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企業会計基準適用指針 31
時価の算定に関する会計基準の適用指針
2019 7 4
改正 2021 6 17
企業会計基準委員
本適用指針は、2024 7 1 日までに公表されたの会計基等による修正が反映されてい
る。
移管指針「移管指針の適用」(2024 7 1 日公表
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
適用指針・・・・・・・・
2
Ⅰ. ・・・・・・・・・・
2
Ⅱ.用語の定義・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3
Ⅲ.時価の算定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
1.時価の算定の前提・・
4
2.時価の算定方法・・
5
(1)評価技法・・・・・・・・・・
5
(2)インプッ
7
(3)資産又は負債の取引の数量又は頻度が低下している場合等
16
(4)債又は払込資本を増加させる金融商品の時価
19
3.その他の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
24
Ⅳ.適用時期等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
25
1.適用時期・・
25
2.経過措置・・・・・・・・・・・・
26
Ⅴ.議 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
28
結論の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
29
・・・・・・・・・・
29
Ⅰ.時価の算定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
30
1.時価の算定の前提・・
30
2.時価の算定方法・・
34
(1)評価技法・・・・・・・・・・
34
- 2 -
(2)インプッ
36
(3)資産又は負債の取引の数量又は頻度が低下している場合等
40
(4)債又は払込資本を増加させる金融商品の時価
45
3.その他の取扱い・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
48
Ⅱ.適用時期等・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
49-19
1.適用時期・・・・・・・・・・・・
49-19
2.経過措置・・・・・・・・・・・・
50
[設例 1] レベル 1 の時価に対する主要な市場又は最も有利な市場
[設例 2] 金利スワップの当初認識時の時
[設例 3] 現在価値技法 - 割引率調整法の使用
[設例 4] 現在価値技法 - 期待現在価値法の使
[設例 5] 有価証券の売却に関する制約
[設例 6] 負債の時価 - 発行社債の時価の算定における相場価格の使
[設例 7] 負債の時価 - 発行社債の時価の算定における現在価値技法の使用
[設例 8] 資産の取引の数量又は頻度が著しく低下した場合の市場利回りの
積り
- 3 -
1. 本適用指針は、企業会計基準第 30 号「時価算定に関する会計基準(以下「会計基
準」という)を適用する際の指針を定めることを目的とする。
適用指針
Ⅰ.範
2. 本適用指針を適用する範囲は、会計基準における範囲と同様とする。
Ⅱ.用語の定義
3. 本適用指針における用語の定義は、会計基準における用語の定義と同様とする。
Ⅲ.時価の算定
1.時価の算定の前提
4. 時価は、会計基 5 項の定義に従ったうえで、次の前提に基づき算定する。
(1) 産又は負債の時価を算定するにあたっては市場参加者が算定日において当
資産又は負債の時価を算定する際に考慮する当該資産又は負債の特性(例えば、資
産の所在地、当該資産の売却に対する制約)を考慮する([設 5])
(2) 象となる資産又は負債は、現在の市場の状況を踏まえ、算定日に資産の売却又
は負債の移転を行う市場参加者間の秩序ある取引にいて交換されるものと仮定
する。
(3) 産を売却する又は負債を移転する取引は、企業が算定日において利用できる
要な市場で行われるものと仮定する。ただし、主要な市場が存在しない場合には、
企業が算定日において利用できる最も有利な市場で行われるものと仮定する([設
1])
反証できる場合を除き、企業が取引を通常行っている市場が、主要な市場又は最
も有利な市場と推定される。
(4) 市場参加者が資産又は負債の時価を算定する際に用いる評価技法及びインプ
トを用いて市場参加者が自らの経済的利益を最大化するように行動すると仮定す
る。
(5) 価の算定にあたって用いる主要な市場又は最も有利な市場における価格は、
得又は売却に要する付随費用について調整しないが、所在地が資産の特性である場
合には当該資産を現在の所在地から当該市場に移動させるために生じる輸送費
について調整する([設例 1])
(6) 初認識時の時価は取引価格と同一となることが多いが次の状況では、取引
- 4 -
格が当初認識時の時価を表すものではない可能性がある([設 2])
取引が関連当事者間の取引であること
引が他から強制された取引でるか又は売手が当該取引価格を受け入
ざるを得ないこと
取引価格を表す単位が、時価を算定する資産又は負債の単位と異なること
取引が行われた市場が、主要な市場又は最も有利な市場と異なること
2.時価の算定方法
(1)評価技
5. 時価を算定するにあたって用いる評価技法(会計基準 8 項)には、例えば、次 3
つのアプローチがある
(1) ーケット・アプローチ
マーケット・アプローチとは、同一又は類似の資産又は負債に関する市場取引に
よる価格等のインプットを用いる評価技法をいう。当該評価技法には、例えば、倍
率法や主に債券の時価算定に用いられるマトリックス・プライシングが含まれる。
(2) ンカム・アプロー
インカ・アプローチとは、利益やキャッシュ・フロー等の将来の金額に関する
現在の市場の期待を割引現在価値で示す評価技法をいう。当該評価技法には、例え
ば、現在価値技法やオプション価格モデルが含まれる([設例 7]
(3) スト・アプローチ
コスト・アプローチとは、資産の用役能力を再調達するために現在必要な金額に
基づく評価技法をいう
6. 評価技法又はその適用を変更する場合(会計基準第 10 )としては、時価の精度
より高めることとなる場合があるが、その状況としては、例えば、次のものがある
(1) しい市場が出現すること
(2) しい情報が利用可能となること
(3) れまで使用していた情報が利用できなくなること
(4) 価技法が向上すること
(5) 場の状況が変化すること
(2)インプット
(インプットの調整)
7. 時価を算定するにあたっては、市場における通常の日次取引高では売却できないほど
に金融商品を大量に保有している場合であっても、当該金融商品を一度に売却する際に
生じる価格の低下についての調整を行わない当該金融商品が活発な市場で取引されて
いる場合には、個々の資産又は負債の活発な市場における相場価格に保有数量を乗じた
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ものを時価とする
8. レベ 1 のインプット(会計基準第 11 項(1))を用いる場合を除き、の企業の持分
を支配するにあたって市場参加者である買手が支払う追加的な金額である支配プレ
アム等市場参加者が資産又は負債の時価を算定する際に考慮する特性を時価の算定に
反映する。
(買気配と売気配)
9. 時価を算定する資産又は負債に買気配及び売気配がある場合、当該資産又は負債の
況を考慮し、買気と売気配の間の適切な価格をインプットして用いる。これは、実
務上の簡便法として用いられる仲値等の利用を妨げるものではない。
(レベ 1 のインプット)
10. 象となる資産又は負債について、レベ 1 インプット(会計基準第 11 項(1))
決定するにあたっては、次の両方を評価する
(1) 該資産又は負債に係る主要な市場、あるいは、主要な市場がない場合には、
該資産又は負債に係る最も有利な市
(2) 該資産又は負債に関する取引について、時価の算定日に企業が主要な市場又
最も有利な市場において行うことができる場合の価格
11. ベル 1 のインプットに対する調整は、次の(1)から(3)の場合にのみ認められる。
ベル 1 のインプットについて調整する場合には、当該調整により算定された時価は、レ
ベル 2 の時価又はレベル 3 の時価に分類される。
(1) 似の資産又は負債を大量に保有しており、当該資産又は負債について活発な
場における相場価格が利用できるが、時価の算定日において個々の資産又は負債に
ついて相場価格を入手することが困難な場合(この場合、例えば、債券についてマ
トリックス・プライシングを用いることができる
(2) 発な市場における相場価格が時価の算定日時点の時価を表さない場合
(3) 債又は払込資本を増加させる金融商品について、活発な市場で資産として取
されている同一の金融商品の相場価格を用いて時価を算定する場合で、かつ、当該
相場価格を調整する場合(第 21 項参照)
(レベ 2 のインプット)
12. ベル 1 のインプットでないが、資産又は負債の契約期間のほぼ全体を通じて観察可
能であるインプットは、レベル 2 のインプット(会計基準第 11 項(2))となる。レベ
2 のインプットには、例えば、次のものが含まれ
(1) 発な市場における類似の資産又は負債に関する相場価
(2) 発でない市場における同一又は類似の資産又は負債に関する相場価格
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(3) 場価格以外の観察可能なインプット
(4) 相関関係等に基づき観察可能な市場データから得られる又は当該データに裏
けられるインプッ
13. 価の算定にとって重要なレベル 2 のインプトを調整するにあたって、重要な観
できないインプットを使用する場合には、算定される時価はレベル 3 の時価に分類さ
る可能性がある。
(レベ 3 のインプット)
14. ベル 3 のインプット(会計基準 11 項(3))を用いるにあたっては、市場参加者
資産又は負債の時価を算定する際に用いる仮定を反映する。この際、合理的に入手でき
る市場参加者の仮定に関する情報を考慮する
15. ベル 3 のインプットを決定するにあたっては、その状況おいて入手できる最良
情報を用いる。こ際、企業自身のデータを用いることがでるが、合理的に入手で
る情報により次のいずれかの事項が識別される場合には、当該企業自身のデータを調整
する。
(1) の市場参加者が異なるデータを用いること
(2) の市場参加者が入手できない企業に固有の特性が存在すること
(3)資産又は負債の取引の数量又は頻度が低下している場合
(資産又は負債の取引の数量又は頻度が著しく低下している場合)
16. 産又は負債の取引の数量又は頻度が、当該資産又は負債に係る通常の市場における
活動に比して著しく低下しているかどうか(会計基準第 13 項)については、入手でき
る情報に基づき、例えば、次の要因の重要性及び関連性を評価して判断する([設例 8])
(1) 近の取引が少ないこと
(2) 場価格が現在の情報に基づいていないこと
(3) 場価格が時期又は市場参加者間で著しく異なっていること
(4) れまで資産又は負債の時価と高い相関があった指標が相関しなくなったこと
(5) 業の将来キャッシュ・フローの見積りと比較して、相場価格に織り込まれてい
る流動性リスク・プレミアム等が著しく増加しているこ
(6) 気配と売気配の幅が著しく拡大していること
