監基報910
i
監査基準報告書910
中間監査
2 0 1 1 1 2 2 2
改正 2 0 1 3 1 7
改正 2 0 2 1 1 4
改正 2 0 2 2 1 6
改正 2 0 2 2 1 0 1 3
最終改正 2 0 2 3 1 6
監査・保証基準委員会
42
項番号
本報告書の範囲及び目的
1.本報告書の範囲 ...................................................................1
2.中間監査の特質 ...................................................................2
3.本報告書の目的 ...................................................................3
4.定義 .............................................................................4
要求事項
1.中間監査に係る監査計画 ...........................................................5
2.中間監査に係る重要性の基準値 .....................................................7
3.重要な虚偽表示リスクの識別と評価 .................................................8
4.中間監査に係るリスク対応手続 ....................................................11
5.中間監査に係るグループ監査 ......................................................16
6.継続企業の前提..................................................................20
7.比較情報........................................................................23
8.経営者確認書....................................................................24
9.中間監査の過程で識別した虚偽表示の評価 ..........................................25
10.中間監査報告書..................................................................26
11.監査調書........................................................................33
適用指針
1.中間監査に係る重要性の基準 ....................................................A1
2.重要な虚偽表示リスクの識別と評価 ................................................A2
3.中間監査に係るリスク対応手 ....................................................A4
4.中間監査に係るグループ監査 ......................................................A8
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ii
5.継続企業の前提 ..................................................................A9
6.監査調書 .......................................................................A13
適用
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《Ⅰ 本報告書の範囲及び目的》
《1.本報告書の範囲》
1.本報告書は、中間監査に関する実務上の指針を提供するものであるなお、本報告書において定
められていない事項及び定義等については、他の監査基準報告書が適用される。
1-2.本報告書には監査における不正リスク対応基準(以下「不正リスク対応基準」という。に準
拠して監査を実施する際に関連する指針(項番号の冒頭に「F」が付されている。が含まれてい
る(監査基準報告書200「財務諸表監査における総括的な目的」第21項(3)参照)
《2.中間監査の特質》
2.我が国において一般に公正妥当と認められる中間監査の基準は、監査人に、中間監査意見表明の
基礎として、中間財務諸表には全体として投資者の判断を損なうような重要な虚偽表示がないと
いうことについて、合理的な保証を得ることを求めている。中間監査意見の基礎となる合理的保
