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(2008 年(平成 20 年)改正会計基準の公表)
26-2. 我が国では、これまで、棚卸資産の評価方法について、個別法、先入先出法、後入先出
法、平均原価法等が認められてきた。棚卸資産の評価方法は、期末棚卸資産の価額を算定
する方法として説明されることがあるものの、この金額を算定することによって、同時に、
払い出された棚卸資産の価額についても算定することとなる。すなわち、棚卸資産の評価
方法は、当期の売上原価や原材料費等の算定にも結びついている。企業は、取引の実態も
考慮して、これらの評価方法の中から特定の方法を選択し、これを継続して適用してきた
ものと考えられる。
26-3. 前項のように、我が国では、後入先出法は先入先出法や平均原価法と同様に一定の仮定
に基づく評価方法の 1 つとして認められてきたが、国際財務報告基準(IFRS)における国
際会計基準第 2 号「棚卸資産」(以下「IAS 第 2 号」という。)においては、棚卸資産の
評価方法として後入先出法は認められていない。また、欧州連合(EU)における第三国会
計基準の同等性評価に関連して提案された欧州証券規制当局委員会(CESR)による「技術
的助言」(2005 年(平成 17 年)7 月)の中でも、後入先出法の取扱いは、棚卸資産の原価
法と低価法の選択適用の取扱いとともに、我が国の会計基準と IFRS の相違点として指摘さ
れていた。このため、当委員会と国際会計基準審議会(以下「IASB」という。)との会計
基準の国際的なコンバージェンスに向けた共同プロジェクトの中でも、棚卸資産の後入先
出法の取扱いは、2006 年(平成 18 年)3 月に開催された共同プロジェクト第 3 回会合にお
いて長期項目に位置付けられていた。
26-4. その後、2007 年(平成 19 年)8 月に当委員会と IASB との間で、「会計基準のコンバー
ジェンスの加速化に向けた取組みへの合意(東京合意)」が公表されるなど、会計基準の
国際的なコンバージェンスの取組みが加速化している。こうした状況を受けて、当委員会
は、棚卸資産の後入先出法の取扱いを短期項目に変更し、我が国の後入先出法の採用状況
に関する実態調査の結果等を踏まえ、2007 年(平成 19 年)11 月より後入先出法を含む棚
卸資産の評価方法の見直しについて審議を行ってきた。2008 年(平成 20 年)改正会計基
準は、2008 年(平成 20 年)3 月に公表した公開草案に対して当委員会に寄せられたコメン
トを検討し、公開草案を一部修正した上で公表に至ったものである。
(2019 年改正会計基準の公表)
26-5. 我が国では、これまで、トレーディング目的で保有する棚卸資産の評価について、時価
の一形態である市場価格に基づく価額をもって貸借対照表価額とするとしていた。当委員
会は 2019 年 7 月に、時価の定義について国際的な会計基準との整合性を図ることを目的に
時価算定会計基準を公表した。その審議の過程において、時価算定会計基準は主に金融商
品を対象とするものの、売買目的有価証券と同様の会計処理が求められるトレーディング