
- 2 -
2.銀行等金融機関の自己査定及び償却・引当について
銀行等金融機関の貸出金の自己査定及び償却・引当については、2019年12月に検査マニュアルが廃
止されたこと等に伴い、2020年3月17日付けで銀行等監査特別委員会報告第4号「銀行等金融機関の
資産の自己査定並びに貸倒償却及び貸倒引当金の監査に関する実務指針」(以下「4号報告」という。)
の改正を公表しており、2020年3月31日以後終了する事業年度から適用されている。4号報告に記載
のとおり、貸倒見積高の算定は、会計上の見積り(財務諸表の作成時に入手可能な情報に基づいて、そ
の合理的な金額を算出すること)の例示に該当し、経営者の判断によって行われるものであり、監査人
は、経営者によって行われた会計上の見積りの合理性及び関連する注記事項の妥当性を評価すること
が求められている(監査基準報告書540「会計上の見積りの監査」第17項及び第18項)。銀行等金融機関
が貸倒引当金の見積りを行うにあたって、新型コロナウイルス感染症の影響について、将来見込み等必
要な修正及び過去の実績率の補正を行う場合も同様である。
新型コロナウイルス感染症の影響については、企業会計基準委員会から2020年4月10日付けで議事
概要が公表されており、今後の広がり方や収束時期等も含め、企業自ら一定の仮定を置くことになり、
企業が置いた一定の仮定が明らかに不合理である場合を除き、最善の見積りを行った結果として見積
もられた金額については、事後的な結果との間に乖離が生じたとしても、「誤謬」にはあたらないもの
と考えられるということが示されている。監査人は、銀行等金融機関の貸倒引当金の見積りの監査に
おいて、上記の企業会計基準委員会の議事概要を踏まえた「新型コロナウイルス感染症に関連する監
査上の留意事項(その2)」(2020年4月10日公表)を参考として対応することに留意する。また、監
査人は、金融機関の採用する貸倒引当金の計上に関する会計方針が、財務諸表利用者の理解に資するよ
うに、適正かつ十分に記載されているか検討しなければならない点は4号報告に記載のとおりである。
なお、「新型コロナウイルス感染症の影響拡大を踏まえた事業者の資金繰り支援について」(麻生財
務大臣兼金融担当大臣談話(2020 年3月6日))において、「返済猶予等の条件変更した場合の債権
の区分など、個別の資産査定を含め、民間金融機関の判断を尊重する方針としていることから、この趣
旨も踏まえ、積極的に事業者支援に取り組んで頂くよう要請する」というメッセージが発出されてい
ることや、2020 年4月 20 日に閣議決定された緊急経済対策において、「民間金融機関による迅速かつ
柔軟な既往債務の条件変更や新規融資の実施等を要請し、検査・監督の最重点事項として取組状況を
報告徴求で確認し、更なる取組を促す。また、返済猶予等の条件変更を行った際の債権の区分など、個
別の資産査定における民間金融機関の判断を尊重し、金融検査においてその適切性を否定しないもの
とする。」とされていることにも留意する。
監査人は、銀行等金融機関の資産査定基準及び銀行法施行規則等におけるリスク管理債権(特に、貸
出条件緩和債権)の判定基準について、同大臣談話及び同緊急経済対策を理解した上で、適切に運用さ
れていることを確かめることが必要となることに留意する。
以 上
・ 本周知文書(2022 年 10 月 13 日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。
- 監査基準報告書(序)「監査基準報告書及び関連する公表物の体系及び用語」(2022 年7月 21 日
改正)