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一般的に、通貨の機能には、①価値の尺度、②価値の保蔵及び③交換の媒体の 3
つがあるといわれている。第 1 号電子決済手段及び第 3 号電子決済手段は、本実務
対応報告 BC10 項(1)及び(2)に記載した特徴により、電子決済手段の券面額に基づ
く価額をもって財又はサービスの対価の支払に使用される点で交換の媒体となり、
法定通貨との価値の連動が図られている点で間接的に価値の尺度の機能を有して
いると考えられる。また、法定通貨との価値の連動が図られている電子決済手段は、
価値の保蔵手段としても利用され得ると考えられる。ただし、本項(2)のとおり、
電子決済手段が払い戻されないリスク(以下「換金リスク」という。)がある点で、
通貨そのものとは異なると考えられる。
(2) 要求払預金に類似する性格を有するものである。
電子決済手段の利用者は、金銭による払戻しを請求する権利を有する。この点、
移管指針第 9 号「金融商品会計に関する実務指針」(以下「金融商品実務指針」と
いう。)第 214 項では、「預金は、預金者にとって金融機関から現金を引き出す契約
上の権利である。」とされており、電子決済手段も「現金を引き出す契約上の権利」
を有するため、債権としての性格を有する点で預金と共通している。
また、第 1 号電子決済手段、第 2 号電子決済手段及び第 3 号電子決済手段は、次
の①及び②に記載している点で、預金者が一定の期間を経ることなく引き出すこ
とができる要求払預金(移管指針第 6 号「連結財務諸表等におけるキャッシュ・フ
ロー計算書の作成に関する実務指針」第 2 項(1))に類似すると考えられる。
①
速やかに金銭による払戻しがなされる。
② 電子決済手段の換金リスクは、電子決済手段の発行者の信用リスク及び電
子決済手段の金銭による払戻しの履行のために保全された資産に係るリスク
の双方を考慮したリスクとなる。当該換金リスクは、本項(2)①及び電子決済
手段の発行者に対する規制(本実務対応報告 BC12 項及び BC13 項参照)によ
り、要求払預金における信用リスクと同程度であると考えられる。
BC18.
第 1 号電子決済手段は、通貨建資産である電子的な財産的価値が電子決済手段とし
て発行されるものであるのに対して、第 3 号電子決済手段は、電子的な財産的価値が信
託受益権の法的形式により電子決済手段として発行されるものである(BC14 項参照)。
これらの電子決済手段の基礎となる法的形式が異なることにより適用される規律は異
なるが、いずれの電子決済手段も前項に記載している会計上の性格に相違はなく、資産
から得られる経済的便益は異ならないと考えられる。また、第 2 号電子決済手段は、第
1 号電子決済手段と同等の経済的機能を果たす可能性がある電子決済手段であり、第 2
号電子決済手段の発行者に対して第 1 号電子決済手段と同一の所要の規制を及ぼす制
度趣旨(BC11 項参照)に鑑み、第 2 号電子決済手段は、第 1 号電子決済手段と同一の
資産項目として取り扱うことが考えられる。したがって、本実務対応報告では、第 1 号
電子決済手段、第 2 号電子決済手段及び第 3 号電子決済手段を同一の資産項目として