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財務報告内部統制監査基準報告書第1号周知文書第1号
「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価
及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)(2023 年4月)等を受けた内部統制
監査上の留意事項に関する周知文書
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(周知文書:第 26 号)
【本周知文書は、一般に公正妥当と認められる監査の基準を構成するものではなく、会員が遵守す
べき基準等にも該当しない。また、2023 年9月 28 日時点の最新情報に基づいている。
2023 年4月7日付けで、企業会計審議会から「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準
びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)(以下「改
訂内部統制基準及び内部統制実施基準」という。)が公表されている。
また、同年6月 30 日付けで「財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保するための体制
に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」が、同年8月 31 日付けで「内部統制報告制度に関
るQ&A」等の改訂版が公表されている。
経営者による内部統制の評価範囲の外で開示すべき重要な不備が明らかになる事例等、経営者が
内部統制の評価範囲の検討に当たって財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要性を適切に考慮してい
ないのではないか等の内部統制報告制度の実効性に関する懸念が示されたことが改訂の背景にある。
本周知文書は、改訂内部統制基準及び内部統制実施基準等に基づく内部統制監査業務を実施する
に当たって会員の実務の参考に資するために、留意すべき事項を提供するものである。
1.留意すべき改訂内部統制基準及び内部統制実施基準における改訂点
(1) 内部統制の基本的枠組み
内部統制の目的と基本的要素が、企業を取り巻く環境の変化に合わせて改訂されたほか、経営
者による内部統制の無効化に関する記載の追加等が行われている。
(2) 財務報告に係る内部統制の評価及び報告
経営者による内部統制の評価範囲の決定において、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要
を適切に考慮すべきことが改めて強調されている
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2.内部統制監査における留意事項
(1) 内部統制の基本的枠組みの改訂について
改訂内部統制基準及び内部統制実施基準における改訂点
「リスクの評価と対応」においては、不正に関するリスクを考慮することの重要性が明示
れ、「情報と伝達」においては、情報の信頼性を確保するためのシステムの有効性についての
重要性が明示された。また、「ITへの対応」では、サイバーリスクの高まり等を踏まえたセ
キュリティの確保の重要性が明示された。さらに、経営者又は経営者以外の者によって内部統
制を無視又は無効ならしめる行為に対する適切な内部統制の例も示された。
内部統制監査上の留意事項
改訂内部統制基準及び内部統制実施基準では、内部統制報告書において「財務報告に係る内
部統制を整備及び運用する際に準拠した一般に公正妥当と認められる内部統制の枠組み」を
記載することを経営者に求めており(改訂内部統制基準Ⅱ4.(3)③)多くの経営者は内部
統制報告書において、内部統制を整備及び運用する際に準拠した内部統制の枠組みとして改
訂内部統制基準及び内部統制実施基準を参照することになる。
したがって、監査人は、改訂後の内部統制の基本的枠組みに準拠して、経営者が内部統制
整備及び運用並びに評価を行っているかについて留意する。
特に、全社的な内部統制の評価に当たっては、内部統制の基本的な要素ごとに例示されて
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え、必要に応じて、適切に見直しが行われているかについて確認することが重要である。
(2) 経営者による内部統制の評価範囲の決定について
改訂内部統制基準及び内部統制実施基準における改訂点
数値基準を機械的に適用すべきでないことが強調されるとともに、全社的な内部統制のう
ち良好でない項目がある場合には関連する事業拠点を評価範囲に含める必要がある旨が記載
され、トップ・ダウン型のリスク・アプローチが再確認されている。
内部統制監査上の留意事項
トップダウン型のリスクアプローチが適切に適用されるためには社的な内部統制の
評価が適切に実施されることが肝要である。監査人は、全社的な内部統制が、監査会社の連
結集団の規模に応じて十分かつ適切に整備及び運用されているか、その実態の把握に努める
ことに留意する。
特に、連結集団を構成する個々の会社単位で全社的な内部統制を評価することのみではな
く、企業集団全体の観点から全社的な内部統制の整備及び運用状況の評価を適切に実施して
いるかという点についても留意する。例えば規模な子会社については、当該子会社での全
社的な内部統制を評価するだけでなく、親会社による子会社に対する管理体制など、当該子会
社の内部統制の一部を補完するような全社的な内部統制が、企業集団において適切に整備及
び運用されているかを評価すること等が挙げられる。
また、評価範囲の決定方法及び根拠が、トップダウン型のリスクアプローチに基づき、
改訂内部統制基準Ⅱ4.(4)を踏まえ、内部統制報告書に適切に記載されているかにも留意す
る。
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最後に、経営者の評価範囲の決定において、指導的機能の発揮が期待されていることに留
する。内部統制の評価の計画段階だけではなく、状況の変化等があった場合や財務諸表監査の
過程で内部統制の不備を識別した場合において、必要に応じて、経営者と評価範囲について協
議を実施することが求められることとなった点についても留意する。
【本件についての問合せ先】
担当部署:日本公認会計士協会 業務本部 監査グループ
E-mail :kansa@sec.jicpa.or.jp