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実務対応報告第 40
LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱
2020年 9月 29日
2022年 3月 17日
企業会計基準委員会
本実務対応報告は、2024 7 1 日までに公表された次の会計基準等による修正が反
映されている。
移管指針「移管指針の適用」(2024 7 1 公表)
1. 現在、2014 7 月の金融安定理事会(FSB)による提言に基づく金利指標改革(以下
「金利指標改革」という。)が進められている。そうした中、ロンドン銀行間取引金利
(London Interbank Offered Rate。以下「LIBOR」という。)の公表が 2021 12
をもって恒久的に停止され、LIBOR を参照している契約においては参照する金利指標の
置換が行われる可能性が高まっている。LIBOR 5 つの主要な通貨について公表されて
おり、LIBOR を参照する取引は広範に行われているため、金利指標改革により多くの取
引に影響が生じる可能性がある。
2. 当委員会は、LIBOR を参照する金融商品について必要と考えられるヘッジ会計に関す
る会計処理及び開示上の取扱いを明らかにするために、本実務対応報告を公表する。
3. 本実務対応報告は、金利指標改革に起因して公表が停止される見通しである LIBOR
参照する金融商品について金利指標を置き換える場合に、その契約の経済効果が金利
指標置換の前後で概ね同等となることを意図した金融商品の契約上のキャッシュ・フ
ローの基礎となる金利指標を変更する契約条件の変更のみが行われる金融商品を適用
範囲とする。また、こうした契約条件の変更と同様の経済効果をもたらす契約の切替に
関する金融商品も適用範囲とする。
なお、本実務対応報告公表後に、新たに LIBOR を参照する契約を締結する場合、その
金融商品も適用範囲に含まれる。
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用語の定義
4. 企業会計基準第 10 「金融商品に関する会計基準」(以下「金融商品会計基準」とい
う。)における用語の定義を、本実務対応報告においても用いる。また、本実務対応報
告において、次の用語を定義する。
(1) 「契約条件の変更」とは、既存の契約の契約条件の内容を変更することをいう。
(2) 「契約の切替」とは、既存の契約をその満了前に中途解約し、直ちに新たな契約
を締結することをいう。
(3) 「金利指標置換前」とは、(4)に定める金利指標置換時よりも前の期間をいう
(4) 「金利指標置換時」とは、金利指標改革に起因して公表が停止される見通しであ
LIBOR に関して、ヘッジ対象の金融商品及びヘッジ手段の金融商品の双方の契
約において後継の金利指標を基礎とした計算が開始される時点(双方の契約にお
いて時点が異なる場合はいずれか遅い時点)をいう。ヘッジ対象又はヘッジ手段の
金融商品のうちいずれかのみが LIBOR を参照している場合は、そのいずれかにお
いて後継の金利指標を基礎とした計算が開始される時点をいう。
(5) 「金利指標置換後」とは、金利指標置換時よりも後の期間をいう。
会計処理
金利指標置換前の会計処理
ヘッジ対象又はヘッジ手段の契約の切替
5. 金融商品会計基準及び移管指針第 9 号「金融商品会計に関する実務指針」(以下「金
融商品実務指針」という。また、金融商品会計基準及び金融商品実務指針を合わせて、
以下「金融商品会計基準等」という。)では、ヘッジ手段が消滅したときには、ヘッジ
会計の適用を中止し、その時点までの当該ヘッジ手段に係る損益又は評価差額は、ヘッ
ジ対象に係る損益が認識されるまで繰り延べるとされている(金融商品会計基準第 33
項及び金融商品実務指針第 180 項)
また、ヘッジ対象が消滅したときには、ヘッジ会計の適用を終了し、繰り延べられて
いるヘッジ手段に係る損益又は評価差額は当期の損益として処理しなければならない
とされている(金融商品会計基準第 34 項及び金融商品実務指針第 181 項)
3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象又はヘ
ッジ手段としてヘッジ会計を適用している場合、金利指標置換前においては、金利指標
改革に起因する契約の切替が行われたときであっても、ヘッジ会計の適用を継続する
ことができる。
なお、上述の取扱いは金利指標置換時及び金利指標置換後においても同様である。
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ヘッジ会計の原則的処理方法(繰延ヘッジ)
(ヘッジ対象となり得る予定取引の判断基準)
6. 金融商品会計基準等では、ヘッジ会計において、ヘッジ対象である予定取引が実行さ
れないことが明らかになったときは、ヘッジ会計を終了しなければならないとされて
いる(金融商品会計基準第 34 項及び金融商品実務指針第 181 項)
3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融商品がヘッジ対象である
予定取引が実行されるかどうかを判断するにあたって、金利指標置換前においては、
ッジ対象の金利指標が、金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変更されな
いとみなすことができる。
(ヘッジ有効性の評価)
7. 金融商品会計基準等では、ヘッジ開始時点で、ヘッジ対象のリスク及びこれらのリス
クに対していかなるヘッジ手段を用いるかを明確化し、ヘッジ手段に関してその有効
性を事前に予測しておくこと、及び相場変動又はキャッシュフロー変動の相殺の有効
性を評価する方法等を正式な文書(以下「ヘッジ文書」という。)によって明確化する
ことが要求されている(以下合わせて「事前テスト」という。金融商品会計基準第 31
項(1)及び金融商品実務指針第 143 項から第 145 項)
事前テストに関して、第 3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融商
品をヘッジ対象又はヘッジ手段としてヘッジ会計を適用する場合、金利指標置換前に
おいては、ヘッジ対象及びヘッジ手段の参照する金利指標は金利指標改革の影響を受
けず既存の金利指標から変更されないとの仮定を置いて実施することができる。
8. 金融商品会計基準等では、ヘッジ取引時以降において、ヘッジ対象とヘッジ手段の損
益が高い程度で相殺される状態又はヘッジ対象のキャッシュ・フローが固定されその
変動が回避される状態が引き続き認められることによって、ヘッジ手段の効果を定期
的に確認することにより、ヘッジ有効性の評価を行うことが要求されている(以下「事
後テスト」という。金融商品会計基準第 31 項(2)及び金融商品実務指針第 146 項)
事後テストに関して、第 3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融商
品をヘッジ対象又はヘッジ手段としてヘッジ会計を適用する場合、金利指標置換前に
おいては、事後テストにおける有効性評価の結果、ヘッジ有効性が認められなかった場
合であってもヘッジ会計の適用を継続することができる。
(包括ヘッジ)
9. 金融商品会計基準等では、リスク要因(金利リスク、為替リスク等)が共通しており、
かつ、リスクに対する反応が同一グループ内の個々の資産又は負債との間でほぼ一様
である場合には、企業内部の部門ごと又はその企業において、リスク(例えば、金利変
動リスク)の共通する資産又は負債等をグルーピングしたうえで、ヘッジ対象を識別す
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る方法(以下「包括ヘッジ」という。)が認められている(金融商品会計基準(注 11)
並びに金融商品実務指針第 151 項及び第 152 項)
3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融商品を含むグループをヘ
ッジ対象として包括ヘッジを適用する場合、金利指標置換前においては、個々の資産又
は負債のリスクに対する反応とグループ全体のリスクに対する反応が、ほぼ一様であ
ると認められなかった場合であっても、包括ヘッジを適用することができる。
時価ヘッジ
10. 3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象又はヘ
ッジ手段として時価ヘッジを適用する場合、金利指標置換前においては、繰延ヘッジを
適用する場合について定めた第 7 項から第 9 項の取扱いと同様の取扱いとすることが
できる。
なお、金利指標置換時においては第 13 項、金利指標置換後においては第 14 項、第
15 項、第 16 項及び第 18 項の取扱いと同様の取扱いとすることができる。
金利スワップの特例処理等
(金利スワップの特例処理)
11. 金融商品会計基準等では、資産又は負債に係る金利の受払条件を変換することを目
