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結論の背景
Ⅰ.経緯等
15. 2019 年 5 月に成立した「情報通信技術の進展に伴う金融取引の多様化に対応するため
の資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第 28 号)により、金融
商品取引法が改正された(以下「改正金融商品取引法」という。)。改正金融商品取引法で
は、いわゆる投資性 ICO(Initial Coin Offering。企業等がトークン(電子的な記録・記
号)を発行して、投資家から資金調達を行う行為の総称である。)を金融商品取引法によ
り規律することとされ、各種規定の整備が行われた。
具体的には、これまで流通する蓋然性が低いものとされ、いわゆる第二項有価証券とし
て分類されてきた金融商品取引法第 2 条第 2 項各号に規定される信託受益権、合名会社、
合資会社及び合同会社(以下、合名会社、合資会社及び合同会社を合わせて「持分会社」
という。)の社員権、並びに民法上の任意組合契約に基づく権利、商法上の匿名組合契約
に基づく権利、投資事業有限責任組合契約に基づく権利、有限責任組合契約に基づく権利
等(以下合わせて「集団投資スキーム持分等」という。)について、電子情報処理組織を
用いて移転することができる財産的価値に表示される場合、株式等と同様に事実上流通し
得ることを踏まえ、そのようなものを「電子記録移転権利」と定義し(金融商品取引法第
2条第3項)、いわゆる第一項有価証券に含めることで原則として開示規制を課し、その
業としての取扱いに第一種金融商品取引業の登録を求めることとされた。
16. また、いわゆる投資性 ICO 以外の ICO トークンについては、併せて改正された「資金決
済に関する法律」(平成 21 年法律第 59 号。以下「資金決済法」という。)第 2 条第 5 項に
規定される「暗号資産」に該当する範囲において、引き続き資金決済法の規制対象に含め
ることとされた。
17. このように金融商品取引法及び資金決済法が改正されたことを受けて、2019 年 11 月に
開催された第 421 回企業会計基準委員会において、公益財団法人財務会計基準機構内に
設けられている基準諮問会議より、金融商品取引法上の電子記録移転権利又は資金決済法
上の暗号資産に該当する ICO トークンの発行・保有等に係る会計上の取扱いの検討を求
める提言がなされ、当委員会は、同年 12 月より検討を開始した。
18. その後、2020 年 5 月に改正府令が施行された金商業等府令において電子記録移転権利
よりも広い概念である「電子記録移転有価証券表示権利等」が定められた。これは、集団
投資スキーム持分等を含む、金融商品取引法第 2 条第 2 項に規定されるみなし有価証券
のうち、電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値に表示される場合に
該当するものであり、株式や社債などの有価証券表示権利も、電子情報処理組織を用いて
移転することができる財産的価値に表示される場合には、これに含まれるとされている。