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・ 外部の価格情報ベンダーから入手した価格が、他の価格情報ベンダーが提供する価格、企
業の見積り又は監査人による独自の見積りと比較することにより合理的であるかどうか
を評価すること。
・ 評価技法、仮定及び入力数値の合理性を評価すること。
・ 外部の価格情報ベンダーによって価格設定された金融商品に関して、見積額又は許容範囲
を設定し、その結果が合理的な範囲内にあるかどうかを評価すること。
・ 価格評価に関する受託業務に係る内部統制の保証報告書を入手すること。
プライシング・サービス・ベンダーは、価格設定に使用するデータに係る内部統制を説明
するために、監査・保証実務委員会実務指針第 86 号「受託業務に係る内部統制の保証報
告書」等に準拠して作成された報告書を、データの利用者に提供することがある。価格設
定に使用したデータの作成方法を理解し、プライシング・サービス・ベンダーの内部統制
に依拠できるかどうかを評価するため、経営者が報告書を要求したり、監査人が報告書の
入手を検討したりすることがある。
119.監査人は、複数の外部の価格情報ベンダーから価格を入手することにより、測定の不確実性
に関して有益な情報を得ることもある。価格の幅が広い場合は、測定の不確実性が高いことを
示していることがある。また、金融商品が、データ及び仮定の僅かな変化に対して感応度が高
いことを示していることがある。価格の幅が狭い場合は、測定の不確実性が低いことを示すこ
とがある。また、データと仮定の変化に対する感応度が低いことを示していることがある。
複数の情報源から価格を入手するのが有益なこともあるが、特に、活発な市場における相場
価格以外の入力数値を使用する金融商品を検討する場合には、複数の情報源から価格を入手し
ても、それだけでは十分かつ適切な監査証拠にはならないことがある。これは、以下の理由に
よる。
(1) 価格設定の情報源が複数存在すると思われる場合であっても、同一の情報源を利用してい
ることがある。
(2) 公正価値ヒエラルキーに金融商品を分類するため、外部の価格情報ベンダーが価格を決定
する際に使用した入力数値を理解することが必要になることがある。
120.状況によっては、監査人が、価格の算出に使用されたプロセスを理解することができない場
合がある。これには、価格の信頼性を判断するプロセスに関する内部統制を理解できない場合
が含まれる。また、使用された仮定及びその他の入力数値を含め、監査人がモデルに関する情
報を入手できないことがある。このような場合、監査人は、評価したリスクへの対応として、経
営者の見積額を評価するために、見積額又は許容範囲を設定することがある。
《(5) 経営者がモデルを使用して公正価値を見積もる場合における監査上の考慮事項》
121.監査基準報告書540第12項(2)は、会計上の見積りを行う経営者のプロセスを検討する場
合、使用された測定方法は状況に応じて適切であり、経営者が使用した仮定は適用される財務
報告の枠組みにおける測定目的に照らして合理的であるかどうかを評価することを監査人に
要求している。
122.経営者が、外部の価格情報ベンダーを利用している場合、または独自に評価を行う場合のい
ずれにおいても、金融商品の評価にモデルが使用されることが多い。特に活発な市場における
相場価格以外の入力数値を使用する場合に多い。モデルに関する監査手続の種類、時期及び範
囲の決定に当たって、監査人は、モデルで使用される手法、仮定及びデータを検討することが
ある。
観察不能な入力数値を使用するような、より複雑な金融商品を検討する場合、手法、仮定及
びデータの全てをテストすることにより、有用な監査証拠が提供されることがある。一方、社
債価格の計算のように、モデルが単純で一般に広く知られている場合、モデルで使用された仮
定とデータに焦点を当てることにより、有用な監査証拠が提供されることがある。