的として利用されている金利スワップが金利変換の対象となる資産又は負債とヘッジ
会計の要件を充たしており、かつ、その想定元本、利息の受払条件及び契約期間が当該
資産又は負債とほぼ同一である場合には、当該金利スワップを時価評価せず、その金銭
の受払の純額等を当該資産又は負債に係る利息に加減して処理する特例処理(以下「金
利スワップの特例処理」という。)が認められている(金融商品会計基準(注 14)
また、金利スワップの特例処理が認められるためには、次の条件をすべて満たす必要
があるとされている(金融商品実務指針第 178 項)
(1) 金利スワップの想定元本と貸借対照表上の対象資産又は負債の元本金額がほぼ
一致していること
(2) 金利スワップの契約期間とヘッジ対象資産又は負債の満期がほぼ一致している
こと
(3) 対象となる資産又は負債の金利が変動金利である場合には、その基礎となってい
る金利指標が金利スワップで受払される変動金利の基礎となっている金利指標と
ほぼ一致していること
(4) 金利スワップの金利改定のインターバル及び金利改定日がヘッジ対象の資産又
は負債とほぼ一致していること
(5) 金利スワップの受払条件がスワップ期間を通して一定であること(同一の固定金
利及び変動金利の金利指標がスワップ期間を通して使用されていること)
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(6) 金利スワップに期限前解約オプション、支払金利のフロアー又は受取金利のキャ
ップが存在する場合には、ヘッジ対象の資産又は負債に含まれた同等の条件を相殺
するためのものであること
3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象又はヘ
ッジ手段として金利スワップの特例処理を適用する場合、(3)から(5)で示した条件を
満たしているかどうかの判断にあたって、金利指標置換前においては、ヘッジ対象及び
ヘッジ手段の参照する金利指標は金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変
更されないとみなすことができる。
(外貨建会計処理基準等における振当処理)
12. 企業会計審議会「外貨建取引等会計処理基準」(以下「外貨建会計処理基準」という。
及び移管指針第 2 号「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」(以下「外貨建実務
指針」という。また、外貨建会計処理基準及び外貨建実務指針を合わせて、以下「外貨
建会計処理基準等」という。)では、外貨建金銭債権債務等と為替予約等(為替予約、
通貨先物、通貨スワップ及び通貨オプション)との関係が、金融商品会計基準における
ヘッジ会計の要件を満たしている場合には、当該外貨建取引及び外貨建金銭債権債務
等について、ヘッジ会計を適用することができるほか、当分の間、為替予約等により確
定する決済時における円貨額により外貨建取引及び外貨建金銭債権債務等を換算し直
物為替相場との差額を期間配分する方法(以下「振当処理」という。)によることがで
きるとされている。ただし、振当処理が認められるのは、為替予約等によって円貨での
キャッシュフローが固定されているときに限られるとされている(外貨建会計処理基
準一 1、2(1)及び注解(注 6)並びに外貨建実務指針第 3 項及び第 5 項)
3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象又はヘ
ッジ手段として振当処理を適用するに際し、金利指標置換前においては、円貨でのキャ
ッシュフローが固定されているかどうかの判断にあたって、ヘッジ対象及びヘッジ手
段の参照する金利指標は金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変更されな
いとみなすことができる。
金利指標置換時の会計処理
ヘッジ会計の原則的処理方法(繰延ヘッジ)
13.
金利指標置換前において第 3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融
商品をヘッジ対象又はヘッジ手段としてヘッジ会計を適用していた場合、金利指標置換
時において、金融商品会計基準第 31 項(1)並びに金融商品実務指針第 143 項から第 145
項及び第 150 項に基づいて当初のヘッジ会計開始時にヘッジ文書で記載したヘッジ
引日(開始日)、識別したヘッジ対象、選択したヘッジ手段等を変更したとしても、ヘ
ッジ会計の適用を継続することができる。
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金利指標置換後の会計処理
ヘッジ会計の原則的処理方法(繰延ヘッジ)
14. 金利指標置換前において第 3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融
商品をヘッジ対象又はヘッジ手段としてヘッジ会計を適用していた場合、事後テスト
に関する第 8 項の取扱いを適用していたか否かにかかわらず、金利指標置換時以後、
項の取扱いを適用し、2024 3 31 日以前に終了する事業年度までヘッジ会計を継続
することができる。また、同項の取扱いを継続している間、再度金利指標を置き換え、
ヘッジ文書の記載を変更したとしても、ヘッジ会計の適用を継続することができる。
15. 前項に従い 2024 3 31 日以前に終了する事業年度までヘッジ会計を継続した場
合、2024 3 31 日以前に終了する事業年度の翌事業年度の期首以降に事後テストを
実施するときは、金融商品実務指針第 156 項の定めに従い、原則としてヘッジ開始時を
起点としてヘッジ対象及びヘッジ手段の相場変動又はキャッシュ・フロー変動の累計
を比較する。ただし、継続適用を条件に、金利指標置換時(前項に従い再度金利指標を
置き換えた場合は当該再置換時を含む。)を起点とすることを選択することができる。
16. 金利指標置換時以後において第 14 項の取扱いを適用せず、その結果、第 8 項の取扱
いを適用せずに事後テストを実施する場合には、ヘッジ対象及びヘッジ手段の相場変
動又はキャッシュフロー変動の累計について、継続適用を条件に、金利指標置換時を
起点として比較することができる。
17. 金融商品会計基準等では、繰延ヘッジにおいてヘッジ会計を中止した場合は、ヘッジ
手段に係る損益又は評価差額は、ヘッジ対象に係る損益が認識されるまで繰り延べる
とされている(金融商品会計基準第 33 項及び金融商品実務指針第 180 項)
金利指標改革とは関係なくヘッジ会計が中止となった場合で、第 3 項に示した本実
務対応報告の適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象としている場合、当該ヘッジ
対象の契約の切替が行われたときであっても、契約の切替後のヘッジ対象に係る損益
が認識されるまで、ヘッジ手段に係る損益又は評価差額を繰り延べる。
包括ヘッジ
18. 金利指標置換前において第 3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融
商品を含むグループをヘッジ対象として包括ヘッジを適用していた場合、包括ヘッジ
に関する第 9 項の取扱いを適用していたか否かにかかわらず、金利指標置換時以後、
項の取扱いを適用し、2024 3 31 日以前に終了する事業年度まで包括ヘッジの適用
を継続することができる。また、同項の取扱いを継続している間、再度金利指標を置き
換え、ヘッジ文書の記載を変更したとしても、包括ヘッジの適用を継続することができ
る。
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金利スワップの特例処理等
19. 金利指標置換前において第 3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融
商品をヘッジ対象又はヘッジ手段として金利スワップの特例処理を適用していた場合、
金利スワップの特例処理に関する第 11 項の取扱いを適用していたか否かにかかわらず、
金利指標置換時以後、同項の取扱いを適用し、2024 3 31 日以前に終了する事業年
度まで金利スワップの特例処理の適用を継続することができる。また、この特例的な取
扱いを継続している間、再度金利指標を置き換えたとしても、金利スワップの特例処理
の適用を継続することができる。
なお、金利指標置換後に金利スワップの特例処理に係る金融商品実務指針第 178
の⑤以外の要件が満たされている場合には、2024 3 31 日以前に終了する事業年度
の翌事業年度の期首以降も金利スワップの特例処理の適用を継続することができる。
19-2. 金利指標置換時が 2024 3 31 日以前に終了する事業年度の期末日までに到来し
ていない場合であっても、2024 3 31 日以前に終了する事業年度までに行われた契
約条件の変更又は契約の切替が金利スワップの特例処理に係る金融商品実務指針
178 項の⑤以外の要件を満たしているときは、2024 3 31 日以前に終了する事業年
