監基報 402
i
2023/8
監査基準報告書402
業務を委託している企業の監査上の考慮事項
20 1 1 12 2 2
改正 2 0 1 5 2 9
改正 2 0 2 1
改正 2 0 2 1 1 9
改正 2 0 2 2 1 0 1 3
最終改正 2 0 2 3 1 2
監査・保証基準委員会
16
項番号
本報告書の範囲及び目的
1.本報告書の範囲..................................................................1
2.本報告書の目的..................................................................6
3.定義............................................................................7
要求事項
1.受託会社が提供する業務及び内部統制の理 ........................................8
理解を裏付けるためのタイプ1又はタイプ2の報告書の利 .......................12
2.評価した重要な虚偽表示リスクへの対応 ...........................................14
運用評価手続 .................................................................15
3.再受託会社の業務を報告対象から除外したタイプ1とタイプ2の報告書 ...............17
4.受託会社の活動に関連した不正、違法行為及び未修正の虚偽表示 .....................18
5.委託会社監査人の監査報告書 .....................................................19
適用指針
1.受託会社が提供する業務及び内部統制の理
(1) 受託会社が提供する業務内容に関する情報の情報源 ...............................A1
(2) 受託会社が提供する業務の内 .................................................A3
(3) 受託会社が処理する取引の内容と重要性 .........................................A6
(4) 受託会社と委託会社との間の相互関連の度合い ...................................A7
(5) 委託会社と受託会社の関係 .....................................................A8
(6) 受託会社の提供する業務に関連する内部統制の理解 ..............................A10
(7) 委託会社から十分な理解が得られない場合の追加手続 ............................A13
(8) 理解を裏付けるためのタイプ1又はタイプ2の報告書の利用 ......................A19
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2.評価した重要な虚偽表示リスクへの対応 ..........................................A22
運用評価手続 ................................................................A27
3.再受託会社の業務を報告対象から除外したタイプ1とタイプ2の報告書 ..............A38
4.受託会社の活動に関連した不正、違法行為及び未修正の虚偽表示 ....................A39
5.委託会社監査人の監査報告書 ....................................................A40
受託会社監査人の作業への言及 ................................................A41
適用
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《Ⅰ 本報告書の範囲及び目的》
《1.本報告書の範囲》
1.本報告書は、委託会社が1社以上の受託会社の提供する業務を利用する場合の、委託会社監
人による十分かつ適切な監査証拠の入手に関する実務上の指針を提供するものである。特に、本
報告書は、委託会社監査人が重要な虚偽表示リスクを識別し評価するために、財務諸表の作成に
関連する企業の内部統制システムを含め、委託会社を十分に理解するに当たって、監査基準報告
書315「重要な虚偽表示リスクの識別と評価」を適用する方法を詳述している。また、別したリ
スクに対応するリスク対応手続を立案し実施するに当たって、監査基準報告書330「評価したリス
クに対応する監査人の手続」を適用する方法を詳述している。
2.企業は、その事業活動の一部を外部に委託することがあるが、特定の職務を企業の指示に基
いて実施させることもあれば、企業の特定の部署又は機能の全てを代行させることもある。その
ような外部に委託している業務の多くは、企業の事業運営にとって必要不可欠であるが、それら
の全ての業務が監査に関連しているわけではない
3.受託会社の提供する業務とそれらに対する内部統制が、委託会社の財務諸表の作成に関連す
情報システムの一部を構成している場合には、当該業務は、委託会社の財務諸表監査に関連する
ことになる。受託会社の大部分の内部統制は、財務諸表の作成に関連する委託会社の情報システ
ムの一部である場合、又は資産の保全を対象とする内部統制などのように、監査に関連する内部
統制であることが多い。受託会社の業務が、以下のいずれかに影響を与える場合には、委託会社
の情報システムの一部を構成する。
(1) 重要な取引種類、勘定残高又は注記事項に関連する情報の委託会社の情報システムにおける
流れ。これは、手作業によるかITを利用しているか、総勘定元帳や補助元帳から入手した情報
かそれ以外から入手した情報かに関わらず、受託会社の業務が以下にどのように影響を与える
かを含む。
委託会社の取引の開始から、それに関する情報の記録、処理、必要に応じた修正、総勘定元
帳への取り込み、財務諸表での報告に至るまでの情報の流れ
取引以外の事象や状況に関する情報が、委託会社によって把握され、処理され、財務諸表に
おいて開示されるまでの情報の流れ
(2) 会計記録、委託会社の財務諸表の特定の勘定及び第3項(1)の委託会社の情報システムにおけ
る情報の流れに関連する他の裏付けとなる記録
(3) 第3項(2)に記載された記録により委託会社の財務諸表を作成するプロセス(重要な取引種
