある。
さらに、その方針又は手続は、審査担当者が監査チームによってなされた重要な判断に関連して
査閲する追加の監査調書を選定する際に、職業的専門家としての判断を行使することを示す場合
がある。
A41.監査責任者及び必要な場合には監査チームの他のメンバーとの重要な判断に関する討議は、
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査調書と併せて、監査業務の重要な判断に関する監査チームの職業的専門家としての懐疑心の保
持及び発揮に関して、審査担当者が評価する上で有用となることがある
A42.監査基準報告書 220 A34 項から A36 項は、個々の業務での職業的専門家としての懐疑心の
持及び発揮に対する障害、職業的専門家としての懐疑心の保持及び発揮を妨げる可能性のある無
意識の監査人の偏向及び個々の業務での職業的専門家としての懐疑心の保持及び発揮に対する障
害を監査チームが緩和するために講じる可能性のある行為の例を示している。
A43.財務諸表監査については、監査基準報告書 315「重要な虚偽表示リスクの識別と評価」 A223
項、監査基準報告書 540「会計上の見積りの監査」 A11 項及び他の監査基準報告書の要求事項及
び関連する適用指針も、監査人が職業的専門家としての懐疑心を保持及び発揮する監査上の領域
の例又は適切な監査調書が、監査人が職業的専門家としての懐疑心をどのように保持及び発揮し
たかの根拠資料として役立つことの例を示している。このような指針は、監査チームによる職業
的専門家としての懐疑心の保持及び発揮を審査担当者が評価する際に有用となることもある。
《④ 我が国における独立性に係る職業倫理に関する規定が遵守されているかどうか》(第 25 項(4)
参照)
A44.監査基準報告書 220 21 項は、監査責任者が、監査報告書日以前に、独立性を含む我が国に
おける職業倫理に関する規定が遵守されているかどうかを判断することに対する責任を負わなけ
ればならないことを規定している
《⑤ 専門性が高く、判断に困難が伴う事項や見解が定まっていない事項又は監査上の判断の相違
がある事項について必要に応じて適切な専門的な見解の問合わせが行われたかどうか》
A45.品質管理基準報告書第1号第 31 項(4)、第 31 項(5)、A79 項から A82 項は、専門性が高く、判
断に困難が伴う事項や見解が定まっていない事項並びに監査チーム内又は監査チームと審査担当
者若しくは監査事務所の品質管理システムの活動を実施する者との監査上の判断の相違がある事
項に関する専門的な見解の問合わせについて規定している。
《⑥ 監査責任者の業務への十分かつ適切な関与》(第 25 項(6)参照)
A46.監査基準報告書 220 40 項(1)は、監査報告書日以前に、監査責任者が、重要な判断及び合
した結論は監査業務の内容及び状況を踏まえて適切であるかを判断するための根拠が得られるよ
う、監査業務の全過程を通じて十分かつ適切に関与しているか判断することを規定している。ま
た監査基準報告書 220 A118 項は、監査責任者の関与の文書化は、様々な方法でなされることを
示している。審査担当者による監査チームとの討議及び監査調書の査閲は、監査責任者の関与が
十分かつ適切であるという監査責任者の判断の根拠に関して、審査担当者が評価する際に有用と
なることがある。
《⑦ 財務諸表及び監査報告書の検討》(第 25 項(7))
A47.財務諸表監査において、審査担当者による財務諸表及び監査報告書の審査には、監査チームが
行った重要な判断に関連する事項についての表示及び注記事項が、審査担当者により選定された
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監査調書の査閲及び監査チームとの討議に基づく当該事項の審査担当者の理解と整合しているか
どうかの検討が含まれることがある。
財務諸表の審査において、審査担当者が、監査チームにより重要な判断が行われていると考え
られる他の領域に気付くことがあり、監査チームの手続又は結論について追加の情報が必要とな
ることがある。
A48.欠番
《⑧ 審査における未解決の懸念事項》(第 26 項参照)
A49 監査事務所の方針又は手続において、監査チームが行った重要な判断又は到達した結論が適切
でないという未解決の懸念事項を審査担当者が有する場合に、通知先となる監査事務所の者を定
めることがある。このような者には、審査担当者を選任する責任者が含まれることがある。その
ような未解決の懸念事項に関して、監査事務所の方針又は手続において監査事務所内外の専門的
な見解の問合せを要求する場合もある。
《3.文書化》(第 28 項から第 30 項参照)
A50.品質管理基準報告書第1号第 57 項から第 60 項は、品質管理システムに関する監査事務所の文
書化について規定している。したがって、本報告書に従って実施される審査は、品質管理基準報
告書第1号の文書化の要求事項の対象となる。
A51.審査の文書化の様式、内容及び範囲は、以下のような要因に応じて異なることがある。
監査業務の内容と複雑さ
企業の性質
審査の対象となる事項の内容及び複雑さ
・ 審査担当者が査閲した監査調書の範囲
A52.審査の実施と完了の通知は、様々な方法で文書化されることがある。例えば、審査担当者は、
監査業務で利用するITアプリケーションにおいて、監査調書の査閲について電子的に文書化す
ることがある。または、審査担当者がメモを作成する方法で審査の文書化をすることもある。そ
のほか、審査担当者の手続については、例えば、審査担当者が同席した監査チーム内の討議の議
事録において文書化されることもある。
A53. 24 項(2)は、監査責任者が監査報告書の日付を、審査担当者により提起された事項の解決を
含めて審査が完了した日以降とすべきことを、監査事務所の方針又は手続として規定することを
要求している。なお、審査の実施に関する全ての要求事項が満たされていることを条件として、
監査調書の最終的な整理の前であれば、審査の文書化の最終的な整理を監査報告書の日付後に完
了することもできる。しかしながら、監査事務所の方針又は手続によっては、審査の文書化の最
終的な整理を監査報告書日以前に完了すべきことが規定される場合もある。
品基報2
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本報告書(2022 10 13 日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。
倫理規則(2022 年7月 25 日変更)
(修正箇所:第 13 項)
監査基準報告書(序)「監査基準報告書及び関連する公表物の体系及び用語」(2022 年7月
21 日改正)
(上記以外の修正箇所
本報告書(2023 年1月 12 日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。
監査基準報告書 600「グループ監査における特別な考慮事項」(2023 年1月 12 日改正)
本報告書(2024 年9月 26 日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。
企業会計審議会「四半期レビュー基準の期中レビュー基準への改訂に係る意見書」(2024
3月 27 日公表)