
- 41 -
価することは難しく、経営者が内部統制を充実する上で有益な情報を伝達する
こともできない。経営トップが自身に対するコーポレート・ガバナンスがどの
ように機能しているのか、役員のコンプライアンス意識や企業風土をどのよう
に評価しているのかを含め、積極的にコミュニケーションを行い、コーポレー
ト・ガバナンスないし全社的な内部統制に脆弱性が認められれば、監査基準報
告書により経営者に報告することが求められている重要な不備(監査基準報告
書 265「内部統制の不備に関するコミュニケーション」第9項)に該当しなく
ても積極的にコミュニケーションを行い、指導的機能を発揮することが期待さ
れる。
以上のことは、監査役等とのコミュニケーションについても当てはまる。監
査人は監査の過程において監査役等とコミュニケーションを行うことが求め
られているため(監査基準報告書 260「監査役等とのコミュニケーション」ほ
か)、コミュニケーションの頻度は多いと思われるが、監査人から財務諸表監
査等の計画・結果について報告し、監査役等からの質疑に応答するというコミ
ュニケーションに留まっていないであろうか。コーポレート・ガバナンスの在
り方、役員のコンプライアンス意識や企業風土等の全社的な内部統制に関して
もコミュニケーションを行い、コーポレート・ガバナンスないし全社的な内部
統制の充実を働きかけることが考えられる。
2.業務プロセス、決算・財務報告プロセスに係る内部統制の評価の検討
(1) 業務プロセスに係る内部統制の評価の検討方法
最初に内部統制報告制度における業務プロセスに係る内部統制の評価方法、並
びに、内部統制監査におけるその検討方法を要約すると以下のとおりである。
経営者は、全社的な内部統制の評価結果を踏まえて、業務プロセスに組み込ま
れ一体となって遂行される内部統制(以下「業務プロセスに係る内部統制」とい
う。)の評価を行うことが求められている(内部統制評価の基準3(1))。その際、
経営者は全社的な内部統制の評価結果を踏まえ、評価対象となる内部統制の範囲
内にある業務プロセスを分析した上で、財務報告全体に重要な影響を及ぼす統制
上の要点を選定し、当該統制上の要点について内部統制の基本的要素が機能して
いるかを評価する必要がある(内部統制評価の基準3(3))。
一方、監査人は、経営者による業務プロセスに係る内部統制の評価の妥当性に
ついて検討するが、その際、経営者による全社的な内部統制の評価を勘案し、業
務プロセスを十分に理解した上で、経営者が統制上の要点を適切に選定している
かを評価し、監査要点に適合した監査証拠を入手することが求められている(内
部統制監査の基準3(4))。また、業務プロセスにおける内部統制の基本的要素が