度の期末日後に到来する金利指標置換時以後も金利スワップの特例処理の適用を継続
することができる。
19-3. 19 項及び第 19-2 項の取扱いは、振当処理にも同様に適用することができる。こ
の場合、金利スワップの特例処理に関する第 11 項の取扱いを振当処理に関する第 12
の取扱いと読み替えるものとする。また、金利スワップの特例処理に係る金融商品実務
指針第 178 項の要件を振当処理に係る外貨建会計処理基準一 1、2(1)及び注解(注 6)
並びに外貨建実務指針第 3 項及び第 5 項の要件と読み替えるものとする。
注記事項
20. 報告日時点において本実務対応報告を適用することを選択した企業は、本実務対応
報告を適用しているヘッジ関係について、次の内容を注記する。
(1) ヘッジ会計の方法(繰延ヘッジか時価ヘッジか)並びに金利スワップの特例処理
及び振当処理を採用している場合にはその旨
(2) ヘッジ手段である金融商品の種類
(3) ヘッジ対象である金融商品の種類
(4) ヘッジ取引の種類(相場変動を相殺するものか、キャッシュ・フローを固定する
ものか)
また、本実務対応報告を一部のヘッジ関係にのみ適用する場合には、その理由を注記
する。
ただし、連結財務諸表において上述の内容を注記している場合には、個別財務諸表に
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おいて記載することを要しない。
21. 前項の注記は、2024 3 31 日以前に終了する事業年度まで行うものとする。
適用時期等
22. 2020 年に公表された本実務対応報告(以下「2020 年実務対応報告」という。)は、公
表日以後適用することができる。ただし、公表日より前にヘッジ会計の中止又は終了が
行われたヘッジ関係には、第 17 項を除き適用することができない。
22-2. 2022 年に改正された本実務対応報告(以下「2022 年改正実務対応報告」という。
は、公表日以後適用することができる。
23. 本実務対応報告を適用するにあたっては、ヘッジ関係ごとにその適用を選択するこ
とができる。
24. 2020 年実務対応報告は、 442 回企業会計基準委員会に出席した委員 14 名全員の賛
成により承認された。
24-2. 2022 年改正実務対応報告は、 475 回企業会計基準委員会に出席した委員 13 名全員
の賛成により承認された。
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結論の背景
2020 年実務対応報告
25. FSB は、2014 7 月に、「主要な金利指標の改革(Reforming Major Interest Rate
Benchmarks」と題する報告書を公表し、次の点について提言を行った。
(1) LIBOR、欧州銀行間取引金利(EURIBOR)、全銀協 TIBOR(TIBOR)といった既存の
金利指標である銀行間金利(IBORs)の信頼性と頑健性の向上、及び銀行の信用リス
ク等を反映しないリスク・フリー・レートの特定
(2) それぞれの金利指標を、金融商品や取引の性質を踏まえて利用していくことが望
ましい旨
26. 前項の FSB の提言に基づき、各通貨で IBORs の改廃やリスクフリーレートの開発
といった金利指標改革が進められている。そうした中で、LIBOR の公表が 2021 12
末をもって恒久的に停止され、後継の金利指標への置換を余儀なくされることが見込
まれている。そこでは、デリバティブ取引と、貸付金、借入金、債券といったデリバテ
ィブ取引以外の金融商品とで異なる金利指標に置き換えられる可能性もある。LIBOR
5 つの主要な通貨について公表されており、LIBOR を参照する取引は広範に行われてい
るため、金利指標改革により多くの取引に影響が生じる可能性が高い。
27. 金利指標改革に起因する LIBOR の置換は、企業自身の意思決定に基づくものではな
く、企業からみると不可避的に生じる事象である。このような不可避的に生じる事象に
対して、そうした事態を想定して開発されていない会計基準を当てはめた場合、当該会
計基準の開発時には想定されていなかった結果が生じる可能性がある。こうした会計
処理に基づく財務情報が提供されることは、財務諸表作成者が行った取引の実態を適
切に表さず、結果として、財務諸表利用者に対する有用な財務情報の提供につながらな
い可能性があると考えられる。
特にヘッジ会計の適用については、金利指標改革の影響のみに起因して、現行の金融
商品会計基準等の定めに従い、その適用を中止又は終了し、損益を認識することに対す
る懸念が多く聞かれたため、適切な適用範囲を定めたうえでヘッジ会計の適用に関す
る特例的な取扱いを定めることが必要であると考えられ、2020 年実務対応報告を公表
することとした。
28. なお、本実務対応報告は、公表時点において公表停止が見込まれている LIBOR を対象
としているが、今後、LIBOR 以外の金利指標でも、金利指標改革に伴い公表停止が見込
まれる場合には、当該金利指標を参照している金融商品の取扱いについても、本実務対
応報告を参考にすることが考えられる。
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2022 年改正実務対応報告
28-2. 2020 年実務対応報告の公表時には、金利指標の選択に関する実務や企業のヘッジ行
動について不確実な点が多いため、公表から約 1 年後に、金利指標置換後の取扱いにつ
いて再度確認する予定であるとしていた。
28-3. 2021 3 月に、英国金融行為規制機構(英国 FCA)は、LIBOR の運営機関である ICE
Benchmark Administration 2020 11 月に公表した市中協議における提案に基づき、
LIBOR の公表停止時期を確定するアナウンスメントを正式に行った。その中で、米ドル
LIBOR の翌日物、1 か月物、3 か月物、6 か月物及び 12 か月物については、2021
12 月末ではなく、2023 6 月末をもって公表停止されることとされた。また、2021
9 月に、英国 FCA は、代替金利指標への移行が真に困難な既存契約(タフレガシー)
のセーフティネットとして、従来の日本円建 LIBOR 及び英国ポンド建 LIBOR の一部の
ターム物について、市場データを用いて算出する疑似的な LIBOR(シンセティック LIBOR)
を構築するための権限を行使することを公表した。
当委員会では、これらの状況及び 2020 年実務対応報告の公表以後に当委員会に寄せ
られた意見を受けて、金利指標置換後の取扱いの再確認について 2021 10 月より審
議を開始し、2021 12 月に実務対応報告公開草案第 62 (実務対応報告第 40 号の改
正案)「LIBOR を参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い(案)(以下「2021
公開草案」という。)を公表して広く意見を求めた。
2022 年改正実務対応報告は、2021 年公開草案に寄せられた意見を踏まえて検討をし
たうえで公表するに至ったものである。
2020 年実務対応報告
29. 27 項に示したように、金利指標改革に起因する LIBOR の置換に直接関係のある部
分に特例的な取扱いを定めることが必要であると考えられる一方、金利指標改革に起
因する LIBOR の置換とは直接関係のない部分にまで特例的な取扱いを認めることは、
本実務対応報告の趣旨を逸脱し、財務諸表の有用性を損ねるものと考えられる。そのた
め、本実務対応報告の適用範囲を、LIBOR を参照している金融商品のうち、企業が金利
指標改革に起因して参照する金利指標を LIBOR から置き換える場合に、「その契約の経
済効果が金利指標置換の前後で概ね同等となることを意図した金融商品の契約上のキ
ャッシュ・フローの基礎となる金利指標を変更する契約条件の変更」(以下「経済効果
が概ね同等となることを意図した契約条件の変更」という。)のみが行われる金融商品
に限定することとした。また、こうした契約条件の変更と同様の経済効果をもたらす契
約の切替に関する金融商品も適用範囲に含まれることとした(第 3 項参照)
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なお、LIBOR を参照する契約を締結するニーズが引き続き一定程度あるとの意見が聞
かれているため、第 3 項の適用範囲については、LIBOR を参照している既存の契約か、
本実務対応報告公表後に締結する、LIBOR を参照する新たな契約かは問わないこととし
た(第 3 項参照)
また、ここでの「契約条件の変更」とは、既存の契約の契約条件の内容を変更するこ
とを意味している(第 4 項(1)参照)金利指標置換前において、本実務対応報告公表後
に実行された取引においても、ヘッジ有効性の評価に関する特例的な取扱いを定める
こととしたため、当初から、ある時点で契約条件の内容が変更され、LIBOR から他の金
利指標を参照することとなる条項を有する契約を締結する場合も「契約条件の変更」
同様に取り扱うことが考えられる。