類、勘定残高又は注記事項に関連する会計上の見積りや開示を含む。
(4) 上記(1)から(3)に関連する企業のIT環境
4.委託会社監査人が受託会社の提供する業務に関して実施する手続の種類及び範囲は、当該業
の内容と委託会社にとっての重要性、及び監査への関連性によって決まる
5.本報告書は、例えば、銀行による振込処理や証券会社による有価証券の決済など、金融機関
開設されている企業の口座において企業が個別に承認した取引処理に限定して金融機関が提供す
る業務には適用されない。また、本報告書は、出資者持分が計算され持分保有者に報告される場
合の、組合、法人及び共同支配企業等の他の事業体への出資者持分に関連して発生する取引の監
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査にも適用されない。
《2.本報告書の目的》
6.委託会社が受託会社の業務を利用する場合の委託会社監査人の目的は、以下のとおりである
(1) 重要な虚偽表示リスクの識別と評価に対する適切な基礎を得るため、受託会社の提供する業
務の種類と重要性、及びそれらが委託会社の内部統制システムに与える影響について理解する
こと
(2) 当該リスクに対応する監査手続を立案し実施すること
《3.定義》
7.本報告書における用語の定義は、以下のとおりとする
(1) 「委託会社」-財務諸表の監査を受けている会社で、受託会社の提供する業務を利用する会
社をいう。
(2) 「委託会社監査人」-委託会社の財務諸表の監査を実施する監査人をいう。
(3) 「委託会社の相補的な内部統制」-受託業務をデザインする段階で、委託会社において整備
されることを受託会社が想定する内部統制であり、受託会社のシステムに関する記述書におい
て統制目的の達成に必要な内部統制として識別され、記載されるものをいう。
(4) 「再受託会社」-委託会社の財務報告に関連する情報システムの一部を構成する業務を委託
会社に提供するために、受託会社が受託業務の一部を他の会社に再委託する場合の当該他の会
社をいう。
(5) 「受託会社」-委託会社の財務報告に関連する情報システムの一部を構成する業務を、当該
委託会社に提供する第三者組織(又はその一部)をいう。
(6) 「受託会社監査人」-受託会社からの依頼に基づき、受託会社の内部統制に関して保証報告
書を提供する監査人をいう。
(7) 「受託会社のシステム」-受託会社監査人の保証報告書が対象とする業務を委託会社に提供
するために、受託会社がデザインし業務に適用する方針と手続をいう。
(8) 「受託会社のシステムに関する記述書及び内部統制のデザインに関する報告書」(本報告書で
は「タイプ1の報告書」と呼称する。)-以下を含む報告書をいう。
受託会社のシステム、統制目的、及びそれらに関連して基準日現在でデザインされ業務に適
用されている内部統制について、受託会社の経営者が作成した記述書
受託会社のシステム、統制目的及び関連する内部統制の記述並びに特定された統制目的
達成する内部統制のデザインの適切性に関する意見等の合理的な保証を提供する受託会社監
査人の保証報告書
(9) 「受託会社のシステムに関する記述書並びに内部統制のデザイン及び運用状況に関する報告
書」(本報告書では「タイプ2の報告書」と呼称する。)-以下を含む報告書をいう。
受託会社のシステム、統制目的及び関連する内部統制、基準日現在又は特定期間にわたるそ
れらのデザインと業務への適用、並びに、場合によっては、特定期間にわたるそれらの運用状
況の有効性について、受託会社の経営者が作成した記述書
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以下の事項を含む、合理的な保証を提供する受託会社監査人の保証報告書
ア.受託会社のシステム統制目的及び関連する内部統制に関する記述特定の統制目的を達
成する内部統制のデザインの適切性、並びに内部統制の運用状況の有効性に関する受託会
社監査人の意見
イ.受託会社監査人の運用評価手続とその結果に関する記
《Ⅱ 要求事項》
《1.受託会社が提供する業務及び内部統制の理解》
8.監査基準報告書315第18項に従って委託会社を理解する場合、委託会社監査人は、委託会社がそ
の事業運営において、以下を含め、受託会社の業務をどのように利用しているかを理解しなけれ
ばならない(A1項及びA2項参照)
(1) 受託会社が提供する業務の内容と委託会社にとっての当該業務の重要性(委託会社の内部統
制に与える影響を含む。(A3項からA5項参照)
(2) 受託会社が処理する取引、又は影響を与える勘定や財務報告プロセスの内容と重要性(A6項
参照)
(3) 受託会社の活動と委託会社の活動との相互関連の度合い(A7項参照)
(4) 受託会社が引き受ける活動に関する契約条項を含む、委託会社と受託会社の関係(A8項及び
A9項参照)
9.監査基準報告書315に従って企業の内部統制システムを理解する場合、委託会社監査人は、受託
会社にて処理される取引に適用する内部統制等を含めて、当該受託会社の提供する業務に関連す
る委託会社の統制活動における内部統制(監基報315第25項(1)参照)を識別し、デザインを評
し、業務に適用されているかどうかを判断しなければならない(A10項からA12項監基報315第25
項(4)参照)
10.委託会社監査人は、重要な虚偽表示リスクの識別と評価に対する適切な基礎を得るために、
託会社が提供する業務の内容と重要性、及びそれらが委託会社の内部統制システムに与える影響
に関して、十分な理解を得たかどうかを判断しなければならない
11.委託会社監査人は、受託会社が提供する業務に関する十分な理解を委託会社から得られなか
た場合、以下の手続を一つ又は複数組み合わせて実施して理解を得なければならない(A13項から
A18項参照)
(1) タイプ1又はタイプ2の報告書を入手する(利用可能な場合)
(2) 委託会社を通じて受託会社に連絡して特定の情報を入手する
(3) 受託会社を往査し、受託会社の提供する業務に関連する内部統制について必要な情報を入手
するための手続を実施する。
(4) 受託会社の内部統制について、必要な情報を入手する手続の実施に他の監査人を利用する。
《理解を裏付けるためのタイプ1又はタイプ2の報告書の利用》
12.委託会社監査人は、タイプ1又はタイプ2の報告書が提供する監査証拠の十分性と適切性の
断に当たり、以下の点について確かめなければならない。
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(1) 受託会社監査人の職業的専門家としての能力と受託会社からの独立性
(2) タイプ1又はタイプ2の報告書が準拠している基準の妥当性(A19項参照)
13.委託会社監査人は、受託会社の内部統制のデザインと業務への適用に関する理解を裏付ける
