
監基報 701
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責任を有する経営者には、監査人からの要請に積極的に対応することが期待される。また、経営者
の職務の執行を監視する責任を有する監査役等には、経営者に追加の開示を促す役割を果たすこ
とが期待される。
A37.経営者は、監査上の主要な検討事項が監査報告書において報告されることを考慮して、財務諸
表又はその他の記載内容に、監査上の主要な検討事項に関連する追加的な情報を開示することを
決定することがある。例えば、適正表示の観点から、財務諸表の利用者が適切に財務諸表を理解す
るために、会計処理の背景となる、より詳細な情報を財務諸表に追加して注記することがある。
A38.監査基準報告書 720 は、年次報告書を定義し、経営者による事業(事業上のリスクを含む。)
及び財務に関する報告若しくは類似の説明であるとしている。ガバナンスに責任を有する者によ
る報告、コーポレート・ガバナンスに関する報告、内部統制及びリスク評価に関する報告も年次報
告書の一部を構成する場合がある。監査基準報告書 720 は、年次報告書に含まれるその他の記載
内容に関する監査人の責任を取り扱う。監査人は、監査上の主要な検討事項の記述を検討する際
に、その他の記載内容を考慮することがある。また、企業又はその他の信頼できる情報源により公
表され、利用可能なその他の情報を考慮することもある。
A39.監査人が監査の実施過程において作成した監査調書は、監査上の主要な検討事項の記述を検討
する際に有用である。例えば、監査役等との書面若しくは電磁的記録又は口頭によるコミュニケ
ーションに関する監査人の記録及びその他の監査調書は、監査報告書における監査上の主要な検
討事項の有用な基礎となる。これは、監査基準報告書 230「監査調書」に従って、監査の実施過程
で生じた重要な事項とその結論及びその際になされた職業的専門家としての重要な判断、実施し
た監査手続の種類、時期及び範囲、当該手続の結果、並びに入手した監査証拠を監査調書に記載す
ることが求められているためである。このように、監査調書は、監査報告書において監査上の主要
な検討事項として決定した理由を監査人が記述する際に役立つ。
《関連する財務諸表における注記事項への参照》(第 12 項(1)参照)
A40.第 12 項(3)及び(4)は、「監査上の主要な検討事項」区分に、当該事項を監査において特に重要
であると判断した理由及び当該事項に対する監査上の対応を記載することを求めている。したが
って、監査上の主要な検討事項は、財務諸表に注記されている内容を繰り返して記載することを
意図するものではないが、関連する財務諸表における注記事項へ参照を付すことで、経営者が財
務諸表を作成する上で当該事項をどのように取り扱ったかについて、想定される財務諸表の利用
者が理解を深めることが可能となる。
A41.当年度の財務諸表における監査上の主要な検討事項に関連する注記事項は、その詳細さの程度
によっては、監査人が当該事項にどのように対応したかをより的確に記述するのに役立つことが
ある。その結果、想定される財務諸表の利用者は、監査人が監査上の主要な検討事項として決定し
た理由をより理解することができる。監査人は関連する注記事項への参照を付すだけでなく、例
えば以下のように、その内容を用いて記述することがある。
・ 企業が会計上の見積りに関してより具体的な注記を行っている場合には、監査上の主要な検
討事項に該当すると判断した理由及び監査上の対応を説明するために、監査人は主要な仮定、
見込まれる結果の範囲、見積りの不確実性の主な原因又は重要な会計上の見積りに関するその