30. ここで、契約条件の変更又は契約の切替の内容が、契約が参照する金利指標を LIBOR
から他の金利指標へ置き換えることに加えて、例えば、次のような変更である場合には
「経済効果が概ね同等となることを意図した契約条件の変更」に該当すると考えられ
る。
(1) LIBOR と後継の金利指標の差分を調整するためのスプレッド調整
(2) 金利指標の置換に伴う更改期間、日数計算、支払日、時価の算定方法等の変更(例
えば、デリバティブ取引に関して、前決めの金利から後決めの金利への変更)
なお、(1)については、特にデリバティブ取引では契約条件の変更又は契約の切替に
際して現金等が授受される実務が行われることが予想されることから、LIBOR と後継の
金利指標の金利水準の差分に伴うスプレッド調整と金利水準の差分を補填するための
現金の授受も含めて判断することが考えられる。
31. 一方、契約条件の変更又は契約の切替の内容に、例えば、次のものが含まれるのであ
れば、当該契約条件の変更又は契約の切替は、「経済効果が概ね同等となることを意図
した契約条件の変更」には該当せず、本実務対応報告の適用範囲外になると考えられる。
(1) 想定元本の変更
(2) 満期日の変更
(3) 貸出の仕組みの変更(例えば、証書貸付から当座貸越への変更)
(4) 取引相手の信用リスクのスプレッドの変更
(5) 財務的な困難がある借手への譲歩
(6) 取引相手の変更
なお、これらの変更と同時に、前項に例を示した契約条件の変更又は契約の切替が行
われる場合には、「経済効果が概ね同等となることを意図した契約条件の変更」には該
当しないと考えられる。
公開草案に寄せられた意見の中では、「(4)取引相手の信用リスクのスプレッドの変
更」に関連して、現行の実務ではヘッジ会計の継続に影響を与えないケースもあること
から、これらの信用リスクのスプレッドの変更と金利指標改革に起因する金利指標の
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置換が同時に行われた場合に、現行の実務に影響を及ぼすのではないかとの懸念が聞
かれた。この点、信用リスクのスプレッドの変更は、基本的に「経済効果が概ね同等と
なることを意図した契約条件の変更」に該当しないと考えられるため、本実務対応報告
を適用することは適切ではないものと考えられる。なお、スプレッドの変更がなされた
場合、それが LIBOR と後継の金利指標の差分を調整するためのスプレッド調整である
のか、信用リスクのスプレッドの変更であるのかの判断が難しいことも想定されるが、
当該判断においては経済効果が概ね同等となることを意図したものであるか否かを定
性的に分析することを想定しており、一律に定量的な分析を求めるものではない。また、
本実務対応報告は、信用リスクのスプレッドの変更に関する現行のヘッジ会計の継続
に関する実務に影響を及ぼすことは想定していない。
また、「(6)取引相手の変更」について、店頭デリバティブ取引の取引相手を中央清算
機関に変更する場合には、「経済効果が概ね同等となることを意図した契約条件の変更」
も含まれ得るため、一律に本実務対応報告の適用対象外とすべきではないとの意見も
聞かれた。この点、公開草案に寄せられた意見のとおり、店頭デリバティブ取引におけ
る中央清算機関の利用が、「経済効果が概ね同等となることを意図した契約条件の変更」
に該当すると判断される場合もあり得ると考えられるため、その場合には、必ずしも本
実務対応報告の適用外となるわけではないと考えられる。
32. 「経済効果が概ね同等となることを意図した契約条件の変更」とは、必ずしも金利リ
スクのみにさらされている金融商品の契約条件の変更又は契約の切替を想定したもの
ではなく、例えば固定金利と変動金利を交換する通貨スワップ(以下「金利通貨スワッ
プ」という。)のように商品性として為替リスクも包含する金融商品の契約条件の変更
又は契約の切替も想定している。このような場合であっても、当該金融商品に関する契
約について、「経済効果が概ね同等となることを意図した契約条件の変更」が行われた
場合には、本実務対応報告の適用範囲に含まれることとなる。
33. 本実務対応報告の適用範囲に含まれない金融商品については、従来どおり、金融商品
会計基準等及び外貨建会計処理基準等に従って会計処理を行うことになる。
2022 年改正実務対応報告
33-2. 金利指標置換後の取扱いについて再度確認する過程では、シンセティック LIBOR(第
28-3 項参照)の本実務対応報告上の取扱いを明確化すべきであるとの意見が聞かれた。
33-3. シンセティック LIBOR は、ターム物リスクフリーレート(日本円建 LIBOR であれ
ば東京ターム物リスクフリーレート)に、国際スワップデリバティブ協会(ISDA)
による LIBOR から代替金利指標への置換に係る所定のスプレッド調整を加味したレー
トとして算出することとされている。そのため、シンセティック LIBOR は、既存の LIBOR
と同様に「LIBOR」の名称を用いて公表されるものの、公表が停止される LIBOR とは実
質的に異なるものであると考えられる。
- 13 -
33-4. シンセティック LIBOR への移行は通常は金利指標の置換に該当すると考えられるが、
当該金利指標の置換が第 3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれるかどうか
の判断に関しては、本実務対応報告では「経済効果が概ね同等となることを意図した契
約条件の変更」に該当するかどうかの判断の指標が例示されており(第 30 項参照)、そ
の他の金利指標の置換と同様に当該指標に従って判断することとなる。したがって、
ンセティック LIBOR についてのみ取扱いを明確化することは行わないこととした。
会計処理
34. 金利指標改革に起因する LIBOR の置換は、企業からみると不可避的に生じる事象で
あり、ヘッジ会計を定める金融商品会計基準等の開発時には、特に次のような事態は想
定されていなかったものと考えられる。
(1) 金利指標改革に起因してヘッジ対象又はヘッジ手段の金利指標を置き換える際
の形態が異なる(契約条件の変更又は契約の切替)
(2) 金利指標改革に起因してヘッジ対象又はヘッジ手段の金利指標の置換が必要で
あるものの、後継の金利指標等が判明していない、又は、関連する市場の今後の動
向が不明である。
(3) 金利指標改革に起因してヘッジ対象及びヘッジ手段の金利指標の置換が必要で
あるものの、ヘッジ対象とヘッジ手段で置換のタイミングが異なる。
このような事態を想定して開発されていない金融商品会計基準等に基づいてヘッジ
会計を終了又は中止した場合、取引の実態を適切に表さず、財務諸表利用者に対する有
用な財務情報の提供につながらない可能性があると考えられるため、特例的な取扱い
を定めることとした。
なお、本実務対応報告では、「金利指標置換時」を「金利指標改革に起因して公表が
停止される見通しである LIBOR に関して、ヘッジ対象の金融商品及びヘッジ手段の金
融商品の双方の契約において後継の金利指標を基礎とした計算が開始される時点」と
定め(第 4 項(4)参照)、これを基準に前後計 3 つの期間に分けて特例的な取扱いを定
めている。これは、金利指標置換時及びその前後で必要とされる特例的な取扱いが異な
ると考えられるためである(なお、「ヘッジ対象又はヘッジ手段の契約の切替」(第 5
参照)については、金利指標置換前、金利指標置換時及び金利指標置換後のいずれにも
関連するものの、便宜的に金利指標置換前に区分している。
金利指標置換前の会計処理
ヘッジ対象又はヘッジ手段の契約の切替
35. 金融商品会計基準等では、ヘッジ手段が消滅したときにはヘッジ会計の適用を中止
し、また、ヘッジ対象が消滅したときにはヘッジ会計の適用を終了することとされてい
- 14 -
る(第 5 項参照)
ここで、既存のヘッジ関係について、ヘッジ対象又はヘッジ手段が参照する金利指標
を置き換える形態として、次のものが考えられる。
(1) ヘッジ対象又はヘッジ手段の既存の契約の条件の内容を変更することにより参
照する金利指標を置き換える(契約条件の変更)
(2) ヘッジ対象又はヘッジ手段の既存の契約をその満了前に中途解約し、直ちに新た
な契約を締結することにより参照する金利指標を置き換える(契約の切替)
36. 金融商品会計基準等では契約条件の変更時の取扱いに関して定めがなく、前項に示
した契約の切替を行った場合、法的には既存の契約を終了し新たな契約を締結するこ
ととなるため、ヘッジ会計の適用を終了又は中止することになると考えられる。
ここで、金利指標改革に起因する LIBOR の置換は、企業の意思に基づくものではな
く、不可避的に生じる事象であり、契約の切替によりヘッジ対象又はヘッジ手段が参照
する LIBOR を置き換える場合に、ヘッジ会計の適用を終了又は中止し損益を認識する
ことは、会計基準の開発時には想定されていなかった結果となり、取引の実態を適切に
表さず、財務諸表利用者に対する有用な財務情報の提供につながらないものと考えら
れる。また、LIBOR の置換の形態のみによってヘッジ会計の適用に違いが生じることは、