証は、監査人が、中間監査リスクを許容可能な低い水準に抑える十分かつ適切な監査証拠を入手
した場合に得られる。
毎期継続して実施する年度監査の狭間において年度監査の一環として行われるものとして位置
付けられる中間監査の保証水準は年度における財務諸表の監査(以下「年度監査という。
同程度ではなく、中間財務諸表が有用な情報を表示している旨の監査人の意見は、年度監査と同
程度の信頼性を保証するものではない。
したがって、中間監査においては、中間監査リスクを年度監査に係る監査リスクに比し高めに
設定することができ、評価したリスクに対応した手続を実施する際には、発見リスクの水準を年
度監査に係るそれよりも高くすることができる。
《中間監査における不正リスク対応基準の適用》
F2-2.中間監査は、年度監査の一環として行われるものとして位置付けられる。したがって、監査人
は、年度監査において不正リスク対応基準が適用される場合、中間監査の実施において、中間監査
の特質を考慮した上で、不正リスク対応基準を適用することが求められる(A7-2項参照)
《3.本報告書の目的》
3.本報告書における監査人の目的は、経営者の作成した中間財務諸表が、一般に公正妥当と認めら
れる中間財務諸表の作成基準に準拠して、企業の中間会計期間に係る財政状態、経営成績及びキ
ャッシュ・フローの状況に関する有用な情報を表示しているかどうかについて、我が国の中間監
査の基準に準拠して監査人が自ら入手した監査証拠に基づいて判断した結果を意見として表明す
ることにある。
《4.定義》
4.本報告書における用語の定義は、以下のとおりとする。
「中間監査リスク」-中間監査に係る監査リスクをいい、監査人が中間財務諸表の有用な情報
の表示に関して投資者の判断を損なうような重要な虚偽表示を看過して誤った意見を形成する可
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能性をいう。
《Ⅱ 要求事項》
《1.中間監査に係る監査計画》
5.監査人は、中間財務諸表に係る投資者の判断を損なうような重要な虚偽表示を看過することな
く、かつ、中間監査を効果的かつ効率的に実施するため中間監査と年度監査の関係を考慮し、
度監査に係る監査計画の一環として中間監査に係る監査計画を策定しなければならない。
6.監査人は、中間監査に係る監査計画の策定に当たり中間監査に係る重要性の基準値重要な虚
偽表示リスクの識別と評価、中間監査に係るリスク対応手続、中間監査に係るグループ監査、継続
企業の前提について考慮しなければならない。
《2.中間監査に係る重要性の基準値》
7.監査人は、年度監査に係る重要性の基準値を上限として、中間監査に係る重要性の基準値を設定
しなければならない(A1項参照)
《3.重要な虚偽表示リスクの識別と評価》
8.監査人は、監査基準報告書315「重要な虚偽表示リスクの識別と評価」に従って、企業及び企業
環境、適用される財務報告の枠組み並びに企業の内部統制システムの理解を通じて、不正か誤謬
かを問わず、中間財務諸表全体レベルの重要な虚偽表示リスクと、アサーションレベル(中間財
務諸表項目レベル、すなわち、取引種類、勘定残高又は注記事項に関連するアサーションごと
重要な虚偽表示リスクを識別し評価しなければならない(A2項からA3項参照)
9.監査人は、中間監査に係る重要な虚偽表示リスクの評価の過程において、監査人の判断により、
識別した中間監査に係る重要な虚偽表示リスクが、中間監査に係る特別な検討を必要とするリス
クであるかどうか決定しなければならない。
10.監査人は、中間監査に係る重要な虚偽表示リスクが特別な検討を必要とするリスクであると判
断した場合、当該リスクに関連する統制活動を含む内部統制を理解しなければならない。
《4.中間監査に係るリスク対応手続》
11.査人は、監査基準報告書330「評価したリスクに対応する監査人の手続」に基づき中間監査
係る自己の意見を形成するに足る基礎を得るために、評価したアサーション・レベルの重要な虚
表示リスクに応じて、十分かつ適切な監査証拠を入手しなければならない(A4項及びA5項参照
12.監査人は、中間監査においては年度監査と同一の監査手続を実施する必要はないが、分析的手続
及び質問を中心とする監査手続は必ず実施しなければならない(A6項参照)
13.監査人は、設定した発見リスクの水準に適合した実証手続を実施しなければならない(A7項から
FA7-3項参照)
14.監査人は、評価した中間監査に係る重要な虚偽表示リスクの程度にかかわらず、中間財務諸表に
おける、重要な取引種類、勘定残高又は注記事項の各々に対する実証手続の立案及び実施につい
て考慮しなければならない(監基報330第17項参照)なお、監査基準報告書330第17項では、関連
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するアサーションを識別していない(重要な虚偽表示リスクを識別していない)が重要性のある
取引種類、勘定残高又は注記事項についても実証手続を立案し実施することを求めているが、中
間監査においては年度監査と同程度の信頼性を保証するものではないことから、関連するアサー
ションを識別していない(中間監査に係る重要な虚偽表示リスクを識別していない)が重要性の
