
監基報 320
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算又は見込みがあるが、それらに対して企業の状況の重要な変化(例えば、重要な事業買収など)
や企業が属する産業や経済の環境変化に応じて修正した数値も含まれる。
例えば、ある企業に対する重要性の基準値が、税引前利益を基礎として決定されている場合、当
該利益に異常な項目があれば、監査人は、過年度の数値を参考として正常な税引前利益を算定し、
重要性の基準値を決定することがより適切であると判断する場合がある。
A6.監査人は、重要性の基準値を、報告対象とする財務諸表に基づいて算定する。
新規設立企業や決算期変更のように、12 か月ではない会計期間について財務諸表が作成されて
いる場合、重要性の基準値は、当該会計期間に対して作成される財務諸表に基づいて算定する。
A7.選択した指標に適用する割合の決定は、職業的専門家としての判断を伴うものである。例えば、
監査人は、製造業を営む営利を目的とする企業において税引前利益を指標とする場合には5%が
適切であると考えることがあるが、状況によっては、これとは異なる割合が適切であると判断す
ることもある。また、選択する指標に適用する割合も指標の性質により異なり、売上高に適用す
る割合は、通常、税引前利益に適用する割合よりも小さい。
《(2) 特定の取引種類、勘定残高又は注記事項に対する重要性の基準値》(第9項参照)
A8.重要性の基準値を下回る虚偽表示であっても、財務諸表の利用者が財務諸表に基づいて行う経
済的意思決定に影響を与えると合理的に見込まれる特定の取引種類、勘定残高又は注記事項がま
れに存在する。そのような特定の取引種類、勘定残高又は注記事項の存在を示す要因には、以下
が含まれる。
(1) 法令又は適用される財務報告の枠組みの要請により行われる特定の項目の測定又は財務諸表
の注記事項が財務諸表の利用者の期待に影響を与えているかどうか(例えば、関連当事者との
取引、取締役及び監査役等の報酬、高い見積りの不確実性を伴う公正価値の測定について行わ
れる感応度分析が該当する場合がある。)。
(2) 企業が属する産業に関する主要な注記事項があるかどうか(例えば、製薬会社の研究開発費
が該当する場合がある。)。
(3) 財務諸表において別個に注記されている企業の事業に関する特定の情報に注目が集まってい
るかどうか(例えば、セグメント又は重要な企業結合に関する注記事項が該当する場合がある。)。
A9.特定の状況において、上記のような取引種類、勘定残高又は注記事項が存在するかどうかを検
討する際、監査人は、経営者及び監査役等が意識している事項についての理解が有益と判断する
ことがある。
《(3) 手続実施上の重要性》(第 10 項参照)
A10.個別に重要な虚偽表示を発見することのみを意図した監査計画を策定すると、個別には重要で
はないが集計すると重要な虚偽表示となる場合があること、さらに、未発見の虚偽表示が存在す
る可能性があることを考慮していないことになる。
監査人は、合算リスクを適切な低い水準に抑えるために、手続実施上の重要性を財務諸表全体
に対する重要性よりも低い金額として設定する。
なお、これは、定義で示したとおり、複数設定する場合がある。