望ましくないと考えられる(第 34 項(1)参照)
したがって、本実務対応報告では、適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象又はヘ
ッジ手段としてヘッジ会計を適用している場合、金利指標改革に起因する契約の切替
が行われたときであっても、ヘッジ会計の適用を継続することができるとした(第 5
参照)
ヘッジ会計の原則的処理方法(繰延ヘッジ)
(ヘッジ対象となり得る予定取引の判断基準)
37. 金融商品会計基準等では、「予定取引とは、未履行の確定契約に係る取引及び契約は
成立していないが、取引予定時期、取引予定物件、取引予定量、取引予定価格等の主要
な取引条件が合理的に予測可能であり、かつ、それが実行される可能性が極めて高い取
引をいう。」とされている(金融商品会計基準(注 12)
また、ヘッジ対象である予定取引が実行されないことが明らかになったときは、ヘッ
ジ会計を終了しなければならないとされている(第 6 項参照)
38. ヘッジ対象が LIBOR を参照している場合、企業が予定取引の取引条件の予測可能性
及びその実行可能性を判断することは困難であり、ヘッジ会計を終了させる必要性が
生じる可能性があるものと考えられる。こうした状況は、金融商品会計基準等の開発時
には想定されていなかったものである(第 34 項(2)参照)
したがって、適用範囲に含まれる金融商品がヘッジ対象である予定取引が実行され
るかどうかを判断するにあたって、金利指標置換前においては、ヘッジ対象の金利指標
- 15 -
が、金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変更されないとみなすことがで
きるとした(第 6 項参照)
(ヘッジ有効性の評価)
39. 金融商品会計基準等では、ヘッジ会計を適用するためには、事前テスト及び事後テス
トが要求されている(第 7 項及び第 8 項参照)。また、ヘッジ有効性の評価方法につい
ては、「企業は、ヘッジ開始時点で相場変動又はキャッシュ・フロー変動の相殺の有効
性を評価する方法を明確にしなければならない。(金融商品実務指針第 143 項(2))と
されており、例えば、「ヘッジ有効性の判定は、原則としてヘッジ開始時から有効性判
定時点までの期間において、ヘッジ対象の相場変動又はキャッシュフロー変動の累計
とヘッジ手段の相場変動又はキャッシュフロー変動の累計とを比較し、両者の変動額
等を基礎にして判断する。両者の変動額の比率がおおむね 80%から 125%までの範囲
内にあれば、ヘッジ対象とヘッジ手段との間に高い相関関係があると認められる。」等
とされている(金融商品実務指針第 155 項から第 159 項)
40. 事前テストに関しては、後継の金利指標が未だ判明していない、又は、関連する市場
で活発な取引が行われていないなどの理由から、後継の金利指標に基づく事前テスト
が困難となる可能性があると考えられる。これは企業にとって不可避的に生じる事象
によるものであり、このことのみをもってヘッジ会計の有効性の要件を満たさないと
してヘッジ会計の適用を認めないことは、会計基準の開発時には想定されていなかっ
た結果となり、財務諸表利用者に対する有用な財務情報の提供につながらないと考え
られる(第 34 項(2)参照)
そのため、適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象又はヘッジ手段としてヘッジ
会計を適用する場合、金利指標置換前においては、ヘッジ対象及びヘッジ手段の参照す
る金利指標は金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変更されないとの仮定
を置いて実施することができるとした(第 7 項参照)
なお、金融商品実務指針では、有効性の事前予測の方法としては、「比率分析の手法
のほか、回帰分析の利用も考えられる。(金融商品実務指針第 314 項)とされている。
後継の金利指標について観測されるデータが不足し、このような分析が困難となる可
能性があると考えられるが、この場合、例えば、既存の金利指標と後継の金利指標との
間の置換時のスプレッド差等を勘案したうえで、既存の金利指標もデータとして利用
するなどが考えられる。
41. 次に、事後テストに関して、既存のヘッジ関係について、ヘッジ対象又はヘッジ手段
が参照する金利指標の置換前において、金利指標改革に起因する LIBOR の置換に関す
る見込みが将来キャッシュフローの見積りに影響し、ヘッジ対象及びヘッジ手段の相
場変動又はキャッシュ・フローの変動額の累計の比率にも影響することが考えられる。
この場合、将来キャッシュフローの変化の要因を、金利指標改革に起因する要因とそ
- 16 -
れ以外の要因に分解したうえで、有効性の判定を行うことが考えられるが、そうした分
解は一般に実務上困難であると考えられる。
ここで、これらは同様に会計基準の開発時には想定されていなかった結果となり、
務諸表利用者に対する有用な財務情報の提供につながらない場合が生じる可能性があ
る。
そのため、適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象又はヘッジ手段としてヘッジ
会計を適用する場合、金利指標置換前においては、ヘッジ有効性が認められない場合で
あってもヘッジ会計の適用を継続することができるとした(第 8 項参照)
例えば、ヘッジ対象の相場変動又はキャッシュフロー変動の累計とヘッジ手段の相
場変動又はキャッシュフロー変動の累計とを比較し、両者の変動額等を基礎にして判
断する方法(第 39 項参照)によりヘッジ有効性を評価している場合には、当該比率が
80%から 125%の範囲外となった場合であっても、ヘッジ会計の適用を継続することが
できる。
なお、ヘッジに高い有効性があるとみなされる場合には金融商品実務指針第 156
による有効性の判定を省略することができるとされている(金融商品実務指針第 158
項)。金利指標置換前において、金融商品実務指針第 158 項に基づき高い有効性がある
とみなされるかどうかを判断するにあたっては、事前テストと同様にヘッジ対象及び
ヘッジ手段の参照する金利指標は金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変
更されないとの仮定を置いて実施することにより(本実務対応報告第 7 項参照)、金融
商品実務指針第 156 項による有効性の判定を省略することが可能であると考えられる。
(包括ヘッジ)
42. 金融商品会計基準等では、次の双方を満たす場合には、企業内部の部門ごと又はその
企業において、包括ヘッジが認められている(第 9 項参照)
(1) リスク要因(金利リスク、為替リスク等)が共通していること
(2) リスクに対する反応が同一グループ内の個々の資産又は負債との間でほぼ一様
であること
また、個々の資産又は負債の時価の変動割合又はキャッシュフローの変動割合が、
ポートフォリオ全体の変動割合に対して、上下 10%を目安にその範囲内にある場合に
は、個々の資産又は負債はリスクに対する反応がほぼ一様であるものとして取り扱う
とされている(金融商品実務指針第 152 項)
43. 金利指標改革の結果、ヘッジ対象に指定されているグループ内に存在している個々
の資産又は負債の金利指標が置き換えられる場合、置換のタイミングが異なることに
より、次のような状況で前項(2)の条件を満たさなくなることが考えられる。
(1) グループ内のすべての資産又は負債の金利指標の置換前において、将来のいずれ
かの時点でグループ内の個々の資産又は負債の金利指標が置き換わる可能性が現
- 17 -
在の時価に織り込まれる。
(2) グループ内の一部の資産又は負債の金利指標のみが置き換わる。
(3) グループ内のすべての資産又は負債の金利指標が置き換わった結果、同一グルー
プ内の資産又は負債の後継の金利指標が異なることが確定する。
44. 企業にとって不可避的に発生した事象である金利指標改革に起因する要因のみによ
り包括ヘッジが適用できなくなると、リスクの共通する資産又は負債をグルーピング
してヘッジしているという経済実態が反映されず、有用な財務情報の提供を妨げる可
能性がある。
したがって、適用範囲に含まれる金融商品を含むグループをヘッジ対象として包括
ヘッジを適用する場合、個々の資産又は負債のリスクに対する反応とグループ全体の
リスクに対する反応がほぼ一様であると認められなかった場合であっても、包括ヘッ
ジを適用することができるとした(第 9 項参照)
例えば、個々の資産又は負債の時価の変動割合又はキャッシュフローの変動割合が、
ポートフォリオ全体の変動割合に対して上下 10%の範囲内にあるかどうかにより
個々の資産又は負債はリスクに対する反応がほぼ一様であるかどうかを判断している
場合には(第 42 項参照)個々の資産又は負債の時価の変動割合又はキャッシュフロ
ーの変動割合が、ポートフォリオ全体の変動割合に対して上下 10%の範囲外となった
場合であっても、包括ヘッジの適用を継続することができる。
金利スワップの特例処理等
(金利スワップの特例処理)