ある取引種類、勘定残高又は注記事項の各々に対して分析的手続及び質問を中心とする監査手続
として実施する場合もあれば、全般的な結論を形成するための分析的手(監基報520第5項参照)
として監査手続を実施する場合もある。
15.監査人は、第9項の規定により識別した、中間監査に係る特別な検討を必要とするリスクについ
て、以下の手続を実施しなければならない。
当該リスクに個別に対応する実証手続を実施する。
該リスクを軽減させる内部統制に依拠する場合は、当中間会計期間の監査において運用
価手続を実施し、内部統制の運用状況の有効性に関する監査証拠を入手する。
当該リスクに対して実証手続のみを実施する場合は、詳細テストを含める。
《5.中間監査に係るグループ監査》(A8 項参照)
16.監査人は監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」に従い、中間監査の特
質を考慮した上で、中間監査に係るグループ監査を実施しなければならない。
17.グループ監査人は、評価した中間監査に係るグループ財務諸表の重要な虚偽表示リスクに適切
に対応するために、分析的手続及び質問を中心とする監査手続に加えて必要な実証手続を立案し
実施しなければならない。
18.グループ監査人は、年度監査に係るグループ財務諸表全体としての重要性の基準値を上限とし
て、中間監査に係るグループ監査における重要性の基準値を設定しなければならない。また、中間
監査の作業を実施する構成単位の手続実施上の重要性は中間監査に係るグループ・レベルの手続
実施上の重要性より低くなければならない。
19.削除
《6.継続企業の前提》
20.監査人は中間監査において、監査基準報告書570「継続企業」に従って、継続企業を前提として
中間財務諸表を作成することの適切性に関して合理的な期間について経営者が行った評価を検討
しなければならない(A9項参照)
21.監査人は、前事業年度の貸借対照表日において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるよう
な事象又は状況が存在し、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められた場合には、当該
事象又は状況の変化並びにこれらに係る経営者の評価及び対応策の変更、及び開示の適切性につ
いて検討しなければならない(A10項参照)
22.監査人は、次のいずれかに該当する場合、当該事象又は状況に関して中間貸借対照表日の翌日
から少なくとも1年間の期間について経営者が行った評価及び対応策について検討した上で、な
お継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるか否かを検討しなければならない
項の検討の結果、前事業年度の貸借対照表日において識別された当該事象又は状況並び
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これらに係る経営者の評価又は対応策のいずれかに大きな変化があった場合
事業年度の貸借対照表日において、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められ
かったものの、当中間会計期間において、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事
象又は状況が存在していると判断した場合(前事業年度の貸借対照表日から継続して存在する
場合を含む。
監査人が継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められると判断した場合は、一般に公正
妥当と認められる中間財務諸表の作成基準に従って、継続企業の前提に関する開示が適切に行わ
れているかどうかを検討しなければならない(A11項からA12項参照)
《7.比較情報》
23.監査人は、中間財務諸表に含まれる比較情報について、監査基準報告書710「過年度の比較情報
-対応数値と比較財務諸表」に基づいて、監査手続を実施しなければならない。
《8.経営者確認書》
24.監査人は中間監査において、監査基準報告書580「経営者確認書」に従って、経営者確認書を入
手しなければならない
《9.中間監査の過程で識別した虚偽表示の評価》
25.中間監査の過程で識別した虚偽表示の評価に当たっては、監査人は、監査基準報告書450「監査
の過程で識別した虚偽表示の評価」に基づき、識別した虚偽表示が中間監査に与える影響と、未修
正の虚偽表示が中間財務諸表に与える影響を評価しなければならない。ただし、中間監査に係る
重要性の基準値が中間財務諸表でなく年度の財務諸表に基づいて設定されている場合には、発見
された虚偽表示が当該基準値の範囲にあったとしても、上半期の実績数値が通年のものよりも小
さいことなどにより、中間財務諸表に重要な影響を与えている可能性があるため、当該虚偽表示
の影響を十分考慮しなければならない。
《10.中間監査報告書》
26.監査人は監査基準報告書700「財務諸表に対する意見の形成と監査報告」に従って、中間財務
諸表に対する意見を形成し、中間監査報告書において中間監査意見を表明しなければならない。
