2. ヘッジ会計との関係
外貨建資産負債の換算については、従来、貨幣・非貨幣法に流動・非流動法を加味した考え方を採用して
きた。すなわち、貨幣項目の換算については、為替相場の変動が企業会計に与えている暫定的な影響(換算
差額)も認識する考え方を原則としつつ、回収又は弁済の期限が決算日の翌日から起算して1年を超える金
銭債権債務については、その為替相場の変動の確定的な影響(為替決済損益)が短期的には発生しないこと
を考慮し、為替換算による暫定的な為替相場の影響を認識しないこととしている。具体的には、決算時にお
いて、外貨建短期金銭債権債務は決算時の為替相場により、外貨建長期金銭債権債務は取得時又は発生時の
為替相場により円換算することとしている。また、非貨幣項目については、有価証券に低価基準を適用する
場合以外は、決算時において取引発生時の為替相場を換算替えしないこととしている。現行基準は、原価評
価を基本とした従来の評価基準の枠組みの中で、貨幣項目については、決済時までの期間に係る為替相場の
変動の不確実性を考慮しつつ、為替相場の変動をなるべく財務諸表に反映させる考え方である。
今般の現行基準の見直しにおいては、金融商品に係る会計基準の考え方との整合性等を考慮した結果、為
替相場の変動を財務諸表に反映させることをより重視する観点から、次のような考え方を採用した。
外貨建金銭債権債務については、外貨額では時価の変動リスクを負わず、したがって時価評価の
対象とならないものであっても、円貨額では為替相場の変動リスクを負っていることを重視し、流
動・非流動法による区分は設けずに決算時の為替相場により換算することを原則とすることとし
た。
(1)
満期保有目的の債券については金銭債権との類似性を考慮して、決算時の為替相場により換算
し、その換算差額は当期の損益として処理することとした。なお、満期償還外貨を円転せずに固定
資産等に再投資する目的で債券を保有している場合は、その換算差額を繰り延べて再投資する資産
の取得価額の調整に充てることができる。
(2)
金融商品に係る会計基準において時価評価を行うこととされている売買目的有価証券やその他有
価証券に属する外貨建有価証券に関する換算は、その円貨額による時価評価額を求める過程として
の換算であることから、このような有価証券の時価の算定には決算時の為替相場を用いることとし
た。
この場合、有価証券を時価評価したことによる評価差額は、金融商品に係る会計基準に基づいて
処理されることとなる。したがって、売買目的有価証券の評価差額は当期の損益として処理され、
その他有価証券の評価差額は税効果会計を適用した上で資本の部に計上される。ただし、評価差額
には外国通貨による時価の変動を決算時の為替相場で換算したことにより生じる差額と外国通貨に
よる取得原価を決算時の為替相場で換算したことにより生じる差額がある。そのため、その他有価
証券に属する債券については、金銭債権債務の換算方法との整合性の観点から、価格変動リスクと
為替変動リスクを分解して取り扱い、外国通貨による取得原価に係る換算差額は当期の損益に計上
するという考え方がある。その他有価証券に属する有価証券は、その保有目的が多義的であること
等から、このような考え方も考慮し、債券については取得原価に係る換算差額を損益に計上するこ
ともできることとした。
(3)
現行基準では、為替予約、通貨先物、通貨スワップ及び通貨オプション(以下「為替予約等」という。)
が付されている外貨建金銭債権債務の換算等においてヘッジの効果を反映する処理が部分的に導入されてい
るが、ヘッジ会計に関する基準そのものは将来の検討に委ねられていた。今般、金融商品に係る会計基準に
おいてヘッジ会計の基準が整備されたことから、外貨建取引についても、原則的には金融商品に係る会計基
準におけるヘッジ会計が適用されることになる。特にそこでは、キャッシュ・フローを固定させて満期まで
の成果を確定する「キャッシュ・フロー・ヘッジ」の概念のもとで、時価評価損益を繰り延べてその成果を
期間配分する「繰延ヘッジ」の会計処理が認められている。そのため、外貨建取引についてもキャッシュ・
フロー・ヘッジと共通する考え方に基づき、為替予約等によって円貨でのキャッシュ・フローが固定されて
いるときには、その円貨額により金銭債権債務を換算し、直物為替相場との差額を期間配分する方法(以下
「振当処理」という。)が適用できることになる。このようなことから、今般の改訂では、金融商品に係る
会計基準を踏まえ、為替予約等の振当処理の方法を統一することとした。なお、金融商品に係る会計基準に
おいては、デリバティブ取引により生じる正味の債権及び債務は金融資産又は金融負債として認識すること