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公表された単体検討会議報告書の内容を十分に斟酌しつつ審議を進めた。当該報告書で
は、個別財務諸表での取扱いに関する複数の方向性の考え方が示されたが、包括利益は
組替調整(リサイクリング)や利益概念と密接に関係するものであり、IFRS では当期純
利益の内容が変質してきている可能性があるので、これらの点を整理することなく、個
別財務諸表で包括利益を表示することは時期尚早であるなど、当面、個別財務諸表本表
において包括利益の表示を行うべきでないという意見が多くみられた。
39-3. 当委員会の審議では、当該報告書で示された考え方と同様に、個別財務諸表への適
用について強い懸念が示されている状況などを勘案して、当面は現状を維持し、個別財
務諸表での包括利益の表示は行わないこととする意見が多く出された。一方、包括利益
の表示は、当期純利益の計算方法を変更するものではなく、連結財務諸表と同様に、貸
借対照表との連携やリスク変動情報の充実を図る観点から、個別財務諸表での包括利益
の表示は有用であるという意見もあった。
また、審議の過程では、財務諸表利用者の情報ニーズ等の観点から、個別財務諸表で
任意に包括利益を表示することを認める案や、個別財務諸表において包括利益情報の注
記を求める案の検討も行われた。
そして、2012 年改正会計基準の公開草案においては、個別財務諸表への適用に関して
市場関係者の意見が大きく分かれている状況や、個別財務諸表の包括利益に係る主な情
報は現行の株主資本等変動計算書から入手可能でもあること等を総合的に勘案し、当面
の間、本会計基準を個別財務諸表に適用しないことを提案した。
39-4. 公開草案に寄せられたコメントでは、公開草案の内容に賛成する意見だけではなく、
個別財務諸表にも包括利益を表示すべきであるという意見なども寄せられ、2012 年改正
会計基準の公表に向けて引き続き検討を行った。審議の結果、公開草案公表時と同様の
理由から、当面の間、本会計基準を個別財務諸表に適用しないこととした(第 16-2 項
参照)。
40. 2009 年(平成 21 年)12 月に公表された企業会計基準第 24 号により、2011 年(平成
23 年)4 月 1 日以後に表示方法の変更を行った場合には、過去の期間の財務諸表の組
替えが求められている。
第 12 項に従った包括利益の表示の適用初年度においては、企業会計基準第 24 号は
適用されないが、比較可能性の確保の観点から、その直前の年度における包括利益及
びその他の包括利益の内訳項目の金額を注記することとした(第 12 項参照)。
一方、第 8 項及び第 9 項による注記について、2012 年(平成 24 年)3 月 31 日以後
終了する連結会計年度の年度末に係る連結財務諸表から適用する場合には、原則とし
て、企業会計基準第 24 号が適用されることとなる。しかし、第 39 項のとおり、組替
調整額等の注記のためのデータが現行の財務諸表の作成過程において必ずしも作成さ
れていないと考えられることから、第 13 項の適用初年度においては財務諸表の組替え
は行わず、その直前の年度における第 8 項及び第 9 項の注記は求めないこととした