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できなければ有効な集客活動はできないので、アクセスログ
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と呼ばれるウェブペー
ジ利用者の動きを記録するデータを自分のサイトで収集している。このデータを集
計した統計によりどういう集客活動が効率的であるかの情報を入手して、次の集客
活動に活かしていく。このアクセスログ及びその分析データは、広告主側の情報シ
ステムで分析するのではなく、ポータルサイトが提供する場合もある。
また、ポータルサイト自身にとっても、自社のどういうページの利用率が高く、
どの広告への反応が良いかといったことを知るためにアクセスログを常に分析し
ている。その結果によって、どういうサービスを行うページのどういう時間帯にど
ういう広告主の広告を表示するべきであるかという分析を行って、次の広告主への
営業に活かしている。このアクセスログは、SEOコンサルティングに当たっても
活用される重要なデータである。したがって、ポータルサイトは、アクセスログを
基にした統計データを取り出せるような情報システムを用意しているものである。
X社のビジネスの核、すなわちビジネスモデルと収益の源泉が何であるかが分か
っていれば、上記のような業務の一環として、アクセスログ自体、あるいはその分
析データを社内で吟味している資料が存在することを予想することができよう。そ
れを閲覧することで問題の2社へのバナー広告の表示数やバナー広告からのクリ
ック数がどうであったのかの証拠を入手することができる。その結果として、期末
直前の売上高が適正なものであったか、架空の取引であったかの証拠を入手できた
可能性がある。アクセスログ自体を監査人が分析することは困難であると思われる
が、その分析結果の資料の提出依頼はできないことはないし、それを閲覧すること
で異常点の発見ができる可能性はある。
また、本件取引では、SEOコンサルティングも行っていたのであるから、どの
ような検索ワードで顧客のウェブページが上位に表示されるかの試行と結果の分
析を繰り返していたはずである。そのデータの提出や顧客への報告資料の提出を求
めることで取引に実態があったのかどうかの判断ができたものと思われる。SEO
コンサルティングというものが、どういう業務を行うものであるかについて、監査
人が理解していれば、取引の実在性を裏付ける資料の提供を求めることができたか
もしれない。さらに、SEOコンサルティングは、検索ワードやページ構成のチュ
ーニングと呼ばれる調整作業を試行錯誤的に行っていくため、数か月に及ぶ取引に
なることが多い。SEOコンサルティングという事業内容を理解していれば、期末
直前の1か月でコンサルティングが完了したような取引内容を見ただけで売上の
実在性への疑問を持つことができたはずである。
(5) 改善に向けて
インターネット上でのビジネスなど目に見えないサービスを実施している被監
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ここでのアクセスログとは、システムへのアクセス状況を記録したものであり、利用者
がどこから来て、どこを見て、どこへ出て行ったかの挙動を確かめるための動作記録であ
る。