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その他資本剰余金に計上することが適切であると考えた。
39. 他方、自己株式処分差損については、自己株式の取得と処分を一連の取引とみた場合、純
資産の部の株主資本からの分配の性格を有すると考えられる。この分配については、払込資
本の払戻しと同様の性格を持つものとして、資本剰余金の額の減少と考えるべきとの意見が
ある。また、株主に対する会社財産の分配という点で利益配当と同様の性格であると考え、
利益剰余金の額の減少と考えるべきとの意見もある。
40. 自己株式の処分が新株の発行と同様の経済的実態を有する点を考慮すると、利益剰余金の
額を増減させるべきではなく、処分差益と同じく処分差損についても、資本剰余金の額の減
少とすることが適切であると考えた。資本剰余金の額を減少させる科目としては、資本準備
金からの減額が会社法上の制約を受けるため、その他資本剰余金からの減額が適切である。
なお、その他資本剰余金の残高を超えた自己株式処分差損が発生した場合は残高が負の値
になるが、資本剰余金は株主からの払込資本のうち資本金に含まれないものを表すため、本
来負の残高の資本剰余金という概念は想定されない。したがって、資本剰余金の残高が負の
値になる場合は、利益剰余金で補てんするほかないと考えられる。
41. その他資本剰余金の残高を超える自己株式処分差損をその他利益剰余金(繰越利益剰余金)
から減額するとの定めについて、資本剰余金と利益剰余金の区別の観点から好ましくなく、
特に資本剰余金全体の金額が正の場合は、その他資本剰余金の負の残高とすべきであるとの
意見がある。しかし、その他資本剰余金は、払込資本から配当規制の対象となる資本金及び
資本準備金を控除した残額であり、払込資本の残高が負の値となることはあり得ない以上、
払込資本の一項目として表示するその他資本剰余金について、負の残高を認めることは適当
ではない。よって、その他資本剰余金が負の残高になる場合は、利益剰余金で補てんするほ
かないと考えられ、それは資本剰余金と利益剰余金の混同にはあたらないと判断される。し
たがって、その他資本剰余金の残高を超える自己株式処分差損については、その他利益剰余
金(繰越利益剰余金)から減額することが適切であると考えた。
42. また、その他資本剰余金の残高を超える自己株式処分差損が発生した場合の会計処理につ
いては、以下の方法が考えられる。
(1) 負の値となったその他資本剰余金を、その都度、その他利益剰余金(繰越利益剰余金)
で補てんし、その残高を確定する方法
(2) 負の値となったその他資本剰余金を、会計期間末において、その他利益剰余金(繰越
利益剰余金)で補てんし、その残高を確定する方法
これについては、その他資本剰余金の額の増減が同一会計期間内に反復的に起こり得るこ
と、(1)の方法を採用した場合、その他資本剰余金の額の増加と減少の発生の順番が異なる場
合に結果が異なることなどを理由に、(2)の方法が適切と考えた。
したがって、例えば、中間決算日又は会社法における臨時決算日(会社法第 441 条第 1 項)
において、その他資本剰余金の残高が負の値となった場合には、中間決算等において、その
他利益剰余金(繰越利益剰余金)で補てんすることとなる。また、年度決算においては、中