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結解除に際し、最低責任準備金の算定方法を今後も過去法(いわゆるコロガシ計算)とす
るとともに、給付現価の増大に伴う不足額(過去期間代行給付現価と最低責任準備金との
差額)について財源手当しようとするものであり、代行部分に係る運用リスクはあるもの
の数理上のリスクはなくなったため、企業が将来に資金負担する可能性のある金額を基礎
として負債を算定することが適切であると考えられることによる。この意見は、常に当該
不足額について財源手当を行うこととすると巨額の資金が政府(厚生年金本体)から厚生
年金基金に動き双方の資産運用に影響を与えるため、法令上は法改正時点ですべての不足
額を交付金として受け取ることとはされなかったに過ぎないと考えるものである。この意
見には、当該交付金について、交付される都度、退職給付費用から控除することは、適正
な期間損益計算を妨げることになるというものも含まれる。
他方、当該意見に対しては、少なくとも退職給付会計基準意見書で示されたような代行
部分に係る運用リスクはこれまでと同様であり、今回の法改正によっても会計上は、一定
の場合に厚生年金基金が政府(厚生年金本体)から一定の交付金を受け取ることとされた
ものとみて、退職給付会計基準の設定時から基本的な前提を変える制度改革があったもの
とまではいえないのではないかという意見がある。この意見は、母体企業(事業主)にと
って基金が受け取る交付金は年金資産の会計問題であり(したがって、受け取る時期と金
額が明確ではない交付金は、交付の都度、処理される。)、一方、代行部分を含む給付につ
いては退職給付債務の会計問題であるため、それぞれ別々に会計処理し、年金資産と退職
給付債務は退職給付引当金として表示上のみ純額とされているとみる見方を踏まえたもの
と考えられる。
代行部分の債務は最低責任準備金とすべきであるという意見に関連しては、今回の法改
正に伴い、厚生年金基金の財政計算上、厚生年金基金が負う代行部分の債務については最
低責任準備金となることが明らかになったことを受けて、これまでの考え方を見直さない
場合には、最低責任準備金を上回る金額だけ退職給付債務が過大になるのではないかとい
う指摘がある。このような意見には、厚生年金基金という独特の制度においては、他の会
計処理との関連よりも、今回の法改正の趣旨を反映させることを優先すべきではないかと
いうものもある。さらに、今後、金利や資産運用環境の変化などによっては、発生給付評
価方式に基づく退職給付債務が最低責任準備金を下回ることもあり得るという指摘もある。
しかしながら、これらの点に関しては、もともと退職給付会計基準では、例えば、退職
一時金制度における要支給額など、退職給付に係る債務を支払予定額や決済価額(又はそ
の現在価値)とするものではなく、退職給付のうち発生基準に基づき当期までに費用とし
て計上された結果の残高を退職給付債務としているため、会計上、過大計上や過小計上と
なるとはいえないという意見もある。この意見は、退職給付会計基準では、未認識の過去
勤務債務及び数理計算上の差異等は貸借対照表に計上しないこととしており、企業が負担
することとなる金額を直接的に負債計上するわけではないという考え方に基づくものと思
われる。