(7) 同一又は類似の資産又は負債についての新規発行市場における取引の活動が
しく低下しているか又は当該市場がないこと
(8) 表されている情報がほとんどないこと
(秩序ある取引ではない取引の取扱い
17. 資産又負債の取引の数量又は頻が当該資産又は負債に係る通常の市場における
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活動に比して著しく低下していると判断した場合、取引が秩序ある取引であるかどうか
を判断し、取引が秩序ある取引であるかどうかに応じて、次のとおり時価の算定又はリ
スクに関する調整(会計基準 13 項)を行う。
(1) 引が秩序ある取引ではない(例えば強制された清算取引や投売り)と判断し
たときには、取引価格は他の入手できるインプットほどには考慮しない
(2) 引が秩序ある取引であると判断したときには、時価の算定にあたって、取引
格を考慮するが、その考慮する程度は、例えば、次の状況により異なる
当該取引の数量
該取引を時価の算定対象とな資産又は負債に当てはめることが適切
あるか
当該取引が時価の算定日に近い時点で行われた
(3) 取引が秩序ある取引であるかどうかを判断するために十分な情報を入手でき
いときには、取引価格が時価を表さない可能性を踏まえたうえで、取引価格を考慮
する。
(第三者から入手した相場価格の利用
18. 引相手の金融機関、ブローカー、情報ベンダー等、第三者から入手した相場価格が
会計基準に従って算定されたものであると判断する場合には、当該価格を時価の算定
用いることができる。
資産又負債の取引の数量又は頻度が当該資産又は負債に係る通常の市場におけ
活動に比して著しく低下していると判断した場合には、第三者から入手した相場価格
秩序ある取引を反映した現在の情報に基づいているかどうか又は市場参加者の仮定
反映した評価技法に基づいているかどうかを評価して、当該価格を時価の算定に考慮
る程度について判断する([設例 8])
(4)負債又は払込資本を増加させる金融商品の時価
19. 時価の定日における市場参加者の負債又は払込資本を増加させる金融商品の移
転(会計基準第 14 項)については、当該負債又は払込資本を増加させる金融商品の消
滅が認識されることなく、市場参加者である譲受人が当該債務を履行する又は当該払込
資本を増加させる金融商品に関する権利を引き継ぐことを仮定する。
20. 負債又は払込資本を増加させる金融商品の時価は、次を用いることにより算定する。
(1) 発な市場における相場価格([設例 6])
(2) (1)が入手できない場合、他の者が資産として保有する同一の項目に係る活発な
市場における相場価格
(3) (1)及び(2)が入手できない場合、他の観察可能なインプット(例えば、他の者
資産として保有する同一の項目に係る活発でない市場における相場価格
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(4) (1)から(3)が入手できない場合、インカム・アプローチ([設 7])又はマー
ット・アプローチ 5 項参照)
21. 他の者が資産として保有する同一又は類似の項目の相場価格を用いる場合(前項(2)
及び(3)参照)には、負債又は払込資本を増加させる金融商品の時価の算定に反映でき
ない当該資産に固有の要素(例えば、資産の相場価格に第三者の信用補完が反映されて
いる場合の当該信用補完)を除外して、負債又は払込資本を増加させる金融商品の時価
を算定する([設 6])
22. 債の時価の算定にあたっては、信用リスクの影響及び当該負債の履行見込みに影響
を与える可能性のある要因を当該負債の時価の算定に反映する
23. 求払の特徴を有する金融負債(例えば、要求払預金)の時価については、要求
額の支払が要求される可能性のある最も早い日から当該要求払の額を割り引いた金
を下回らない。
3.その他の取扱い
(第三者から入手した相場価格の利用
24. 18 項の定めにかかわらず、総資産の大部分を金融資産が占め、かつ総負債の大部
分を金融負債及び保険契約から生じる負債が占める企業集団又は企業(以下「企業集団
等」という。)以外の企業集団等においては、第三者が客観的に信頼性のある者で企業
集団等から独立した者であり、公表されているインプットの契約時からの推移と入手し
た相場価格との間に明らかな不整合はないと認められる場合で、かつ、レベル 2 の時価
に属すると判断される場合には、次のデリバティブ取引につては、当該第三者から
手した相場価格を時価とみなすことができる
(1) インプットである金利がその全期間にわたって一般に公表されており観察可
である同一通貨の固定金利と変動金利を交換する金スワップ(いわゆるプレイ
ン・バニラ・スワップ
(2) インプットである所定の通貨の先物為替相場がその全期間にわたって一般に
表されており観察可能である為替予約又は通貨スワップ
なお、プション含むような取引については、利用されるボラティリティの種類に
よってはレベル 3 の時価に分類されると考えられるため、本項の適用の対象外とする。
(投資信託の時価の算定に関する取扱い)
投資信託財産が金融商品である投資信託の取扱い
24-2. 資信託財産が金融商品である投資信託(契約型及び会社型の双方の形態を含む
下同じ。)について、市場における取引価格が存在せず、かつ、解約又は買戻請求(以
下合わせて「解約等」という。)に関して市場参加者からリスクの対価を求められるほ
どの重要な制限がない場合、基準価額を時価とする。ただし、会計基準における時価の
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定義を満たす、他の算定方法により算定された価格の利用を妨げるものではない。
24-3. 資信託財産が金融商品である投資信託について、市場における取価格が存在せず、
かつ、解約等に関して市場参加者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限があ
る場合、次のいずれかに該当するときは、基準価額を時価とみなすことができる。
(1) 該投資信託の財務諸表が国際財務報告基準(IFRS)又は米国会計基準に従い
成されている場合
(2) 該投資信託の財務諸表が IFRS 及び米国会計基準以外の会計基準に従い作成さ
れ、当該会計基準における時価の算定に関する定めが IFRS 13 公正価値測定」
又は Accounting Standards Codification(米国財務会計基準審議会(FASB)によ
る会計基準のコード化体系) Topic 820「公正価値測定」と概ね同等であると
断される場
(3) 該投資信託の投資信託財産について、一般社団法人投資信託協会が定める「投
資信託財産の評価及び計理等に関する規則」に従い評価が行われている場合
24-4. 項の「解約等に関して市場参加者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限
がある場合」における、その重要性の判断は仮にその解約等に関する制限により基準
価額を調整する際の金額的重要性により行う例えば、次のような制限のみがある場合
はこれに該当しない。
(1) 件が満たされる蓋然性が低い条件付きの解約制限(金融商品取引所の取引停
などやむを得ない事情がある場合にのみ、一部解約等を制限する場合など)
(2) 約に応じる投資信託委託会社の事務手続の便宜のための最低解約額の設
(3) 約可能日が定期的に設定されており、その間隔が短い(例えば、1 月程度)
もの
24-5. た、海外の法令に基づいて設定された投資信託(以下「海外で設定された投資信託」
というに対して 24-3 項の取扱いを適用する際、時価の算定日と基準価額の算定日
との間の期間が短(通常は 1 か月程度と考えられるが投資信託財産の流動性などの
特性も考慮する。)場合に限り、基準価額を時価とみなすことができる
24-6. 24-2 項の取扱いを適用し、基準価額を時価とする場合、解約等に関して市場参加
者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限がなく、当該基準価額により解約等
ができることで、第三者から入手した相場価格が会計基準に従って算定されたものであ
ると判断することができる( 18 項参照
また、 24-3 項の取扱いを適用し、基準価額を時価とみなす場合、 24-3 項(1)から
(3)のいずれかに該当することで三者から入手した相場価格が会計基準に従って算
されたものであるとみなすことができる(第 18 参照)
24-7. 適用指針 24-3 項の取扱いを適用した投資信託については、企業会計基準適用
針第 19 号「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」(以下「金融商品時価開示適用
指針」という 4 に定める事項を他の金融商品と合わせて注記したうえで、当該
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資信託の貸借対照表計上額の合計額が重要性に乏しい場合を除き本適用指針第 24-3
項の取扱いを適用した投資信託が含まれている旨を併せて注記する
また、金融商品時価開示適用指針第 5-2 項に定める事項を注しないこととし、その
場合、他の金融商品における金融商品時価開示適用指針第 5-2 (1)の注記に併せて
の事項を注記する。なお、連結財務諸表において注記している場合には、個別財務諸表
において記載することを要しない。
(1) 適用指針 24-3 項の取扱いを適用しており金融商品時価開示適用指針 5-2
項に定める事項を注記していない旨
(2) 適用指針 24-3 項の取扱いを適用した投資信託の貸借対照表計上額の合計額
(3) (2)の合計額が重要性に乏しい場合を除き、(2)の期首残高から期末残高への調整
調整表を作成するにあたっては、以下を区別して示す。
当期の損益に計上した額及びその損益計算書における科目
当期のその他の包括利益に計上した額及びその包括利益計算書における科
購入、売却及び償還のそれぞれの額(ただし、これらの額の純額を示すこと
もでき
これまで本適用指針 24-3 項の取扱いを適用しておらず当期に本適用指針
24-3 項の取扱いを適用することとした額及びこれまで本適用指針 24-3
の取扱いを適用していたものの、当期に本適用指針 24-3 項の取扱いを適用
ないこととした額
また、①に定める当期の損益に計上した額のうち貸借対照表日において保有する
投資信託の評価損益及びその損益計算書における科目を注記する。
(4) (2)の合計額が重要性に乏しい場合を除き、(2)の時価の算定日における解約等に
関する制限の内容ごとの内訳
解約等に関する制限の内容が異なる投資信託を複数保有している場合、本適用指
針第24−3項の取扱いを適用するとし判断の前提となった解約等に関する制限の内
容が類似する投資信託ごとに集計したうえで、当該投資信託の貸借対照表計上額の
合計額に重要性があるものを対象として、解約等に関する制限の主な内容及び貸借
対照表計上額の合計額を注記することができる。
投資信託財産が不動産である投資信託の取扱
24-8. 資信託財産が不動産である投資信託(契約型及び会社型の双方の形態を含む。以下
同じ。)について、市場における取引価格が存在せず、かつ、解約等に関して市場参加
者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限がない場合基準価額を時価とする。
ただし会計基における時価の定義を満たす他の算定方法により算定された価格の
利用を妨げるものではない。
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24-9. 資信託財産が不動産である投資信託について、市場おける取引価格が存在せず、
