五 中間財務諸表の役割
六 「中間連結財務諸表等の作成基準」の概要
ことができ、計算手続が明確であるため、実行面で優れていると考えられること。
『中間財務諸表』は、年度の中間期までの期間を対象とした企業活動に係る中間的な報告であり、投資者
の投資判断上、有用な投資情報を提供するという性格を有している。
現行の「中間財務諸表作成基準」では、「中間財務諸表は、事業年度を構成する中間会計期間に係る有用
な会計情報を提供するものでなければならない」としている。そこでいう「有用な会計情報」は、「中間財
務諸表が示す会計情報が、当該会計期間を含む事業年度の損益予測に資するものであることを要すること、
正規の決算手続とは異なる手続を適用して中間財務諸表項目の数値を算出する面があること、期間損益確定
のための決算ではなく、中間会計期間に係る財務状況の概況を示すものであること等を意味している」
(「半期報告書で開示すべき中間財務諸表に関する意見書」)とされている。これは、「予測主義」を前提
とした個別ベースの中間財務諸表の位置付けであると解される。
今回、当審議会においては、「実績主義」による『中間財務諸表』の作成基準を設定し、中間会計期間を
事業年度と並ぶ一会計期間とみて『中間財務諸表』を作成することとしたため、『中間財務諸表』の提供す
る情報の内容は、従来と異なってくる。
このため、本意見書では、『中間財務諸表』が提供する情報の内容は年度単位の『財務諸表』に準ずるも
のであることを明らかにする主旨から、従来の「中間財務諸表は、事業年度を構成する中間会計期間に係る
有用な会計情報を提供するもの」という文言を修正し、「『中間財務諸表』は、中間会計期間に係る企業集
団又は企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関し、有用な情報を提供するものでなけ
ればならない」とした。
1. 「中間連結財務諸表等の作成基準」は、新たに設定した「中間連結財務諸表作成基準」と現行基準を
改訂した個別ベースの「中間財務諸表作成基準」から構成されている。
2. 「実績主義」を採用したことに伴い、『中間財務諸表』は、原則として年度の『財務諸表』の作成に
適用される原則及び手続に準拠して作成しなければならないこととした。ただし、『中間財務諸表』の作成
者の事務負担を考慮して、中間会計期間に係る財政状態及び経営成績に関する利害関係者の判断を誤らせな
い限り、簡便な手続によることを許容することとしている。
3. 「実績主義」を採用したことに伴い、従来中間財務諸表の作成上適用されていた以下のような中間決
算に特有の会計処理は認められないことになる。
年度の財務諸表の作成に際しては適用されないような営業費用の繰延処理及び繰上計上
(1)
たな卸資産に後入先出法を適用している場合の売上原価の修正
(2)
たな卸資産等に低価基準を適用している場合の評価損の不計上
(3)
原価差額の繰延べ
(4)
なお、事業の性質上営業収益又は営業費用に著しい季節的変動がある場合には、企業の利害関係者の判断
に資するため、『中間財務諸表』に必要な注記を施すとともに、半期報告書の「営業の状況」等においてそ
の状況を記載することが適当と考えられる。
4. 法人税その他利益に関連する金額を課税標準とする税金は、年度決算と同様の方法により計算する
が、法人税等は事業年度末において確定するため、累進税率が適用されるような場合には、中間会計期間を
含む事業年度の法人税等の計算に適用される税率を予測して計算することとしている。ただし、中間会計期
間を含む事業年度の実効税率を合理的に見積もり、税引前中間純利益に当該見積実効税率を乗じて法人税等
の額を計算することができることとしている。
5. 『中間財務諸表』は中間期末時点の情報に基づいて作成されるが、年度の『財務諸表』の作成に当た
っては、中間会計期間を含む事業年度全体を対象として、年度末の情報に基づいて改めて会計処理が行われ
る。その結果、年度決算では、中間決算の基礎となった金額とは異なる金額が計上される場合がある。例え
ば、たな卸資産等に低価基準を適用している場合、中間決算では帳簿価額と中間期末の時価との比較が行わ
れるが、当該資産が期末に残存する場合には、年度決算では期末の時価との比較が行われるため、中間決算
において評価損が計上されていても、事業年度の末日の時価が取得原価以上の価額に回復したときは、年度
決算では評価損は計上されないことになる。