45. 金融商品会計基準では、金利スワップの特例処理が認められており、その具体的な条
件が金融商品実務指針に定められている(本実務対応報告第 11 項参照)
46. 金利指標改革は、金利スワップの特例処理について、特に第 11 項(3)から(5)の条件
に次のように影響する可能性がある。
(1) ヘッジ対象及びヘッジ手段の金利指標の置換前であるが、決算日以降に金利スワ
ップの金利指標が置き換わることが想定され、 11 項(5)の条件を満たさなくなる。
(2) ヘッジ対象又はヘッジ手段の金利指標のいずれかが変更され、一時的に第 11
(3)から(5)の条件を満たさなくなる。
47. 金利指標改革に起因して、前項に示した内容で金利スワップの特例処理の条件(第 11
項参照)を満たさなくなった場合、金利スワップの特例処理の適用は認められなくなる。
しかしながら、金利指標改革に起因する契約条件の変更又は契約の切替のみを原因と
して、金利スワップの受払条件の変更が想定されること、又は、ヘッジ対象及びヘッジ
手段の金利指標が一時的に異なることをもって、金利スワップの特例処理の要件を満
たさないとしてこれを認めないことは、有用な財務情報の提供につながらないと考え
られる(第 34 項(2)及び(3)参照)
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そのため、適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象又はヘッジ手段として金利ス
ワップの特例処理を適用する場合、第 11 項(3)から(5)で示した条件を満たしているか
どうかの判断において、金利指標置換前においては、ヘッジ対象及びヘッジ手段の参照
する金利指標は金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変更されないとみな
して判断することができるとした(第 11 項参照)
なお、 11 項(2)の条件については、当初契約時に金利スワップの契約期間とヘッジ
対象資産又は負債の満期がほぼ一致しているかどうかの判断を行うことが想定されて
いると考えられるため、例えば金利スワップの契約の切替が発生した場合には、金利ス
ワップの新たな契約期間とヘッジ対象の満期が一致しないことが考えられるものの、
金利スワップとヘッジ対象の残存期間が同一であれば、当該条件を満たすとみなすこ
とができると考えられる。
(外貨建会計処理基準等における振当処理)
48. 外貨建会計処理基準等では、外貨建金銭債権債務等と為替予約等との関係が、金融商
品会計基準におけるヘッジ会計の要件を満たしている場合には、当該外貨建取引及び
外貨建金銭債権債務等について、当分の間、振当処理ができるとされている。ただし、
振当処理が認められるのは、為替予約等によって円貨でのキャッシュフローが固定さ
れているときに限られるとされている(第 12 項参照)
49. 振当処理において金利指標改革の影響が生じる可能性がある典型的な取引としては、
例えば、ヘッジ対象であるドル LIBOR 支払いの外貨建金銭債務について、ドル LIBOR
利の受取りと円固定金利の支払いの金利通貨スワップを用いて外貨の変動金利を円貨
の固定金利に固定する取引が想定される。この場合、ヘッジ対象である外貨建金銭債務
の変動金利とヘッジ手段である金利通貨スワップの変動金利が、金利指標改革により
異なる変動金利に置き換わり、円貨でのキャッシュフローが固定されない可能性があ
る。
50. 振当処理は、為替予約等を外貨建金銭債権債務等に付すことにより円貨でのキャッ
シュフローが固定されることから、ヘッジ会計におけるキャッシュフローヘッジ
に相当するとして認められているものである(企業会計審議会「外貨建取引等会計処理
基準の改訂に関する意見書」二 2 及び外貨建実務指針第 5 項)。したがって、本来、キ
ャッシュフローが固定されないのであれば、振当処理は認められないと考えられる。
しかしながら、前項に示したような事例においては、金利指標改革に起因する LIBOR
の置換のみを原因として、金利指標置換前に一時的に振当処理の要件を満たさないこ
とを理由に振当処理を認めなかった場合、財務諸表利用者に対する有用な財務情報の
提供につながらないと考えられる(第 34 項(2)及び(3)参照)
したがって、適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象又はヘッジ手段として振当
処理を適用するに際し、金利指標置換前においては、円貨でのキャッシュフローが固
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定されているかどうかを判断するにあたって、ヘッジ対象及びヘッジ手段の参照する
金利指標は金利指標改革の影響を受けず既存の金利指標から変更されないとみなして
判断できることとした(第 12 項参照)
金利指標置換時の会計処理
ヘッジ会計の原則的処理方法(繰延ヘッジ)
51. 金融商品会計基準等においては、ヘッジ取引時にヘッジ文書でヘッジ取引日、識別し
たヘッジ対象とリスクの種類、選択したヘッジ手段等について明確にすることが求め
られている(金融商品会計基準第 31 項(1)並びに金融商品実務指針第 143 項から第 145
項及び第 150 項)。金利指標置換時には、ヘッジ文書のこれらの内容に変更が生じるこ
とになるが、このような変更があった場合の取扱いは既存の会計基準に必ずしも明確
に定められていないと考えられる。そのため、ヘッジ文書のこれらの内容に変更が生じ
た場合、ヘッジ会計を中止すべきか否かについて議論が生じる可能性もあると考えら
れる。
52. 金利指標置換前においては、単に一時的な金利指標の置換のタイミングの違いのみ
によってヘッジ会計を中止することは、有用な財務情報の提供につながらないと考え
られるため特例的な取扱いを設けている。
金利指標を置き換えた場合、金利指標置換時にヘッジ取引日(開始日)、識別したヘ
ッジ対象、選択したヘッジ手段等を変更することになると考えられるが、このようなヘ
ッジ文書の変更のみでヘッジ会計の中止とした場合、金利指標置換前と同様に有用な
財務情報の提供につながらないと考えられる。
したがって、適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象又はヘッジ手段としてヘッ
ジ会計を適用していた場合、金利指標置換時において、当初のヘッジ会計開始時にヘッ
ジ文書に記載したヘッジ取引日(開始日)、識別したヘッジ対象、選択したヘッジ手段
等を変更したとしても、ヘッジ会計の適用を継続することができるとした(第 13 項参
照)
金利指標置換後の会計処理
ヘッジ会計の原則的処理方法(繰延ヘッジ)
(2020 年実務対応報告)
53. 金利指標置換後においては、置き換えた後の金利指標に基づいてヘッジ有効性の評
価や会計処理を行うことが、ヘッジ会計の趣旨に適った会計処理であり、この点を強調
した場合には、特例的な取扱いを定めることは、有用な財務情報を提供する観点からは
望ましいとはいえない可能性がある。
ここで、日本円における LIBOR の後継の金利指標として、貸付金又は借入金(ヘッジ
対象)について「ターム物リスクフリーレート」を選好する意見が聞かれているが、
- 20 -
日本円に関する「ターム物リスク・フリー・レート」は、LIBOR の公表停止が見込まれ
2021 12 月末までに関連する市場で活発な取引が行われるか不明であるため、
LIBOR 公表停止時までに利用可能な金利指標(無担保コール・オーバーナイト物金利
(TONA:Tokyo Overnight Average rate)や TIBOR が候補となる。)に LIBOR からい
たん置換を行ったのち、最終的に「ターム物リスクフリーレート」に移行する可能
性や、経済的なヘッジ行動もこれに合わせる可能性があるとの意見も聞かれるなど、
利指標置換後の金利指標の選択に関する実務や企業のヘッジ行動について不確実な点
が多い。
LIBOR が公表されている日本円以外の主要通貨についても、リスクフリーレート
が特定され、ターム物リスクフリーレートの構築が進められているが、その進捗状
況は通貨ごとに異なる状況にあるため、国際的な活動を行う企業にとっては、さらに不
確実な状況に直面している。
よって、適用範囲に含まれる金融商品をヘッジ対象又はヘッジ手段としてヘッジ会
計を適用していた場合、事後テストに関する第 8 項の取扱いを適用していたか否かに
かかわらず、金利指標置換時以後、同項の取扱いを適用し、2023 3 31 日以前に終
了する事業年度までヘッジ会計の適用を継続することができるとした。これは、LIBOR
の公表停止が予定されている 2021 12 月末から概ね 1 年間を想定したものである。
また、当該取扱いを継続している間、再度金利指標を置き換え、ヘッジ文書の記載を変
更したとしても、ヘッジ会計の適用を継続することができるとした(第 14 項参照)。な
お、本実務対応報告公表時には上述のように金利指標の選択に関する実務や企業のヘ
ッジ行動について不確実な点が多いため、本実務対応報告の公表から約 1 年後に、当該
取扱いについて再度確認する予定である。
