
監基報580
- 7 -
《8.経営者確認書の信頼性に疑義がある場合及び要請した事項の確認が得られない場合》
《(1) 経営者確認書の信頼性に疑義がある場合》(第 15 項及び第 16 項参照)
A19.監査人は、経営者確認書の確認事項と他の情報源から入手した監査証拠との間に矛盾があるこ
とを識別する場合がある。その場合、当初のリスク評価が依然として適切であるかどうかを検討
し、その結果、リスク評価が適切でない場合には、リスク評価を修正し、リスク対応手続の種類、
時期及び範囲を決定することがある。
A20.監査人は、経営者の能力、誠実性若しくは倫理観、又はこれらに対する経営者の取組若しくは
実践についての懸念があるため、経営者が財務諸表に関して虚偽の陳述をするリスクがあり、監
査を実施することができないと判断することがある。そのような場合、監査人は、監査役等による
適切な是正措置が講じられない限り、監査契約の解除を考慮することがある。ただし、監査役等の
是正措置によっても、監査人が無限定意見を表明するには十分でないことがある。
A21.監査人は、監査の過程で生じた重要な事項とその結論及びその際になされた職業的専門家とし
ての重要な判断を文書化することが監査基準報告書230「監査調書」で要求されている(監基報230
第7項(3)及び第9項参照)。監査人は、経営者の能力、誠実性若しくは倫理観、又はこれらに対す
る経営者の取組若しくは実践に関して重要な問題を識別してもなお経営者確認書には信頼性があ
ると結論付けることがある。この場合、当該重要な事項は監査基準報告書230に従い文書化される
ことになる。
《(2) 経営者の責任に関する確認事項》(第 19 項参照)
A22.A7項に記載のとおり、監査人は、経営者が第9項及び第10項に記載している責任を果たしたか
どうかについて経営者確認書以外の他の監査証拠のみから判断することはできない。したがって、
第19項に記載されているように、監査人がこれらの確認事項に信頼性がないと判断した場合、又
はこれらの事項の確認が得られない場合には、監査人は十分かつ適切な監査証拠を入手すること
ができない。この場合、監査証拠の入手が不可能であることの財務諸表への影響は、財務諸表の特
定の構成要素、勘定又は項目に限定されず、広範囲に及ぶ。監査基準報告書705は、このような場
合に財務諸表に対する意見を表明しないことを求めている。
A23.監査人が経営者確認書への記載を要請した事項に経営者が変更を加えている場合、そのことが、
要請した事項の確認が得られなかったことを必ずしも意味するわけではない。ただし、以下のよ
うに、変更の理由が、監査報告書における意見に影響を及ぼすことがある。
・ 財務諸表の作成、表示に対する責任を経営者が果たしたことに関する確認事項に関して、経
営者は、適用される財務報告の枠組みにおける特定の要求事項を除いて、財務諸表は当該財務
報告の枠組みに準拠して作成され表示されていると判断している旨を記載することがある。監
査人が、経営者確認書に信頼性があると判断した場合、第19項の要求事項は適用されない。ただ
し、監査人は、監査基準報告書705に従って、当該除外事項が監査報告書における意見に及ぼす
影響を検討することを要求される。
・ 監査契約書において合意した全ての関連する情報を監査人に提供したことについての経営者
の責任に係る経営者確認書の記載に当たっては、経営者は、例えば、火災で焼失した情報を除い
て、監査契約書において合意した全ての関連する情報を監査人に提供したと判断している旨を