査証拠として、タイプ1又はタイプ2の報告書の利用を計画した場合、以下を行わなければなら
ない(A20項及びA21項参照)
(1) 受託会社の記述書と内部統制のデザインの基準日又は対象期間は、委託会社監査人の目的に
とって適切であるかどうか評価する。
(2) 受託会社の内部統制の理解のために、報告書が提供する証拠の十分性と適切性を評価する。
(3) 受託会社の記述書に含まれている委託会社の相補的な内部統制が、委託会社に該当するかど
うか判断する。該当すると判断された場合、委託会社が当該内部統制をデザインして業務に適
用しているかどうか理解する。
《2.評価した重要な虚偽表示リスクへの対応》
14.監査基準報告書330に従い評価したリスクへの対応に当たり委託会社監査人は、以下を行わ
ければならない(A22項からA26項参照)
(1) 関連する財務諸表のアサーションに関する十分かつ適切な監査証拠は、委託会社が保有する
記録から入手可能であるかどうか判断する。
(2) 入手不可能な場合、十分かつ適切な監査証拠を入手するためのリスク対応手続を受託会社に
おいて実施する。又は、委託会社監査人のために受託会社で当該手続を実施する他の監査人を
利用する。
《運用評価手続》
15.委託会社監査人がリスク評価において受託会社の内部統制が有効に運用されていることを想
している場合、委託会社監査人は以下の手続を一つ又は複数組み合わせて実施することにより
当該内部統制の運用状況の有効性について監査証拠を入手しなければならない。
(1) タイプ2の報告書を入手する(利用可能な場合)
(2) 受託会社で適切な運用評価手続を実施する。
(3) 委託会社監査人のために、受託会社で運用評価手続を実施する他の監査人を利用する(A27項
及びA28項参照)
《運用状況に関する監査証拠としてのタイプ2の報告書の利用》
16.委託会社監査人は、第15項(1)に従って受託会社の内部統制が有効に運用されていることの監査
証拠としてタイプ2の報告書の利用を計画する場合、以下の手続を実施することにより、委託会
社監査人のリスク評価を裏付ける内部統制の運用状況の有効性について、受託会社監査人の保証
報告書が十分かつ適切な監査証拠を提供するかどうかを判断しなければならない。
(1) 受託会社の記述書、内部統制のデザイン及び運用状況の有効性の基準日又は対象期間が、委
託会社監査人の目的にとって適切であるかどうか評価する。
(2) 受託会社の記述書に含まれている委託会社の相補的な内部統制が、委託会社に該当するかど
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うか判断する。該当すると判断された場合、委託会社が当該内部統制をデザインして業務に適
用しているかどうかを理解する。委託会社がデザインして業務に適用している場合には、それ
らの運用状況の有効性について評価手続を実施する。
(3) 運用評価期間当該運用以後の経どうか評
(4) 受託会社監査人の保証報告書に記載されている実施された運用評価手続及びその結果が、委
託会社の財務諸表のアサーションに関連しているかどうか、監査のリスク
裏付ける監査証拠かどうかA29項からA37
《3.再受託会社の業務を報告対象から除外したタイプ1とタイプ2の報告書》
17.委託会社監査人が、再受託会社の提供する業務を報告対象から除外したタイプ1とタイプ2
報告書を利用する計画であり、当該業務が委託会社の財務諸表監査に関連している場合、委託会
社監査人は、再受託会社の提供する業務に関して、本報告書の要求事項を適用しなければならな
い(A38項参照)
《4.受託会社の活動に関連した不正、違法行為及び未修正の虚偽表示》
18.委託会社監査人は、受託会社における不正、違法行為や未修正の虚偽表示のうち委託会社の
務諸表に影響を与えるものについて、受託会社から委託会社に報告があったかどうか、又は報告
がない場合であっても、委託会社が気付いているそれらの事項があるかどうかを、委託会社の経
営者に質問しなければならない。
委託会社監査人は、該事項が、委託会社監査人の結論及び監査報告書に与える影響を含め、
監査ク対響をれば
(A39項参照)
《5.委託会社監査人の監査報告書》
19.委託会社監査人は、委託会社の財務諸表監査に関連する受託会社が提供する業務に関して、
分かつ適切な監査証拠を入手できなかった場合監査基準報告書705「独立監査人の監査報告書
おける除外事項付意見」第5項に従って委託会社監査人の監査報告書において除外事項付意見を
表明しなければならない(A40項参照)
20.監査人は表明した監査意見について単独で責任を負うものであるため、無限定意見を表明す
場合は、委託会社監査人の監査報告書において受託会社監査人の業務を利用したことを記載して
はならない。
21.委託会社監査人は無限定意見を表明できない場合において、限定意見、否定的意見又は意見不
表明の理由として受託会社監査人の業務に言及する場合、監査報告書において当該記載が監査意
見に対する委託会社監査人の責任を軽減しないことを示さなければならない(A41項参照)
《Ⅲ 適用指針》
《1.受託会社が提供する業務及び内部統制の理解》
《(1) 受託会社が提供する業務内容に関する情報の情報源》(第8項参照
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A1.受託会社が提供する業務内容に関する情報は、以下のような様々な情報源から入手可能な場
がある。
ユーザマニュアル
システム概要書
技術マニュアル
委託会社と受託会社の間の契約書又は業務内容合意書(サービスレベルアグリーメント)
受託会社における内部統制についての、受託会社、内部監査人又は規制当局の報告書
入手可能な場合には、受託会社監査人の報告書(マネジメントレターを含む。
A2.委託会社監査人が例えば、他の監査業務での経験等を通じて得た受託会社に関する知識は
託会社が提供する業務内容を理解するのに役立つこともある。こうした知識は、業務及び当該業
務を対象とする受託会社における内部統制が標準化されている場合に、特に役立つことがある。
《(2) 受託会社が提供する業務の内容》(第8項(1)参照)
A3.委託会社は、取引を処理し、報告するため、又は取引を記録しデータを処理するために、受託会
社を利用することがある。当該業務を提供する受託会社には、例えば、年金資産等を運用管理す
る信託銀行、不動産担保貸付けの回収代行業者、並びに顧客の財務取引及び営業取引の処理を可
能にするパッケージ化されたソフトウェア・アプリケーションやテクノロジーの環境を提供する
アプリケーション・サービス・プロバイダー(ASP)などが含まれる
A4.監査に関連する受託会社の業務には、例えば、以下がある。
委託会社の会計記録の記帳
資産の管理
