
- 9 -
(2)の方法は、製品マスターの制作原価と完成品としての製品マスターの償却費がともに
製造原価の当期製造費用に含まれ、同一の製品マスターに係る制作原価が二重に計上され
る点において不適切です。
このように考えると、ソフトウェアの制作活動が製造原価の計算に適切に反映されると
いう観点からは、(3)の方法によることが望ましいといえます。
(3) 資産計上することとなる自社利用のソフトウェアの取扱い
Q15:将来の収益獲得又は費用削減が確実であることが認められるという要件は、具体的
にはどのように判断すべきですか。
A:自社利用のソフトウェアについて「研究開発費等に係る会計基準の設定に関する意見書」
では、「将来の収益獲得又は費用削減が確実である自社利用のソフトウェアについては、将
来の収益との対応等の観点から、その取得に要した費用を資産として計上し、その利用期
間にわたり償却を行うべきと考えられる。」とされており、「また、独自仕様の社内利用ソ
フトウェアを自社で制作する場合又は委託により制作する場合には、将来の収益獲得又は
費用削減が確実であると認められる場合を除き費用として処理することとなる。」と述べら
れています。
この将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められる状況は、実際のところソフ
トウェアが利用されている実態により様々であると考えられます。
例えば、通信ソフトウェアの機能を第三者である利用者に提供することによって、当該
利用者から収入を得る場合には、まさしく当該ソフトウェアにより収益獲得が実現してい
るといえます。
しかし、独自仕様の社内利用ソフトウェアの場合には、通常、当該ソフトウェアの利用
によって直接的にキャッシュ・フローが生ずるとは考えられないため、その判断は容易で
ないものと思われます。そのようなソフトウェアについては、費用削減効果によって、ネ
ット・キャッシュ・イン・フローの増加が確実となるかどうかに着目することが必要です。
具体的には、顧客からの受注に基づく在庫の手配及び発送指示作業を手作業により行っ
ているために、物流部門の能力には余裕があるのに、毎日の取扱高が限定されているとい
う業務遂行上の問題点を抱えている会社において、当該業務をコンピュータ処理に置き換
えることにより、取扱高の増加が可能になる場合などは、独自仕様の社内利用ソフトウェ
アの利用により将来の収益獲得が確実であると認められる要件を満たしているものと考え
られます。
また、遠隔保守のシステムの構築により、実際に現場に派遣する保守要員が減少する場
合などは、利用する前に比し人件費の削減効果が確実に見込まれ、将来の費用削減が確実
であると認められる要件を満たしているものと考えられます。
このように、独自仕様の社内利用ソフトウェアについては、自社で制作するソフトウェ