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(2) セール・アンド・リースバック取引においては、資産の譲渡とリースバックが、
パッケージとして交渉されることが多く、資産の譲渡対価とリースバックにおける
借手のリース料との間に相互依存性があると考えられる。資産の譲渡対価及び関連
するリースバックにおける借手のリース料が、それぞれ時価及び市場のレートでの
リース料よりも高い(低い)金額で取引されることにより、一体としての利益の総
額が同じであっても、資産の譲渡に係る損益が過大(過小)に計上される可能性が
ある。
BC83. 前項(1)の論点への対応としてセール・アンド・リースバック取引における資産の譲
渡の取扱いを、前項(2)の論点への対応として資産の譲渡損益を適切に計上するための
取扱いをそれぞれ定めることとした(第 53 項から第 58 項参照)。
(セール・アンド・リースバック取引に該当するかどうかの判断)
BC84. 我が国では、建設工事請負契約と一括借上契約が同時に締結される取引などにおいて、
収益が一定の期間にわたり認識される場合、セール・アンド・リースバック取引の定め
が適用されるか否かについて論点になり得るとの意見が聞かれた。
この点、IFRS 第 16 号においては、セール・アンド・リースバック取引の定めが適用
される範囲、特に収益が一定の期間にわたり認識される場合であってもセール・アンド・
リースバック取引の定めが適用されるのか否かについて明確にされていない。我が国の
実務において当該論点は重要な論点であり、多様な解釈がなされることを懸念する関係
者からの意見を踏まえ、本適用指針における取扱いについて検討を行った。
BC85. 本適用指針においてセール・アンド・リースバック取引は、IFRS 第 16 号と同様に売
手である借手が資産を買手である貸手に譲渡し、売手である借手が買手である貸手から
当該資産をリースする取引と定義している(第 4 項(11)参照)。この定義においては、
譲渡された資産とリースされた資産が同一であることが重要な要素となっている。
BC86. セール・アンド・リースバック取引に該当するか否かを検討する対象となる資産の譲
渡とリースバックにおいて、売手である借手による資産の譲渡が収益認識会計基準など
の他の会計基準等により一時点で損益を認識する売却に該当すると判断される場合、売
手である借手は、当該資産を買手である貸手に譲渡し、譲渡した当該資産をリースして
いるものと考えられる。この場合、譲渡された資産とリースされた資産は同一であると
考えられることから、これらの取引についてはセール・アンド・リースバック取引に該
当するものとして会計処理を定めることとした(本適用指針第 55 項及び第 56 項参照)。
BC87. 一方、セール・アンド・リースバック取引に該当するか否かを検討する対象となる資
産の譲渡とリースバックにおいて、売手である借手による資産の譲渡が次のいずれかで
ある取引については、資産の譲渡により売手である借手から買手である貸手に支配が移
転されるのは仕掛中の資産であり、移転された部分だけでは資産の使用から生じる経済
的利益を享受できる状態にない。これに対し、リースバックにより売手である借手が支