かつ、解約等に関して市場参加者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限があ
る場合基準価額を時価とみなすことができる。なお時価の算定日における基準価額
がない場合は、入手し得る直近の基準価額を使用する。
24-10. 前項の「解約等に関して市場参加者からリスクの対価求められるほどの重要な制
限がある場合」における、その重要性の判断は、仮にその解約等に関する制限により基
準価額を調整する際の金額的重要性により行う。また、これに該当しない例示は投資
託財産が金融商品である投資信託の 24-4 項と同様である
24-11. 24-8 項の取扱いを適用し、基準価額を時価とする場合、解約等に関して市場参
者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限がなく、当該基準価額により解約
ができることで、第三者から入手した相場価格が会計基準に従って算定されたものであ
ると判断することができる( 18 項参照
また、 24-9 項の取扱いを適用し、基準価額を時価とみなす場合、第三者から入手し
た相場価格が会計基準に従って算定されたものであるとの判断は要しない(第 18 項参
照)
24-12. 本適用指針第 24-9 項の取扱いを適用した投資信託については、金融商品時価開示
用指針 4 項に定める事項を他の金融商品と合わせて注記したうえで、当該投資信託
貸借対照表計上額の合計額が重要性に乏しい場合を除き、本適用指針第 24-9 項の取扱
いを適用した投資信託が含まれている旨を併せて注記する。
また、金融商品時価開示適用指針第 5-2 項に定める事項を注しないこととし、その
場合、他の金融商品における金融商品時価開示適用指針第 5-2 (1)の注記に併せて
の事項を注記する。なお、連結財務諸表において注記している場合には、個別財務諸表
において記載することを要しない。
(1) 適用指針 24-9 項の取扱いを適用しており金融商品時価開示適用指針 5-2
項に定める事項を注記していない旨
(2) 適用指針 24-9 項の取扱いを適用した投資信託の貸借対照表計上額の合計額
(3) (2)の合計額が重要性に乏しい場合を除き、(2)の期首残高から期末残高への調整
調整表を作成するにあたっては、適用指針第 24-7 項(3)と同様と「本適用指
針第 24-3 項」は「本適用指針第 24-9 項」と読み替えるものとする。
投資信託財産が金融商品である投資信託及び投資信託財産が不動産ある投資信託の共
通の取扱い
24-13. 投資信託財産が金融商品と不動産の両方を含む場合、資信託財産が金融商品であ
る投資信託又は投資信託財産が不動産である投資信託のどちらの取扱いを適用する
は、投資信託財産に含まれる主要な資産等によって判断する。
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24-14. 投資信託財産が不動産の信託に係る受益権である場合、信託財産たる不動産その
ものが投資信託財産であるのと同様に取り扱う。
24-15. 投資信託の解約等を行う際に投資家が負担する信託財留保額は、投資信託の時価
の算定上の調整項目に含めない。
(貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資の時価の注記に関する取扱い)
24-16. 貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資(移管指針第 9 号「金
商品会計に関する実務指針」(以下「金融商品実務指針」という 132 項及び 308
項)については、金融商品時価開示適用指針 4 項(1)に定める事項の注記を要しない
こととし、その場合、他の金融商品における金融商品時価開示適用指針 4 項(1)の注
記に併せて次の事項を注記するなお、結財務諸表において注記している場合には、
個別財務諸表において記載することを要しない。
(1) 項の取扱いを適用しており、金融商品時価開示適用指針第 4 項(1)に定める事
項を注記していない旨
(2) 項の取扱いを適用した組合等への出資の貸借対照表計上額の合計
Ⅳ.適用時期等
1.適用時期
25. 2019 年公表の本適用指針(以下「2019 年適用指針」といの適用時期等は、会
基準と同様とする
25-2. 2021 年改正の本適用指針以下「2021 年改正適用指針」という。は、2022 4 1
日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用する
25-3. 項の定めにかかわらず、2021 4 1 日以後開始する連結会計年度及び事業年
の期首から 2021 年改正適用指針を適用することできる。また2022 3 31 日以後
終了する連結会計年度及び事業年度における年度末に係る連結財務諸表及び個別財
諸表か 2021 年改正適用指針を適用することがきる。
2.経過措置
26. 除)
27. 除)
27-2. 2021 年改正適用指針の適用初年度においては、2021 年改正適用指針が定める新た
会計方針を将来にわたって適用する。この場合、その変更の内容について注記する
27-3. 2019 年適用指針第 26 項の経過措置を適し、金融商品時価開示適用指針第 5-2 項の
注記をしていなかった投資信託に関する金融商品時価開示適用指針第 5-2 項の注記事項
については2021 年改正適用指針の適用初年度において、連結財務諸表及び個別財務諸
表に併せて表示される前連結会計年度及び前事業年度に関する注記(以下合わせて「比
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較情報」という。)を要しない
27-4. 2021 年改正適用指針を年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用する
合には、2021 年改正適用針の適用初年度における本適用指 24-7 (3)及
24-12 (3)の注記並びに 2019 年適用指針 26 項の経過措置を適用し、金融商品時価開
示適用指針 5-2 項の注記をしていなかった投資信託で、本適用指針第 24-3 項及び第
24-9 項の取扱いを適用しないものに関する金融商品時価開示適用指針第 5-2 (4)②
注記を省略することができる
また、の場合用初年度の翌年度においては適用指針第 24-7 項(3)及び 24-12
項(3)の比較情報並びに 2019 年適用指針 26 項の経過措置を適用し融商品時価開示
適用指針第 5-2 項の注記をしていなかった投資信託で適用指針 24-3 項及び 24-9
項の取扱いを適用しないものに関する金融商品時価開示適用指針第 5-2 項(4)②の比
情報は要しない。
Ⅴ.議
28. 2019 年適用指針は、 411 回企業会計基準委員会に出席した委員 14 名全員の賛成
より承認された。
28-2. 2021 年改正適用指針は、 459 回企業会計基準委員会に出席した 14 名全員の賛
成により承認された。
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結論の背景
29. 委員会は時価の算定に関する会計基準を定めるため、2019 7 月に会計基準を公
表し、併せ 2019 年適用指針を公表した。
29-2. 本公認会計士協会における 2019 7 4 日の改正の直前の金融商品実務指針第 62
項の取扱いでは、投資信託の時価は、取引所の終値若しくは気配値又は業界団体が公
する基準価格が存在する場合には当該価格とし、当該価格が存在しない場合には投資信
託委託会社が公表する基準価格、ブローカーから入手する評価価格又は情報ベンダーか
ら入手する評価価格とすることとされていた2019 年適用指針においては投資信託
時価の算定については関係者との協議等に一定の期間が必要と考えられるため会計
基準公表後概ね 1 年をかけて検討を行うこととした。
当委員会では、投資信託の時価の算定について、投資信託財産が会計基準の対象に
まれる金融商品である投資信託及び投資信託財産が会計基準の対象に含まれない不動産
である投資信託に区分したうえで審議を行い2021 1 月に企業会計基準適用指針公開
草案第 71 (企業会計基準適用指針 31 号の改正案)「時価の算定に関する会計基準
適用指針(案)以下「2021 年公開草案」という)を公表し広く意見を求めた。2021
年改正適用指針は、2021 年公開草案に対して寄せられた意見を踏まえて検討を行い、
2021 公開草案の内容を一部修正したうえで公表に至ったものである
また、投資信託の時価の算定を検討するにあたっては、現状では多様な取扱いがな
れている市場価格のない投資信託財産が不動産である投資信託の貸借対照表価額を時価
に統一するか否かについても検討を行っている( 49-9 項及び 49-10 項参照)
29-3. た、貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資については、時価
把握することが極めて困難と認められることを理由に時価の注記を行っていないケース
が従来みられているが2019 年適用指針においては一定の検討を要するため、前項の
投資信託に関する取扱いを改正する際に取扱いを明らかにすることとしていた。
当委員会においては、貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資の
価の注記に関する取扱いについて審議を行い2021 年公開草案を公表し広く意見を求め
た。2021 年改正適用指針は、2021 年公開草案に対して寄せられた意見を踏まえて検討を
行い、公表に至ったものである。
Ⅰ.時価の算定
1.時価の算定の前提
30. 4 項(3)では、資産を売却する又は負債を移転する取引は、企業が算定日において
利用できる主要な市場又は最も有利な市場で行われるものと仮定することとしてい
が、次の点について留意することが必要であると考えられる。
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(1) 要な市場と最も有利な市場は同一であることが多いが資産又は負債に係る
要な市場がある場合には、他の市場における価格が有利となる可能性があるとして
も、当該主要な市場における価格を表すように時価を算定する
(2) 要な市場は、対象となる資産又は負債についての取引の数量又は頻度に基づ
て判断するものであり、特定の市場における企業の取引の数量又は頻度に基づいて
判断するものではない
(3) 業が利用できる主要な市場又は最も有利な市場は、業自身の判断に基づき
定するため、異なる活動を行う企業間では異なる可能性があり、同様に、市場参
者も企業間で異なる可能性がある。
(4) 要な市場又は最も有利な市場について、企業が利用可能である市場でなけれ
ならないが、当該市場での価格に基づいて時価を算定できるための条件として、
定日において特定の資産の売却又は特定の負債の移を行えることは必要ではな
い。
31. 4 項(4)では、市場参加者が資産又は負債の時価を算定する際に用いる評価技法及
びインプットを用いて、市場参加者が自らの経済的利益を最大化するように行動すると
仮定することとしているが、次の点について留意することが必要であると考えられる。
(1) 算定日現在の資産の売却又は負債の移転に係る相場価格の情報を提供する市
がない場合でも、時価の算定にあたっては、当該資産又は負債を保有する市場参加
者の観点を考慮して、当該算定日に生じる取引を仮定する。
(2) 場参加者を想定するにあたっては、具体的な市場参加者を特定する必要はな
が、次の要因を考慮して想定する。
対象となる資産又は負債
①の資産又は負債に関する主要な市場又は最も有利な市場