委託会社の代理人として行う取引の開始、記録又は処理
《小規模企業に特有の考慮事項》
A5.小規模企業は、取引の処理(例えば、給与の源泉所得税の支払など)と会計記録の記帳から財務
諸表の作成にわたって外部の記帳代行業務を利用することがある。財務諸表作成のために受託会
社を利用している場合であっても、小規模企業の経営者や監査役若しくは監査役会、監査等委員
会又は監査委員会(以下、監査役若しくは監査役会、監査等委員会又は監査委員会を「監査役等」
という。)の財務諸表に対する責任が軽減されることはない(監査基準報告書200「財務諸表監査
における総括的な目的」第4項、A2項及びA3項参照)
《(3) 受託会社が処理する取引の内容と重要性》(第8項(2)参照)
A6.受託会社が策定する方針と手続は、委託会社の内部統制に影響を与えることがある。これら
方針と手続は、物理的に及び業務運営上、少なくとも一部については委託会社の方針と手続とは
別に定められている。委託会社の内部統制に対する受託会社の内部統制の重要性は、委託会社の
ために処理する取引の内容と重要性等、受託会社が提供する業務の内容によって影響を受ける。
受託会社の処理する取引と関連する勘定は、委託会社の財務諸表にとって重要であるように見え
ないことがあるが、処理される取引の内容が重要であり、委託会社監査人が、関連する内部統制
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を理解することが必要であると判断することがある。
《(4) 受託会社と委託会社との間の相互関連の度合い》(第8項(3)参照)
A7.委託会社の内部統制に対する受託会社の内部統制の重要性は、受託会社と委託会社との相互
連の度合いによっても影響を受ける。相互関連の度合いとは、委託会社が、受託会社が実施する
処理に対して有効な内部統制を適用可能でありかつ、用している度合いをいう例えば、
会社が取引を承認し、受託会社が当該取引を処理して計上する場合、委託会社の活動と受託会社
の活動との間の相互関連の度合いが高い。これらの状況では、委託会社が当該取引を対象とする
有効な内部統制を業務に適用することができることがある。他方、受託会社が、委託会社の取引
を開始するか最初に認識して記録し、処理し、計上する場合、両社間の相互関連の度合いは低い。
これらの状況では、委託会社は、当該取引を対象とする有効な内部統制を適用できないか、又は
適用しないことを選択し、受託会社の内部統制に依拠することがある。
《(5) 委託会社と受託会社の関係》(第8項(4)参照)
A8.委託会社と受託会社の間の契約書又は業務内容合意書(サービレベルアグリーメント)
は、以下の事項が含まれることがある。
委託会社に報告るべ受託会社動に関連する責任
規制当局の要求に対応する記録の様式、又は記録へのアクセ
業務不履行時に委託会社に提供される補償がある場合には、その内容
受託会社がその内部統制に関する報告書を提供するかどうか提供する場合、当該報告書はタ
イプ1の報告書とタイプ2の報告書のいずれであるか。
託会社監査人が、受託会社の記帳する委託会社の会計記録と監査の実施に必要なその他の
情報にアクセス権を有しているかどうか。
委託会社監査人と受託会社監査人の間の直接のコミュニケーションを許容しているかどうか。
A9.受託会社と委託会社の間、及び受託会社と受託会社監査人の間には、契約による直接的な関
がある。これらの関係は、必ずしも、委託会社監査人と受託会社監査人の間に直接的な関係をも
たらすものではない。委託会社監査人と受託会社監査人の間に直接的な関係がない場合、両者の
間のコミュニケーションは、通常委託会社と受託会社を通じて実施される。直接的な関係は、
理及び秘密保持に関する事項を考慮した取決めにより、委託会社監査人と受託会社監査人の間に
構築されることもある委託会社監査人は、えば、以下のような手続の実施について、自らの
施に代えて、受託会社監査人を利用することがある。
(1) 受託会社における運用評価手続
(2) 受託会社が記帳する、委託会社の財務諸表を構成する取引と残高に対する実証手続
《(6) 受託会社の提供する業務に関連する内部統制の理解》(第9項参照)
A10.委託会社は、受託会社の提供する業務を対象とした内部統制を整備及び運用することがあり、
委託会社監査人はそれらについて運用評価手続を実施できることがある。その結果、委託会社監
査人は、受託会社で運用される内部統制に関係なく、関連するアサーションの一部又は全部に対
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して、委託会社の内部統制が有効に運用されていると結論付けることがある。委託会社は、例え
ば、その給与計算の処理に受託会社を利用した場合、給与情報の提出と受領に関連して、重要な
虚偽表示を防止又は発見する内部統制を整備及び運用することがある。これらの内部統制は、以
下を含むことがある。
受託会社タとのデタの処理ら受領しする
事務処理の正確性を確かめるためにサンプルを抽出し、給与計算を再実施する。さらに源泉
除後の支払合計額の妥当性を検討する。
A11.このような状況において、委託会社監査人は、委託会社の給与計算の内部統制を対象として、
運用評価手続を実施することがある。その結果、委託会社監査人は、給与取引に関連するアサー
ションに対して、委託会社の内部統制が有効に運用されていると結論付けるための基礎を得るこ
とがある。
A12.監査基準報告書315第32項に記載のとおり委託会社監査人は、部のリスクについて、証手
続のみでは十分かつ適切な監査証拠を入手することが不可能又は実務的ではないと判断すること
がある。このようなリスクは、定型的で重要な取引種類又は勘定残高が正確に又は網羅的に記録
されないことに関係していることがある。それらは手作業がほとんど又は全く介在しない高度に
自動化された処理の特性を持つことが多い。そのような自動化された処理の特性は、特に、委託
会社が受託会社を利用する場合に現れることがある。この場合には、これらのリスクに対応する
委託会社の内部統制は監査に関連するものであるため、委託会社監査人は第8項及び第9項に従
い、当該内部統制を理解し、評価することが求められている。
《(7) 委託会社から十分な理解が得られない場合の追加手続》(第 11 項参照)
A13.委託会社監査人は委託会社による受託会社の利用に関して重要な虚偽表示リスクの識別と
価の基礎となる必要な情報を入手するために、第11項の手続を単独で又は他のいくつかとの組合
せで実施することが求められている。どの手続を実施するかの決定に当たり、委託会社監査人は
以下の諸事項を考慮することがある。
委託会社と受託会社双方の規模
委託会社での取引の複雑性と、受託会社が提供する業務の複雑性
受託会社の所在地(例えば、委託会社監査人は、受託会社が遠隔地にある場合、自身に代わっ
