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規則においてはキャッシュ・フロー計算書の作成は求められていないが、財務諸表等規則等にお
いて要求されているため、一体書類に含まれる財務諸表においてはその作成が行われる。また、
財務諸表等規則等においては、連結財務諸表を作成している場合、財務諸表において関連当事者
取引に関する注記は求められていないが、会社計算規則においては連結計算書類の作成いかんに
かかわらず要求されているため、一体書類に含まれる個別財務諸表においても注記が行われる。
このように、一体書類に含まれる財務諸表は、金融商品取引法に定められた財務報告の枠組み及
び会社法に定められた財務報告の枠組みをともに満たすように作成されている。
7.一体書類に含まれる財務諸表に対して監査を行う場合、監査人は、当該財務報告の枠組みの内
容を理解して受入可能であるかどうかを評価することとなる。その際、当該財務報告の枠組みの
組合せについて、以下の二つの解釈があると考えられる。
(1) 二つの財務報告の枠組み(金融商品取引法及び会社法のそれぞれの財務報告の枠組み)の同
時適用(監基報 700 の A13 項参照)
(2) 単一の財務報告の枠組み(金融商品取引法及び会社法の財務報告の枠組みを組み合わせて策
定された財務報告の枠組み)の適用
上記(1)及び(2)の考え方を前提とした場合、監査報告書の作成及び意見の表明に関して、第8
項に示す図表(財務報告の枠組みの考え方と監査報告の関係の整理)のとおり、(1)の場合には、
金融商品取引法に基づく監査及び会社法に基づく監査のそれぞれの監査報告書を別個に作成して
監査意見を表明する方法のほか、単一の監査報告書を作成して、それぞれの財務報告の枠組みに
基づく監査意見を別個に表明する方法も考えられる(第9項参照)。これに対して、(2)の場合にお
いては、単一の監査報告書を作成して、当該単一の財務報告の枠組みに基づく単一の監査意見を
表明する方法のみが考えられる(第 13 項参照)。
本実務ガイダンスにおいては、新たな実務として、これらの方法のうち、金融商品取引法及び会
社法それぞれの財務報告の枠組みに関して別個の監査報告書を発行せず、単一の監査報告書を発
行する場合の監査報告書の文例を提供する(付録文例1から文例4参照)。
8.会社法に基づく監査においては、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、重要な会計
方針及び個別注記表が監査の対象となるとされている(会社法第2条第2項及び第3項第3号、
会社法第 435 条第2項、会社計算規則第 59 条第1項及び会社計算規則第 126 条第1項参照)。
キャッシュ・フロー計算書については、計算関係書類に相当するものとして一体書類に含まれ
る財務諸表が不可分一体の書類として作成されているため、会社法に基づく監査において監査対
象となり得るという考え方と、会社法及び会社計算規則において監査対象として明記されている
個別の財務表ではないため監査対象外となるという二つの考え方がある。
注記事項については、会社計算規則において個別に要求されている注記事項以外の事項につい
ても、貸借対照表等、損益計算書等及び株主資本等変動計算書等により会社(連結注記表にあって
は企業集団)の財産又は損益の状態を正確に判断するために必要な事項をその他の注記として計
算書類等に記載することが求められており(会社計算規則第 98 条第1項第 19 号、同第 116 条参
照)、財務諸表等規則等において独自に要求されている事項について、その他の注記として取り扱
うことが考えられる。なお、財務諸表等規則においては、特に定める注記のほか、利害関係人が会
社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する適正な判断を行うために必要と