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するものとしている(第 5 項参照)。
29. 財務報告における情報開示の中で、特に重要なのは、投資の成果を表す利益の情報で
あると考えられている。報告主体の所有者に帰属する利益は、基本的に過去の成果であ
るが、企業価値を評価する際の基礎となる将来キャッシュ・フローの予測やその改訂に
広く用いられている。当該情報の主要な利用者であり受益者であるのは、報告主体の企
業価値に関心を持つ当該報告主体の現在及び将来の所有者(株主)であると考えられる
ため、当期純利益とこれを生み出す株主資本は重視されることとなる。
30. 2005 年(平成 17 年)会計基準では、貸借対照表上、これまでの資本の部を資産と負
債との差額を示す純資産の部に代えたため、資産や負債に該当せず株主資本にも該当し
ないものも純資産の部に記載されることとなった。ただし、前項で示したように、株主
資本を他の純資産に属する項目から区分することが適当であると考えられるため、純資
産を株主資本と株主資本以外の各項目に区分することとした。この結果、損益計算書に
おける当期純利益の額と貸借対照表における株主資本の資本取引を除く当期変動額は
一致することとなる。
31. 2005 年(平成 17 年)会計基準の検討においては、第 4 項及び第 7 項のように純資産
を株主資本と株主資本以外の各項目に並列的に区分するのではなく、株主資本をより強
調するように、純資産を株主資本とその他純資産に大きく区分し、その他純資産をさら
に評価・換算差額等、新株予約権及び非支配株主持分に区分するという考え方も示され
た。しかし、株主資本以外の各項目をその他純資産として一括りにする意義は薄いと考
えられたため、そのような考え方は採用しなかった。
また、純資産の部の区分においては、財務分析における重要な指標である ROE(株主
資本利益率又は自己資本利益率)の計算上、従来から、資本の部の合計額を分母として
用いることが多く、また、この分母を株主資本と呼ぶことも多いため、株主資本、評価・
換算差額等及び新株予約権を括った小計を示すべきではないかという指摘があった。し
かしながら、ROE のみならず、自己資本比率や他の財務指標については、本来、利用目
的に応じて用いられるべきものと考えられ、2005 年(平成 17 年)会計基準の適用によ
っても、従来と同じ情報は示されており、これまでと同様の方法による ROE などの財務
指標の算定が困難になるわけではないと考えられる。このため、企業の財政状態及び経
営成績を示す上で、株主資本、評価・換算差額等及び新株予約権を一括りとして意味を
もたせることが必ずしも適当ではないと考え、これらを括ることは行わなかった。
32. 2005 年(平成 17 年)会計基準では、新株予約権は、報告主体の所有者である株主と
は異なる新株予約権者との直接的な取引によるものであり、また、非支配株主持分は、
子会社の資本のうち親会社に帰属していない部分であり、いずれも親会社株主に帰属す
るものではないため、株主資本とは区別することとした(第 7 項及び第 22 項参照)。
また、連結貸借対照表上、非支配株主持分には、2005 年(平成 17 年)会計基準公表
前と同様に連結子会社における評価・換算差額等の非支配株主持分割合が含められる。