て受託会社で手続を実施する他の監査人の利用を決定することがある。
当該手続により、十分かつ適切な監査証拠を効果的に委託会社監査人が入手できるかどうか
委託会社と受託会社の関係
A14.受託会社は、受託会社のシステムに関する記述書及び内部統制のデザインに関する報告書(タ
イプ1の報告書)又は受託会社のシステムに関する記述書並びに内部統制のデザイン及び運用
況に関する報告書(タイプ2の報告書)の発行を受託会社監査人に依頼することがある。タイプ
1又はタイプ2の報告書は、保証業務実務指針3402「受託業務に係る内部統制の保証報告書に
する実務指針」又は認知されている基準設定機関が制定した他の基準に基づいて発行されるこ
がある(後者の基準の場合は、タイプA又はタイプBの報告書などの異なる名称を付しているこ
とがある。
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A15.タイプ1又はタイプ2の報告書が利用可能か否かは、一般的に、受託会社と委託会社間の契
に受託会社による当該報告書の提供に関する条項が含まれているかどうかにも依存する。受託会
社は、実務上の理由から、委託会社にタイプ1又はタイプ2の報告書を提供するという選択を行
うこともある。また一方、場合によっては、タイプ1又はタイプ2の報告書を委託会社に提供し
ないこともある。
A16.委託会社は、例えば財務会計機能など、一つ以上の重要な部署又は機能の全てを1社以上
受託会社に外部委託することがある。そのような状況において、受託会社の内部統制に関する報
告書が入手できない場合、委託会社と受託会社間の契約関係を前提として、委託会社監査人が受
託会社へ往査することは、受託会社の内部統制の理解を得るために最も有効な手続となることが
ある。
A17.他の監査人は、委託会社に提供される業務に関連する内部統制について、必要な情報を入手
るための手続の実施に利用されることがある。タイプ1又はタイプ2の報告書が発行されている
が、更に必要な情報を入手するための手続を実施する場合、受託会社監査人は受託会社と既存の
関係があるので、委託会社監査人は、受託会社監査人を利用することがある。委託会社監査人が
他の監査人の作業を利用する場合以下の事項に関して、監査基準報告書220「監査業務における
品質管理」の指針が有益なことがある。
他の監査人の適性及び能力の判断(当該監査人の独立性を含む。
他の監査人への指揮及び監督
他の監査人に割り当てられた作業の種類、時期及び範囲
他の監査人が入手する監査証拠の十分性と適切性の評価
A18.委託会社は、再受託会社を利用している受託会社を利用することがある。再受託会社とは、
託会社の財務報告に関連する情報システムの一部を構成する業務を委託会社に提供するために、
受託会社が受託業務の一部を他の会社に再委託する場合の当該他の会社をいう。再受託会社は、
受託会社とは第三者の別会社であることもあれば、受託会社の関係会社であることもある。委託
会社監査人は、再受託会社の提供する業務に関連する内部統制の検討が必要となることがある。
1社以上の再受託会社が利用される状況では委託会社の活動と受託会社の活動との相互関連は、
委託会社、受託会社及び再受託会社の相互作用を含むように拡張される。この相互関連の度合い
は、受託会社と再受託会社が処理する取引の内容や重要性とともに、委託会社監査人が委託会社
の内部統制に対する受託会社と再受託会社の内部統制の重要性を判断する際に検討すべき最も重
要な要素である。
《(8) 理解を裏付けるためのタイプ1又はタイプ2の報告書の利用》(第 12 項及び第 13 項参照)
A19.委託会社監査人は受託会社監査人が属する職業的専門家団体又は他の業務実施者に受託会
監査人について質問を行い、受託会社監査人を適切に監督する規制環境の下で業務が行われてい
るかどうかを質問することがある。受託会社監査人は、受託会社の提供する業務に関する内部統
制の報告書について、委託会社の財務諸表の監査の基準と異なる国又は地域の基準に準拠して業
務を行っていることがある。その場合、委託会社監査人は、受託会社監査人が準拠する基準につ
いて、その基準設定機構から情報を入手することがある。
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A20.タイプ1又はタイプ2の報告書は、委託会社に関して入手した情報と併せて利用することで、
以下の事項に役立つことがある。
(1) 委託会社の取引の処理に影響を与える可能性がある、受託会社の内部統制の諸側面(再受託
会社の利用を含む。)を理解する
(2) 委託会社の財務諸表に関する重要な虚偽表示が取引の流れの中のどの箇所で発生する可能性
があるのかを判断するために、受託会社における重要な取引の流れを理解する。
(3) 受託会社の統制目的が委託会社の財務諸表のアサーションに関連しているのかを理解する。
(4) 受託会社の内部統制が、委託会社の財務諸表に重要な虚偽表示を生じさせる可能性がある誤
謬を防止又は発見するために、適切にデザインされ業務に適用されているかどうかを理解する。
タイプ1又はタイプ2の報告書は、重要な虚偽表示リスクを識別し評価するための十分な理解
を得るに当たり、委託会社監査人に役立つことがあるが、タイプ1の報告書は、内部統制の運用状
況の有効性に関しては何も証拠を提供しない。
A21.タイプ1又はタイプ2の報告書の基準日又は対象期間が、委託会社の会計期間外であっても、
当該会計期間に関して追加的に報告書以外から得た情報によって補完される場合、それらの報告
書は、受託会社の提供する業務に適用された内部統制に関する予備的な理解を得るに当たり、委
託会社監査人に役立つことがある
受託会社の内部統制の記述の基準日又は対象期間が委託会社の会計期間の期首より前の場合、
委託会社監査人は、以下のいずれかにより、タイプ1又はタイプ2の報告書上の情報を更新する
手続を実施することがある。
受託会社での変更を知り得る立場にある委託会社の担当者との変更に関する協議
受託会社が発行した現状に関する文書や回答の検討
受託会社の担当者との変更に関する協議
《2.評価した重要な虚偽表示リスクへの対応》(第 14 項参照)
A22.受託会社の利用が委託会社の重要な虚偽表示リスクに影響を与えるかどうかは、提供される
務の内容とそれらの業務を対象とする内部統制によって決まる。
例えば、委託会社自体が、取引の開始、処理及び記録などのような、特定の活動を実施するた
に必要な専門知識又は十分な経営資源(例えばITシステム)を保有していない場合に、受託
社の利用は、委託会社の重要な虚偽表示リスクを減少させることがある
A23.受託会社が委託会社の会計記録の重要な内容を保持している場合、委託会社監査人が、当該記
