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場合に資本剰余金から控除する額をゼロとするなど他の合理的な計算方法によること
を妨げるものではないとしている(税効果適用指針第 118 項)。
このような子会社に対する投資の一部売却に関する取扱いは、税務上の繰越欠損金
がある場合など複雑な計算を伴う場合があることから、実務に配慮しつつ、個々の状況
に応じて適切な判断がなされることを意図したものであると考えられる。子会社に対
する投資の一部売却以外の株主資本又はその他の包括利益に対して課税される場合に
ついても、同様に実務上の配慮が必要になると考えられることなどから、当事業年度の
所得に対する法人税、住民税及び事業税等を、株主資本又はその他の包括利益に区分し
て計上する場合についても同様に取り扱うこととした(本会計基準第 5-4 項参照)。
その他の包括利益の組替調整(リサイクリング)に関する取扱い
29-9. 当事業年度の所得に対する法人税、住民税及び事業税等を、損益、株主資本及びその
他の包括利益に区分して計上する場合、法人税、住民税及び事業税等がその他の包括利
益累計額(又は評価・換算差額等)に計上されることがある。この場合、その他の包括
利益累計額に計上された法人税、住民税及び事業税等を組替調整(リサイクリング)す
るか否かが論点となる。
この点、これまで我が国においては、当期純利益の総合的な業績指標としての有用性
の観点から、その他の包括利益に計上された項目については、当期純利益にリサイクリ
ングすることを会計基準に係る基本的な考え方としていることを踏まえ、当該法人税、
住民税及び事業税等が課される原因となる取引等が損益に計上された時点で、対応す
る税額についてもリサイクリングを行い、損益に計上することとした(第 5-5 項参照)。
29-10.当該リサイクリングに関連し、当事業年度の所得に対する法人税、住民税及び事業税
等をその他の包括利益累計額(又は評価・換算差額等)に計上した後、リサイクリング
がなされるまでに税法の改正に伴い法人税、住民税及び事業税等の税率が変更される
場合において、税率の変更に係る差額をリサイクリングすべきか否かについて、税効果
会計における税率の変更に関する取扱いとの整合性の観点から論点となった。
この点、税率が変更された場合、税効果会計においては繰延税金資産及び繰延税金負
債の再計算に伴い資産及び負債が変動するのに対して、その他の包括利益累計額に計
上された過年度の所得に対する法人税、住民税及び事業税等については、関連する資産
又は負債である未収還付法人税等又は未払法人税等は通常は税率変更の時点では確定
した税額として還付又は納付済みであると考えられ、資産及び負債の変動はない。した
がって、税法の改正に伴い税率が変更される場合であっても、税法の改正時に税率の変
更に係る差額をリサイクリングする必然性はないものと考えられる。
ここで、税率の変更に係る差額をリサイクリングする処理は、過年度に計上された資
産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等を損益に計上した時点における税引前
当期純利益と税金費用の比率を法定実効税率に近似させることを重視する観点からは