②の市場で企業が取引を行う市場参加者
32. 価の算定にあたって用いる主要な市場又は最も有利な市場における価格は、取得
は売却に要する付随費用について調整しないとしている(第 4 項(5)参照)これは、取
得又は売却に要する付随費用は、資産又は負債の特性ではなく、取引に固有のものであ
り、企業の取引の形態により異なるためである。
ただし、例えば、物商品(コモディティ)について、その所在地が産の特性であ
る場合には、資産特性(資産の所在地)を変化させる輸送費用について、主要な市場
又は最も有利な市場における価格を調整することに留意する必要がある
33. 計基準第 31 項(2)において、時価は出口価格であるとしいる。取引価格は、交
取引において資産を取得するために支払った価格又は負債を引き受けるために受け
った価格であり入口価格であるため、必ずしも時価とは同一とはならない。もっとも、
取引日において資産を取得する取引が当該資産が売却される市場で行われる場合には、
当初認識時の時価が取引価格と同一となることが多い。そのため、企業は、取引及び資
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産又は負債に固有の要因を考慮して、当初認識時の時価が取引価格と同一となるかどう
かを判断する必要があると考えられる(第 4 項(6)参照)
2.時価の算定方法
(1)評価技
(当初認識後の補正)
34. 引価格が当初認識時の時価であり、当初認識より後における時価を算定するために
観察できないインプットを使用する評価技法(第 5 項参照)が用いられる場合には、当
初認識時において評価技法を用いた結果が取引価格と同一となるように評価技法を
正する必要があると考えられる。
(現在価値技法)
35. ンカム・アプローチ(第 5 (2)参照)には、現在価値技法が含まれる。現在価値
技法にはさまざまな方法があるが、どのような方法を用いるは、対象となる資産又
負債に固有の事実及び状況や十分なデータが利用できるかどうかによるまた、時価の
算定に現在価値技法を用いるにあたっては、次の点について留意することが必要である
と考えられる。
(1) 場参加者の観点から算定日における次の要素のすべてを考慮する
対象となる資産又は負債の将来キャッシュ・フローの見積り
キャッシュ・フローに固有の不確実性を表すキャッシ・フローの金額及
時期の変動の可能性についての予想
貨幣の時間価値(信用リスクフリーレート
キャッシュ・フローに固有の不確実性を負担するための対価(リスク・プレ
ミアム
その状況において市場参加者が考慮に入れる他の要素
負債については、負債の不履行リスク
(2) 在価値技法の使用における一般的な原則は、次のとおりである。
キャッシュ・フロー及び割引率は、市場参加者が資産及び負債の時価を算
する際に用いる仮定を反映する。
キャッシュ・フロー及び割引率は、対象となる資産又は負債に起因する要
のみを考慮する。
スク要因の影響を二重に計算ないように又はリスク要因の影響が除
れないように、割引率はキャッシュ・フローに固有の仮定と整合する仮定を
映する
例えば貸付金のキャッシュ・フローとして契約上のキャッシュ・フロー
用いる場合には、割引率は将来の債務不履行に関する予想を反映す(割引
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調整法)。一方、期待キャッシュ・フローを用いる場合には、当該期待キャッ
シュ・フローに将来の債務不履行に関する不確実性に係る仮定が既に反映され
ているため、割引率調整法と同じ割引率ではなく、当該期待キャッシュ・フ
ーに固有のリスクと整合的な割引率を用いる(期待現在価値法
キャッシロー及び割引率に関する仮定は、相互に整合的なものとする。
例えば物価上昇の影響を含む名目キャッシュ・フローは物価上昇の影響
を含んだ割引率で割り引き、物価上昇の影響を除く実質キャッシフローは
物価上昇の影響を除く割引率で割り引く。また同様に、税引後のキャッシュ
フローは税引後の割引率で割り引き、税引前のキャッシュ・フローは、当該キ
ャッシュ・フローと整合する割引率で割り引く。
割引率はキャッシュ・フローが表示される通貨の基礎的な経済的要因と整
合したものとする
(3) 在価値技法においては、キャッシュ・フローの見積りに不確実性が存在する
め、市場参加者がキャッシュ・フローに固有の不確実性に対する対価として要求す
る金額を反映するリスク・プレミアムを含める。適切なリスク・プレミアムの決
に関する困難さの度合いのみでは、リスク・プレミアムを含めない十分な根拠とは
ならない。
(4) 在価値技法には、リスクの調整方法及び用いるキャッシュ・フローの種類によ
り、例えば、次の方法がある
割引率調整法
リスク調整後の割引率と、契約上の若しくは約束された、又は最も可能性
高いキャッシュ・フローを用いる方法([設 3]及び[設例 8]
期待現在価値法(確実性等価法)
リスク調整後の期待キャッシ・フローと信用リスクフリーレートを用い
方法([設 4])
期待現在価値法(リスク調整法)
リスク調整を行わない期待キャッシュ・フローと、市場参加者が要求する
スクプレミアムを含めるように調整した割引(①で用いる割引率とは異な
る。)を用いる方法([設例 4])
(5) (4)①の割引率調整法は、発生し得ると考えられる単一のキャッシュ・フローを
用いる方法であり当該キャッシュ・フローは特定の事象の発生を条件とする(例
えば、債務者の債務不履行が発生しないことを条件とする。
また、割引率調整法で用いる割引率は、市場で取引されている類似の資産又は
債についての観察可能な利回りから算出する当該割引率の算出にあたって、資産
又は負債が類似のものかどうかを判断する際には、次の要因を考慮する
キャッシュ・フローの性質(例えば、キャッシュ・フローが契約上のもので
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あるのか、経済状況の変化に同様に反応するのか等)
その他の要因(例えば、信用度、担保、デュレーション、制限条項、流動
等)
なお、単一の類似の資産又は負債が、時価の算定対象となる資産又は負債の
キャッシュフローに固有のリスクを適切に反映していない場合には複数
類似の資産又は負債に関するデータについて信用リスクのないイールド・カ
ーブを用いて割引率を算出することができる可能性がある([設例 3])
(6) (4)②及び③の期待現在価値法は将来キャッシフローの見積りに期待(発
生し得ると考えられる金額を確率で加重平均した金額)を用いる方法であり、当該
キャッシュ・フローは、発生し得るすべてのキャッシュ・フローが確率加重されて
いるものであるため、特定の事象の発生を条件とするものではない。
その方法としては次の確実性等価法とリスク調整法があるが、理論上は同じ算
定結果となるものであり、時価の算定対象となる資産又は負債に固有の事実と状況
及び入手できる情報等を勘案して、いずれかの方法を選択する
確実性等価法は特定の資産又は負債に固有のものではない市場におけるリ
スクを期待キャッシュ・フローに反映するように調整し、そのリスク調整後の
期待キャッシュ・フロー(確実性等価キャッシュ・フロー)を信用リスクフ
ーレートで割り引くことにより、現在価値を算定する方法である。確実性等価
キャッシュ・フローは、期待キャッシュ・フローと交換することが市場参加者
にとって無差別となるような確実に得られるキャッシュ・フローである([設
4])
リスク調整法は特定の資産又は負債に固有のものではない市場におけるリ
スクを信用リスクフリーレートに加算して割引率を算定し、将来キャッシュ
フローの期待値を当該割引率で割り引くことにより、現在価値を算定する方法
である当該割引率は、リスク資産の価格算定モデル(例えば、資本資産価格
モデル(CAPM))を用いて見積ることができる。なお、当該割引率は、特定の
事象の発生を条件とするキャッシュ・フローに対応する割引率ではないため、
割引率調整法における特定の事象の発生を条件とするキャッシュ・フローに対
応する割引率より、通常、小さくなる([設 4])
(2)インプット
(インプットの調整)
36. 価を算定するにあたっては資産又は負債の特性に基づきインプットの調整を行う
かどうかを考慮する。その際には、次の点に留意することが必要であると考えられる。
(1) 該調整は、対象となる資産又は負債に適用される会計処理又は開示における
位(会計基準第 6 項)と整合的なものとする。
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(2) 産又は負債の保有規模について、資産又は負債に固有の特性(例えば、支配
レミアム( 8 項参照として時価に反映するかどうかを考慮する。
(3) 産又は負債の保有規模について、企業による保有の特(例えば、市場におけ
る通常の日次取引高では売却できないほどに金融商を大量に保有している状況
(第 7 項参照は時価に反映しない。
(レベ 2 のインプット)
37. ベル 2 のインプット(第 12 項参照)としては、例えば、次のものがある。
(1) 期間にわたり観察可能なスワップ・レート
スワップ・レートに基づく固定受・変動払の金利スワップに関して、スワップ・
レートが金利スワップのほぼ全期間にわたり一般的公表されている間隔で観察
可能である場合、当該スワップ・レートはレベル 2 のインプットとなる
(2) ぼ全期間にわたり観察可能な外貨建イールド・カーブに基づくスワップ・レー
外貨建イールド・カーブに基づく固定受・変動払の金利スワップに関して、外貨
建イールド・カーブに基づくスワップ・レートが金利スワップのほぼ全期間にわた
り一般的に公表されている間隔で観察可能である場合、当該外貨建イールド・カー
ブに基づくスワップ・レートはレベ 2 のインプットとなる
例えば金利スワップの期間が 10 年であり9 年目までのスワッレートは一
般的に公表されている間隔で観察可能であるが、10 年目のスワッートについ
てはイールド・カーブから合理的に推定することにより算出している場合に、当該
推定が金利スワップ全体の時価に対して重要性に乏しいときが該当する
(3) 察可能な市場データに裏付けられるインプライド・ボラティリテ
3 年物の株式オプションに関して、当該株式に係 1 年物と 2 物の株式オプシ
ョンの価格が観察可能であり、かつ、推定により算出し 3 年物の株式オプション
のインプライドボラティリティが当該オプションのほぼ全期間について観察可能
な市場データの裏付けがある場合、3 目までの推定によるインプライド・ボラテ
ィリティはレベル 2 のインプットとなる。
具体的には、当該インプライド・ボラティリティは、1 年物及び 2 年物の株式オ
プションのインプライド・ボラティリティとの相関関係があることを前提として、
1 物及び 2 物の株式オプションのインプライド・ボラティリティからの推定に
よって算出され、比較可能な類似企業の 3 年物の株式オプシンのインプライド・
ボラティリティによって裏付けられる場合である
(レベ 3 のインプット)
38. ベル 3 のインプットを用いるにあたっては、市場参加者が資産又は負債の時価を算
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定する際に用いる仮定を反映するとしている(第 14 項参照)。当該仮定には、特定の評
価技法に固有のリスク及びインプットに固有のリスクが含まれると考えられる。
例えば資産又は債の取引の数量又は頻度が著しく低下し、取引価格又は相場価
が時価を表していないと判断した場合等、時価の算定に重要な不確実性が存在する場合
には、リスクに関する調整を時価の算定に反映することが必要となる可能性がある
39. ベル 3 のインプット(第 14 項参照)としては、例えば、次のものがある。