また、公開草案に寄せられた意見の中には、2023 4 月以降の事後テストについて、
どの時点から有効性判定すべきかについて明確にすべきであるとの意見が聞かれた。
この点、金融商品会計基準等では、ヘッジ有効性の判定は、原則としてヘッジ開始時か
ら有効性判定時までの期間において実施するとされており(金融商品実務指針第 156
項)2023 4 月以降は、当該方法に基づくことが原則的な考え方となる。一方で、
継の金利指標のみに基づいて事後テストを実施することが適切であるとの考え方も想
定されることから、継続適用を条件に、金利指標置換時(再度金利指標を置き換えた場
合は当該再置換時を含む。)を起点に事後テストを実施することも認めることとし
(第 15 項参照)
54. さらに、公開草案に寄せられたコメントの中では、ヘッジ手段が消滅した場合など、
金利指標改革とは無関係にヘッジ会計が中止となった場合に、金融商品会計基準等に
従えば、ヘッジ手段に係る損益又は評価差額はヘッジ対象に係る損益が認識されるま
で繰り延べるとされているが、ヘッジ対象が参照する金利指標が LIBOR から他の金利
指標に置き換えられる場合、ヘッジ手段に係る損益又は評価差額は、2023 3 31
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以降も繰り延べられるのかどうかを明らかにすべきとの意見が聞かれた。
この点、第 5 項では、第 3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融商
品について契約の切替が行われた場合であっても、ヘッジ会計の適用を継続すること
ができることとしている。したがって、同様の考え方により、既にヘッジ会計が中止さ
れている場合に、第 3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融商品であ
るヘッジ対象の契約の切替が行われたときは、ヘッジ会計の終了とはせず、引き続きヘ
ッジ手段に係る損益又は評価差額を繰り延べることとした(第 17 項参照)
なお、「契約条件の変更」が行われた場合の取扱いは、 36 項に記載のとおり、金融
商品会計基準等に定めがなく、実務が定着していると考えられるため、本実務対応報告
においては特段の定めを設けないこととした。
55. 金利指標置換時以後においては、ヘッジ対象及びヘッジ手段のいずれも金利指標の
置換が完了していることから、事後テストに関する特例的な取扱いを適用しないこと
を選択する企業も想定される。このような場合、それまでのヘッジ会計の適用を中止又
は終了させずに継続するのであれば、事後テストの方法は、金融商品実務指針第 156
に従い、原則として、ヘッジ開始時から有効性判定時までの期間における有効性判定を
行うこととなる。しかしながら、金利指標置換時以後、特例的な取扱いを適用しない企
業が、後継の金利指標のみに基づいて事後テストを実施することが適切であると判断
する可能性があることから、継続適用を条件に、金利指標置換時を起点に事後テストを
実施することもできることとした(第 16 項参照)
56. さらに、審議においては、本実務対応報告公表後に、LIBOR 以外の金利指標間(例え
ばリスク・フリーレートと TIBOR)で新規に開始するヘッジ関係についても、当該金
利指標が暫定的な金利指標となる可能性があるという理由から、第 14 項及び第 19
の金利指標置換後の定めと同様の特例的な取扱いを認めるべきではないかとの意見も
聞かれた。
この点、本実務対応報告公表後に新たに締結する契約については、ヘッジ関係が有効
との期待は、実際に有効性評価を行わない限り確認することができない。金利指標置換
後の取扱いについては、第 53 項に記載のとおり、本来、置き換えた後の金利指標に基
づきヘッジ有効性の評価等を行うことが望ましい中で、このようなケースについてま
で、事後テストの結果にかかわらずヘッジ会計の適用を継続することを幅広く認める
と、ヘッジの効果を会計に反映させるというヘッジ会計の意義を逸脱してしまう可能
性があるため、本実務対応報告の対象とはしないこととした。
(2022 年改正実務対応報告)
56-2. 第 28-3 項に記載したとおり、米ドル建 LIBOR の一部のターム物について、公表停止
時期が 2023 6 月末に延期された。これにより、2020 年実務対応報告における金利指
標置換後の会計処理に関する取扱いの適用期間が米ドル建 LIBOR の公表停止時期より
先に終了することとなった。
- 22 -
56-3. 金利指標置換後の取扱いについて再度確認する過程では、米ドル建 LIBOR を参照す
る契約の規模が日本円建 LIBOR に匹敵するものであることや、米ドル建 LIBOR から後
継金利への移行に関する困難性が存在すること、さらに、金利スワップの特例処理など
の適用について問題が生じる可能性があることなどが見出された。そのため、金利指標
置換後の会計処理に関する取扱いの適用期間を一定程度延長すべきとの意見が聞かれ
た。
56-4. 金利指標置換後の会計処理に関する取扱いの適用期間について、2020 年実務対応報
告の開発の過程では、金利指標置換後においては、置換後の金利指標に基づいてヘッジ
有効性の評価や会計処理を行うことが、ヘッジ会計の趣旨に適った会計処理であり、
例的な取扱いを定めることは、有用な財務情報を提供する観点としては望ましいとは
いえない可能性があるとされていた。これを考慮すると、米ドル建 LIBOR についてのみ
2020 年実務対応報告における金利指標置換後の会計処理に関する取扱いの適用期間を
1 年延長し、2024 3 31 日以前に終了する事業年度まで延長することが考えられた。
56-5. しかし、米ドル以外の通貨建ての LIBOR に関する不確実性が完全になくなったとい
うことでもなく、また、適用期間を延長しても濫用のおそれがないと考えられた。その
ため、金利指標置換後の会計処理に関する取扱いの適用期間について米ドル建 LIBOR
それ以外の通貨建ての LIBOR を分けることなく、一律に 2024 3 31 日以前に終了
する事業年度まで延長することとした。
56-6. 審議の過程では、2022 年改正実務対応報告の公表から約 1 年後に金利指標置換後の
取扱いについて再度確認を行う予定とするかどうかについて検討を行った。
これについては、2022 年改正実務対応報告の公表時点で、米ドル以外の通貨建ての
LIBOR に関する不確実性が完全になくなったということでもなく、将来さらなる対応が
必要となる可能性があるため、1 年後に限定せず、将来必要な場合には改めて確認を行
うこととした。
包括ヘッジ
(2020 年実務対応報告)
57. 包括ヘッジに関する第 9 項の定めについても、第 53 項に記載したとおり、貸付金や
借入金についての後継の金利指標に関して、金利指標置換後の金利指標の選択に関す
る実務や企業のヘッジ行動について不確実な点が多い。
したがって、第 3 項に示した本実務対応報告の適用範囲に含まれる金融商品を含む
グループをヘッジ対象として包括ヘッジを適用していた場合、包括ヘッジに関する第 9
項の取扱いを適用していたか否かにかかわらず、金利指標置換時以後、同項の取扱いを
適用し、2023 3 31 日以前に終了する事業年度まで包括ヘッジの適用を継続するこ
とができるとした。また、同項の取扱いを継続している間、再度金利指標を置き換え、
ヘッジ文書の記載を変更したとしても、包括ヘッジの適用を継続することができると
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した(第 18 項参照)
(2022 年改正実務対応報告)
57-2. 2022 年改正実務対応報告では、包括ヘッジに関する金利指標置換後の会計処理に関
する取扱いの適用期間を、2024 3 31 日以前に終了する事業年度まで延長すること
とした。
金利スワップの特例処理等
(2020 年実務対応報告)
58. 金利スワップの特例処理についても、状況はヘッジ会計の原則的処理方法と同様で
あるが(第 53 項参照)次の理由により、金利スワップの特例処理の方が影響はより大
きいものと考えられる。
(1) ヘッジ手段とヘッジ対象の金利指標がほぼ一致することが求められており、両者
で金利指標が異なった場合、金利スワップの特例処理が認められなくなること
(2) 事業会社を中心に幅広く利用されており、原則的処理方法に移行するためには、
新たに金利スワップの時価評価の体制を構築する必要性が生じること
したがって、金利スワップの特例処理についても、ヘッジ会計の原則的処理方法と同
様の取扱いを定めることとした(第 19 項参照)同様に、振当処理についても、ヘッジ
会計の原則的処理方法と同様の取扱いを定めることとした(第 19 項参照)
(2022 年改正実務対応報告)
58-2. 2022 年改正実務対応報告では、金利スワップの特例処理等に関する金利指標置換後
の会計処理に関する取扱いの適用期間を、2024 3 31 日以前に終了する事業年度ま
で延長することとした。
58-3. 金利指標置換後の取扱いについて再度確認する過程では、金利スワップの特例処理
