
- 2 -
る情報である。監査証拠とは、財務諸表の基礎となる会計記録に含まれる情報及び
その他の情報である。この定義での会計記録とは、企業が作成した取引や会計事象
の記録とその裏付けとなる記録であるとされる。例えば、取引を認識した記録(起
票)とその裏付けとなる記録(例えば、小切手、電信送金票、請求書、契約書等)
や、総勘定元帳、補助元帳、仕訳帳、仕訳帳に記帳されない財務諸表に対するその
他の修正、及び原価配分・計算・調整・開示を裏付けるワークシートやスプレッド
シートなどの記録が含まれる(監基報 500 第4項参照)。監査証拠は、こうした会
計情報のほかに監査人が視察により得た情報、質問により得た回答内容など、企業
が作成した会計記録以外の情報も網羅したものである。しかし、監査証拠は、監査
人が意見表明の基礎となる個々の結論を導くために利用する情報であるから、企業
にある全ての会計記録が監査証拠となるわけではない。したがって、仮に監査人が
総勘定元帳1冊をまるごとコピーしたものを入手することがあっても、それ自体で
は監査証拠であるとはいえない。電子的監査証拠の場合、大量の情報を監査人が入
手することが可能となるため、単なる会計記録と監査証拠を明確に区分するという
観点は、書面の監査証拠を前提としていた時代よりも重視されることとなる。
現行の監査基準報告書の中には、「電子的監査証拠」という用語は存在しないが、
「電子的証憑」「電子的な取引ファイル」「電子的記録」「電子的手段」といった用
語は使用されており、企業におけるITの利用状況を前提とすると、あえて、「電
子的監査証拠」を定義するまでもないという取扱いなのではないかと推測される。
本研究文書においては、企業が作成した会計記録その他の情報のうち、電子的媒体
で記録・保存されているものを「電子データ」という表現で記述し、このうち監査
人が監査証拠としたものを「電子的監査証拠」と表現することとする。
2.電子的監査証拠と書面の証拠の違い
監査証拠とは、「監査人が意見表明の基礎となる個々の結論を導くために利用す
る情報をいう。監査証拠は、財務諸表の基礎となる会計記録に含まれる情報及びそ
の他の情報からなる。」(監基報 500 第4項参照)とされている。監査人が入手する
監査証拠は、文書や質問に対する回答を書き取った調書といった形式に依拠するも
のではなく、そこから読み取れる、認識できる「情報」であると考えられる。そし
て、監査人は、「監査手続を立案し実施する場合には、監査証拠として利用する情
報の適合性と信頼性を検討考慮しなければならない。」(監基報 500 第6項参照)と
されているが、この情報の適合性と信頼性の検討考慮のプロセスの違いが旧来の書
面を前提とした監査証拠と電子的監査証拠での相違点であると考えられる。
さらに、「企業内部で作成される監査証拠の証明力は、情報の作成と管理に関す
る内部統制等、関連する内部統制が有効な場合には、より強くなる。」(監基報 500
の A31 項参照)が、書面の場合、作成日がいつであるか、承認印が捺印されている
か否かなど記録や文書を入手すると同時にこれらの作成に係る内部統制の有効性