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結論の背景
検討の経緯
7. 従来、我が国においては、取締役や監査役に対するいわゆる報酬(以下「役員報酬」とい
う。)は、発生時に費用として会計処理し、取締役や監査役に対する役員賞与は、利益処分
により、未処分利益の減少とする会計処理を行うことが一般的であった。
このような実務慣行の中、平成 15 年 4 月 1 日施行の「商法等の一部を改正する法律」(平
成 14 年法律第 44 号)に基づく機関設計や役員報酬額についての定め方の相違により、内容
的に同様の性格と考えられる取締役、執行役及び監査役の職務に関連する支給についての会
計処理が異なるおそれがあるという意見や、連結財務諸表において、親子会社間の会計処理
の整合が図られないという意見があった。当委員会では、これらを契機に役員賞与の会計処
理を検討し、平成 16 年 3 月 9 日に実務対応報告第 13 号を公表した。
8. 実務対応報告第 13 号では、商法上、株主総会における支給手続と会計処理が連動すると
考えられることから、役員賞与の会計処理について、以下のように定めている。
(1) 役員賞与は、発生した会計期間の費用として会計処理することが適当である。この場合
には、取締役報酬額又は監査役報酬額の株主総会決議(旧商法第 269 条第 1 項又は第 279 条
第 1 項参照)により支給することになる。
(2) 当面の間、これまでの慣行に従い、費用処理しないことも認められる。この場合には、
利益処分案の株主総会決議(旧商法第 283 条第 1 項参照)により支給し、未処分利益の減少
として会計処理する。
9. 平成 17 年 7 月 26 日に公布された会社法では、役員賞与は、役員報酬とともに職務執行の
対価として株式会社から受ける財産上の利益として整理され、定款に報酬等に関する一定の
事項を定めていないときは、株主総会の決議(委員会設置会社における取締役、会計参与及
び執行役については、報酬委員会の決定。以下同じ。)によって定めることとされた(会社
法第 361 条、第 379 条、第 387 条、第 404 条第 3 項及び第 409 条参照。なお、会社法では、
委員会設置会社における利益の処分としての役員に対する金銭の分配の禁止(旧商法特例法
第 21 条の 31 第 2 項参照)に相当する定めはない。)。また、会社法では、利益処分案の株
主総会決議(旧商法第 283 条第 1 項参照)に相当する定めは存在しない。
このように、会社法では、役員賞与と役員報酬とが同一の手続により支給されることとなっ
たため、株主総会における支給手続は会計処理の制約とはならず、当該制約を前提とした実
務対応報告第 13 号を見直すことが必要となった。
10. また、会社法施行後に役員賞与を支給する場合、これまでの実務慣行であった処分可能な
剰余金を原資とする支給が可能であるかどうかは、会社法上、必ずしも明らかではない。
このため、役員賞与が支給された場合、会計上、費用に計上すべきか、剰余金の額の減少
として処理することも認められるのかを明らかにすることが必要となった。
11. 当委員会では、以上の点に鑑み、役員賞与に関する会計処理について審議を行い、平成 17
年 9 月に企業会計基準公開草案第 9 号「役員賞与に関する会計基準(案)」を公表し、広く