
監基報 500 実1
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《付録2 スキャナ保存制度を含む電子帳簿保存法の概要》
1.電子帳簿保存法等、関連する法規制に関する歴史的経緯
令和3年度(2021 年度)税制改正で電子帳簿保存法に関する大幅な適用要件の緩和措置が講じ
られたが、ここに至る経緯を振り返ることは今後の制度の在り方を想定する意味でも重要である
と考えられることから、1998 年の同法創設以降、会計及び税務実務に関連する法規制について 2022
年までの大きな改正の流れに絞って記載する。
(1) 1998 年 電子帳簿保存法創設
1997 年 12 月 20 日に当時の大蔵省が公表した税制改正大綱で「納税者の帳簿保存の負担軽減
を図るため」、「国税関係帳簿書類の電子データ保存制度等を創設する」目的で、電子データ等に
よる保存制度及び電子データ交換の手法を使用した取引(現在の電子取引の前身)に係る電子デ
ータの保存制度が創設された。この背景には、当時の税制調査会の議論において、コンピュータ
化に伴うペーパーレス社会の到来で行政、国民双方の事務負担軽減が必須、という社会的な要請
があったとされる
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。
(2) 2001 年 証券取引法改正
スキャナ保存(PDF 化)に関するテクノロジーの進化に対し、スキャンした書類と原本との関
係等については制度が存在しなかったことなどから、「文書の電子化にあたって最低限確保すべ
き要件とは何か」という視点から、民間行政双方の視点で文書の電子化に関する標準化に向け、
2001 年1月に「高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT戦略本部)」が設置され
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、そ
の後、各省庁でも様々な電子化が推進された。証券取引法の分野でも、電子開示システム(EDINET)
を用いた有価証券報告書等の開示の運用を制定し、6月から施行された。
(3) 2002 年 商法施行規則改正
旧商法では、株券、社債券等一部を除き、法律で保存が義務付けられている書類(例えば、貸
借対照表等の会計関係書類の他、定款、議事録等も含む。)の電子化(法規定上は、電磁化)が
標準化され、2002 年5月1日から施行された。なお、2006 年5月1日施行の会社法では、2002
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総務省、申請手続に係る国民の負担軽減等に関する実態調査、添付資料 2 平成 9 年 2 月 10 日 閣議決定「申請負担軽減対策」、
https://www.soumu.go.jp/main_content/000154439.pdf、 (2021.8.28)、「簡素で効率的な行政、国民の主体性が生かされる行政及び質
の高い行政サービスを実現するため、情報通信技術の飛躍的な発展をも踏まえ、許認可や補助金等に係る申請、届出又は諸種の統計調
査等に際しての国民の負担の大幅な軽減を図る必要がある。このため、申請等に伴い手続の簡素化、電子化、ペーパーレス化、ネット
ワーク化などを迅速かつ強力に推し進め、今世紀中に申請等に伴い国民の負担感を半減することを目標として本対策の実施に取り組
む」と定められた。
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税制調査会「平成 10 年度の税制改正に関する答申」、1997 年 12 月 16 日、「適正公平な課税を実現するためには、帳簿書類(法人税な
どの会計帳簿や決算関係書類等)の記録の確実性や永続性が確保される必要があります。そのため、これまでは、納税者がコンピュー
タで会計処理を行い、会計記録を電子データで保存している場合であっても、紙の形で保存しなければならないこととしていました。
しかし、情報化が進展し、コンピュータで会計処理を行う納税者が増加するとともに、取引のペーパーレス化も急速に普及しつつある
中で、いつまでも帳簿書類について紙の形で保存することを求めることは、現実的でないばかりでなく、納税者に過度の負担を強いる
ことにもなりかねません。こうした新しい時代の流れに対応し、納税者の帳簿書類の保存の負担軽減を図るために、記録段階からコン
ピュータ処理によっている帳簿書類については、電子データ等により保存することを認めることが必要であると考えます。その際に
は、コンピュータ処理は、痕跡を残さず記録の遡及訂正をすることが容易である、肉眼でみるためには出力装置が必要であるなどの特
性を有することから、適正公平な課税の確保に必要な条件整備を行うことが不可欠です。また、電子データ等による保存を容認するた
めの環境整備として、EDI取引(取引情報のやり取りを電子データの交換により行う取引)に係る電子データの保存を義務づけるこ
とが望ましいと考えます。」との考え方が示されている(下線は追加)。
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2005 年 5 月 17 日、文書の電磁的保存等に関する検討委員会、「文書の電磁的保存等に関する検討委員会報告書-文書の電子化の促進
に向けて-」94 頁