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賃貸されている不動産
24. 本会計基準では、固定資産に分類されている不動産を、物品の製造や販売、サービス
の提供、経営管理に使用されている不動産と、賃貸収益又はキャピタル・ゲインの獲得
を目的として保有されている不動産とに区別している(第 4 項(2)参照)。後者のうち、
貸借対照表において投資不動産として区分されている不動産(第 5 項(1)及び第 22 項参
照)や将来の使用が見込まれていない遊休不動産(第 5 項(2)及び第 23 項参照)につい
ては、売却による回収額を意味する時価以上のキャッシュ・フローは見込めないため、
これらを保有する企業にとっては時価が意味を持つと考えられる。
しかし、それ以外の第三者に利用させることによってキャッシュ・フローの獲得を図
る不動産については、特に、事業遂行上の制約等から売却する意図がない場合や、不動
産を第三者に利用させる努力をいかに行うかによってその成果が異なる場合、その企業
にとっての当該不動産の価値は、時価の変動に応じて必ずしも変動するものではないと
考えられる。
25. 国際財務報告基準では、第三者に利用させることによってキャッシュ・フローの獲得
を図る不動産については、当該企業がその利用者に対して提供する付随的なサービスが
取引全体の中で重要な場合、物品の製造や販売、サービスの提供、経営管理目的で保有
されている不動産と同様に取り扱うものとしている。この際、付随的なサービスの重要
性が低い場合としてオフィスビルの借手に提供する保全や営繕のサービスを例示し、そ
の重要性が高い場合としてホテルを所有し運営する際の客に対するサービスを例示して
いるが、それらを区分する規準は定量的指針も含め詳細には定められていない。したが
って、国際財務報告基準では、定義及び例示に従い個々の企業で判断基準を設定して首
尾一貫した判断を行い、区分が困難な場合においては当該判断基準の注記を求めている。
26. このような国際財務報告基準の考え方を踏まえ、当委員会では、第三者に利用させる
ことによってキャッシュ・フローの獲得を図る不動産について、その利用者に対する付
随的なサービスが重要かどうかによって判断する方法が検討された。
検討の過程では、ホテルの運営業務のみならず、我が国における比較的短期間の賃貸
借契約や借手が法的に強く保護されている実情に照らせば、テナント管理を含めたオフ
ィスビル等の運営業務についても、利用者に対する付随的なサービスが重要といえるの
ではないかという意見があった。さらには、そのような事業を目的として保有されてい
る不動産は、賃貸されているという形態は同じでも、そもそも投資の目的で保有する土
地、建物その他の不動産とは性格が異なるため開示対象には該当せず、国際財務報告基
準の考え方を踏まえた場合、これまで貸借対照表において投資不動産として区分されて
いる不動産や将来の使用が見込まれていない遊休不動産だけが開示対象になるという意
見もあった。
27. 一方、利用者に対する付随的なサービスの重要性で判断することは実務上容易ではな
く、むしろ第三者に利用させることによってキャッシュ・フローの獲得を図る不動産に