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府機関債及び優良社債の利回りが含まれる(会計基準(注 6))。優良社債には、例えば、
複数の格付機関による直近の格付けがダブル A 格相当以上を得ている社債等が含まれ
る。」とされている。
10. ここで、平成 20 年公表の企業会計基準第 19 号「『退職給付に係る会計基準』の一部
改正(その 3)」
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において、一定期間の債券の利回りの変動を考慮して割引率を決定す
ることができるとする取扱いを削除して、期末における市場利回りを基礎として決定
される割引率を用いることとしている。この定めを退職給付会計基準(注 6)における
「期末における国債、政府機関債及び優良社債の利回り」に形式的に当てはめると、
プラスの利回りもマイナスの利回りもそのまま利用することになると考えられる。
しかしながら、現行の退職給付会計基準の基準開発において、債券の利回りがマイ
ナスとなることは想定していなかったと考えられるため、退職給付債務等の計算にお
いて、割引率の基礎とする安全性の高い債券の支払見込期間における利回りが期末に
おいてマイナスとなる場合、利回りの下限としてゼロを利用するか、マイナスの利回
りをそのまま利用するかについては一義的には決まらず、いずれの方法を用いること
が適切かが論点となる。
11. この論点を検討するにあたって、退職給付適用指針第 95 項では「退職給付債務(及
び退職給付費用)の計算に用いる割引率は、貸借対照表日現在の退職給付債務を求め
るために用いるものであるから、金銭的時間価値のみを反映させるべきであり、した
がって、信用リスクフリーレートに近い「期末における安全性の高い債券の利回り」
を用いる」とされており、また、金銭的時間価値のみが反映された信用リスクフリー
レートとは、一般的に、信用リスクが存在しない状態で時の経過に応じて価値が増え
るレートを反映するものであると考えられる。この信用リスクフリーレートについて、
マイナス金利の状況下においてどのように考えるべきかについて整理が必要となる。
この点、信用リスクが存在しない状態においても、将来の価値が現在の価値よりも
低くなると市場が評価していることに鑑み、金銭的時間価値は時の経過に応じて減少
するものとして、信用リスクフリーレートはマイナスになり得るとの意見が聞かれる
一方で、現金を保有することによって現在の価値を維持することができることから、
金銭的時間価値は時の経過に応じて減少することはないものとして、信用リスクフリ
ーレートの下限はゼロになるとの意見が聞かれる。
12. また、退職給付会計基準第 22 項では「年金資産の額は、期末における時価(公正な
評価額をいう。ただし、金融商品については、算定日において市場参加者間で秩序あ
る取引が行われると想定した場合の、当該取引における資産の売却によって受け取る
価格(企業会計基準第 10 号「金融商品に関する会計基準」第 6 項)とする。)により
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当該会計基準は、その内容を退職給付会計基準に引き継いだ上で平成 24 年に廃止されている
(退職給付会計基準第 40 項及び第 65 項)。