録を対象とする内部統制の運用状況に関して十分かつ適切な監査証拠を入手するために、若しく
はそれらに記録された取引と残高に対して実証手続を実施するために、又はそれらの両方のため
に、当該記録への直接のアクセスが必要になることがある。そのような記録へ直接アクセスする
方法には、受託会社内における記録の閲覧、若しくは電子的に保存された記録に対する委託会社
や他の場所からの調査、又はそれらの両方が含まれる。当該記録へ電子的に直接アクセスできる
場合、委託会社監査人は、それによって、受託会社が責任を負う委託会社のデータの正確性と網
羅性を対象とする受託会社の内部統制の十分性に関する証拠を入手することがある
A24.委託会社監査人は委託会社のために受託会社が保管する資産残高や実施する取引に関して
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手すべき監査証拠の種類及び範囲を決定する際に、以下の手続を検討することがある。
(1) 委託会社が保有する記録と文書の閲覧
この証拠の証明力は、委託会社が保存している会計記録と証憑書類の種類と範囲によって判
断される。場合によっては、委託会社は、自身のために実施した特定の取引に関する独自の詳細
な記録や文書を保持していないことがある。
(2) 受託会社が保有する記録と文書の閲覧
委託会社監査人による受託会社の記録の入手は、委託会社と受託会社の間の契約の一部とし
て規定されることがある。委託会社監査人は、受託会社が保持する委託会社の記録を入手するた
めに、自ら手続を実施することに代えて、他の監査人を利用することもある。
(3) 残高と取引に関する受託会社からの確認状の入手
委託会社が残高と取引の記録を独自に保持している場合、委託会社の記録を裏付ける受託会
社からの確認状は、取引と資産の実在性に関して、証明力のある監査証拠となることがある。
えば、投資顧問や証券保管機関などの複数の受託会社が利用されそれらの受託会社が独自の記
録を保持している場合、委託会社監査人は、この情報と委託会社の独自の記録を比較するため
に、当該受託会社より残高確認状を入手することがある。
委託会社が独自の記録を保持していない場合、託会社からの確認状で入手した情報は、ただ
単に、何が当該受託会社によって記録として保持されているのかを示すものでしかない。したが
って、そのような確認状は、それだけでは、証明力のある監査証拠とはならない。これらの状況
では、委託会社監査人は、代替する独自の証拠を識別できるかどうかを検討することがある。
(4) 委託会社が保持する記録、又は受託会社から受領する報告書への分析的手続の実施
分析的手続の有効性はアサーションによって変わることが多く入手可能な情報の範囲とそ
の詳細さによって影響を受けることになる。
A25.委託会社監査人のために、他の監査人が実証手続に相当する手続を実施することがある。例え
ば、委託会社と委託会社監査人及び受託会社と受託会社監査人によって合意された手続を他の監
査人が実施することがある。
委託会社監査人は、他の監査人の実施した手続の結果発見した事項が、十分かつ適切な監査証
拠となるかどうかを判断するため、当該発見事項を検討する。また、政府当局によって、又は契約
によって、受託会社監査人が、指定された実証手続に相当する手続の実施を要求されることがあ
る。要求される手続を受託会社の処理した残高と取引に対して適用した結果は、監査意見の裏付
けに必要な証拠の一部として、委託会社監査人により利用されることがある。これらの状況では
委託会社監査人が閲覧する監査調書の内容又はその方法に関して、手続の実施前に委託会社監査
人と受託会社監査人が合意することが有用となることがある。
A26.委託会社がその財務機能の一部又は全部を受託会社に委託する場合などの特定の状況では、
託会社監査人は、監査証拠の重要な部分が受託会社に存在する状況に直面することがある。
委託会社監査人又は当該監査人のために手続を実施する他の監査人は、実証手続を受託会社で
実施する必要があることがある。受託会社監査人は、タイプ2の報告書を提供するとともに、さら
に、委託会社監査人のために実証手続を実施することもある。
他の監査人の利用により、委託会社監査人がその意見を裏付ける合理的な基礎を得る十分かつ
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適切な監査証拠を入手するという委託会社監査人の責任は軽減されるものではない。検討に際し
ては、他の監査人が実施する実証手続の指示、監督及び実施における委託会社監査人の関与の程
度、又は他の監査人による実証手続の指示、監督及び実施状況を確かめることが含まれる
《運用評価手続》(第 15 項参照)
A27.委託会社監査人は監査基準報告書330第7項により、一定の状況においては、内部統制の運
状況の有効性に関して十分かつ適切な監査証拠を入手するための運用評価手続を立案し実施する
ことが求められている
受託会社との関連では、この要求事項は、以下のいずれかの場合に適用される。
(1) 委託会社監査人が重要な虚偽表示リスクの評価において受託会社の内部統制が有効に運用さ
れていることを想定している場合託会社監査人類、時期及び範
囲の決定効に運用会社の内る予定で
(2) 実証手続のみか、又は委託会社の内部統制に係る運用状況の有効性の評価手続と組み合わせ
た実証手続では、アサーション・レベルでの十分かつ適切な監査証拠を入手できない場合
A28.タイプ2の報告書がない場合、委託会社監査人は、委託会社を通じて受託会社に連絡し、受託
会社監査人が受託会社の内部統制の運用状況の有効性の評価手続を実施してタイプ2の報告書を
提供するように要請することがある。又は、委託会社監査人は、受託会社の内部統制の運用状況
の有効性の評価手続を実施する、他の監査人を利用することがある。委託会社監査人は、受託会
社が同意した場合、受託会社を往査して、内部統制の運用評価手続を実施することもある。委託
会社監査人のリスク評価は、他の監査人の作業と委託会社監査人自身の手続から入手する、一体
となった証拠に基づいている。
《運用状況に関する監査証拠としてのタイプ2の報告書の利用》(第 16 項参照)
A29.タイプ2の報告書は、様々な異なる委託会社監査人のニーズを満たすことを意図しているこ
があり、したがって、受託会社監査人の報告書に記載された運用評価手続とその結果が、委託会
社の財務諸表において重要なアサーションに関連していないことがある。委託会社監査人は、委
託会社監査人のリスク評価を裏付ける内部統制の有効性について、受託会社監査人の報告書が十
分かつ適切な監査証拠を提供しているかどうかを、関連する運用評価手続とその結果を評価して
判断することになる。その際、委託会社監査人は、以下を検討することがある。
(1) 運用評価手続の対象期間及び運用評価手続の実施後の経過期
