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ついては、直接入手した場合に比べて証明力が異なること及びデジタル化に伴い監査リスク(発
見リスク)が生じることを勘案し、他の監査証拠を入手し、組み合わせて利用することが必要と
なる場合があることに留意する。
2.リモートワーク方式による構成単位の財務情報に対する監査手続及び構成単位の監査人が実
施する作業への関与
監査人は、当年度において重要な虚偽表示リスクを評価した結果、構成単位に往査を行うこ
とに代えて、リモートワーク方式により構成単位に対して自ら監査手続を実施し、十分かつ適
切な監査証拠を入手しようとする場合、代替的な監査手続を検討する。代替的な監査手続は、そ
の入手しようとする監査証拠の内容によって異なり、監査人がリモートワーク環境下で必要な
情報を電子媒体、電子的経路又はカメラによる画像により入手して実施する場合もあれば、電
話やリモート会議ツールの利用により入手して実施する場合もある。
しかし、紙媒体の情報を PDF の形式に変換して入手する場合やカメラにより撮影した画像の
形式で情報を入手する場合は、原本を PDF 形式に変換する過程や画像データを作成する段階に
おける改竄が容易であるがその検出が困難である。また、電子的経路による情報のやり取りに
おいては、情報の漏洩、なりすましのリスクも高まることになる。監査人は、リモートワーク方
式による監査手続の実施においては、監査証拠のデジタル化に伴う監査リスク(発見リスク)
等、想定されるリスクが自ら往査して監査手続を実施する場合とは異なることを認識し、入手
した情報の真正性を確認する必要がある(監査基準報告書 500 周知文書第3号「PDF に変換され
た証憑の真正性に関する監査に係る周知文書」参照)。例えば、監査人が構成単位から PDF 形
式で入手した情報について、構成単位の監査人に指示の上、原本と照合することが考えられる。
このほか、その作成に関与する者に対する質問の実施、他の監査手続で入手した監査証拠との
矛盾の有無の確認、原本の発行者への直接確認(発行者が外部企業の場合)、PDF のプロパティ
情報の確認(作成者、作成日時、更新日時など)等の監査手続を実施して、当該情報の真正性に
関して十分かつ適切な監査証拠が入手できているかどうかを評価することも考えられる。
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また、
リモートワーク環境下において監査手続の実施に必要な情報を入手する場合には、監査人は、
情報セキュリティに係るリスクを認識し、紛失や漏洩に十分配慮し、情報技術の進歩に合わせ
た情報セキュリティ対応策についても考慮することが適切である(品質管理基準報告書第1号
周知文書第1号「リモート会議及びリモート会議ツールの活用に係る周知文書」参照)。
なお、監査人は、以下のような場合は、構成単位への往査や構成単位の監査人による監査手続
の実施を考慮することに留意する。
(1) 過年度の往査時から相当の年数が経過して監査に必要な情報を更新する必要があると考え
る場合
(2) 構成単位において過年度と比較して状況に重要な変化が生じている場合(生じていると合
理的に見込まれる場合を含む。)
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令和3年(2021 年)度税制改正大綱において、電子帳簿等保存制度の見直しが示されており、適正事務処理要件が廃止
され、一定の手続をしなくても紙の原本を廃棄することが可能になる。令和4年(2022 年)1月1日以降に適用され
る予定だが、これに関連する監査上の留意事項については、日本公認会計士協会において別途対応を検討する予定であ
る。