(1) 察可能な市場データによる裏付けがないスワップ・レート
長期の通貨スワップに関して、各通貨のイールド・カーブからスワップ・レート
を算出しているが所定の通貨のイールド・カーブが、当該通貨スワップのほぼ全
期間にわたり一般的に公表されている間隔で観察可な市場データによる裏付け
がない場合、当該スワップ・レートはレベル 3 のインプットなる。
(2) ストリカル・ボラティリテ
3 年物の株式オプションに関して、過去の株価から算出されたヒストリカル・ボ
ラティリティはレ 3 のインプットとなる。通常、ヒストリカル・ボラティリテ
ィは、オプションの価格に利用できる唯一の情報であるとしても、将来のボラティ
リティに対する市場参加者の現在の期待を表すものではない。
(3) 察可能な市場データによる裏付けがない価格調整
金利スワップに関して当該スワップについての第三者から提供された取引可能
ではない価格に対する調整が観察可能な市場データによる裏付けのないデータを
用いて決定された場合、当該価格調整はレベ 3 のインプッとなる。
(3)資産又は負債の取引の数量又は頻度が低下している場合
(資産又は負債の取引の数量又は頻度が著しく低下している場合)
40. 資産又負債の取引の数量又は頻が当該資産又は負債に係る通常の市場における
活動に比して著しく低下している場合には、当該資産又は負債の時価の算定に影響を及
ぼす可能性があるそのため、入手できる情報に基づき、要因の重要性及び関連性を
価して判断することとした( 16 項参照
(秩序ある取引ではない取引の取扱い
41. 資産又負債の取引の数量又は頻が当該資産又は負債に係る通常の市場における
活動に比して著しく低下している場合、取引が秩序ある取引かどうかを判断するとして
いる( 17 項参照。そうした判断には困難が伴うが、そのような状況において、
市場におけるすべての取引が秩序ある取引ではない(すなわち、強制的な清算取引又は
投売りと結論付けることは適切ではないことに留意する必要がある。取引が秩序ある
取引かどうかを判断するにあたっては、例えば、次の秩序ある取引ではないことを示す
状況を考慮することが考えられる。
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(1) 在の市場環境の下で、当該取引に関して通常かつ慣習的な市場における活動
できるように、時価の算定日以前の一定期間について取引が市場に十分さらされて
いないこと
(2) 常かつ慣習的な市場における活動の期間があったが、売手が一人の買手とし
交渉していないこ
(3) 手が破綻又は破綻寸前であるこ
(4) 手が規制上又は法的な要請から売却せざるを得ないこ
(5) 近の同一又は類似の取引と比較して、取引価格が異常値であるこ
42. 取引が序ある取引であるかどうを判断するために十分な情報を入手できている
かどうかに関して(第 17 項(3)参照、企業が取引当事者である場合、当該取引が秩序
ある取引かどうかを判断するための十分な情報を有するとみなすことが適当と考え
れる。
(第三者から入手した相場価格の利用
43. 第三者ら入手した相場価格が会基準に従って算定されたものであると判断する
場合には、当該価を時価の算定に用いることができるとしいる( 18 項参照)。当
該判断にあたって、例えば、企業は次のような手続を実施することが考えられる。
お、次の手続は例であり、状況に応じて選択して実施する。また、記載したもの以
の手続によることも考え得る
(1) 該第三者から入手した価格と企業が計算した推定値とを比較し検討する
(2) 他の第三者から会計基準に従って算定がなされていると期待される価格を入
できる場合当該他の第三者から入手した価格と当該第三者から入手した価格とを
比較し検討する。
(3) 該第三者が時価を算定する過程で、会計基準に従った算(インプットが算定
日の市場の状況を表しているか、観察可能なものが優先して利用されているか、
た、評価技法がそのインプットを十分に利用できるものであるかなどがなされて
いるかを確認する
(4) 業が保有しているかどうかにかかわらず、会計基準に従って算定されている
似銘柄(同じアセットクラスであり、かつ同格付銘柄など)の価格と比較する。
(5) 過去に会計基準に従って算定されていると確認した当該金融商品の価格の時
列推移の分析など商品の性質に合わせた分析を行う。
44. 資産又負債の取引の数量又は頻が当該資産又は負債に係る通常の市場における
活動に比して著しく低下していると判断した場合には、第三者から入手した相場価格
時価の算定に考慮する程度について判断するとしている(第 18 項参照その際には
当該相場価格の性(例えば、当該相場価格が参考価格であるのか又は当該第三者と取
引可能な価格であるのか)を考慮する。例えば、第三者から手した相場価格が、当該
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第三者と取引可能な価格である場合は、参考価格である場合に比べて時価の算定に考慮
する程度を高くすることに留意する必要があると考えられる。
(4)負債又は払込資本を増加させる金融商品の時価
45. 債の時価の算定にあたっては、当該負債の時価を算定する単位に基づき、負債の不
履行リスクの影響を反映するとしている会計基準 15 項及び本適用指針第 22 項参照
第三者の信用補完例えば、第三者による債務保証)が付された負債であって、当該
三者の信用補完が負債とは別に処理される場合には、負債の時価の算定には、保証人で
ある第三者の信用リスクではなく、企業自身の信用リスクを考慮することに留意す
(第 21 項参照
46. 債又は払込資本を増加させる金融商品の時価を算定するにあたっては、負債又は
込資本を増加させる金融商品の移転に関する制約の影響について、次の点に留意する
とが必要であると考えられる
(1) 債又は払込資本を増加させる金融商品の移転に関する制約の影響は、通常、
価の算定におけるインプットに反映されているため、当該制約の影響についてイン
プットを調整しない。
例えば負債の取引日において、移転に関する制約が当該負債に含まれているこ
とを認識したうえ、債権者と債務者の双方が当該負債の取引価格に合意した場合
移転に関する制約の影響は取引価格に反映されているため、追加的な調整は行わな
い。これは、その後の時価の算定日においても同様である。
(2) だし、移転に関する制約が時価の算定におけるインプットに反映されていな
ことを認識している場合には、当該制約の影響についてインプットを調整する。
47. 求払の特徴を有する金融負債の時価については、多くの場合、観察される市場価格
は債権者からの要求に応じて直ちに支払われる金額であり、支払が要求される可能性の
ある最も早い日から当該支払われる金額を割り引いた金額を下回らない(第 23 項参照)
これにより、例えば、時価は預金額を当該預金が残存すると企業が予想する期間にわた
って割り引いた金額にはなり得ない
3.その他の取扱い
48. 適用指針では、これまで我が国で行われてきた実務等に配慮し、財務諸表間の比較
可能性を大きく損なわせない範囲で、個別項目に対するその他の取扱いを定めている。
(第三者から入手した相場価格の利用
49. 資産の大部分を金融資産が占め、かつ総負債の大部分を金融負債及び保険契約から
生じる負債が占める企業とは銀行、険会社、証券会社、ノンバンク等が想定される。
これら以外の企業集団等においては、実務におけるコストと便益を比較衡量した結果、
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時価の算定の不確実性が相当程度低いと判断される特定のデリバティブ取引につい
は、第三者から提供された価格を時価とみなすことができるとするその他の取扱いを定
めることとした( 24 項参照
(投資信託の時価の算定に関する取扱い)
投資信託財産が金融商品である投資信託の取扱い
49-2. 計基準 5 項に定める時価の定義により金融商品取引所(それに類する外国の法
令に基づき設立されたものを含むに上場しており、その市場が主要な市場となる投資
信託で、その市場における取引価格が存在する場合、当該価格が時価になると考えられ
る。なお、ここでの「市場における取引価格」は当該金融商品取引所における取引価格
を意図しており、仮に相対市場における取引価格が存在する場合でも、「市場における
引価格」には該当しない。
また、市場における取引価格が存在せず一般に基準価額にる解約等主要な清
手段となっている投資信託については、投資信託の購入及び解約等の際の基準となる基
準価額を出口価格として取り扱うことができると考え、投資信託について、市場にお
る取引価格が存在せずかつ、解約等に関して市場参加者からリスクの対価を求められ
るほどの重要な制限がない場合、基準価額も時価となることを示した(本適用指針
24-2 参照)
なお、本適用指針第 29-2 項に記載の金融商品実務指針第 62 項においては、投資信
の定義は定められておらず、契約型又は会社型のいずれの形態を指すのかが必ずしも明
らかではなかったが、本適用指針では両者を含むことを明らかにしたまた、基準価格
という用語を、一般社団法人投資信託協会が定める規則に合わせ基準価額という用語
変更しているが、内容の変更を意図するものではない。
49-3. 方、市場における取引価格が存在せかつ、解約等に関して市場参加者からリ
クの対価を求められるほどの重要な制限がある場合は、 4 項(1)に定める時価を算定す
る際に考慮する資産の特性に該当し、投資信託財産の評価額の合計額を投資信託の総口
数で割った一口当たりの価額である基準価額が時価となるわけではなく、基準価額を基
礎として時価を算定する場合には何らかの調整が必要になるものと考えられる。
ここで基準価額に対して調整を行うことを求めた場合、投資信託が業種を問わず
く保有されていることを踏まえると、その影響も広範囲にわたることが予想され、実務
的な対応に困難を伴うことが想定される。
そのため、投資信託財産が金融商品ある投資託の解約等に関して市場参加者か
リスクの対価を求められるほどの重要な制限がある場合一定の要件に該当するときは、
基準価額を時価とみなすことができるとした(第 24-3 項参照。なお当該要件につい
て、投資信託を構成する個々の投資信託財産の評価において、会計基準と整合する評
基準が用いられているかを確認することを求めると、適用の困難さが生じると考えら
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るため、第 24-3 項(1)及び(2)においては当該投資信託の財務諸表が、IFRS、米国会
計基準又はこれらの基準における時価の算定に関する定めと概ね同等と判断される
計基準に従い作成されているかを確認すればよいこととした。
49-4. こで、会計基準の公表に伴う 2019 年改正の企業会計基準第 10 「金融商品に関す
る会計基準(以下「金融商品会計基準」というにより、市場価格のない株式等を除
き、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券の定めを削除したことに関
連し、2021 年公開草案に寄せられたコメントとして、投資信託財産が市場価格のない株
式等である投資信託について、市場価格のない株式等を直接保有している場合と、投資
信託財産として間接的に保有している場合とで貸借対照表価額が異なることとなること
に懸念する意見が聞かれた。
この点、一般に、投資信託は投資家から集めた資金の運用を専門家に任せ、運用成
を投資家に分配する金融商品であり、その商品特性を踏まえると、事業投資の目的で保
有されることも多いと考えられる市場価格のない株式等を直接保有している場合と、投
資信託財産の価値の増加を目的として投資信託として間接的に保有している場合とでは、