中間監査の保証水準は年度監査の保証水準ほど高くないことを明確にするため、中間監査報告
書においては、中間監査が分析的手続及び質問を中心とした監査手続に必要に応じて追加の監査
手続を適用して行われており、年度監査に係る監査手続とは異なる旨を記載しなければならない。
27.監査人は、中間監査を行った中間財務諸表との重要な相違を識別するため、その他の記載内容を
通読しなければならない。
28.監査人は、その他の記載内容を通読することにより中間監査を行った中間財務諸表との重要な
相違を識別した場合、中間財務諸表又はその他の記載内容を修正する必要があるかどうかを判断
しなければならない。
29.中間監査を行った中間財務諸表に修正が必要であるが、経営者が修正することに同意しない場
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合、監査人は、除外事項付意見を表明しなければならない。
30.その他の記載内容に修正が必要であるが、経営者が修正することに同意しない場合、監査人は、
監査役等に当該事項を報告するとともに、以下のいずれかを行わなければならない。
(1) 中間監査報告書に「その他の事項」区分を設け、中間監査を行った中間財務諸表との重要な
相違について記載する
(2) 中間監査報告書を発行しない
(3) 可能な場合、監査契約を解除する。
31.監査人は、中間監査を行った中間財務諸表との重要な相違を識別するためにその他の記載内容
を通読する際に、明らかな事実の重要な誤りに気付いた場合、経営者と当該事項について協議し
なければならない。
32.監査人は、その他の記載内容に事実の重要な誤りが存在すると判断したが経営者がそれを修正
又は訂正することに同意しない場合、監査役等にその他の記載内容に関する監査人の懸念を知ら
せるとともに、適切な措置を講じなければならない。この適切な措置には、監査人の顧問弁護士に
助言を求めることが含まれる。
《11.監査調書》
33.監査人は、中間監査に当たり、年度監査と同様に、監査基準報告書230「監査調書」に従って、
一般に公正妥当と認められる中間監査の基準に準拠して監査を実施したこと及び十分かつ適切な
監査証拠に基づいて中間財務諸表に対する意見を形成したことを示す証拠として監査調書を作成
しなければならない(A13項参照)
34.中間監査に関する監査調書は、年度監査に関する監査調書と同様の管理等を行わなければなら
ない(品質管理基準報告書第1号「監査事務所における品質管理」第31項(6)参照)
35.中間監査に関する監査調書は、年度監査の監査ファイルとは別の監査ファイルとしなければな
らない。
《Ⅲ 適用指針》
《1.中間監査に係る重要性の基準値》
A1.中間監査に係る重要性の基準値の上限は、中間監査に係る重要性の基準値が年度監査に係る重
要性の基準値を超えると、年度監査において上半期の取引や勘定について再度監査を実施しなけ
ればならなくなることを考慮したことによる。
実務上、中間監査は年度監査の一環として行われる点を勘案し、年度監査に係る重要性の基準
値を中間監査で適用するのが合理的である(第7項参照)
《2.重要な虚偽表示リスクの識別と評価》
A2.監査人は、通常、年度監査のリスク評価の一環として識別し評価する重要な虚偽表示リスクを利
用して、中間監査に係る重要な虚偽表示リスクを識別し評価することになる(第8項参照)
A3.監査人は、中間会計期間における企業及び企業環境適用される財務報告の枠組み並びに企業
の内部統制システムに重要な変更が生じていないことを確かめた場合には、前年度の重要な虚偽
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表示リスクの評価結果を中間監査において利用することができる(第8項参照)
《3.中間監査に係るリスク対応手続》
A4.監査人は、評価したアサーションレベルの重要な虚偽表示リスクに応じて、中間監査に係るリ
スク対応手続を立案する際、中間監査に係る発見リスクの水準を年度監査に係るそれよりも高く
することができる。
また、中間監査は、年度監査の一環としても実施されるため、固定資産及び固定負債の増減項目、
益項目等については、中間監査の結果を年度監査でも活用できるよう配慮することがある(第11
項参照)
A5.監査人は、中間会計期間における内部統制に重要な変更が行われていないことを確かめた場合
には、前年度の内部統制の運用状況の有効性の評価結果を利用することができる(第11項参照)
A6.分析的手続及び質問を中心とする監査手続は監査基準報告書520「分析的手続」のうち、主に
「比較可能な過年度情報」及び「企業の実績が示すパターンに基づいて一定の推定が可能な財務
情報の要素間の関係」を検討して中間財務諸表項目の合理性を確かめ、必要に応じ経営者等への
質問、基礎資料の通読による概観的な把握等を行う一連の監査手続である(第12項参照)
A7.監査人は、設定した発見リスクの水準に応じて、例えば以下の手続を実施する(第13項参照)
発見リスクの水準を低く抑える場合
分析的手続及び質問を中心とする監査手続に追加して証明力の強い監査証拠を入手するため
の他の実証手続を実施する。追加する実証手続は、実査、立会又は確認といった監査手続を選択
