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扱うことに留意する(第 5 項参照)。通常、複数の取引が 1 事業年度内に完了する場合に
は一体として取り扱うことが適当であると考えられるが、1 つの企業結合を構成しているか
どうかは状況によって異なるため、当初取引時における当事者間の意図や当該取引の目的
等を勘案し、実態に応じて判断することとなる。
67. 企業結合には「取得」と「持分の結合」という異なる経済的実態を有するものが存在し、
それぞれの実態に対応する適切な会計処理方法を適用する必要があるとの考え方がある。
この考え方によれば、まず「取得」に対しては、ある企業が他の企業の支配を獲得するこ
とになるという経済的実態を重視し、パーチェス法により会計処理することになる。これ
は、企業結合の多くは、実質的にはいずれかの結合当事企業による新規の投資と同じであ
り、交付する現金及び株式等の投資額を取得価額として他の結合当事企業から受け入れる
資産及び負債を評価することが、現行の一般的な会計処理と整合するからである。
68. 他方、企業結合の中には、いずれの結合当事企業も他の結合当事企業に対する支配を獲
得したとは合理的に判断できない「持分の結合」がある。「持分の結合」とは、いずれの
企業(又は事業)の株主(又は持分保有者)も他の企業(又は事業)を支配したとは認め
られず、結合後企業のリスクや便益を引き続き相互に共有することを達成するため、それ
ぞれの事業のすべて又は事実上のすべてを統合して 1 つの報告単位となることをいい、こ
の「持分の結合」に対する会計処理としては、対応する資産及び負債を帳簿価額で引き継
ぐ会計処理が適用される。この考え方は、いずれの結合当事企業の持分も継続が断たれて
おらず、いずれの結合当事企業も支配を獲得していないと判断される限り、企業結合によ
って投資のリスクが変質しても、その変質によっては個々の投資のリターンは実現してい
ないとみるものであり、現在、ある種の非貨幣財同士の交換を会計処理する際にも適用さ
れている実現概念に通ずる基本的な考え方でもある。
69. 平成 15 年会計基準では、第 67 項及び前項のように、「取得」と「持分の結合」という
異なる経済的実態を有する企業結合について、別々の会計処理方法を適用するという考え
方に立っていた。ただし、持分の継続、非継続自体は相対的な概念であり、具体的に明確
な事実として観察することは困難な場合が多いことから、平成 15 年会計基準では、持分の
継続を「対価の種類」と「支配」という 2 つの観点から判断することとしていた。具体的
には、①企業結合に際して支払われた対価のすべてが、原則として、議決権のある株式で
あること、②結合後企業に対して各結合当事企業の株主が総体として有することになった
議決権比率が等しいこと、③議決権比率以外の支配関係を示す一定の事実が存在しないこ
と、という 3 つの要件をすべて満たせば持分は継続していると判断し、そのような企業結
合に対しては持分プーリング法を適用することとしていた。これは、取得企業を識別でき
ない場合を持分の結合と判定する方法とは異なり、異なる経済的実態を有する取得と持分
の結合のうち、持分の結合を積極的に識別し、それ以外の企業結合を取得と判定するアプ
ローチであった。
70. 「取得」又は「持分の結合」のいずれの経済的実態を有するかどうかという観点から、