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監査基準報告書540周知文書第3号
新型コロナウイルス感染症に関連する監査に係る周知文書(その7)
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改正 2 0 2 2 1 0 1 3
監査・保証基準委員会
(周知文書:第 14 号)
今年に入っても、政府から11都府
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に緊急事態宣言が発令されるなど、新型コロナウ
イルス感染症の今後の広がり方や収束時期を予測することが極めて困難な状況が続い
いる。このような状況を踏まえて、企業会計基準委員会は本年2月10日に第451回企業
会計基準委員会議事概
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(以下「451回議事概要という。を公表し、2020年4月10日
に公表した第429回企業会計基準委員会議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コ
ロナウイルス感染症の影響の考え方」
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(以下「429回議事概要」という。における考え
方を引き続き周知した
当協会は、429回議事概要の公表を受けて、2020年4月10日に、不確実性の高い環境
下における監査上の留意事項を「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事
(その2)
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として発出した。今般、451回議事概要が公表されたことを受けて「新
型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その7)を発出することとし
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本周知文書は、「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その2)
において示した会計上の見積りに関する監査上の留意事項について、現在も依然として
留意すべきことを改めて周知するためのものである。加えて、新型コロナウイルス感染
症の拡大が企業の業績や財政状態に与える影響が業種や企業によって様々であること、
及び2021年3月期における監査上の主要な検討事項の原則適用が目前に迫っているこ
を踏まえて、監査に従事する会員に対して、経営者及び監査役等と適時かつ適切なコミ
ュニケーションを図るよう求めるものである
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会計上の見積りの監査を実施するに当たって、「新型コロナウイルス感染症に関連す
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2021 年2月7日をもって1県、同年2月 28 日をもって6府県について、緊急事態宣言が解除された。
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451 回議事概要:https://www.asb.or.jp/jp/info/105236.html(企業会計基準委員会ウェブサイト)
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429 回議事概要:https://www.asb.or.jp/jp/info/84907.html(企業会計基準委員会ウェブサイト)
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留意事項(その2)は、2020 年5月 11 日に公表された第 432 回企業会計基準委員会議事概要「会計上の
見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方(追補)を受け、2020 年5月 12 日に更
新している。
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20200410ijj.html(日本公認会計士協会ウェブサ
イト)
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本周知文書は、451 回議事概要及び「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その
2)」と併せて読むことを前提としている。
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監査基準報告書 540「会計上の見積りの監査」第7項(報告書第 44 号:2015 年5月 29 日改正版)、同
701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」第 16
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る監査上の留意事項(その2)に示した留意すべき事項の概要は以下のとおりである。
詳細については、「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その2)
の本文を参照されたい
企業が置いた一定の仮定が明らかに不合理である場合を除き、最善の見積りを行っ
た結果として見積もられた金額については、事後的な結果との間に乖離が生じたとし
ても、「誤謬」には当たらない。
監査人が、経営者の過度に楽観的な会計上の見積りを許容することや、過度に悲観
的な予測を行い、経営者の行った会計上の見積りを重要な虚偽表示と判断することは
適切ではない。
会計上の見積りの不確実性が財務諸表の利用者等の判断に重要な影響を及ぼす場合
には、企業による見積りに関連する情報の開示を通じて、有用な情報を提供すること
を検討する。
本周知文書は、一般に公正妥当と認められる監査の基準を構成するものではなく、
員が遵守すべき基準等にも該当しない。また、2021 年3月2日時点の最新情報に基づい
ている。
1.451 回議事概要において周知された会計上の見積りを行う上での考え方
企業会計基準委員会の451回議事概要は、新型コロナウイルス感染症の広がりは、
経済、企業活動に広範な影響を与える事象であり、また、今後の広がり方や収束時期
等を予測することは困難であるため、経営者が固定資産の減損、繰延税金資産の回
可能性などの会計上の見積りを行う上で、「特に将来キャッシュフローの予測を行
うことが極めて困難な状況となっているものと考えられる」との見解を示している。
その上で、会計上の見積りを行う際の留意事項について言及しているが、会員各位に
は、451回議事概要に記載されている以下の事項について改めて留意されたい。なお、
(4)について、2021年3月31日以後終了する連結会計年度及び事業年度の年度末に係
る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用が開始される企業会計基準第31号「会計上
の見積りの開示に関する会計基準」との関係については、451回議事概要によって確
認されたい。
(1) 「財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて、その合理的な金額を算出する」
上では新型コロナウイルス感染症の影響のように不確実性が高い事象についても、
一定の仮定を置き最善の見積りを行う必要があるものと考えられる。
(2) 一定の仮定を置くにあたっては、外部の情報源に基づく客観性のある情報を用い
ることができる場合には、これを可能な限り用いることが望ましい。ただし、新型
コロナウイルス感染症の影響については、会計上の見積りの参考となる前例がなく
今後の広がり方や収束時期等について統一的な見解がないため、外部の情報源に基
づく客観性のある情報が入手できないことが多いと考えられる。この場合、新型コ
ロナウイルス感染症の影響については、今後の広がり方や収束時期等も含め、企業
自ら一定の仮定を置くことになる。
(3) 企業が置いた一定の仮定が明らかに不合理である場合を除き、最善の見積りを行
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った結果として見積もられた金額については、後的な結果との間に乖離が生じた
としても、「誤謬」にはあたらないものと考えられる。
(4) 最善の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する一定の仮定
は、企業間で異なることになることも想定され、同一条件下の見積りについて、
積もられる金額が異なることもあると考えられるこのような状況における会計上
の見積りについては、のような仮定を置いて会計上の見積りを行ったかについて、
財務諸表の利用者が理解できるような情報を具体的に開示する必要があると考え
れ、重要性がある場合は、追加情報としての開示が求められるものと考えられる。
2.経営者及び監査役等との適時かつ適切なコミュニケーションの実施
多数の上場企業が緊急事態宣言下において決算業務を行うことを余儀なくされた
2020年3月期は、新型コロナウイルス感染症拡大の初期であったため、感染拡大が
業の業績や財政状態に与える影響は限定的であったと思われる。しかしながら、昨年
4月7日の緊急事態宣言の発令から約10か月が経過し、特に本年1月に再発出された
緊急事態宣言で法律に基づき営業自粛の要請を受けている飲食業をはじとする一部
の業種で、相当数の企業が業績や財政状態に深刻な影響を受けていることが明らかに
なっている。これらの企業の決算及び監査においては、経営者も監査人も共に、見積
りに関する会計処理や監査において極めて難しい判断を迫られる場合があることも
定される。このような状況においては監査人には、職業的専門家としての公正な
断と誠実な行動が一層求められていると考えられる。会員各位には、新型コロナウイ
ルスの感染拡大が企業業績等に与える影響を的確に認識し、監査リスクを適切に評価
するとともに、見積りに関する会計処理について、被監査企業の経営者及び監査役
と通例よりも注意を払って適時かつ適切にコミュニケーションを実施することが求め
られることに留意されたい。その際、経営者の過度に楽観的な会計上の見積りを許
することは適切ではないが、他方、監査人が、企業の収益力やキャッシュフローの
獲得能力について、実態と乖離した過度に悲観的な予測を行い、経営者の行った会
上の見積り重要な虚偽表示と判断す適切で改め留意さ
本周知文書(2022 10 13 日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反
している。
監査基準報告書(序)「監査基準報告書及び関連する公表物の体系及び用
語」(2022 年7月 21 改正)