(2) 受託会社監査人の業務の範囲及び対象になる業務とプロセス、運用評価手続を実施した内部
統制及び実施された運用評価手続、並びに運用評価手続を実施した内部統制と委託会社の内部
統制の関係
(3) 当該運用評価手続の結果、及び内部統制の運用状況の有効性に関する受託会社監査人の意見
A30.一般に、一定のアサーションに対して、特定の運用評価手続の対象期間が短ければ短いほど、
また、運用評価手続の実施以後の経過期間が長ければ長いほど、運用評価手続から入手できる監
査証拠は少なくなる。
タイプ2の報告書の対象期間を委託会社の会計期間と比較するに当たり、委託会社監査人は、
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タイプ2の報告書の対象期間と委託会社監査人がその報告書への依拠を予定する期間の間に僅か
な重なりしかなかった場合には、タイプ2の報告書がより少ない監査証拠しか提供しないと結論
付けることがある。この場合、当該タイプ2の報告書よりも前の期間又はそれよりも後の期間を
対象期間とするタイプ2の報告書が、追加的な監査証拠を提供することがある。また、委託会社
査人は、当該内部統制の運用状況の有効性について十分かつ適切な監査証拠を入手するために、
受託会社で運用評価手続を実施するか、それを実施する他の監査人を利用することが必要である
と判断することもある
A31.委託会社監査人がタイプ2の報告書の対象期間外に発生した受託会社の内部統制の重要な
更について、追加的な証拠を入手するか、又は追加の監査手続の実施を決定することが必要にな
ることもある。受託会社監査人の報告書の対象期間外に運用されていた受託会社の内部統制につ
いて、どのような追加的な監査証拠を入手するかの決定に関連する要因には、以下が含まれるこ
とがある。
評価したアサーション・レベルの重要な虚偽表示リスクの程
運用評価手続を実施した特定の内部統制、及び、運用評価手続を実施した後の当該内部統制の
重要な変更の有無(変更には情報システム、プロセス及び担当者の変更を含む。
これらの内部統制の運用状況の有効性について入手した監査証拠の程
タイプ2の報告書の対象外の期間の長さ
委託会社監査人が内部統制に依拠することにより削減しようとする実証手続の範囲
委託会社の内部統制システムを監視するプロセスと統制環境の有効性
A32.追加的な監査証拠は、例えば、タイプ2の報告書の対象外の期間を含めるように運用評価手続
の対象期間を広げることや、受託会社の内部統制システムを監視する委託会社のプロセスをテス
トすることにより、入手されることがある。
A33.受託会社監査人の運用評価手続の対象期間が完全に委託会社の会計期間外である場合、他の手
続が実施されない限り、委託会社監査人は、委託会社の監査に関連する内部統制が有効に運用さ
れていると結論付けるに当たって、当該運用評価手続に依拠することはできない。これは、受託
会社監査人が実施した運用評価手続が、内部統制の有効性に関して当期の監査証拠を提供してい
ないことによる。
A34.ある状況では、受託会社が提供する業務は、委託会社が一定の内部統制を業務に適用している
という想定の下でデザインされていることがある。例えば、受託会社に取引処理のための情報が
送られる前に、委託会社が取引を承認する内部統制を整備しているという想定の下で、受託会社
が提供する業務がデザインされていることがある。そのような状況では、受託会社の内部統制の
記述には、当該委託会社の相補的な内部統制に関する記述が含まれていることがある。委託会社
監査人は、受託会社の記述書に含まれている委託会社の相補的な内部統制が、受託会社から監査
対象の委託会社に提供される業務に関連しているかどうかを検討する。
A35.受託会社監査人の報告書が十分かつ適切な監査証拠を提供しないかもしれないと委託会社監
人が考えた場合、例えば、受託会社監査人の報告書に当該監査人の運用評価手続とその結果に関
する記述が含まれていない場合には、委託会社監査人は委託会社を通じて、受託会社に連絡し、
受託会社監査人の作業の範囲と結果に関する受託会社監査人との協議を要請することにより、受
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託会社監査人の手続の範囲と結論についての理解を補完することがある。また、委託会社監査人
は、必要と考えた場合、受託会社監査人に受託会社で手続を実施することを要請するため、委託
会社を通じて、受託会社に連絡することがある。若しくは委託会社監査人又は委託
の要請にが、委託会社考える手実施する
A36.受託会社監査人のタイプ2の報告書は、委託会社監査人の結論に影響を与える可能性がある例
外事項やその他の情報を含む、運用評価手続の結果を特定している。受託会社監査人が例外事項
を指摘している場合、又は受託会社監査人のタイプ2の報告書に除外事項が付されていたり、有
効でないという結論が表明されていたり、不表明である場合、受託会社監査人のタイプ2の報告
書が、委託会社の財務諸表の監査において重要な虚偽表示リスクを評価する際に有用でなくなる
ことを自動的に意味しているわけではない。より正確に言えば、受託会社監査人のタイプ2の報
告書の例外事項や除外事項付意見を生じさせた事項は、受託会社監査人が実施した運用評価手続
に関する委託会社監査人の評価において検討される。
委託会社監査人は、例外事項や除外事項付意見を生じさせた事項の検討に当たり、受託会社監
査人と当該諸事項を協議することがある。そのようなコミュニケーションが実施できるかどうか
は、委託会社を通じて受託会社に連絡し、コミュニケーションをとることについて受託会社の了
解が得られるかどうかに依存している。
《監査の過程で識別された内部統制の不備のコミュニケーション》
A37.委託会社監査人は監査の過程で識別された重要な不備について、経営者及び監査役等に、
時に書面又は電磁的記録により報告することが要求されている(監査基準報告書265「内部統制の
不備に関するコミュニケーション」第8項及び第9項参照)
委託会社監査人はまた、監査の過程で識別した他の内部統制の不備のうち、職業的専門家とし
て、経営者の注意を促すに値すると判断した不備を、適切な階層の経営者に適時に報告すること
も要求されている(監基報265第9項参照)委託会社監査人が監査の過程で識別し委託会社の
営者及び監査役等に報告することがある事項には、以下のものが含まれる
託会社が整備可能な、受託会社の内部統制システムを監視する委託会社のプロセスにおけ
る内部統制(タイプ1又はタイプ2の報告書の入手を受けて識別されたものを含む。
委託会社の相補的な内部統制が、タイプ1又はタイプ2の報告書で言及されているが、委託会
社で整備されていない場合には、その旨
受託会社で必要な可能性があるものの、整備されているかどうかが明らかでないか、又はタイ
