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(考え方)
1 及び 2 のように、これまで委託者兼当初受益者が複数である金銭の信託について、
個別財務諸表上、受益者は信託財産を持分に応じて直接保有する会計処理を行わず、
有価証券として又は有価証券に準じて会計処理を行っている。一方、このような金銭
の信託については、一般に、多くの受益者を想定しているため、連結財務諸表上、子
会社や関連会社に該当するかどうかを判定する必然性は乏しかったものと考えられる。
信託は、財産管理の制度としての特徴も有しており、通常、「会社に準ずる事業体」
に該当するとは言えない
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が、受益者が複数である金銭の信託の中には、連結財務諸表
上、財産管理のための仕組みとみるより、むしろ子会社及び関連会社とみる方が適切
な会計処理ができる場合がある
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。また、新信託法においては、受益者集会の制度(第
106 条以下)など、受益者が 2 人以上ある信託における受益者の意思決定の方法が明
示された。このため、受益者が複数である金銭の信託については、当該受益者の連結
財務諸表上、子会社及び関連会社に該当する場合があり得ると考えられる
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。
(受益者が複数である金銭の信託が子会社及び関連会社と判定される場合)
上記の考え方を踏まえ、受益者が 2 人以上ある信託における次の受益者(当初受益
者のみならず、他から受益権を譲り受けた受益者も含む。)は、連結会計基準に従い、
原則として、当該信託を子会社として取り扱うことが適当である
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。
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このため、信託は、本実務対応報告により子会社及び関連会社に該当する場合を除き、連結財
務諸表上、「会社に準ずる事業体」としては取り扱われないこととなる。なお、本実務対応報告
では、企業会計基準第 22 号「連結財務諸表に関する会計基準」(以下「連結会計基準」という。)
第 5 項が示す企業のうち会社以外を、「会社に準ずる事業体」としている。
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今後も従来と同様に、多くの受益者からなる合同運用の金銭の信託については、子会社や関連
会社に該当するか否かについて判定を必要とすることは少ないと考えられるが、例えば、合同運
用の金銭の信託において、ある受益者が中心となって、事業を購入したり、他社の議決権のある
株式の過半数を購入したりするケース(Q5 のA3 参照)では、子会社や関連会社に該当するか否
かについて判定する意義はあり得る。
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受益者が単数である金銭の信託については、その信託財産に係るすべての損益が当該受益者に
帰属し、改めて子会社や関連会社に該当するか否かについて判定する必要はないものと考えられ
る。
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当該信託の受益権が、売買目的であって、金融商品会計基準や特別の法令の定めに適切に従っ
た結果、時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額を当期の損益として処理することとなる場
合には、事業投資である子会社や関連会社への投資には該当しない。なお、子会社又は関連会社
に該当することとなった金銭の信託において、その構成物である株式等が売買目的であって、金
融商品会計基準や特別の法令の定めに適切に従った結果、時価をもって貸借対照表価額とし、評
価差額を当期の損益として処理することとなるときには、当該株式等についても同様に、子会社
や関連会社への投資には該当しない。
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なお、信託行為における別段の定めにより、信託に関する財務及び営業又は事業の方針の決定
に該当する事項について、当該受益者以外の特定の受益者や委託者、債権者等の合意を必要とす
る場合には、当該受益者だけでは意思決定を行うことができないため、本文の 3(1)から(3)に該
当していても、当該信託は当該受益者の子会社に該当しないものと考えられる(ただし、当該受
益者以外の特定の受益者や委託者、債権者等が緊密な者又は同意している者に該当している場合
には、この限りではない。)。