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影響を及ぼす可能性があるかどうかを、財務諸表利用者が理解することは困難である。
このため、当年度の財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌年
度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目における会計上の見積りの内容に
ついての情報は、財務諸表利用者にとって有用な情報であると考えられる。
16. ここで、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目は企業によって異な
るため、個々の会計基準を改正して会計上の見積りの開示の充実を図るのではなく、会計
上の見積りの開示について包括的に定めた会計基準において原則(開示目的)を示し、開
示する具体的な項目及びその注記内容については当該原則(開示目的)に照らして判断す
ることを企業に求めることが適切と考えられる。
17. したがって、本会計基準では、当年度の財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによ
るもののうち、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目における会計上
の見積りの内容について、財務諸表利用者の理解に資する情報を開示することを目的とす
ることとした(第 4 項参照)。また、リスクには有利となる場合及び不利となる場合の双方
が含まれることを明記することとした。
18. 会計上の見積りは、企業の置かれている状況に即して行われるものであることから、会
計上の見積りの内容について財務諸表利用者の理解に資する情報を開示するためには、当
該企業の置かれている状況について財務諸表利用者が理解できるような情報を開示する
必要があると考えられる。また、企業の置かれている状況に加えて、企業による当該状況
の評価に関する情報を開示することも財務諸表利用者が財務諸表を理解するために有用
であると考えられる。
19. なお、本会計基準に基づく開示は、将来予測的な情報の開示を企業に求めるものではな
いが、開示する項目の識別に際しては、財務諸表利用者の理解に資する情報を開示すると
いう開示目的を達成するために、翌年度の財務諸表に及ぼす影響を踏まえた判断を行うこ
とを企業に求めることとした。
この点について、公開草案における考慮すべき将来の期間を翌年度とする提案に対し、
翌年度以降の財務諸表に影響を及ぼす可能性がある項目とすべきというコメントが寄せ
られた。しかし、本会計基準の開発にあたって参考とした IAS 第 1 号第 125 項に係る結論
の根拠では、「開示に係る期間が長くなればなるほど、開示が必要な項目の範囲は広がり、
特定の資産又は負債について行われる開示は具体的なものではなくなっていく。期間が翌
事業年度中を超える場合には、その他の開示によって最も目的適合性のある情報を不明瞭
なものにしてしまうことがある。」とされている。そのため、IAS 第 1 号第 125 項の定めも
踏まえた検討の結果、翌年度とすることとした。
20. 公開草案で提案した開示目的の内容に対して、「重要な影響を及ぼす可能性が高い項目」
では項目の識別の閾値が相当程度高く、記載の意図が正しく伝わらないというコメントや、
IAS 第 1 号第 125 項を参考に項目の文言を見直すべきというコメントが寄せられた。これ
らのコメントに対し、発生可能性の閾値の解釈について混乱が生じることを避けるため、