プ2の報告書が明確に特定していない内部統制
《3.再受託会社の業務を報告対象から除外したタイプ1とタイプ2の報告書》(第 17 項参照)
A38.受託会社が再受託会社を利用した場合、受託会社監査人の報告書は、再受託会社の関連する
制目的と内部統制を、受託会社のシステムに関する記述書と受託会社監査人の業務の範囲に含め
ている場合(一体方式)もあるが、除外している場合(除外方式)もある。タイプ1とタイプ2の
報告書が再受託会社の内部統制を除外し、再受託会社の提供する業務が委託会社の財務諸表の監
査に関連していた場合、委託会社監査人は、再受託会社に関して本報告書の要求事項を適用する
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ことが要求される。再受託会社の提供する業務に関して委託会社監査人が実施すべき業務の種類
と範囲は、当該業務の内容と委託会社にとっての重要性、及び監査への関連性によって決まる。
委託会社監査人が再受託会社の影響と、実施すべき作業の種類及び範囲を決定する際に、第8項
の要求事項を適用することは有用である。
《4.受託会社の活動に関連した不正、違法行為及び未修正の虚偽表示》(第 18 項参照)
A39.受託会社は、受託会社の経営者又は従業員による全ての不正、違法行為、又は未修正の虚偽表
示について、影響を受ける委託会社に開示することを、委託会社との契約に基づいて要求されて
いることがある。第18項の要求に応じて、委託会社監査人は、受託会社がそのような事項を報告
したかどうかに関して委託会社の経営者に質問を行うとともに、受託会社が報告した全ての事項
が、委託会社監査人のリスク対応手続の種類、時期及び範囲に影響を与えるかどうかを評価する。
状況によっては、委託会社監査人は、この評価を実施するために追加の情報が必要なこともあり、
必要な情報を入手するため受託会社に連絡することを委託会社に要請することがある。
《5.委託会社監査人の監査報告書》(第 19 項参照)
A40.委託会社監査人が、委託会社の財務諸表の監査に関連した受託会社の提供する業務に関して、
十分かつ適切な監査証拠を入手できない場合、監査範囲の制約が存在することになる。これには、
以下の場合が含まれる
委託会社監査人が受託会社の提供する業務に関して十分な理解を得ることができず、重要な
虚偽表示リスクの識別と評価のための基礎を得ていない場合
託会社監査人のリスク評価において、受託会社の内部統制が有効に運用されていることが
想定されているものの、当該内部統制の運用状況の有効性について、委託会社監査人が十分か
つ適切な監査証拠を入手できない場合
十分かつ適切な監査証拠が、受託会社で保有されている記録からのみ入手可能であり、委託会
社監査人が、これらの記録に直接アクセスすることができない場
委託会社監査人が、監査範囲に関する限定意見を表明するか又は意見を不表明にするかは、財
務諸表に見込まれる影響が重要であるか又は広範であるかに関する、委託会社監査人の結論によ
って決まる。
《受託会社監査人の作業への言及》(第 20 項及び 21 項参照)
A41.委託会社が受託会社を利用するという事実は、委託会社監査人の監査意見を裏付ける基礎を
供するために十分かつ適切な監査証拠を入手するという、一般に公正妥当と認められる監査の基
準における委託会社監査人の責任を軽減しない。したがって、委託会社監査人は、委託会社の財
務諸表に対する委託会社監査人の監査意見の部分的な基礎として、受託会社監査人の報告書を利
用したことを記載しない。しかし、受託会社監査人の報告書における除外事項付意見を理由とし
て、委託会社監査人が無限定意見を表明できない場合、その理由を説明するのに役立つのであれ
ば、委託会社監査人は受託会社監査人の報告書へ言及することができる。そのような状況では、
委託会社監査人は、当該言及を行う前に、受託会社監査人の同意を必要とすることがある。
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《Ⅳ 適用》
本報告書(2011年12月22日)は、2012年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以
後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する。
本報告書(2015年5月29日)は、2015年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以
後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する。
本報告書(2021年6月8日)は、2023年3月31日以後終了する事業年度に係る財務諸表の監
及び2022年9月に終了する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から実施する。ただし、
それ以前の決算に係る財務諸表の監査及び中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から実
施することを妨げない
本報告書(2021年8月19日)は、2021年9月1日から適用する。
本報告書(2023年1月12日)は、2024年4月1日以後開始する事業年度に係る財務諸表の監査
及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用する。また、公認
会計士法上の大規模監査法人以外の監査事務所においては、2024年7月1日以後に開始する事
業年度に係る財務諸表の監査及び同日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監
査から適用する。ただし、それ以前の決算に係る財務諸表の監査及び中間会計期間に係る中間
財務諸表の中間監査から適用することを妨げない。その場合、品質管理基準委員会報告書第1
「監査事務所における品質管理」(2022年6月16日)品質管理基準委員会報告書第2号「監査
業務に係る審査」(2022年6月16日)及び監査基準委員会報告書220「監査業務における品質
理」(2022年6月16日)と同時に適用する。
本報告書(2022 10 13 日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。
監査基準報告書(序)「監査基準報告書及び関連する公表物の体系及び用語」(2022 年7月
21 日改正)
本報告書(2023 年1月 12 日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。
監査基準報告書 600「グループ監査における特別な考慮事項」(2023 年1月 12 日改正)