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1.基本的考え方
96. ヘッジ取引とは、ヘッジ対象の資産又は負債に係る相場変動を相殺するか、ヘッジ対象の
資産又は負債に係るキャッシュ・フローを固定してその変動を回避することにより、ヘッジ
対象である資産又は負債の価格変動、金利変動及び為替変動といった相場変動等による損失
の可能性を減殺することを目的として、デリバティブ取引をヘッジ手段として用いる取引を
いう。
97. ヘッジ手段であるデリバティブ取引については、原則的な処理方法によれば時価評価され
損益が認識されることとなるが、ヘッジ対象の資産に係る相場変動等が損益に反映されない
場合には、両者の損益が期間的に合理的に対応しなくなり、ヘッジ対象の相場変動等による
損失の可能性がヘッジ手段によってカバーされているという経済的実態が財務諸表に反映
されないこととなる。このため、ヘッジ対象及びヘッジ手段に係る損益を同一の会計期間に
認識し、ヘッジの効果を財務諸表に反映させるヘッジ会計が必要と考えられる。
98. 本会計基準においては、ヘッジ会計を導入することとし、先物取引に係るヘッジ会計の考
え方を示した企業会計審議会の「先物・オプション取引等の会計基準に関する意見書等につ
いて」を踏まえ、デリバティブ取引をヘッジ手段として利用しているヘッジ取引全般に対応
し得るよう、ヘッジ会計に係る処理を包括的に定めることとした。なお、デリバティブ取引
以外にヘッジ手段として有効であると認められる現物資産があり得る場合には、本会計基準
の考え方に沿って、ヘッジ会計を適用する余地があると考えられる。
99. また、多数の金融資産又は金融負債を保有してる金融機関等においては、それぞれの相場
変動等によるリスクの減殺効果をヘッジ対象とヘッジ手段に区別して捉えることが困難あ
るいは適当でない場合がある。このような場合に、リスクの減殺効果をより適切に財務諸表
に反映する高度なヘッジ手法を用いていると認められるときには、本会計基準の趣旨を踏ま
え、当該ヘッジ手法の効果を財務諸表に反映させる処理を行うことができる。
2.ヘッジ会計が適用されるヘッジ対象及びヘッジ手段
100. ヘッジ会計が適用されるヘッジ対象には、相場変動等による損失の可能性がある資産又は
負債のうち、相場等の変動が評価に反映されていないもの及び相場等の変動が評価に反映さ
れていてもその評価差額が損益として処理されないものの他、相場等の変動を損益として処
理することができるものであっても、当該資産又は負債に係るキャッシュ・フローが固定さ
れその変動が回避されるものはヘッジ対象となる(第 30 項参照)。
101. また、ヘッジ対象には、この他、予定取引(未履行の確定契約を含む。)により発生が見
込まれる資産又は負債も含まれる(第 30 項参照)。ただし、予定取引については、主要な
取引条件が合理的に予測可能であり、かつ、その実行される可能性が極めて高い取引に限定
することとした。
102. なお、他に適当なヘッジ手段がなく、ヘッジ対象と異なる類型のデリバティブ取引をヘッ
ジ手段として用いるいわゆるクロスヘッジもヘッジ会計の対象となる。