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ロであったとしても、権利が確定するまでの間に当該失効の見積数に重要な変動が生
じる場合、変動後の見積数により当該権利確定条件付き有償新株予約権の公正な評価
額を変更することとなる。この結果として算出された公正な評価額の増加分は、本実務
対応報告第 20 項(3)から(5)に記載しているような業績達成のインセンティブ効果を反
映するものであり、権利確定日までの追加的なサービスの提供と考えられるため、スト
ック・オプション会計基準第 2 項(4)に定める報酬としての性格を有すると考えられる。
23. このほか、公開草案に対して、従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を
付与する取引は、従業員持株会を通じて株式を取得する取引に類似した投資制度であ
るとの意見が寄せられた。この意見について当委員会において審議した結果、これらの
取引は、従業員等が自らの金銭を対価として、企業の資本性金融商品を取得する点で類
似するものの、従業員持株会を通じて株式を取得する場合、従業員等は株式の取得にあ
たって特段の条件を満たすことを要求されないのに対し、権利確定条件付き有償新株
予約権については、権利確定条件が付されていることから、両者の性格は異なるものと
考えられ、従業員等に対して権利確定条件付き有償新株予約権を付与する取引は、本実
務対応報告第 20 項に記載した理由により、ストック・オプション会計基準第 2 項(4)
に定める報酬としての性格を併せ持つと考えられるとの結論に至った。
24. これらを踏まえ、従業員等に対して勤務条件及び業績条件が付されている有償新株
予約権を付与する取引は、ストック・オプション会計基準第 2 項(4)に定める報酬とし
て付与するものと考えられるため、当該権利確定条件付き有償新株予約権は、企業が従
業員等から払い込まれる金銭の対価及び従業員等から受ける労働や業務執行等のサー
ビスの対価として付与するものと整理し、ストック・オプション会計基準第 2 項(2)に
定めるストック・オプションに該当するものとして取り扱うこととした(本実務対応報
告第 4 項参照)。
25. なお、本実務対応報告では、ストック・オプション会計基準第 29 項
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と同様に、勤務
条件及び業績条件が付されている有償新株予約権が従業員等から受ける労働や業務執
行等のサービスの対価(ストック・オプション会計基準第 2 項(4))として用いられて
いないことを立証できる場合、当該権利確定条件付き有償新株予約権は、ストック・オ
プション会計基準第 2 項(2)に定めるストック・オプションに該当しないものとするこ
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ストック・オプション会計基準第 29 項において、次のように記載されている。
(1) 「本会計基準は、付与した自社株式オプションや交付した自社の株式が、取得の対価として用いられ
ることが前提となっている。経済的に合理的な行動を行う企業が自社株式オプションや自社の株式を
付与又は交付するからには、それらは基本的に対価性を有していると考えられる。そうではない場合
は、企業が当該企業の株主としての地位を有する者に対して、その地位に基づき自社株式オプション
や自社の株式を付与又は交付したが、それらの者の一部がたまたま従業員等でもあるといった場合を
除いては、極めて稀であると考えられる。」
(2) 「本会計基準の導入に際しては、企業が自社株式オプションや自社の株式を付与又は交付する取引で
あっても、対価性の存在しないことを立証できる場合には、本会計基準の適用対象外とした。ただし、
対価性がないと判断するためには、対価性の推定を覆すに足りるだけの明確な反証が必要と考えられ、
その反証の内容につき開示を求めることとした(第 16 項(7))。」