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(別紙)
1.はじめに
PDF は、電子情報を表示、転送、保存するための電子フォーマットである
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。その
ため、PDF を監査証拠として入手する場合には、PDF 変換元となった情報が監査証
拠の源泉として存在する。ここでは、参考情報として、PDF 変換に関するリスクの
例示、監査人が被監査会社に対して PDF 変換を依頼する方法の例示、及び PDF のプ
ロパティ情報の確認方法を示す。
2.PDF 変換により入手する監査証拠に存在するリスクの例示
PDF による証憑の真正性に関するリスクは、故意又は不注意により、PDF と PDF
変換元となった情報が異なる場合に存在する。このリスクが発生する原因としては、
以下のようなものが考えられることを監査人は留意する。
(1)PDF 変換前に、原本を紙面コピーした書類の切貼り、加筆、押印等を行う。
(2)PDF 変換時に、故意又は不注意によりページの落丁や一部差換えを行う。
(3)PDF 変換後に、PDF 編集機能を用いて、証憑内部の数字又は文字列を改竄する。
なお、PDF 変換前の原本が、文書作成ソフトウェア、表計算ソフトウェア等の電
子ファイルの場合における当該電子ファイル上での改竄は、PDF 変換に起因するリ
スクとはいえないため、上記の原因には含めていない。
3.監査人の要請により被監査会社が PDF 変換を行うケースでの監査人の依頼方法の
例示
監査人が被監査会社に対して、証憑の PDF 変換を依頼する場合、Adobe 社
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の PDF
作成・編集ソフトウェアである、AdobeAcrobat
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のセルフサイン機能を用いて、PDF
作成者の電子署名を行うことを要請する方法が考えられる。
Adobe Acrobat のセルフサイン機能を用いることで、PDF を入手した監査人は、
PDF の作成者、作成日を確認することができ、また、セルフサイン後に PDF を編集
するとその編集した事実を PDF 上で検知することができる。
セルフサインは、電子認証局が発行した電子証明書が付いた電子署名やタイムス
タンプ
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とは異なり、PDF 上でセルフサイン者本人が作成したものであるかどうか、
及び作成時刻が客観的であるかどうかについては担保できないが、改竄検知として
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一般的に電子契約サービスで作成される PDF の電子契約書についても、契約内容は電子契約システムで
作成されており、その結果を表示させるために PDF が使われている。
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PDF は 1990 年代初めに現 Adobe 社により開発された電子フォーマットであるため、PDF 変換の代表例と
して、Adobe 社の PDF 作成・編集ツールを用いた方法を記載している。
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本留意事項(別紙)において、Adobe 社の PDF 作成・編集ツールは、AdobeAcrobatPro2017 及び
AdobeAcrobatReaderDC を使用することを想定している。
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電子認証局の仕組み及びタイムスタンプについては、IT委員会研究報告第 50号「スキャナ保存制度
への対応と監査上の留意点」の「付録1:セキュリティ技術に関する解説」を参照。