し適用すべき場合もあれば、その実施の基準日を中間貸借対照表日とすべき場合やその実施の
範囲を拡大して実施すべき場合もある。
発見リスクの水準を中程度とする場
分析的手続及び質問を中心とする監査手続に追加して他の実証手続を実施する。追加する実
証手続は、実査、立会、確認までを必要とするものではなく、また、その実施の基準日を中間貸
借対照表日前とすることができる場合もある。
発見リスクの水準を高くする場合
分析的手続及び質問を中心とする監査手続を実施し必要に応じて追加の実証手続を実施する
発見リスクの水準をさらに高くする場合
分析的手続及び質問を中心とする監査手続を実施する。
A7-2.不正リスク対応基準に準拠して監査を実施する際に遵守が求められる要求事項と関連する
用指針は、不正リスク対応基準が適用されない監査業務においても、業務の状況に応じて、参考と
なることがある(第F2-2項参照)
FA7-3.中間監査においては、中間監査に係る発見リスクを年度監査に係る発見リスクに比し高め
設定することができる。ただし、中間監査の実施の過程で、不正による重要な虚偽表示を示唆す
状況を識別した場合監査基準報告書240「財務諸表監査における不正の指針《不正による重要
な虚偽表示の疑義》に従って、それが中間財務諸表における重要な虚偽表示をもたらしていない
かを確かめるための手続を実施することが求められる(第13項参照)
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《4.中間監査に係るグループ監査》
A8.中間監査に、監査基準報告書600を適用するに当たっては、以下の点を考慮す(第16項から第
18項参照)
ループ監査人は、評価した中間監査に係るグループ財務諸表の重要な虚偽表示リスクに
応して、構成単位において以下のいずれの作業の範囲が適切であるかを決定する場合がある。
この場合において、それぞれの作業について構成単位の監査人を関与させることがある。
成単位の財務情報全体に対する分析的手続及び質問を中心とする監査手続並びに必要
実証手続
つ又は複数の取引種類、勘定残高又は注記事項に対する分析的手続及び質問を中心と
る監査手続並びに必要な実証手続
分析的手続及び質問を中心とする特定の監査手続並びに必要な実証手
成単位の財務情報について追加で実施する実証手続は、アサーション・レベルの重要な
偽表示リスクの程度が高い勘定残高、取引種類又は注記事項に対して行う。
間監査リスクは年度監査に係る監査リスクに比し高めに設定することができるため、構
単位の財務情報に対し、分析的手続及び質問を中心とする監査手続に追加の実証手続を実施す
るに当たっては、構成単位の監査人の関与の程度を含め、年度のグループ監査と同じ作業を実
施しない場合がある。
間監査は、年度監査の一環としても実施されるため、構成単位に対して実施する監査手
について、中間監査に係るグループ監査の結果を年度のグループ監査でも活用できるよう配慮
することがある。
《5.継続企業の前提》
A9.一般に公正妥当と認められる中間財務諸表の作成基準では、前事業年度の貸借対照表日に継続
企業の前提に関する重要な不確実性が認められていたか否かにより、求められている経営者の評
価期間や対応策の期間が年度の財務諸表と異なっているため、それに対応した監査手続を実施す
ることになる(第20項参照)
A10.監査人は、当該中間会計期間の属する事業年度末までの期間について経営者の行った継続企
の前提に関する評価及び対応策の提示を求め、経営者への質問及び他の監査手続により、以下を
検討する(第21項参照)
前事年度貸借対照表日において識別された当該事象又は状況に大きな変化がないかどうか
事業年度の貸借対照表日において識別された事象又は状況に対する対応策が計画どおり
施されているか、追加対応策が講じられていないか。
これは、対応策が計画どおりに実施されなかったことや想定した効果が得られずに追加対応
策が必要となったことにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況
の新たな発生や変化を示唆していることがあり、それらの事象又は状況並びにこれらに係る経
営者の評価及び対応策を含めて継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるか否かを
総合的に判断する必要があるためである。
継続企業の前提に関する開示が適切に行われているかどうか。
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一般に公正妥当と認められる中間財務諸表の作成基準では、前事業年度の貸借対照表日にお
いて識別された継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況並びにこれらに
係る経営者の評価及び対応策のいずれにおいても大きな変化がない場合は、経営者が前事業年
度の財務諸表における開示を踏まえて当該中間会計期間の属する事業年度末までの期間に対応
する内容を開示することが求められている。
A11.監査人は、経営者の行った継続企業の前提に関する評価について質問及び他の監査手続を行う。