適用される会計処理も異なるものと考えられ、投資信託について時価をもって貸借対照
表価額とすることが適切と考えられる。こで資信託自体時価の算定においては、
前項のとおり、解約制限などその投資信託自体の特性を考慮して時価を算定する必要が
あり、投資信託財産の評価額の合計額を当該投資信託の総口数で割った一口当たりの価
額(すなわち基準価額)が必ずしも時価となるわけではない。
したがって投資信託財産が市場価格のない株式等である投資信託について、2019
改正の金融商品会計基準の取扱いを修正しないこととした。
49-5. た、解約等に関する制限がある場合において、それが市場参加者らリスクの対
を求められるほどの重要性があるか否かの判断が困難であることが懸念されたため、解
約等に関して市場参加者からリスクの対価を求められるほどの重要な制限がある場合に
該当しない例を示すこととした。ここで、審議において、その重要性の判断は、解約等
に関する制限自体の重要性ではなく、仮にその解約等に関する制限により基準価額を調
整する際の金額的重要性により行うことを明らかにすべきであるとの意見が聞かれたた
め、これを示した 24-4 項参照)
一方、解約等に関する制限の金額的重要性があるものの具体的な例示について、定
的な目安を示すことは困難であり、そうした目安のない例示は有用性の乏しいものにな
ると考えられるため、記載しないこととした
49-6. のほか会計基準第 5 項の時価の定義を踏まえる原則として、時価の算定日
おいて算定される基準価額を使用することとなるが、国内で設定された投資信託と異な
り、海外で設定された投資信託については情報の入手が困難である可能性があることを
踏まえ、時価の算定日と基準価額の算定日との間の期間が短い場合に限り、基準価額を
時価とみなすことができるとした( 24-5 項参照
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なお、時価の算定日と基準価額の算定日との間の期間が短い場合については一般に、
その投資信託財産が金融商品である、海外で設定された投資信託は、実務上、月次で基
準価額が算定されることが多いため、通常は 1 か月程度と考られるとし、それととも
に、投資信託財産の流動性が低い場合には、市場からの影響を受けにくく、基準価額を
時価の算定日で更新しても重要な差異が生じないこともあると考えられるため、1 か月
を超える場合については、投資信託財産の流動性などの特性も考慮することとした
49-7. お、基準価額は投資信託委託会社等が公表するものであり、 18 項に定める第
者から入手した相場価格に該当するため、会計基準に従って算定されたものであると判
断する必要がある。第 24-2 項又は第 24-3 項の取いを適用する場合、それを適用す
ための要件を満たすことをもって、会計基準に従って算定されたものであると判断がで
きる又は会計基準に従って算定されたものであるとみなすことができると考えられるた
め、第 43 項に例示した手続によらないことができることとした(第 24-6 項参照)
49-8. 適用指針 24-3 項の取扱いを適用した場合、会計基準の本則に従っていれば基
価額に対して調整を行うべきところ、一定の要件を満たすことを条件として基準価額を
時価とみなしているため、金融商品時価開示適用指針第 4 項に定める事項を注記するに
あたっては、他の金融商品と合わせて注記したうえで、基準価額を時価とみなしている
投資信託も当該注記に含まれていることを理解できるように、重要性に乏しい場合を除
き、本適用指針第 24-3 項の取扱いを適用した投資信託が含まれている旨を併せて注記す
ることとした。
一方、本適用指針第 24-3 項の取扱いを適用した場合、会計基準の本則に従って基準価
額に対して調整を行っていれば利用したであろうインプットのレベルは把握されないこ
ととなる。基準価額のインプットのレベルのみによって時価のレベルを決定することが
適切ではないことから、金融商品時価開示適用指針第 5-2 項に定める事項を注記しない
こととした
そのような取扱いとした場合何らかの補完的な情報が必要と考えられ、本適用指
24-3 項の取扱いを適用した投資信託の貸借対照表計上額の合計額が重要性に乏しい
場合を除いて、調整表の注記を求めることとした(本適用指針 24-7 項(3)参照)
れにより、基準価額で貸借対照表に計上されている投資信託について、その増減が購
及び売却等によって生じたのか、時価とみなしている基準価額の上昇及び下落による評
価替えによって生じたのか等が分かり、企業の対応の変化を理解することができるため、
財務諸表利用者にとって有用な情報を提供することになると考えられる
そのほか、当該取扱いを適用してい投資信託財務諸表に及ぼす影響について理
するために最低限必要とされる情報を提供するため、本適用指針第 24-7 に定める事
項を注記することとした。当該注記は他の金融商品における金融商品時価開示適用指針
5-2 項(1)の注記に併せて記載することとしてり、金融商品時価開示適用指針 5-2
項(1)の注記と同様に、連結財務諸表において注記している場合には、個別財務諸表に
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おいて記載することを要しないこととした。
ここで解約等に関する制限の内容とに投資託の貸借対照表計上額を集計した
えで注記することができるとしているが(本適用指針第 24-7 項(4)参照)、ある投資
託について、複数の種類の解約等に関する制限がある場合、コストと便益を考慮し、
も重要な解約等に関する制限の内容を特定したうえで、当該制限の内容に基づき集計
ることも認められると考えられる。
なお、時価をもって貸借対照表価額としないものの時価の注記を求め投資信託
想定されないため、当該投資信託について、本適用指針 24-3 の取扱いを適用した
場合に注記する事項の定めを設けないこととした
投資信託財産が不動産である投資信託の取扱
49-9. 場価格のない投資信託財産が不動産である投資信託については、資信託財産が
動産である投資信託に関する特段の定めがないことに起因し、実務上、会計処理に多様
性が生じており、次のケースが識別されている。
(1) 価をもって貸借対照表価額としているケース
(2) 時価を把握することが極めて困難と認められることを理由に取得原価をもっ
貸借対照表価額としているケース
49-10. ここで、会計基準において時価のレベルに関する概念取り入れ、たとえ観察可能
なインプットを入手できない場合であっても、入手できる最良の情報に基づく観察でき
ないインプットを用いて時価を算定することとしているため、このような時価の考え方
の下では、時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券は想定されないとし
ており(金融商品会計基準第 81-2 項)たとえ何らかの方式により価額の算定が可能と
しても、それを時価とはしないとする市場価格のない株式等を除き、時価をもって貸借
対照表価額とすることとしている。
また、投資信託財産が不動産である投資信託であったとしても投資信託財産が金
商品である投資信託と同様に通常は金融投資目的で保有される金融資産であると考
られ、時価をもって貸借対照表価額とすることは、財務諸表利用者に対する有用な財
情報の提供につながるものと考えられる。
これらを踏まえ、市場価格のない投資信託財産が不動産である投資信託について
過措置として、本適用指針第 29-2 項に記載の金融商品実務指針 62 項の取扱いを踏襲
した本適用指針第 26 項を削除し、金融商品会計基準に従い、一律に時価をもって貸借
対照表価額とすることで会計処理を統一することとした
49-11. これを踏まえ 49-2 項は投資信託産が不動産である投資信託についても同様
であるため、市場における取引価格が存在せず、かつ、解約等に関して市場参加者から
リスクの対価を求められるほどの重要な制限がない場合、基準価額も時価となることを
示した(第 24-8 項参照)
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49-12. また、市場における取引価格が存在せず、かつ、解約に関して市場参加者からリ
スクの対価を求められるほどの重要な制限がある場合は、基準価額に何らかの調整が必
要になるものと考えられる。この点 49-3 項と同様の理由により、準価額を時価と
みなすことができるとした( 24-9 項参照)
その際、第 49-6 項に記載のとおり、基準価額は時価の算定日に算定されるものを使
用することが原則と考えられるが、投資信託財産が不動産である投資信託は、基準価
の算定頻度が低く時価の算定日における基準価額がない場合が考えられる。この場合、
たとえ時価の算定日と基準価額の算定日との間の期間が短いとは言えないとしても
得原価より直近の基準価額の方が有用な情報と考えられるため投資信託財産が不動
である投資信託については、時価の算定日における基準価額がない場合は、入手し得
直近の基準価額を使用することとした。
また、投資信託財産である不動産については価の算定が会計基準の対象に含ま
ないことから、当該投資信託を構成する個々の投資信託財産の評価について会計基準
整合する評価基準が用いられている等の要件は設けないこととした。
49-13. 投資信託財産が金融商品である投資信託と同様(第 49-7 項参照) 24-8 項の
扱いを適用する場合、それを適用するための要件を満たすことをもって、第三者から入
手した相場価格が会計基準に従って算定されたものであると判断することができること
とした
また、基準価額を時価として用いる場合には該基準価額の適切性を確認するこ
になるが、 24-9 項の取扱いを適用する場合、投資信託財産である不動産の時価の算
定が会計基準の対象に含まれないことから、資信託財産の評価が会計基準に基づいて
いるか否かを確認することにより、基準価額が会計基準に従って算定されたものである
か否かを判断することが困難であることが考えられる。したがって、そのような手続
では求めないこととした(第 24-11 項参照
49-14. 24-9 項の取扱いを適用した場合、第 49-8 項と同様の理由で、金融商品時価開
適用指針第 5-2 項に定める事項を注記しないこととし、第 24-12 項に定める事項を注記
することとした。また、 49-8 項と同様に連結財務諸表にいて注記している場合に
は、個別財務諸表において記載することを要しないこととした
なお、 49-12 項のとおり、投資信託財産である不動産については、時価の算定が会
計基準の対象に含まれないことから投資信託財産が金融商品である投資信託における
24−7 項と同様に解約等に関する制限の内容の注記を求めたとしても、会計基準との
差異を理解するための有用な情報にはならないと考えられる。したがって、解約等に
する制限の内容の注記は求めないこととした
投資信託財産が金融商品である投資信託及び投資信託財産が不動産ある投資信託の共
通の取扱い
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49-15. 投資信託財産が金融商品と不動産の両方を含む場合、資信託財産が金融商品であ
る投資信託又は投資信託財産が不動産である投資信託のどちらの取扱いを適用するか、
企業が実態に合わせて判断することが必要となるため、投資信託財産に含まれる主要な
資産等によって判断することとした(第 24-13 項参照)
49-16. 投資信託の解約等を行う際に、基準価額から所定の信財産留保額を控除すること
が定められている場合がある
信託財産留保額は投資信託における将来に発生することが見込まれる取引又は管理
等にかかる費用に充当するために、投資信託財産内に留保されることとされている