等に関する金利指標置換後の会計処理について定めた第 19 項について、趣旨を明確化
すべきという意見が聞かれた。
58-4. 2020 年実務対応報告第 19 項は、金利指標置換前の取扱いを定めた第 11 項及び第 12
項の取扱いを適用していたかどうかにかかわらず、金利指標置換時以後、同項の取扱い
2023 3 31 日以前に終了する事業年度まで適用することができるとしていた。
ここで、第 11 項の問題意識は、金利指標改革に起因する契約条件の変更又は契約の切
替のみを原因として、金利スワップの受払条件の変更が想定されること又はヘッジ対
象及びヘッジ手段の金利指標が一時的に異なることをもって、金利スワップの特例処
理の要件を満たさないとしてこれを認めないことは、有用な財務情報の提供につなが
らないという点にあった。また、 12 項の問題意識は、金利指標改革に起因する LIBOR
の置換のみを原因として、金利指標置換前に一時的に振当処理の要件を満たさないこ
とを理由に振当処理を認めなかった場合、財務諸表利用者に対する有用な財務情報の
提供につながらないという点にあった(第 47 項及び第 50 項参照)
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58-5. また、2020 年実務対応報告第 19 項の定めは、金利スワップの特例処理等について、
ヘッジ会計の原則的処理方法(繰延ヘッジ)に関する金利指標置換後の会計処理の定め
と同様の効果を意図したものであった(第 58 項参照)この定めは、ヘッジ会計の原則
的処理方法(繰延ヘッジ)について、金利指標置換後の会計処理に関する取扱いの適用
期限が到来した後にもヘッジ会計の適用を継続することが可能となることを意図した
ものであった(第 53 項最終段落参照)
58-6. さらに、金利指標改革に起因した金利指標の置換が行われたとしても、金利指標置換
時以後の期間について金融商品実務指針第 178 項の⑤以外の金利スワップの特例処理
に関する要件を満たすような金利指標の置換が本実務対応報告で定める金利指標置換
後の会計処理の適用期間内になされる場合には、当初契約時に想定していたヘッジの
効果の維持が見込まれる。これについて、2020 年実務対応報告第 19 (2022 年改正実
務対応報告では第 19 項及び第 19-3 項)では特例的な取扱いを継続している間、再度
金利指標を置き換えたとしても、金利スワップの特例処理又は振当処理の適用を継続
することができるとしていた。この取扱いにより、金利指標の置換に起因して一時的に
金融商品実務指針第 178 項の③から⑤の要件が満たされなくなったとしても、2023
3 31 日以前に終了する事業年度の翌事業年度の期首以降も金利スワップの特例処理
の適用を継続するためには、改めて金利指標の置換を行うことで金融商品実務指針第
178 項の⑤以外の金利スワップの特例処理の要件が満たされるような金利指標の置換
が行われることが想定されていた。
58-7. 第 58-2 項から前項までの考え方は、2020 年実務対応報告について新たな解釈を示す
ものではない。しかし、本実務対応報告の定めに関して多様な解釈が生じることで、
務に意図しない影響を及ぼすことが考えられるため、2020 年実務対応報告の開発時の
考え方を 2022 年改正実務対応報告で明確化することとした。
58-8. 金利指標置換後の会計処理に関する取扱いの適用期間が 2024 3 31 日以前に終
了する事業年度まで延長されても、米ドル建 LIBOR の一部のターム物の公表停止時期
2023 6 月末とされたことに伴い、金利指標置換前において金利スワップの特例処
理の要件を満たしていた取引に関して、金利指標改革に起因した金利指標の置換がな
され、かつ、当該金利指標置換時以後において金融商品実務指針第 178 項の⑤以外の金
利スワップの特例処理の要件を満たしている場合であっても、金利指標置換時が第 19
項の適用期間より後であるという理由で金利スワップの特例処理等が適用できなくな
る場合が想定された。これについて、当該金利指標の置換が第 19 項の適用期間より後
であるという理由のみにより機械的に金利スワップの特例処理が継続できないとする
ことは、第 58-4 項と同様に有用な財務情報の提供につながらない可能性があると考え
られた。
58-9. そのため、金利指標置換時が 2024 3 31 日以前に終了する事業年度までに到来
していない場合であっても、2024 3 31 日以前に終了する事業年度までに行われた
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契約条件の変更又は契約の切替が金融商品実務指針 178 項の⑤以外の金利スワップ
の特例処理の要件を満たしているときには、2024 3 31 日以前に終了する事業年度
の期末日後に到来する金利指標置換時以後も金利スワップの特例処理を継続すること
ができるものとした。また、適用にあたって一定の歯止めを設ける観点から、契約条件
の変更又は契約の切替が第 19 項の適用期間内に行われることを求めることとした。
58-10. 振当処理についても 2020 年実務対応報告と同じく、金利スワップの特例処理と同
様に適用することができるものとした(第 19-3 項参照)
注記事項
59. 現状、重要な会計方針の 1 つとしてヘッジ会計の方法に関する注記が行われている
ことを踏まえ、報告日時点において本実務対応報告を適用している企業は、本実務対応
報告を適用しているヘッジ関係の内容(ヘッジ会計の方法、ヘッジ手段、ヘッジ対象及
びヘッジ取引の種類)を注記することとした(第 20 項参照)
なお、公開草案公表後の審議の過程で、当該注記を行うにあたって、ヘッジ手段やヘ
ッジ対象の残高等の定量的な情報の開示を必要とするかどうかについて明確化を行う
べきとの意見が聞かれたため、これらの定量的な情報の開示に対する財務諸表作成者
の追加のコストと当該開示による便益を比較し、定量的な情報の開示は求めないこと
を明確にした。
また、本実務対応報告の適用はヘッジ関係ごとに選択できるため(第 23 項参照)
一部のヘッジ関係にのみ適用する場合には、その理由を記載することとした(第 20
項参照)
60. 本取扱いは、金融商品会計基準第 40-2 項の注記事項に関する定めに関連するもので
あり、同様に連結財務諸表において同じ内容の注記をしている場合には、個別財務諸表
において記載することを要しないこととした(本実務対応報告第 20 項参照)
61. なお、LIBOR の公表停止までに契約条件の変更又は契約の切替が完了しないリスクに
関する注記(LIBOR を参照している契約の残存する残高や金利指標移行の進捗状況等)
を求めることも検討したが、本実務対応報告は、LIBOR を参照する金融商品について必
要と考えられるヘッジ会計に関する取扱いを明らかにするものであり、LIBOR の公表停
止そのもののリスクを取り扱うものではないため、このような注記は求めないことと
した。
また、本実務対応報告を適用していなければ発生していた損益に対する潜在的な影
響額の注記を求めることについても検討したが、次のような困難が予想されることか
ら、注記を求めることは適切でないと考えられるため、注記は求めないこととした。
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(1) ヘッジ有効性の評価の結果について、金利指標改革の影響によるものとそれ以外
の要因を区別することは困難であり、金利指標改革のみによる純粋な損益の影響額
を算定することはできない。
(2) 特に金利スワップの特例処理を採用している場合や高い有効性があるとして有
効性評価を省略している場合、本実務対応報告を適用しても有効性評価を行うこと
は想定していないため、損益の影響額を把握するためには、追加の事務手続が必要
となり、企業のコスト負担が大きい。
適用時期等
62. 本実務対応報告で定める特例的な取扱いは、金利指標の置換に関する実務への配慮
から、可能な限り速やかに行われることが望ましいと考えられたため、公表日以後適用
できることとした。ただし、本実務対応報告公表前に既にヘッジ会計の中止又は終了が
行われたヘッジ関係については、そのニーズと会計処理の複雑さを勘案し、第 17 項を
除き適用することができないこととした(第 22 項参照)
63. 本実務対応報告の適用にあたっては、金利指標改革を機にリスク管理上で後継の金
利指標を基礎に管理するよう変更することから、会計上でもヘッジ会計の適用を終了
することを望む企業もあるとの意見や、ヘッジ会計を適用しているものの、その取引に
重要性がなく、特例的な取扱いに対するニーズのない企業も存在し得るとの意見が聞
かれている。
これらの意見を踏まえ、金利指標改革により企業が受ける影響やその対応は、企業ご
とに様々であることが考えられることから、本実務対応報告の適用は、企業が選択する
ことができることとした。また、金利指標の置換は契約ごと、ヘッジ関係ごとに発生す
ることから、その選択についてもヘッジ関係ごとに選択できることとした(第 23 項参
照)