
- 2 -
・ 企業会計基準委員会の議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感
染症の影響の考え方」(2020 年4月 10 日)及び議事概要「会計上の見積りを行う上で
の新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(追補)」(2020 年5月 11 日)に留意す
る。
・ 会計上の見積りの合理性の判断を行う際には、企業が、見積りに影響を及ぼす入手可能
な情報をもとに、悲観的でもなく、楽観的でもない仮定に基づく見積りを行っているこ
とを確かめる。監査人が、経営者の過度に楽観的な会計上の見積りを許容することや、
過度に悲観的な予測を行い、経営者の行った会計上の見積りを重要な虚偽表示と判断
することは適切ではない(本文2参照)。
・ 会計上の見積りの不確実性が財務諸表の利用者等の判断に重要な影響を及ぼす場合に
は、企業による追加情報等の開示や、監査報告書の強調事項を用いて、明確で、信頼で
き、透明性のある有用な情報を提供することを検討する(本文2参照)。
引き続き、今後も状況の変化により追加して留意すべき事項が生じた場合には、改めて周
知する。
本周知文書は、一般に公正妥当と認められる監査の基準を構成するものではなく、会員が
遵守すべき基準等にも該当しない。また、2020 年月5月 12 日時点の最新情報に基づいてい
る。
1.不確実性の高い環境下における監査の基本的な考え方
新型コロナウイルス感染症の拡大が被監査会社の現在の事業活動に及ぼす影響は極め
て甚大なものであり、拡大の収束が見えない現況下においては、今後の事業活動に及ぼす
影響は予想することも困難な状況が生じているケースもあるものと考えられる。そのた
め、企業が会計上の見積り項目に関連して財務諸表を作成することにも困難が生じ、監査
人の監査手続の選択や実施にも、極めて困難な状況が予想される。
監査基準では、「監査人は、将来の帰結が予測し得ない事象又は状況について、財務諸
表に与える当該事象又は状況の影響が複合的かつ多岐にわたる場合には、重要な監査手
続を実施できなかった場合に準じて意見の表明ができるか否かを慎重に判断しなければ
ならない。」とされている(第四報告基準五4)。しかし、「将来の帰結が予測し得ない
事象や状況が生じ、しかも財務諸表に与える当該事象の影響が複合的で多岐にわたる場
合(それらが継続企業の前提に関わるようなときもある)に、入手した監査証拠の範囲で
は意見の表明ができないとの判断を下すことについて、基本的には、そのような判断は慎
重になされるべきことを理解しなければならない」ことが、「監査基準の改訂について」
(2002年(平成14年)1月25日企業会計審議会)において記されている。まさに、現在の
新型コロナウイルス感染症拡大の影響下においては、財務諸表の利用者等の意思決定に
資するという公共の利益を勘案して、各監査人は監査意見の形成局面において職業的専
門家としての慎重な判断が求められることに留意しなければならない。