のような性格を踏まえ、第 4 (5)に定める売却に要する付随費用と考えられるため、
投資信託の時価の算定上の調整項目に含めないこととした( 24-15 項参照
(貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等への出資の時価の注記に関する取扱い)
49-17. 組合等への出資は金融資産であるため、金融商品会計準では、従来から金融商品
時価開示適用指針 4 項(1)に定める時価の注記を求めているが時価を把握すること
極めて困難と認められることを理由に時価の注記を行っていないケースもみられた
ここで組合等への出資の会計処理については有価証券とは異なり時価をもって
借対照表価額とすることは求めておらず、次の方法のいずれかにより会計処理すること
とされている(金融商品実務指針第 308 項)
(1) 借対照表及び損益計算書双方について持分相当額を純額で取り込む方法
(2) 借対照表について持分相当額を純額で、損益計算書については損益項目の持
相当額を計上する方法
(3) 組合財産のうち持分割合に相当する部分を出資者の資産及び負債として貸借
照表に計上し、損益計算書についても同様に処理する方
49-18. 現状ではこれらの会計処理の使い分けの状況は必ずし明らかではない可能性があ
るため、どのようなケースで時価の注記を求めるかについては、どのようなケースで時
価をもって貸借対照表価額とすることが必要であるかと併せて検討する必要があると考
えられる。したがって会計処理について今後の検討課題であることを認識したうえで、
2021 改正適用指針においては貸借対照表に持分相当額を純額で計上する組合等へ
出資について、時価の注記を要しないこととした(第 24-16 項参照)
Ⅱ.適用時期等
1.適用時期
49-19. 2021 年公開草案では、会計基準は 2021 4 1 日以後開始する連結会計年及び
事業年度の期首から適用されること及び 2021 年改正適用指針による場合、企業にと
て追加的な作業を要すると考えられるものの一定の実務への配慮を行っていることから、
2021 改正適用指針は、2022 3 31 日以後終了する連結会計年度及び事業年度にお
- 29 -
ける年度末に係る連結財務諸表及び個別財務諸表から適用することを提案していた。し
かしながら、こうした提案に対して、特に投資信託を大量に保有している企業にとって
は、解約等に関する制限の内容の確認等に十分な準備期間が必要であるとの意見や、シ
ステムの開発等の対応が必要となる企業もあるとの意見が寄せられたことから、2022
4 1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から適用することとした(第25-2
項参照
ただし速やかに適用することへの一定のニーズがあると想定されることから、2021
4 1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から、また、2022 3 31
日以後終了する連結会計年度及び事業年度における年度末に係る連結財務諸表及び
別財務諸表から 2021 年改正適用指針を早期適用することができることとした(第 25-3
項参照
2.経過措置
50. 2019 年適用指針公開草案(企業会計基準適用指針公開草案第 63 号「時価の算定に
関する会計基準の適用指針(案)」をいう。)で、第三者ら入手した相場価格の利用
にあたっては、第 18 項の定めを適用するために一定の準備期間を要すると考えられ
ため、原則的な適用時期からさら 1 年間の準備期間を設け2021 4 1 日以後開
する連結会計年度及び事業年度から適用する経過措置を提案していた。当該経過措置
ついては、会計基準の適用時期をその公開草案(企業会計基準公開草案 63 「時価
の算定に関する会計基(案)における提案から変更したことに伴い2019 年適用
針の原則的な適用時期 2021 4 1 日以後開始する連結会計年度及び事業年度か
と変更したことから、削除している
51. 除)
52. 除)
53. 2021 年改正適用針の適用初年度においては、会計基準 19 項の適用初年度の経過
措置における取扱いに合わせ2021 年改正適用指針が定める新たな会計方(会計基準
の定める時価を新たに算定する場合や取得原価をもって貸借対照表価額としていた
のから時価をもって貸借対照表価額とする場合など)を将来にわたって適用し、その変
更の内容について注記することとした(第 27-2 項参照)
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<設例全般の留意点について
本適用指針の設例は、会計基準及び本適用指針で示された内容についての理解を深めるた
めに参考として示されたものである。仮定として示された前提条件の記載内容は、経済環
や各企業の実情等に応じて異なり得るものであり、異なる前提条件の下では会計処理が変
る可能性がある。
[設例 1]レベル 1 の時価に対する主要な市場又は最も有利な市場
1. 前提条
(1) A 社は、貸借対照表で時価評価される現物商品(トレーディング目的で保有す
棚卸資産)について、2 つの活発な市場(市場 A 及び市 B)におて異なる価格
で売却しており、決算日において、当該現物商品の各市場での価格を入手できる。
(2) A での売却により受け取る価格 26 百万円、売却取引に係る付随費用は 3
百万円、市場への輸送費用は 2 百万円(すなわち、受け取る純額 21 百万円)
ある。
(3) B での売却により受け取る価格 25 百万円、売却取引に係る付随費用は 1
百万円、市場への輸送費用は 2 百万円(すなわち、受け取る純額 22 百万円)
ある。
2. 時価の算定
(1) A が当該現物商品の主要な市場であると判断した場合
市場 A が当該現物商品の主要な市場である(すわち、取引の数量及び頻度が最
も大きい市場である)と判断した場合には、当該現物商品の時価を当該市場での売
却により受け取る価格とする。この場合、取引に係る付随費用は調整しないが、
該現物商品の所在地がその特性であると判断し、送費用を調整した 24 百万(=
26 百万円-2 百万円)を当該現物商品の時価とする(第 4 項(5)参照)
(2) ずれの市場も当該現物商品の主要な市場ではない場合
いずれの市場も当該現物商品の主要な市場ではない場合には、当該現物商品の時
価は、最も有利な市場における時価とする( 4 項(3)参照
最も有利な市場とは、資産の売却による受取額(付随費用及び輸送費用調整後)
が最大となる市場であり、当該現物商品から受け取る純額は、市場 B(22 百万円)
の方が市場 A(21 百万円)よりも大きいため最も有利な市場は市場 B であると判
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断した。そのため、市 B での売却により受け取る価格に輸送費用を調整した 23
百万円(=25 百万円-2 百万円)を当該現物商品の時価とする(第 4 項(5)参照)
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[設例 2]金利スワップの当初認識時の時価
1. 前提条
(1) 融機関が非金融機関の企業を取引相手先とする市場(リテール市場おいて
A (非金融機関は、B (金融機関)と契約時の対価の受払いなし(すなわち、
取引価格ゼロ)で金利スワップを締結する。
(2) A 社が金利スワップについて利用できる市場はテール市場のみである。一方B
社は金利スワップについてリテール市場だけでなく、他の金融機関を取引相手先と
する市場(ディーラー市場)も利用できる。
2. A 社にとっての当初認識時の時価
(1) A 社にとっては、金利スワップを締結したリテール市場が当該金利スワップの
要な市場となる。
仮に A 社が金利スワップに基づく権利及び義務を移転する場合には、当該リテー
ル市場で、金融機関を取引相手先として当該移転が行われることとなる。A 社に
っての当初認識時の時価は、A 社がリテール市場で金融機関を取引相手先として当
該金利スワップの移転により受け取るか又は支払う価格(出口価格)である。した
がって、A 社にとっての当初認識時の時価は、取価格のゼロである。
3. B 社にとっての当初認識時の時価
(1) B 社は、B にとっては、ディーラー市場が当該金利スワップの主要な市場と
ると判断した。
仮に B 社が金利スワップに基づく権利及び義務を移転する場合には、当該ディー
ラー市場で、金融機関を取引相手先として当該移転が行われることとなる。B 社に
とっての当初認識時の時価は、B 社がディーラー市場で金融機関を取引相手先とし
て当該金利スワップの移転により受け取るか又は支払う価格(出口価格)である。
そのため、リテール市場で行われた当該金利スワップの取引価格はゼロであるが、
これは必ずしも B 社にとっての当初認識時の時価を表しているとは限らず当初
識時の時価は取引価格と異なる可能性がある(第 4 項(6)参照)
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[設例 3]現在価値技法 - 割引率調整法の使用
1. 前提条
(1) A は、1 年後に 800 百万円を受け取る契約上の権利である
(2) A と比較可能な資産について確立された市場があり次の情報が利用できる。
なお、資産 A、資産 B 及び資産 C 3 つの資産は、すべて支払リスクに関して同等
であるものとする
資産 B 1 年後に 1,200 百万円を受け取る契約上の権利であり、市場にお
る価格 1,083 百万円である。したがって、算出される利回り 10.8%(=
(1,200 百万円÷1,083 百万円)-1)である
資産 C 2 年後に 700 百万円を受け取る契約上の権利であり市場におけ
価格は 566 百万円である。したがって、算出される利回りは 11.2%(=(700
百万円÷566 百万円)
1/2
-1)である。
(3) A の時価の算定にあたって、割引率調整法を用いてリスクを調整す(第 35
項(4)①参照)
2. 資産 A の時価の算定
(1) A についての支払時期と、資産 B 及び資 C についての支払時期との比較に
より、資産 C より資 B の方が資産 A との比較可能性が高いと判断した。資産 A
ついて受け取る契約上の金額(800 百万円)と、資産 B について算出した利回り
(10.8%を用いると A の時価は 722 百万円(=800 百万円÷1.108)となる。
(2) 仮に資産 B について利用できる情報がない場合には、資産 C 2 年の利回り
(11.2%)から信用リスクのないイールド・カーブを用い 1 年の利回りを算出す
る。この場合、1 年物の資産 2 年物の資産のリスク・プレミアムが同じかどうか
を判断するために追加の情報及び分析が必要となる可能性ある。リスク・プレ
ミアムが異なる場合には、リスク・プレミアムが異なることの影響について、資
C 2 年の利回りを調整する(第 35 項(5)②参照
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[設例 4]現在価値技法 - 期待現在価値法の使用
1. 前提条
(1) A 1 年後の期待キャッシュ・フローは、次のとおりである。
生じ得るキャッシュ・フロー
確率 確率加重キャッシュ・フロー
500百万円
15% 75百万
800百万円
60% 480百万円
900百万円
25% 225百万円
期待キャッシュ・フロ 780百万円
(2) 1 年の信用リスクフリーレートは 5%とする。
(3) A と同じリスクプロファイルを有する資産に対して、市場参加者が要求す
るリスク・プレミアム 3%である。
2. 資産の現在価値(時価)の算定