その結果、又は他の目的で実施した監査手続の結果、当中間貸借対照表日において継続企業の前
提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在すると判断した場合には、さらに、少な
くとも当該中間会計期間の属する事業年度末までの期間についての経営者の対応策の提示を求め、
対応策が当該事象又は状況を解消し、又は改善するものであるかどうか、及びその実行可能性に
ついて検討することとなる(第22項参照)
A12.経営者の対応策の期間が経営者の評価期間(中間貸借対照表日の翌日から1年)より短い場合
監査人は、具体的に対応策が提示されていない期間において経営者がどのように対応する意向で
あるかについて質問するとともに、実行可能な範囲で関連文書の閲覧等の手続を通常実施する。
経営者の対応策の期間が評価期間より短い場合に、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる
ような事象又は状況が解消又は改善し、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在しないと
判断するには慎重な判断が必要となる。
例えば、翌事業年度の上半期に返済期限が到来する債務の返済に関して継続企業の前提に重要
な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在している場合、経営者は中間監査時においては翌
事業年度の上半期に実施する対応策を策定していないことがある。こうした場合に、監査人は、
営者に対して翌事業年度以降の具体的な資金的手当に関する対応策の提示を求めることまでは実
施する必要はないが、経営者にどのように対応する意向であるかを質問することが適切である。
その結果、経営者は翌事業年度の上半期に講じ得る手段を検討している段階にあり、実際にどの
対応策を実行していくのかが未定の場合、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象
又は状況の影響や発生可能性が低減されていないと判断し、継続企業の前提に関する重要な不確
実性が認められると判断することもある。
このように、翌事業年度の上半期に継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象の発
生が見込まれ、具体的な対応策が未定である場合は、継続企業の前提に関する重要な不確実性が
認められる理由として記載されることになる(第22項参照)
《6.監査調書》
A13.中間監査は、年度監査の一環として実施されるため、中間監査と年度監査の調書の作成におい
ては、両者の関連性に留意する(第33項参照)
《Ⅳ 適用》
本報告書(2011年12月22日)は、2012年4月1日以後開始する事業年度に係る監査及び同日以
後開始する中間会計期間に係る中間監査から適用する。
本報告書(2013年6月17日)は、2015年3月31日以後終了する事業年度に係る中間監査から
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用する。
本報告書(2021年1月14日)は、2021年1月14日から適用する。
本報告書(2022年6月16日)は、2023年7月1日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸
表の中間監査から適用する。なお、公認会計士法上の大規模監査法人以外の監査事務所におい
ては、2024年7月1日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用する。
ただし、それ以前の中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監査から適用することを妨げない。
なおその場合、品質管理基準委員会報告書第1号(2022年6月16日)品質管理基準委員会報告
書第2号「監査業務に係る審査」(2022年6月16日)及び監査基準委員会報告書220「監査業務に
おける品質管理」(2022年6月16日)と同時に適用する。
本報告書(2023年2月16日)は、2023年4月1日以後開始する中間会計期間に係る中間財務諸
表の中間監査から適用する。それ以前の決算に係る中間会計期間に係る中間財務諸表の中間監
査から適用することを妨げない。ただし、グループ監査における特別な考慮事項に関する事項
(第16項から第18項及びA8項)については、監査基準報告書600(2023年1月12日と同時に適
用する。
本報告書(2022年10月13日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。
監査基準報告書(序)「監査基準報告書及び関連する公表物の体系及び用語」(2022年7月
21日改正)
本報告書(2023年2月16日改正)は、次の公表物の公表に伴う修正を反映している。
監査基準報告書315「重要な虚偽表示リスクの識別と評価」(2021年6月8日改正)
監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」(2023年1月12日改正)