(1) 待現在価値法(確実性等価法)の使用(第 35 項(4)②及び(6)①参照)
確実性等価法では、期待キャッシフローについて、資産 A と同じリスク
プロファイルを有する資産に対して市場参加者が要求するリスク・プレミアム
を反映するように調整する。
資産 A と同じリスプロファイルを有する資産に対して市場参加者が要
するリスク・プレミアムが 3%であるため、期待キャッシュ・フローに係るリ
スクの調整額は 22 百万円(=780 百万円-(780 百万円×(1.05÷1.08))とな
る。
リスク調整後の期待キャッシュ・フローである 758 百万円(=780 百万円
22 百万円)を、信用リスクフリーレート 5%で割り引いた 722 百万円が資
A の時価である。
(2) 待現在価値法(リスク調整法)の使用(第 35 項(4)③及び(6)②参照)
リスク調整法では、資産 A と同じリスク・プロファイルを有する資産に対
て市場参加者が要求するリスク・プレミアムは期待キャッシュ・フローに反
映しない。
割引率は資産 A と同じリスク・プロファイルを有する資産に対して市場
加者が要求するリスク・プレミアムを反映したものを用いるため、本設例で用
いられる割引率は 8%(信用リスクフリーレー 5%+資 A と同じリスク・
プロファイルを有する資産に対して市場参加者が要求するリスク・プレミアム
3%)となる。
リスク調整前の期待キャッシュ・フローであ 780 百万円を、リスク調整
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の割引 8%で割り引い 722 百万円が資産 A の時価となる。
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[設例 5]有価証券の売却に関する制約
1. 前提条
(1) A 社は、売却が特定の期間にわたって法的に制約される有価証券(法律の制約
より、売却先が限定される有価証券)を保有している。
(2) 該制約は当該有価証券の特性であるため、売却先の市場参加者に引き継がれ
ものである
2. 当該制約の時価への反
(1) 該有価証券の時価は、売却に関する制約がない点を除くと当該有価証券と条
が同様となる有価証券(市場で取引される同じ発行者の有価証券)があると仮定し
た場合その相場価格に当該制約の影響を反映するように調整して算定される(第
4 項(1)参照)
(2) 該制約の影響に対する調整、特定の期間にわたって市場を利用できないこ
に係るリスクの対価として市場参加者が要求する金額を反映するものでありその
際には、次の要因を考慮する
制約の性質及びその期間
買手が受ける制約の程度(例えば、売却先の数
金融商品及びその発行者の双方に固有の定性的及び定量的要
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[設例 6]負債の時価 - 発行社債の時価の算定における相場価格の使用
1. 前提条
(1) A 社はX1 1 1 日に 10 年物の固定金利債券(額面 2,000 百万円、金利 10%)
を発行し、当該債券は市場で取引されている
(2) X1 12 31 日時点で当該債券は活発な市場において額面 100 円当た 92.9
円で取引されている。
(3) A 社は、当該債券(負債)の時価を算定するためのインプットとして、活発な
場における当該債券(資産)の相場価格を使用する(第 20 項(1)参照)
2. 当該債券(負債)の時価の算定
(1) A 社は、当該債券(資産)の相場価格が、負債の時価算定に適用されない要因
影響を含んでいるかどうか(例えば、当該債券(資産)の相場価格が第三者の信用
補完の影響を反映しているかどうか)を検討し(第 21 項参照)、時価の算定にお
て当該債券(資産)の相場価格を調整する必要はないと判断した。
(2) 該債(負債) X1 12 31 日時点の時価 1,858 百万円(=2,000 百万円
×(92.9 円÷100 円))であり、A 社は当該時価をレベル 1 の時価に分類する。
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[設例 7]負債の時価 - 発行社債の時価の算定における現在価値技法の使用
1. 前提条
(1) A 社は、X1 1 1 日に 5 年物の固定金利債券(額面 2,000 百万円、金 10%
を私募により額面で発行する
(2) X1 12 31 時点で、A 社の格付けは債券発行時から変わっておらず、また、
入手できる金利、A 社の格付けに対する信用スプレッド及び流動性等の市場の状況
は、債券発行時から変わっていないただし、A 社自身の信用スプレッドは、0.5%
上昇した。
(3) A 社は市場の状況をすべて考慮し、仮に X1 12 31 日時点で債券を発行し
場合には、当該債券の利が 10.5%となるか、又は A 社が当該債券の発行によって
受け取る金額が額面よりも少なくなると判断した
(4) A 社が現在価値技法を用いて発行社債の時価算定するものとする(第 5 項(2)
及び第 20 項(4)参照
2. 当該発行社債の時価の算定
(1) A 社は、市場参加者 A 社の債務を引き受けるために要求する価格を見積る際に、
次のインプットのすべてを使用すると判断した。
次を含む当該債券の条件
金利(10%)
元本金額(2,000 百万円
満期までの期間(4 年)
10.5%の市場金(債券発行日からの不履行リスクの変化を反映している。
(会計基準 15 項)
(2) A 社は、現在価値技法用いて、X1 12 31 日現在の発行社債の時価を 1,968
百万円(*1)と算定した。
(3) A 社は、市場参加者が当該発行社債を引き受けることへの報酬として要求する
益又はリスク並びに当該発行社債の移転に関する制約の存在については現在価値
技法に調整を加えない
(*1) 毎期末の支払利 200 百万円=債券の元本金 2,000 百万円×10
発行社債の時価 1,968 百万円=200 百万円/(1+0.105)+200 百万円/(1+
0.105)
2
+200 百万円/(1+0.105)
3
+(2,000 百万円+200
万円)/(1+0.105)
4
- 39 -
[設例 8]資産の取引の数量又は頻度が著しく低下した場合の市場利回りの見積
1. 前提条
(1) X8 1 1 日に住宅ローン担保証券(RMBSが、住宅ローンを裏付け資産として、
信用リスク度合いに応じて 7 つの階層(トランシェに分けて発行されたA 社は、
当該 RMBS 7 つの階層のうち返済順位が 3 位の階層であるリプル A 格の証
(X 証券)を、当 RMBS 発行時に取得した。
(2) RMBS の裏付けとなる原資産は、X6 後半に発行された無保証の担保として
不適格な住宅ローンである。
(3) X9 3 31 日(決算日)時点で X 証券の格付けはシングル A 格である
(4) X 証券は、以前はブローカー市場で取引されていたが、当該市場での取引量は
常に少なく、X8 1 1 日か X8 6 30 日までの間の取引は数回であり、X8
7 1 日か X9 3 31 日までの間はほとんど取引がなかった。
(5) A 社は、X 券について、決算日前の長期間にわたり取引がほとんどなかった
と等から、X 証券の取引の数量又は頻度が、通常の市場における活動に比して著し
く低下していると判断した( 16 項参照
(6) A 社は、マーケット・アプローチを用いる評価技法の裏付けとなる取引がほと
どなかったため、インカム・アプローチとしての割引率調整法に基づき、契約上の
キャッシュ・フローを用いて、X 証券の時価を算定すると判断した(第 35 (4)①
参照)
(7) A 社は、時価を算定するために契約上のキャッシュ・フローを割り引く割引率
見積りにあたって、利用できる市場データと A 社が取得し X 証券との間の差異
ついてのリスクに関する調整を行うために必要な入できるすべての情報を考慮
したものとする。
2. 市場利回りの見積り
A は、契約上のキャッシュ・フローを割り引く割引率につて、次のとおり見積っ
た。
(1) 場参加者が用いる市場利回りの見積り
A は、市場参加者が X 証券の価格付けをする際に用いる市場利回りを、次の要
因を加味し 12%(=3%+2.5%+7%-0.5%)と見積った
信用リスクフリーレート
決算日(X9 3 31 日)時点の関連する信用リスクフリーレートについて
3%と見積った。
X 証券の信用スプレッド
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X 証券の発行時(X8 1 1 日)の信用リスクフリーレートに対する信用
プレッドを 2.5%と見積った。
信用スプレッドの変
X 証券の発時(X8 1 1 日)から決算日(X9 3 31 日)までの期間
の信用リスクフリーレートに対する信用スプレッドの変化を 7%の上昇と見積
った。当該見積りは当該期間において入手できる最も比較可能性がある指数の
変化に基づいている。
比較可能 RMBS 又は指数との比較における X 証券の特徴
③で参照した指標は、A 社が保有す RMBS の裏付けとなる原資産である住
ローンより信用リスクの高いサブプライム住宅ローンで構成されているため、
当該指標は現在の市場の状況下における X 証券の流動性リスクを反映していな
いと判断し、③で参照した指数と X 証券との差異を調整するため 0.5%を
算することとした
A 社は、③で参照した指数と X 証券との差異に関する影響で 0.5%の減
算を、次のとおり見積った。
住宅ローンの構成の違いについて 3.5%の減算
対象となる RMBS に係る X8 6 月の直近取引から算出した利回りと、同
日における③で参照した指数から算出した利回りとの比較により見積っ
なお、X8 6 以降に対象となる RMBS と③で参照した指数との関係が
化したことを示す情報はなかった。
流動性リスクについての 3%の加算
③で参照した指数には含まれない、象とな RMBS に固有の追加的な流
動性リスクを見積った。この見積りは、一定の類似した証券に係る直近
取引に内在する流動性リスク・プレミアムを考慮して行われた
(2) 三者から入手した情報の考
市場利回りの追加的な指標として考慮した、信頼性のあるブローカーが提供して
いる X 証券の 2 つの直近の参考価格(すなわち当該ブローカーと取引可能でない
価格)からは 15%から 17%の利回りが判明した。ただし、A 社は、当該価格の算定
に用いられた評価技法又はインプットを評価できないものの、当該価格が取引の結
果を反映しているものではないことは確認できた
(3) A 社の判断
A 社は、市場参加者が時価の算定において考慮する市場利回りについて複数
の指標があることから各指標の結果が示す合理的な範囲を評価してウェイト
付けすることとした。
A 社は、次の理由により、市場参加者が用いる市場利回りの見積り(2.(1)
参照)を重視することとした
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A 社は、A 社自身の見積り(2.(1)参照)には、市場参加者が現在の
場の状況下での秩序ある取引において、資産の価格付けを行う際に用い
リスクを適切に織り込んだと判断した。
ブローカーが提供している参考価格(2(2)参照)は当該ブローカー
取引可能でない価格であり、取引の結果を反映していない。また、A 社は、
当該格の設定にいられた評技法又はインプットを評価できかっ
た(第 18 項参照
以上より、A 社は、市場参加者が用いる市場利回りの見積り(12%)に、第
三者から入手した情報における市場利回り(15%から 17%)を考した結果、
13%が現在の市場の状況においても時価を適切に表すための市場利回り
あると判断した。